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  • レーザーの開発と販売
  • 途方もない力
  • 光の一様性
  • メーザーの利用
  • レーザーの応用
  • レーザーの将来
目ざめよ! 1970
目70 2/8 12–15ページ

将来を期待される特異な光線

10年前の1960年,新しい強烈な光線が生み出されました。その光線の存在は全く知られていなかったのです。それは人間が今日知る中では最も均質かつ強烈な光であり,太陽表面の数十億倍もの強度で輝きます。この光線は最も堅い物質とされるダイヤモンドにも容易に穴をあけ,地上のどんな物質をも気化させることができます。

この途方もない光を作る考えが初めて提出されたのは,1958年,ふたりの科学者A・L・ショーローとC・H・タウンズの発表した論文の中においてでした。その2年後,T・H・メイマンが考案した装置は,提唱されたこの光の発生に成功しました。この装置は,「励起放出による光の増幅」という意味の英語の頭文字を合わせて,レーザーと呼ばれました。光の増幅,もしくはその強さを増すことがレーザーの働きです。

こうした,光の増幅装置を作れることが知られるにつれ,レーザーは多くの人の話題にのぼりました。レーザーの持つさまざまな可能性が人々の想像をさそったのです。兵器関係者がこれに着目しました。たとえば,超兵器とも言える殺人光線を作るのです。他方,レーザーを医療や工業面に活用する夢も広がっています。

レーザーの開発と販売

しかし,実験室内のレーザーを実用段階に移すことになると,初めは多くの困難がありました。当初の評判にかなうレーザーが製作されるようになったのは最近であり,強力で性能の良いレーザーが開発されるにつれ,その応用面もどんどん広がっています。レーザー実用化の成功は,その装置が毎年幾千台も販売されていることに示されています。

1965年,アメリカでは推計9,700万ドル(約350億円)がレーザーのために投じられました。その約6割は研究面ですが,残りは販売用レーザーおよびレーザー関係品の製作のために費やされました。今日,レーザーの取り引きは年額3億ドル(約1,000億円)に及んでいます。しかしレーザー市場は急速に成長しているため,レーザー製作が1970年代の初期に次の“10億ドル産業”になると予告する専門家もいます。今日,レーザーは1台200ドル(7万2,000円)程度のものから,数万ドルに及ぶものまであります。

レーザーがまだ開発段階にあることは確かです。ショーロー博士も,「レーザーはまだ幼稚な装置である。ラジオで言えば鉱石受信機の時代であり,飛行機で言えば1910年代にあたる」と語りました。しかしレーザーの活用範囲の大きいことを考えれば,産業界がその開発に多大の時間と資金を投じている理由もうなずけます。

途方もない力

レーザーから発せられる光には途方もない力があります。一観察者はレーザー光線が持つ力を次のように描写しています。「技師は,レンズで一点に集めたレーザー光を,厚さ4分の1インチ(約6ミリ)のはがねにあてる。……高い金属音,そして鋭い爆発音が聞こえたかと思うと,はがねからは白い火花が飛び散る。強烈な光の一撃は,はがねに穴をあけてしまうのである」。

強力で性能の良いレーザーが開発されるにつれ,“殺人光線”的な兵器の出現も現実の話となってきました。事実科学者は敵側ミサイルの迎撃にレーザー光線を利用することをまともに取り上げています。

レーザー光線は一点に集束させて殺人的な強さにすることができますが,一方においては,人の手にあてても害にならない程度の弱い光束にすることもできます。しかし,弱めのレーザー光束といっても,その強度はやはり普通の光とは異なっています。そのことはしばらくまえ月に着陸したサーベイヤー宇宙船によってよく示されました。

