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  • 生活上の圧力から解放されたいと思いますか
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • 生活上の圧力から解放されたいと思いますか

      あなたは生活の圧力があまりにも大きすぎると感じることがありますか。そうした圧力からの解放の必要を切実に感じておられますか。

      そう感じている人はますます多くなっています。今日はいたるところで圧力が増大していますから,とくにそういうことが言えます。

      家族を養う父親は仕事の圧力が強くなっていくのを感じます。国の経済は非常に不安定のようです。家族の安全が気にかかります。母親はあらゆる物価が上昇の一途をたどるのに圧力を感じ,どのようにしてやっていこうかと考えます。

      若い人々は現代社会の『圧力がま』に似た雰囲気に胆をつぶします。経済競争,戦争,核兵器,汚染,堕落,憎悪などを見て問いかけます。『人生は,はたして生きるだけの価値があるのだろうか』と。

      この状態は,科学者たちをしてこう書かしめています。「社会は,それ自身の技術的進歩の速度によって生み出した圧力と緊張が,心身両面で人間の適応能力をりょうがするだけでなく,人間の生存そのものを脅かすまでの発展段階に達している」― 1971年6月20日付の「ニューヨーク・タイムズ」紙。

      今日の圧力はどれほど人々の心を乱していますか。「リーダーズ・ダイジェスト」の一記事は,医師たちが発見したことを次のように述べています。「感情面に加えられる圧力は本物の病気 ― ごく正常な人々の身体化学と構造上の実際の変化 ― をつくり出し得る…専門家たちは,医者を訪れる人3人のうち二人が精神作用(感情が原因)による病気にかかっていることを認める」。

      ストレスはすべて悪いというのではありません。考えたり,働いたり,遊んだりするときにもある程度の緊張を感じます。このことにかんし,ウィーン生まれのハンス・セルイ博士はこう述べています。「喜びからも,競技からもストレスは生まれる……精神的なものにせよ肉体的なものにせよ,特定の緊張が長く続くときに問題が生じる」。それであるストレスは正常なものですが,容赦のない圧力が多すぎると,いらだち,失意,心配,恐れなどが生じます。それはたいへん有害な場合があります。

      世界が変化して,有害な圧力が過去のものになるという希望がありますか。今までの人間の経験からすれば,読者はすぐに,ないとお答えかもしれません。しかしわたしたちの時代に,そしておそらく70年代に,永遠の解放が実現することを信じてよい十分の理由があるのです。

      どうしてそのようなことがありうるのでしょうか。ではごいっしょに調べてみましょう。しかしまず最初に,今人びとの上にのしかかっている圧力を考えてみましょう。

      生活費

      経済専門家は言う。「現在の世界的インフレは制しきれなくなる恐れがある」。

      国 1970年の 各1ドルの中から

      生活費上昇率 支払われた税金の合計額

      フランス 5.7% 36.9セント

      ノルウェー 9.5% 38.2セント

      アメリカ 5.9% 29.9セント

      失業問題

      英国は30余年ぶりの最悪の失業率を報告している。

      アフリカの失業状態について1社会学者は,「実際に解決策はない」と述べている。

      ラテン・アメリカについては,「マンスリー・レーバー・リビュー」が,「失業および不完全就業は近年悪化しているようだ」と述べている。

      そしてアメリカでは,1971年のある報告によると「全国の就職希望者が失意の日々を送っている」。

      犯罪

      アメリカでは72分ごとに,強盗36件,殺人2件,婦女暴行が5件生じている。

      道も安心して歩けない

      「恐怖が街路をわがもの顔にかっぽし……日が暮れると人々は街路から逃げ去る。昼間でさえその傾向が強くなっている」― アメリカ上院議員マイク・マンスフィールド。

      家にいても安全ではない

      錠前,警報器,銃,番犬で防備を固める家がますます多くなった。「ニューヨーク・サンデー・ニューズ」が述べているとおりである。「このごろの家は,堀とつり上げ橋があれば城といえる」― 1971年1月31日付。

