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  • 増大する石油危機
    目ざめよ! 1974 | 3月22日
    • ばなりません。このことが近い将来になされて,増大する燃料需要にこたえうるとは考えられません。

      水力についてはどうですか。河川にそってダムを建設することによって,強大な水の力を動力源として利用することができます。しかし,これは主として発電用のエネルギーです。落下する水の勢いで発電機を回し,それによって電気を作れます。しかし,エネルギー源としての水力の利用法は限られています。それを自動車用の燃料とすることはできません。工業用機械の潤滑油をそれから作ることもできません。加えて,多くの国では,河川を利用して発電用のダムを建設することにも限界があります。今日利用されている総エネルギーの中で水力の占める割合がごく小さいのはそうした理由によります。エネルギー需要が急増するにつれ,水力の占める役割はいよいよ小さなものとなるでしょう。

      天然ガスも好まれるエネルギー源です。しかし,西ヨーロッパ諸国や日本に天然ガスはそれほどありません。米国の場合,天然ガスの生産増加はそれほど期待できません。新しいガス田の発見はしだいに難しくなっているからです。ところが,熱エネルギーの需要が飛躍的に伸びているのはちょうどそうした国々なのです。

      太陽エネルギー,つまり太陽から得られるエネルギーが答えとなるでしょうか。いつかそうした日が来るかもしれません。しかし,当面増大してゆく危機の解決にまにあわないことは明らかです。

      したがって,もう一度要約して言えば,オイルシェール,オイルサンド(石油を含んだ砂),水力,天然ガス,石炭,太陽エネルギー,さらには木材などがありますが,これらエネルギー資源のどれも,当面する危機の間や近い将来に石油に取って代わることはできません。たとえそれが技術的には可能であるとしても,今日の先進工業国はあまりに石油に頼りすぎており,今後10年や15年の間に別のエネルギー源へと,急速で大々的な,そして費用のかさむ変化を遂げえないのです。

      ジレンマ

      しかし,世界のある場所には十分な石油が存在するのですから,需要に応じて石油のくみ出し量をただ増やすことはできないのですか。それができるという保証はありません。なぜですか。特に石油を必要としているのは西欧諸国,日本,アメリカなどですが,その石油はこれらの国の支配下にはないからです。そこに深い問題があります。

      すでに述べたとおり,日本自身の石油産出量はごくわずかです。西ヨーロッパ諸国もごくわずかしか産出しません。目下開発中の北海の油田から多少は得られるようになるはずですが,その北海の油田によっても,今後10年以内に需要の幾分かをまかなえるようになるとは期待されていません。米国の場合,この国の油田の産油量はその最盛期にあります。そして,新しい産油地帯の発見よりも速い速度で石油が消費されているのです。最近登場したアラスカの油田も1970年代にはそれほどの変化をもたらしません。そのアラスカからの新たな石油も増大する需要によって軽くのまれてしまうのです。

      そのため,石油業界の一有力会社は次のような見解を言い表わしました。「米国は…今から1985年ごろに至るまで,石油およびガスの供給の面で深刻な問題をかかえるであろう」。同社はさらにこう付け加えました。「今後12年から15年の間われわれだけがこの供給危機を迎えるのではない。欧州諸国と日本も同じ問題に直面するのである」。ニューヨーク・タイムズ紙はこう伝えています。

      「1970年代には,新しい共通の危険が,西ヨーロッパ,北米,日本の工業社会を脅かす。……

      「世界のどこでも,主要な工業国の首都では,エネルギー危機に関することがごく普通の話題となっている。……

      「欧州議会の一委員会は,エネルギーの供給源を調和的に協働させるための決定的な措置が今すぐに取られないなら,1980年までに電気は“文字どおり”消えてしまうであろう,と警告した」。

      膨大量の輸入が必要

      このすべてが意味しているのは,これらの工業国は膨大量の石油を輪入する必要がある,という点です。そして,ごく近い将来に,輸入量をいっそう増やさねばならないでしょう。USニューズ・アンド・ワールドリポート誌は,「電灯を消さないようにし,機械が止まらないようにするためには,ただ石油を輸入してゆくことが必要である」と述べています。

      例えば,日本は毎日500万バレルの石油を消費しています。そのほとんどすべてを輸入しなければなりません。そうした石油輸入の九割までは中近東から来ます。1980年までに,日本は一日に1,300万バレルもの石油を使用するようになると推定されています。そのほとんどすべても輸入されねばならず,その多くを中近東諸国に頼らねばなりません。

