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フィリピン諸島1979 エホバの証人の年鑑
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されるようになりました。印刷部数の増加に伴い,2台目の輪転機を含む新しい機械類が1975年5月29日に設置されました。訓練に携わった14人の宣教者のうち今でもフィリピンにいるのは6人です。しかし,それらの宣教者によってなされた優れた訓練のおかげで,現在フィリピンの兄弟たちが印刷作業の一切を行なっています。また,ここで印刷された雑誌は海外の72か国へ送られているのです。
1970年代におけるその他の変化
1973年にはもう一つの段階が踏まれました。アメリカ人にフィリピンで私有財産を持つことを特別に許可する協定が1974年7月に無効になることになっていたため,協会の資産すべてをフィリピンの法人に譲渡するのは賢明であると思われました。それで1973年10月19日,フィリピンのものみの塔聖書冊子協会が設立されました。それによってフィリピンのエホバの証人の立場は一層安定したものになりました。
そのころ行なわれた地帯の訪問も兄弟たちの励ましになりました。ミルトン・ヘンシェル,ネイサン・ノアおよびロイド・バリーといった統治体の成員が多くの聴衆に賢明な助言と導きを含む話をして大きな励ましを与えました。また,同年8月,マニラで国際的な大会が開かれた際には統治体の5人の成員が訪れ,フィリピンの人々に多大な益をもたらしました。
さらに,1972年10月から実施されるようになった会衆における長老制や,1976年2月1日より始まった支部委員の取り決めなどの変化によっても益がもたらされました。現在どの会衆においても,兄弟たちは,クリスチャンの長老に要求されている種々の資格にいっそう深い注意を払っています。そして,個々の人に対する監督の一団の行き届いた世話によって会衆は助けられています。
証言の業は1970年代に実質的な発展をみました。1969年に報告を提出した平均伝道者数は4万5,479人でしたが,1977年6月までにその平均は6万6,000人を上回っていたのです。将来の見込みも良いものです。同年の記念式には16万5,000人を上回る人々が出席し,キリストの犠牲とそれがもたらす益に対する関心を示したからです。
こうした増加に歩調を合わせて,ベテル家族も増えました。1948年に支部がルーズベルト街の新しい建物に移った時,一つの建物にわずか9名の人が住んでいたにすぎませんでした。ところが現在では,一つの敷地に五つの大きな建物があり,床面積の合計は4,670平方㍍に及んでいます。そこで89人のベテル奉仕者が様々な立場で信仰の仲間に仕えているのです。
このように,文字通りの処女地だった土地で一握りの忠実な証人たちが熱心に奉仕していた1930年代の昔から,物事はずいぶん進展しました。その“古老たち”の多くは今でも働いています。スペースの関係でここに名前の挙げられていない人も幾人かいますが,その人たちはみな自分たちの熱心な働きの良い実を見て喜びを味わっています。比較的最近奉仕を始めるようになった人たちはその人たちの熱意と専念の模範からいつも励ましを受けています。
フィリピンのエホバの証人のすべては奉仕の特権を大いに喜んでいます。エホバのみ手から多くの祝福をいただいているので,エホバの霊が自分たちのただ中で働いているのを認めています。また,エホバのお名前と王国を引き続き宣明すること,そしてエホバのご意志である限りフィリピンでさらに多くの弟子を作ってゆくことを決意しています。
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スペイン1979 エホバの証人の年鑑
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スペイン
スペイン,と聞くとあなたは何を思い浮かべますか。闘牛ですか。フラメンコの踊りですか。それともエル・グレコやゴヤの絵でしょうか。
スペインと言えばそれらが思い浮かぶのは当然でしょう。スペインは非常に変化に富んだ国です。スペイン人はケルト人とムーア人の特徴を備えており,幾世紀も昔にスペインに侵略したそれら二つの人種の血を引いていることがわかります。四つの言語,すなわちスペイン語,バスク語,カタルニャ語およびガリシア語の外,幾つかの方言が用いられています。ガリシア語はポルトガル語に近い言語です。また,アラビア語が無意識にたくさんそう入される場合が少なくありません。アラブ人がイタリア半島を8世紀間占領した名残として,スペイン語の語彙にはアラビア語の言葉がたくさん含まれているからです。
スペインは,標高3,000㍍を超すそそり立つピレネー山脈によって,フランスその他のヨーロッパ諸国から隔てられています。また,西は大西洋,東は地中海と接していますから,島国といってもおかしくありません。スペインの中央部はメセタとよばれる高原であり,その北側を,堂々としたピコス・デ・エウロパを含む山脈が走っています。また南側には雪を頂く有名なシエラネバダ山脈が横たわっています。興味深いことに,スペインは平均高度がヨーロッパでスイスに次いで2番目に高い国です。ちなみに,雨は主に北部で降りますが,雨量はヨーロッパで最低です。ですからスペインが「太陽の輝く国」と呼ばれ,毎年多くの旅行者が北欧から押しかけるのも無理はありません。
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