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水はどこにでもある ― しかしどれほどきれいだろうか目ざめよ! 1971 | 10月8日
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消してしまいました。ブロビデンス・サンデー・ジャーナル誌は,「この『栄養過多』の過程は,欧米の少なくとも40の[主要な]湖で生じた」と述べています。
「しかしいつでもスイスがある。スイスにはまだ美しくて健康な,人間の不注意に汚されない湖がある」とあなたは言うかもしれません。たしかにスイスの湖は多くの人の目には青く美しく見えます。しかしスイス人は,湖が変化し,徐々にその清澄さを失っていくのを見ています。チューリヒ湖,ジュネーブ湖,ニューシャテル湖などの美しい湖が,「栄養過多」の深刻な影響を受けて,『病気』の湖の仲間にはいりつつあるのです。またドイツからの報告によると,コンスタンス湖も,「死につつある湖として,アメリカのエリー湖,ラゴ・マジョレ湖[イタリアとスイスのあいだにある],ノルウェーのオスローフヨード湖などと同じリストに載せられねばならない」ということです。
人間の最終的ごみ捨て場
ほとんどの川と湖は最後には海に流入します。ここには水が非常にたくさんあるから,ほんとうの危険などないと人は思うかもしれません。しかし現実には,地球の大洋や海もまた急速に汚染されつつあり,人間の最終的なごみ捨て場と化しているのです。
昨年の12月,国連食糧農業機構は,40の海国から400名の科学者を招いてこの問題を討議しました。科学者たちはその席上で地中海に関して警告しました。人間の捨てる廃物が「テルアビブからトリエステまで」の海岸をよごしているだけでなく,海の自浄能力も,もはやその中に投棄される汚染物の量に対処することはできない,と彼らは言いました。そして,「地中海は完全な汚濁に向かってばく進している」との結論を出しました。
1970年中に,探検家のソール・ヘイエルダールと彼の乗組員は,パピルスの船で大西洋を横断しました。彼らは大洋のまん中で見たことに驚いてしまいました。広範囲にわたる水域が油のかたまりのようなもの,あわ,どろどろしたもの,液体汚染物質などでおおわれていたのです。海があまりにきたないので,何日間か水浴する気持ちになれませんでした。
USニューズ・アンド・ワールドリポート誌によると,一部の環境専門家たちはそのために,「諸政府が汚染を食いとめるようもっと敏速に行動しないかぎり,世界の海は1980年までにエリー湖のように死んでしまうだろう」と警告しています。
生物への影響
川,湖,海での魚の『殺害』が今では数かぎりなく起こるので,新聞にもあまり載らなくなりました。
海の場合,魚の90%は海岸に近い水域にすんでいます。ところがその水域こそ,人間が,毒物を含む川(水銀廃液を含む川もある)を流入させたり,油をこぼしたり,船から直接に油をまき散らしたりして,一番よくよごすところです。ウッヅ・ホール海洋学協会のマックス・ブラマー博士によると,「人間は1年に少なくとも300万トンの油を海に流している。1年の総量はあるいは1,000万トンにのぼるかもしれない」ということです。
フロリダ州のペンサコラ沖のあるわずかな水域で,1970年の3か月間に,何百万匹もの死魚が浮くという事件が30件以上起きています。北海では最近,死魚の巨大な層が発見されました。層の厚さは数メートルにおよび,それが130キロほど続いていました。魚はヨーロッパのいろいろな川から海に流入する汚染物質によって殺されたのです。
風に運ばれたり,地面から川に洗い流されたりするDDTその他の殺虫剤も,最後には湖か海にはいります。これらの殺虫剤の多くは,何年もたたなければその力を失いません。海の小さな有機物がこの殺虫剤を取り入れます。大きな魚は,その毒された有機物を食べた,それよりも小さな魚を食べます。そして最後に鳥がその魚を食べるのです。『食物連鎖』の各段階で,不溶解性の殺虫剤の濃度は高くなっていきます。その結果,多くの種類の生物,とりわけ鳥が死につつあります。
そのひとつの例は,カリフォルニア州のアナカパ諸島に見られます。そこでは去年の夏,茶色のペリカン500つがいの中から1羽のひなしか生まれませんでした。殺虫剤のために生殖機能が妨害されているのです。
そして忘れてならないのは,その殺虫剤が,地球の極から極まで広がり,北極のアザラシや南極のペンギンの中にまで発見されるということです。
酸素の供給もあぶない?
海を毒せば,植物の生命も危険にさらされます。植物,とくに珪藻植物とよばれるプランクトンは地球の酸素の多くを供給します。その量は70%に上るという人もいます。陸地の植物から打撃を与えられているのに加えて,海からの酸素の供給もおびやかされる危険があります。
問題は途方もなく大きなものです。しかし人間の益のために働いている途方もなく大きな力もあるのです。太陽は毎秒,塩からい海やその他の水源から1,500万トンもの真水をひき上げ,雨雲が同量の水を地上に降らせます。これらよりもはるかに大きな力の源が,それらの自然の力を働かせ,循環させているのは明らかです。もしわたしたちが,その方向に問題の解決を求めるならば,それは賢明な道と言えます。
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食物を作り出す土地には何が生じているか目ざめよ! 1971 | 10月8日
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食物を作り出す土地には何が生じているか
あなたが野原や森を歩くとき,動物の死体がどのくらい目につきますか。野原や森には動物がたくさん住んでいます。そして時がくれば死にます。それにもかかわらず,そこで動物の死体を見かけることはめったにありません。なぜでしょうか。腐敗物を食べるこん虫,鳥,獣が,いつもいわばそうじをして,地をきれいに保ってくれるからです。そして微生物がすべての死んだものを分解させ,それを植物の肥料に変えて,最後のあと片づけをするのです。
自然界の生物はその機会さえ与えられれば,空気や水だけでなく土地をも,人間が楽しめるようにきれいにしてくれます。しかしこれは,人間が自然の循環や法則に一致して自分の事柄を行なう場合のみに限ります。現在のところ,それは行なわれていないのです。
土地に対する略奪行為
土地がよごれているひとつの理由は,ゴミが山のように捨てられるためです。とりわけ都市の周囲はそうです。
アメリカにおける1969年の廃棄物の山は,合計2億5,000万トンほどで,一人当たり1トンを上回りました。そのうち6,000万トンは回収さえされなかったのです。国道や街路,行楽地,野原などにごみとして捨てられたものです。
これはアメリカで最近のある年に廃棄された物品のリストの一部です。
7,000,000台の自動車
20,000,000トンの紙くず
26,000,000,000本のビン類
48,000,000,000個のあきかん
ごみの多くはすぐに腐らない種類のものであるために問題は複雑です。ガラス,ブリキ,アルミニウム,プラスチック,紙などの容器のうち,かなり早く分解するのは紙とブリキです。残りのもの,とくにプラスチック
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