      西ヨーロッパ諸国は一日におよそ1,500万バレルの石油を消費しています。そのほとんどすべても輸入です。そうした輸入の約八割は中近東や北アフリカから来ます。西ヨーロッパにおける石油消費が今のままで増大してゆけば,西ヨーロッパ諸国は,1980年には,一日に2,600万バレルの石油を消費するようになり,その多くも同様に輸入されねばならないと権威すじは見ています。現在開発されている北海の油田も,おおかたの推定では1980年までに日産約300万バレルとなるにすぎません。あとは主として中近東や北アフリカ地方に頼らねばなりません。

      米国の1973年中の石油産出量は一日1,100万バレルに足りませんでした。しかし,同国は一日1,700万バレル以上を消費したのです。したがって,その差を埋めるために,一日当たり600万バレル以上を輸入しなければなりませんでした。こうして米国は1973年中の石油消費量の35%までを輸入に頼りました。しかも,米国内の油田は多年の使用によって“衰えて”いるため,同国自身の,産油量は将来減少するものと見られています。

      米国にとって,このままの状態が続いてゆくなら,1970年代の終わりまでに,事態はいっそう深刻なものとなります。1980年までに,同国は一日およそ2,700万バレルの石油を消費しているであろうと権威者たちは見ています。そのうち約1,500万バレル,55%以上は輸入に頼らねばなりません。1980年までに,“下部48州”における産油量は一日約1,000万バレルに低下するとされています。アラスカの油田から一日約200万バレルが供給されますが,それでも一日1,500万バレルの不足が生じます。その多くは,今日の最大の供給地たる中近東や北アフリカ地方から来なければなりません。

      1972年から73年にかけての冬,アメリカ人は暖房用の石油を十分に得ることができませんでした。そうした石油不足の結果,幾つかの工場や学校さえ一時的な閉鎖を余儀なくされました。また,1973年の夏には,自動車用のガソリンを十分に得られない人もいました。ヨーロッパでも似たような問題がありました。それゆえ,アラブ産油国が米国向けの石油を削減する以前から,ロサンゼルス・ヘラルド・イグザミナー紙が次に述べるような事態が生じていました。「現在のところ予備の石油を産出する能力を持たない米国は外国系の石油にいよいよ依存するようになっている」。そして,ニューヨーク・タイムズ紙はこう付け加えています。

      「西半球の石油供給地が米国向けの出荷をそれほど拡大することはできないから,将来に予想される原油輸入増加の大部分は,中近東とアフリカなど,東半球の供給地に頼らねばならないというのが,政府と産業界の一般的な合意点である」。

      カナダは米国に対する主要な石油供給国ですが,このカナダもいろいろな問題をかかえています。そのため,カナダもまもなく石油やガスの輸出を削減せざるをえないであろうと見られています。トロント・スター紙はこう伝えます。

      「エネルギーに飢えた米国のためにわれわれの[石油]資源が急速に枯渇してしまうことを防止しないかぎり,カナダは,馬や馬車,そして汚い石炭がまの時代に戻らざるをえないであろう。これは,世界で最も著名な科学者のひとりである,トロントの地球物理学者J・ツゾー・ウイルソンの警告である。

      「石油や天然ガスの供給が減少してゆく一方でそれらに対する需要が増大しているために,北アメリカの文明は今後10年以内に絶望的な危機に陥るかもしれないと彼は言う。……

      「『ガスや石油に対する需要は飽くことなく急速に増大しているため,北極の石油資源もエネルギー供給の問題に長期的な解決となりえないことは明らかである』とウイルソンは書いている」。

      こうして,好むと好まざるとにかかわらず,北アメリカと西ヨーロッパと日本は,他の国から膨大量の石油を輸入し,しかもその量を増大させてゆかねばなりません。これは幾つかの大きな問題を生み出します。それは,一つには,莫大量の石油埋蔵の確認されている二つの場所が,これらの国に概して好意的でない地域にあるためです。

      第一の場所は,中近東や北アフリカのアラブ回教諸国です。石油の埋蔵が確認されている次に大きな場所はソ連です。つまり,共産圏とアラブ回教諸国が地上の最大の石油源を握っていることになります。そしてわたしたちは,最近のアラブ-イスラエル戦争以来,そうした石油の源泉に何が起こりうるかを見てきました。