サーベイヤー宇宙船はテレビカメラを積んでおり,着陸後そのカメラは地球の暗い部分に向けられました。38万キロ以上離れた月面の宇宙船に向けて,地上から数本のレーザー光束が発せられました。それからの光束はわずか一,二ワット程度のものであり,出力で言えば,普通の60ワットの電球よりはるかに弱いものでした。それでも,月面のテレビカメラはそのレーザー光線を容易に捕え,その画像を地上の明るい点として送信してきました。驚くことに,わずか2ワットのレーザー光が,ニューヨークやロサンゼルスなどの大都会がともす何百万ワットもの光より明るく見えたのです。

どんなしかけでこのように強力な光線が得られるのですか。レーザーとはいったいどんな装置ですか。それはどのように働くのですか。

光の一様性

普通の可視光線は秩序整然とした光ではありません。つまり,波長,周波数,方向などのさまざまに異なる光の波が寄り集まっているのです。こうした光は,探照燈の場合のように反射鏡を使うことによって,一定の方向にむかわせることができます。しかしその場合でも,その光束は決して整然としたものではなく,やがて散開し,消散してしまいます。

他方,レーザーは位相の整然とした光,つまり波長その他が一様にそろった光の束を生み出す装置です。これは歩調をそろえて行進する兵隊の縦列にたとえることができます。この兵隊の縦列に別の縦列が同じ歩調で加わります。これら2列にさらに別の縦列がいつも同じ歩調で加わってゆきます。こうして初めの縦列は幾重にも強化もしくは増幅されます。レーザーは,これと同じように整然とした光の波を集め,方向,周波数などの一様な光を生じさせる装置なのです。それによって光の明るさと強さは驚くほどに増強されます。

1960年に生み出された最初のレーザー光線は人工ルビーを使ってなされました。しかしルビー・レーザーは数あるレーザーの一種にすぎません。ルビー・レーザーはソリッド・ステート型,つまり耐久部分に固体を用いたレーザーの一例です。ヘリウムとネオンの混合,電離したアルゴン,二酸化炭素など,気体を用いたレーザーも数多く作られています。ソリッド・ステート型のレーザーよりは気体を用いたレーザーのほうが整然とした光束を得やすく,また継続的な操作も幾分か簡単です。

たいていの場合,レーザーから放射されるものは人の目で見ることができます。その波長が人間の目の感覚範囲内にあるからです。しかし,ラジオ波,熱線つまり赤外線,マイクロ波,X線,宇宙線など,人の目に見えない電磁放射も多くあります。1950年代の初め,タウンズ博士は,位相の整ったマイクロ波を増幅する装置を考案しました。この装置は,「励起放出によるマイクロ波の増幅」の英語の略称としてメーザーと呼ばれました。メーザーの原理を可視的な電磁波つまり光に応用できるという考えに基づいてレーザーが発明されたのです。レーザーが光メーザーとも呼ばれるのはこのためです。

メーザーの利用

宇宙から地球に達する非常に弱いマイクロ波の発生場所を正確につきとめるためには,そのマイクロ波を増幅することが必要です。その目的にまさにかなっているのがメーザーです。メーザーはそうした弱い電波を増幅しますが,ほかのマイクロ波増幅装置のように“雑音”を出したり,関係のない電波を捕えたりすることがありません。一例をあげれば,木星から来る波長3.18センチの電磁波を観察するためにメーザーが用いられました。天文学者はそれをもとにして,木星の温度が零下96度Cほどであることをつきとめました。

メーザーは時計を作るのにも適しています。普通の時計は振り子やてんぷなどの周期的な運動を利用しています。メーザー装置内での電磁波の振動は非常に規則的であり,温度や地上での位置などによって変動しません。メーザーの持つこの振動はきわめて正確であり,メーザーを利用した時計は1,000年間に三,四秒の狂いも生じません。

レーザーの応用

しかし,応用範囲がはるかに大きいのは光メーザーつまりレーザーです。工業,医療,軍事,宇宙開発などの諸分野で,幾百もの機知に富んだ利用法が考案されています。

レーザーの応用法の一つは,その光束をきわめて小さな点に集束できるという特性を利用したものです。太陽光線を凸レンズで一点に集めて火を起こすことができますが,同じようにレーザー光線もきわめて小さな点に集束させることができます。