      戦争

      世界の軍事費は年間約61兆円,つまり,1時間ごとに約70億円である

      1914年から1970年の間に,4つの大戦だけで,7,100万人の死者と,何億人もの負傷者が出た。

      病気

      医師,病院,精神病院,医学校がふえているにもかかわらず,人類はますます病気に悩まされている。

      致命的な心臓病患者の増加

      精神病患者が病院のベッドの半数を占めている

      ガン ― 医師の力の及ばぬ病気

      医療費の値上げで経済的に行詰まる患者

      はびこる性病

      死病にとって「災いの年」?

      心臓病はいぜんアメリカにおける死因のトップ

      汚染

      空気: 『アメリカではきれいな空気の最後のなごりは6年前に消えた』―「ニュー・ヘイブン・レジスター」紙(1969年)

      水: 「過去20年間に,海洋の生物は40%減少した」― フランス人海底探検家ジャーク・イブ・クーストー

      土地: 『DDTの散布は全地表面をおおう有害なベールを作り出した』(スターン誌)。『ドイツ共和国はがらくたとごみの山の中でしだいに窒息しつつある』― シュバルツバルト・ボーテ

      騒音: 「もし騒音環境基準が,過去30年間の増加率と同じ率で増加すれば,騒音は今後30年以内に致命的なものとなる」― 世界的に有名な物理学者V・O・クヌードセン博士。

      貧困

      「1975年くらいまでに,何百万人もの人命を奪うききんを避けるにはもはや手遅れである……すでに5億人が徐々に飢餓状態に陥りつつあり,さらに10億人は栄養失調になっている」― ポール・R・アーリック教授,1970年2月。

      『世界はまさに史上最悪のききんに襲われようとしているようである。……それは大ききんで,何億,いや何十億人もの人々が影響を受けるおそれがある』―「ツーメニー」,ジョージ・ボーグストロム(1969年)。

      富める国でさえ貧困に悩む

      「アメリカ国内では2億2百万の人口のうち1千万から1千2百万人が,依然としてひどく飢えている」―「飢えとの戦い」,C・M・ウィルソン(1969年)。

      「アメリカでは現在,少なくとも1千百万戸の住宅が質的に標準以下で過密状態にある。これは住宅目録にのっている総戸数の16%に当たる」―「全国都市問題委員会の報告」,9,10ページ。

      『これはわれわれの文明の崩壊の最初の目に見えるしるしなのかもしれない』― ニューヨーク市の一スラム街を視察したボストン市長ケビン・ホワイト,1971年4月。

      麻薬の乱用

      どの国でも

      世界保健機構の推定によると,全世界で約2億の人々がマリファナを常用している。

      麻薬の取締りにかんし,スウェーデンの一専門家は「社会的破局を防ぐ時間はせいぜい10年ほどしか残されてない。……もうすでに手おくれかもしれない」。

      どの社会層においても

      軍人,工員,事務員,それに小学生でさえ麻薬使用者である。ある元麻薬中毒者は,「わたしはマイアミで百万長者たちといっしょに麻酔剤を打ったし,またバウアリー街(ニューヨーク市の安酒場の多い区域)で浮浪者といっしょに麻酔剤を打った」と告白している。

      また多くの医師は,気力回復剤,睡眠剤,食餌療法剤などを含む『合法的薬品』― 1970年中にアメリカだけで作成された約20億の処方箋の一部の乱用にも同様に重大な危険を感じている。

  • この時代の圧力は誇張されていますか
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • この時代の圧力は誇張されていますか

      この時代の圧力は誇張されていますか。「そのとおりです」とある人たちは言います。犯罪や戦争また貧困や生活状態に対する不満はある程度いつの時代にもあったと彼らは言います。

      その人たちはさらにこう尋ねます。大都市においてさえ,だれかが殺されたり,強姦されたりする数学的確率は,何千人にひとりにすぎないのではないか。麻薬中毒者は依然として人口のごく一部にかぎられてはいないか。現在多くの国が繁栄し,勤労者が以前より多くの物資を所有していることは否定できないのではないかと。