      しかし,これら石油保有地の位置は,単に政治上の問題だけでなく,石油を買い入れる国々に対して大きな経済上の問題をも生み出します。どのようにですか。

      驚くべき石油代価

      米国,西ヨーロッパ諸国,日本が輸入する石油の代価はすでに巨額に上っています。これらの国は石油のために毎年幾十億㌦もの資金を払い,その資金は主に,中近東と北アフリカの産油国に行きます。

      仮に石油の価格が変わらないとしても,増大する石油需要のために,先進工業諸国は自国の富をしだいに多く払い出してゆかねばなりません。ところが,石油の価格は同じ状態でとどまってはいないのです。それは著しく上昇し,すでに数年前の幾倍にもなりました。しかも,価格が今後も上昇しつづけてゆくことをだれもが予期しています。石油の需要はどんどんと増大しているからです。

      今後どのような事態になろうとも,あらゆる形のエネルギー源,特に石油は,その価格の上昇が続くと,権威者たちが明言しているのはこのためです。安い燃料,安価なガソリンの時代は終わりました。

      価格の非常な上昇と,輸入量の増大とのために,石油消費国は,石油のためにいよいよ多くの代価を払ってゆかねばなりません。これは,それらの国の対外収支を悪化させます。つまり,自国が得る以上の資金を支払ってゆかねばならないのです。こうして巨額の支出がいよいよ増大してゆくことは,これらの国ですでに進行している悪性のインフレをいっそう過熱させます。それによって,石油だけでなく他の多くの物の生産コストや売り値がいっそう上がります。石油製品を使用する人はより高い代価を払い,それを埋めるためにやがて賃上げを要求します。賃銀コストが上昇すると,製造業者は自分の製品価格をさらに上げます。こうして石油価格の上昇は,すでにある悪性インフレの炎をさらにあおることになります。

      西欧経済の基盤とされる米国はその対外収支の面ですでに重大な問題をかかえてきました。これまで幾年もの間,米国は海外で取得する以上の資金を支出し,諸外国に対する負債を積み上げてきました。そして,増大する石油輸入に伴う支払い債務はこうした状態をいっそう悪化させます。

      多少の例を挙げれば,1973年中,米国は石油輸入のために約70億㌦を支払ったと推定されています。経済学者たちは,1975年までにこの数字が150億㌦に上るものと見ています。そして,米国のサウジアラビア駐在大使であるジェームズ・アキンズは,同国の輸入する石油の代価が,1980年までに「年額400億㌦を超えるであろう」と述べています。こうした超大な支払いをしてゆくことはたいへんなことでしょう。米国がその支払いに見合うだけ輸出を伸ばせると見る専門家はほとんどいません。それゆえ,石油問題が危機と呼ばれる理由も納得できます。

      カナダ,西ヨーロッパ諸国,日本について見ても,事情はそれほど異なりません。これらの国はみな,今後毎年輸入してゆかねばならない莫大量の石油に対し,その支払いの面でしだいにつのる問題をかかえることになります。

      しかし,もしこれらの国が輸入する石油の代価を払いきれず,あるいはなんらかの理由で供給量の削減を受けるならどうなりますか。北アメリカ,西ヨーロッパ諸国,そして日本の,今日見るような,工業本位の生活は大きな変化を強いられることになります。

      ソ連は莫大な石油資源を有しており,こうした石油不足には直面していません。ソ連の大油田およびルーマニアの小さな油田は,東ヨーロッパ共産主義諸国の需要をまかなうことができます。それで,ソ連とその友好国は有利な立場にあります。中近東と北アフリカのアラブ回教諸国,およびそれと親しい関係にある国々についても同じことが言えます。

      しかし,北アメリカ,西欧諸国,日本などの場合には事情が異なります。これらの国は必要量の石油を得るという面ですでに問題をかかえており,その問題は今後数年の間ただ増大してゆくことが考えられます。それらの国に住む人の生活はなんらかの面でその影響を受けずにはすみません。物の値段や生活のしかたは決してこれまでと同じままでは進まないのです。

  • 祈りについてどんなことをご存じですか
    目ざめよ! 1974 | 3月22日
    • 祈りについてどんなことをご存じですか

      祈りはほとんどだれもがすることです。もっともある人びとは,それほどひんぱんには祈りません。万策尽きたあとの最後のとっておきの手段としている人も少なくありません。

      たとえば,第二次世界大戦中,「救命いかだの上に無神論者はひとりもいない」ということがよく言われました。飛行機が海中に墜落して無線はだめになり,陸地は1,600㌔のかなたにあり,糧食はほとんど底をつき,救助者の影も形も見えず,万策尽き果てたとき,人びとは目を上げて祈りました。

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