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資源不足はどれほど深刻か目ざめよ! 1975 | 3月8日
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変化を目指す
工業諸国,特に西欧,日本,アメリカなど工業が高度に発達した国々は,結局のところ自らをわなに陥れました。現在の自分たちの生活水準を保つためにこうした国々は,必要とされる原材料やエネルギー資源を今やますます多量に輸入しなければなりません。しかし,そうした資源を握っている比較的貧しい国々は,現在ではそれらに対してより多額の代価を要求するようになっています。
必要とするものを手に入れるためにこれら工業国の借金がしだいにかさんでいくことが,その直接的な結果です。1973年中の石油の費用だけでも西側世界全体の経済をぐらつかせました。値上がりした石油代を払うために借金に深入りしてゆく国は増えています。ですから,原材料を確保して人々の要求するものを生産してゆくことがしだいに困難になっている事を別にしても,工業諸国の財政状態は絶望的なものになっています。
経済学者たちは,こうした状態を長く続けてゆくことはできない,という点で同意しています。何かを変えねばなりません。これらの国の国際収支の赤字は,近いうちに大きな調整のなされねばならないことを示しています。今は富裕になった産油諸国から多額の資金を借り入れることによって災厄を一時的に食い止めえたとしても,必要な総額は膨大なものですから,そうした借入れを無期限に続けることはできません。このことは,それらの国が自分たちの生活の仕方を維持するための輸入品すべてを購入してゆく余裕がなくなることを意味するでしょう。そうなれば,人々の生活水準に思い切った変更が加えられねばなりません。
人々が今までより低い生活水準に順応する能力があるかどうかには疑問があります。ニューヨーク・タイムズ紙が最近伝えた次の事は,これから起こるべきことを暗示しているかもしれません。
「8月10日,カイロ発ロイター電 ― 近ごろエジプトでは少なくなった石けんを一個買うために人々が殺到し,二人が死に,五人が負傷した,とアル・アーラム紙は今日報じた。
「同紙によると,ロゼーイック村のある店で最後に残った一個の石けんの取り合いで,ある雑貨商とその息子が殺された」。
英国の歴史学者アーノルド・トインビーは自分の見解を述べ,工業諸国は「自らが定常的なろう城状態にあることを知ることになろう。そこでの物質生活の状態は……しだいに困難な事態へと進行していくであろう」と言いました。そして次のように加えています。
「苦悩する“先進”諸国それぞれの国内では,減少したその資源をなんとか自分の手中に収めようとする激しい争いが起きるであろう……
「その結果として,すべての“先進”諸国においては,無情な権威主義が,新しい生活の仕方,厳重に規格化された生活を強いることになるであろう」。
世界情勢の大々的な再調整が遠くないことは,多くの観察者たちの目に明白です。いろいろな問題があまりにも危機的な段階に達しました。「第二の箱船」の著者はそれを次のように言い表わしています。「この古い体制がそれほど長く続かないことを我々は知っている」。
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信頼の欠如目ざめよ! 1975 | 3月8日
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信頼の欠如
◆ 国際的な軍縮を求める声が世界中で大きくなっている。種々の条約が調印され,禁止された核実験を探知するための装置が設置され,対抗する国どうしの査察団が編成されているにもかかわらず,兵器の製造は増大し続けている。何が必要なのだろうか。スウェーデンの軍縮問題専門家アルバ・ミルダールは,「相互の信頼」が不足しているとして,次のように語っている。「究極的に言って,そうした信頼は,条約の当事国がどこまで信頼に答えるかどうかにかかっている。……これは将来どんな形の世界秩序を作り出すことを望むか,という問題と関係してくる。つまり,率直さに基づく社会を望むか,それとも秘密に基づく社会を望むか,である」。
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