      また,戦争で打ちひしがれている国もあるにはあるが,たいていの国は平和ではないだろうか。それに,汚染にかんする種々の恐ろしい警告が出されているにもかかわらず,人々は『ハエのようにバタバタ死んでゆく』こともなく,依然として生き続けているではないか。『かりに水銀で汚染されたメカジキが食べられなくても,ほかにいくらでも食べるものはあるではないか』と彼らは言います。

      みなもっともなことです。

      しかしいくつかの重要な要素が見すごされています。それはなんでしょうか。

      こうした多くの問題のうちのどれか一つから直接影響を受ける人や,明らかな害を受ける人は少数かもしれませんが,それでも,わたしたち全部がなんらかの方法で影響を受けている事実は変らないのです。

      そして,直接影響を受けたり,害されたりする見込みは,日増しに大きくなっているのです。

      なぜ圧力を感じるか

      危険が身近な,あるいは明らかなものでなくても,その有害な圧力は感じられます。だれもが犯罪の多い地域に住んでいるわけではありません。たぶんあなたは,襲われる危険もなく夜家の外を歩くことができるでしょう。しかしそのような犯罪が年ごとにふえていることを知っているだけでも,夜間の外出は不安になってきます。

      さらに,犯罪による莫大な被害と,犯罪との戦いに要する費用(アメリカでは年間約18兆5,000億円)は,物価の上昇や増税という形で,必ず一般市民の肩にかかってきます。実際に,だれであってもどこに住んでいても,それを完全に免れ得る人はひとりもいません。

      麻薬中毒は,人間社会のますます多くの階層に着実に広がっています。“強い麻薬”の常用者はまだ比較的に少数とはいえ,世界人口の大半が“麻薬に方向づけられた文化”を発達させているのが実情です。幾百万もの男女は,精神を鎮めたり,また刺激したりするために,精神安定剤<トランキライザー>,睡眠薬,精力回復剤,そのほかいわゆる「安全」な薬品を求めるようになっています。圧力が増大すればするほど,そうしたものの乱用やより強力な薬品への誘惑が大きくなります。

      ホワイトカラーと筋肉労働者の心配

      あなたの仕事は給料の高いよい仕事かもしれず,あなたが勤めている会社は堅実で,びくともしないように見えるかもしれません。ところが,そうした地位に恵まれている人々のなかに,不安を感じ心配する人がふえているのです。なぜでしょうか。

      熟練した専門技術者の場合を考えてみましょう。「ツデーズ・ヘルス」(アメリカ医学協会発行)は最近「ホワイトカラーの暗黒時代」という記事を載せましたが,それによると,アメリカにおける「専門技術者の失業率は1969年以来27%増加し,約121万3,000人のホワイトカラーが新しい失業者数に含まれていて」,多くが現在,社会保障の適用を受けているということです。

      失業していない人々はどうでしょうか。大会社でさえ,不意に経営困難に陥ったり,倒産したりするのを知っているので,やはり不安を感じています。

      実際に,重役などのような高給の仕事にもそれなりの問題があるものです。この階層の人々は高血圧になる傾向が他よりも強いと言われています。そして現在の医学によると,軽い高血圧でも心臓発作や脳卒中を誘発しうるということです。

      労働というはかりのもう一つの側はどうですか。事態はもっと明るいものでしょうか。

      ニューズウィーク誌(1971年5月17日)は「ブルーカラーブルース」という見出しでこう述べています。「今日のアメリカの労働者は,全体として,以前よりも短い時間で,より多くの実質賃金(購買力の面で)をかせいでいるが,明らかに不幸だ」。なぜでしょうか。

      その理由としては,工場の仕事の非常に多くが「ひどくたいくつなこと」,近代の工場は「金メッキを施した岩塩坑」のようなものだから,そこで働く労働者は,「自分の仕事や,一家の働き手としての父親の役割に対する誇りを失う」などがあげられています。また経営者は,機械を操作する人間よりも機械のほうにより多くの関心を持っている,という感情もあります。