強力なレーザー光線を一点に集めるなら,きわめて堅い物質にも小さな穴をあけることができます。アメリカのウエスタン電気会社は,ごく細の銅線を作るために使うダイヤモンドの穴あけに,ルビー・レーザーを用いて成功しました。かつては数時間,ときには数日をさえ要した穴あけの作業が,今ではレーザーを使い,二,三分でできるのです。

時計のてんぷなど特に精巧な機器類に付着した微量の物質を気化させるにもレーザーを利用できます。また望むなら,こうして気化させた物質を分光写真機にかけ,その化学組成を分析することも可能です。マサチュセッツ州ワルサムのヤレル・アッシュ会社は,分光分析用のレーザーを開発し,1台1万5,000ドル(540万円)で幾十台も売り出しています。

マイクロプローブ(微小さぐり)と呼ばれるこの装置を利用した結果,16世紀の画家の作品とされたものが,実はにせ物であることがわかりました。問題の絵をマイクロプローブにかけ,ち密に割り出した量のレーザー光をあてて微量の絵の具を気化させます。レーザー光線をあてた所には,普通では気づかぬ程度の小さな穴があきます。さて,気化した絵の具を分光分析すると,微量の亜鉛が含まれているではありませんか。亜鉛を含む絵の具は1820年代まで使われなかったのです。

レーザーは物体の計測にも活用されつつあります。ボーイング社その他の航空機会社は,種々の測定および目盛り定めにレーザーを応用しています。また,小部分の金属熔接にもレーザー光線が利用されています。

医学の分野でもレーザーを利用することが多くなっています。特に成功しているのは,はく離しかけた網膜を眼球後部に固着させることです。レーザー光線は角膜その他,眼の透明な部分を通過して網膜に達し,これを吸収する網膜は溶融して背部の組織に固着します。黒色腫は黒色の色素を持つ腫瘍の一種ですが,黒色部分にレーザー光線を吸収させることによって,この病気もなおります。

レーザーの将来

しかし,レーザーの最も目ざましい応用法はこれから考案されるに違いありません。ショーロー博士は,これから20年以内に,レーザーが「工場でも事務所でもごく普通に用いられる道具となり,家庭ではジャガイモの皮むきにも用いられるであろう」と予告しています。すでに,タイプライターの打ち違いを消すけしごむがわりのレーザーが売り出されようとしているのです。

歯科医は虫歯の治療にレーザーを利用することを考えています。虫歯は黒くなっていますから,その部分にレーザー光線を吸収させて患部を気化させ,白い部分を無傷のままで残すのです。

レーザーの通信への応用は特に興味深いものとなるでしょう。理論的に言えば,レーザー光束一本で,「大英百科事典」の全文を1秒もかけずに伝達し,世界のラジオ,テレビ,電話などで伝えられる事柄のすべてを同時に送信することができます。

他方,マサチュセッツ工科大学の技術者たちは,岩石を粉砕するレーザーを実験しています。鉄道や道路建設のトンネル掘りに応用しようというのです。またレーザーを用いれば,立体写真や巨大なテレビスクリーンの実用化も考えられます。タウンズ博士はある会見の際つぎのように説明しました。

「わたしたちはいつか映画館のスクリーンと同じほどのテレビスクリーンを作れるだろう。……今日,テレビの映像をそれほど大きくすれば,暗すぎて見ることができない。しかしレーザー光をスクリーンいっぱいに走らせれば,明るく鮮明な画像を作れる。レーザー光線にはいろいろな色彩のものがあるから,これはもとよりカラーテレビである。……これはそれほどむずかしいことではなく,しかも実際的であると思う。それで,立体テレビより先に実用化されるかもしれない」。

誕生以来わずか10年間に,この新しい特異な光線は活用範囲を大いに広げています。しかしこれは明らかに序の口にすぎません。たしかにこれは将来大いに活用される光です。

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