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聴衆との接触とノートの用い方神権宣教学校案内書
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7 ひとりの人と個人的に話をするさい,「あなた」「あなたの」あるいは,「わたしたち」「わたしたちの」ということばを用いて直接相手に話しかけるでしょう。それが適切な場合には,より大ぜいの聴衆に対しても同様の仕方で話しかけることができます。自分の話を,一時にひとりかふたりの人とかわす会話とみなすように努めてください。あたかも実際に話しかけた相手にこたえ応ずるような気持ちになれるほど注意深く聴衆を見守ってください。そうすれば,あなたの話し方は個人個人に対するもののようになるでしょう。
8 注意をひと言。聴衆とあまり親しくなりすぎる危険を避けてください。野外宣教にさいし,戸口でひとりかふたりの人の人と品位のある会話をしている場合以上に親しみを表わす必要はありませんが,それでも,ごく率直に話せますし,また,そうすべきです。
9 もう1つの危険。人称代名詞を使うさいには,思慮分別を働かせ,聴衆を好ましくない人物と同列に置くような話し方をしてはなりません。たとえば,非行に関する話をする場合,あなたは,聴衆が非行者でもあるかのような仕方で語りかけることはしないでしょう。あるいは,奉仕会で奉仕時間が少ないことについて話す場合なら,いつも「あなたがた」と言う代わりに,「わたしたち」という代名詞を使って,自分をも話の中に含めるでしょう。考え深さと思いやりがあれば,この種の危険は容易に避けられるでしょう。
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10,11. 筋書きの用い方を学ぶ上で励みとなる事がらを述べなさい。
10 筋書きの用い方。初歩の話し手で,最初から筋書きを使って話す人はまずいません。たいてい,話を前もって清書しておき,次いで,それを読むか,あるいはそれを暗記して話すかするものです。助言者は最初この点を見過ごしますが,話し手が「話の助言」の用紙上の「筋書きの用い方」という項目に来たならば,助言者は,ノートを使って話をするよう話し手を励ますでしょう。この点を修得するならば,あなたは講演者として長足の進歩を遂げたことに気づかれるでしょう。
11 文字を読めない子どもや成人でさえ,たとえを用いて考えを連想させながら話を行ないます。ですから,「王国奉仕」に略述されている,聖書の話のように,あなたの話も簡単な筋書きを用いて準備できるでしょう。野外宣教にさいしては,原稿を用いずに定期的に話をしているのですから,ひとたび決心しさえすれば,宣教学校でもそれと同じように容易に話すことができるでしょう。
12,13. 筋書きの作り方に関する提案を述べなさい。
12 この特質の面で努力するのは,原稿を使わないようにするためですから,準備にさいして,また,話す場合でも,話を暗記してはなりません。さもないと,この研究の目的を失することになるでしょう。
13 聖句を使おうとしているのであれば,「どのように」「だれ」「いつ」「どこで」その他の副詞的な疑問詞を用いて自問してください。次に,それらの疑問が資料に合致するなら,それをあなたのノートの一部として用いてください。その話をするさいには,聖句をそのまま読んでから,自問するか,もし適当であれば,家の人にそうした質問を提起してごらんなさい。これはそれほど簡単なことなのです。
14,15. どんな原因で気落ちさせられてはなりませんか。
14 初心者はしばしば,何かを忘れはしまいかと心配しますが,話を論理的に発展させてさえゆけば,たとえ話し手がある考えを見落としたとしても,それに気付く人はいないでしょう。いずれにしても,資料の網羅の仕方はこの段階で考慮すべき主要な問題ではありません。ここでは,筋書きを用いた話の仕方を学ぶことのほうがもっと重要なのです。
15 この種の話をするさい,すでに学んだ特質の多くが失われたのではなかろうかと感ずる場合があるかもしれませんが,心配するには及びません。それらの特質は戻ってくるものであり,原稿を用いずに話す方法をひとたび覚えると,そうした特質をいっそう巧みに発揮できます。
16,17. ノートを作る際,何を念頭におくべきですか。
16 宣教学校での話のために用いるノートについてひと言。ノートは考えを思い起こすために用いるのであって,朗読するためではありません。ノートは短いものであるべきです。同時に,きれいで,秩序だっており,読みやすいものであるべきです。もし,あなたの場面が再訪問のそれであれば,ノートはおそらくあなたの聖書の中にはいるほどの目だたないものであるべきでしょう。それが,演台を用いて演壇でする話であることがわかっておれば,ノートのことは問題にならないでしょう。しかし,その点が確かでなければ,事情に応じて準備してください。
17 もう1つの点として,ノートの一番上に主題を書くと,役にたちます。また,要点もはっきりと目にはいるよう目だたせて書くべきです。そのすべてを大きな字で書いたり,傍線を付したりしてください。
18,19. 筋書きの用い方を練習する方法を述べなさい。
18 話をするさいには,ちょっとしたノートしか用いないとはいえ,それは準備をいい加減にしても良いという意味ではありません。まず最初,話を詳細に準備し,望みどおりの完璧な筋書きを作り,次いで,ずっと短い第2の筋書きを用意してください。それが,実際に話をするときに用いる筋書きとなるのです。
19 さて,両方の筋書きを目の前に置き,簡単にした筋書きだけを見て,最初の要点に関し,できるだけ多くのことを言ってごらんなさい。次に,詳しい筋書きをちょっと見て,言い落とした点があるかどうかを調べてください。次いで,簡単な筋書きの第2の要点に移って,同じことをしてごらんなさい。やがて,あなたは短いほうの筋書きに十分慣れて,簡単な短いノートに注目するだけで,詳しい筋書きに収められている事がらをみな思い起こせるようになるでしょう。そして,練習と経験を積むにつれ,即席の話し方の利点の真価を認めさせるようになるとともに,どうしても必要なときだけ,原稿を使うようになるでしょう。また,あなたは,話をするさい,いっそう気持ちを楽にすることができ,聴衆はいっそうの敬意を払って聴くでしょう。
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流ちょうで会話的な話し方と正しい発音神権宣教学校案内書
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研究 29
流ちょうで会話的な話し方と正しい発音
1-4. 流ちょうさの欠如の原因と徴候をあげなさい。
1 聴衆を前にして立って話すさい,あなたはしばしば適切なことばを見つけようとして戸惑いますか。あるいは,朗読するさい,ある言い回しにつまずきますか。もし,そうであれば,流ちょうさが問題なのです。流ちょうな話し手とは,ことばの用い方の巧みな人です。とはいっても,「舌のよく回る」人,つまり無考えに,あるいは,いい加減によくしゃべる人という意味ではありません。流ちょうな話とは,楽々と,あるいはのびのびと流れるように続く,よどみない,もしくは快い優美な話なのです。流ちょうさは特別の注意に値する点として,「話の助言」の用紙に掲げられています。
2 話をするさい,流ちょうさに欠けるのは,まずたいていの場合,考えの明快さと資料の準備の不足のためです。同時に,語彙の乏しさ,あるいはことばの選択のまずさも,その原因となります。朗読の場合,流ちょうさに欠けるのは,たいてい朗読の練習不足のためです。とはいえ,
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