      産業連関の専門家ウィリアム・カープ氏によると,平均的労働者の間には,「口には出さないが,生活費をかせぎ続けられるだろうかという不安が」あるとのことです。この不安はおもに,オートメ化によって機械が次第に人間から仕事を取り上げていくところに原因があります。

      他の繁栄している国々でも事態は同じです。1971年6月13日のA・P電報によると,東京のある有名病院の精神科の部長は,日本人のサラリーマンの約3分の1が神経症の第1期にあると見ています。

      戦争,汚染,都市の退廃など圧力をもたらす他の問題の場合も,事態は大体同様です。身近な危険がなくても,そうした事態が解決されているという,あるいは少しでも改善されているというきざしがほとんど見られないという事実 ― このことこそ失意を生ぜしめ,将来を魅力のないもの,明るい希望のないもののように見せているのです。

      あらゆる国の富んだ人や貧しい人,また周囲のすべての人々が圧力を感じている以上,わたしたちはどこに解放を求めたらよいでしょうか。現在多くの人は,どこに心を向けるようになっていますか。

  • これが圧力からのがれる道?
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • これが圧力からのがれる道?

      苦しい圧迫のもとにいると人は性急に行動しがちです。一時的には苦痛を和らげても,問題の真の解決にはならない事柄に心を向けることもあれば,圧迫をもたらす問題などないんだ,と自分に信じさせようとすることさえあります。

      ストレスと緊張からのがれるひけつを発見したと言う人も現在たくさんいます。ではどのようにしてのがれるのでしょうか。東洋と西洋の哲学によるのです。黙想に精神を集中するなら,今日の問題から注意を『そらす』ことができ内面的な平和が得られるとある人たちは言います。また他の人々は,『積極的な思考力』による強い楽天観をよいものと信じています。「自信をもちなさい!」「自分自身と,物事を成功させる自分の能力を信じなさい」と彼らは言います。

      これは現在の世界のもろもろの圧力からのがれる方法でしょうか。

      長い車の列に囲まれれば,そういう哲学を信じていても,その混雑から抜け出られないのはいうまでもないことです。またある人は悪性腫瘍の危険な兆候から注意をそらすことに努力するかもしれません。そうすれば腫瘍は体内で成長を停止するでしょうか。

      もちろん,自信とか楽天観はよいものです。しかしそれには堅い基礎がなければなりません。これはひとつの例ですが,最近,ニューヨーク・タイムス・マガジンに,出版業に成功し,有機式農法と健康食品の分野の指導者でもあったJ・I・ロデールにかんする記事がのりました。それによると彼は,「甘党のタクシー運転手に車をぶっつけられなければ,私は100歳まで生きる」と言っていました。ところがその記事が出た翌日,心臓まひを起こし,72歳で死にました。

      夢の世界に住み,自分自身の野望と想像上の能力とで空中楼閣を築くのも,心の慰めになるかもしれません。しかしもしその唯一の基礎が自分自身の不完全な能力や考えであったり,死にゆく人間の変わりやすい哲学であるならば,いつかはその夢は破れ,みじめな思いをしなければなりません。

      秘術に助けを求める

      どうなるかわからない,という心配からのがれるのに,将来起こる事柄を前もって知っているほど,役にたつことはありません。

      秘「術」は多くの国で少なからず信奉者を集めています。占星術や降神術会を通して将来のことを知ろうとする人々がしだいにふえています。

      1946年当時,ワシントン市にある米自然博物館の教育副主事は,「毎週1万人のお客が首都の占星家たちに相談にくる」と言っていました。運命判断サービスの利用者のなかには著名な立法府議員たちもおり,ある国会議員は,「週ごとに自分の事務所で,天宮図を探って星占いをする」ということでした。

      もしあなたが,このような方法で解放を求める傾向があるなら,まず次のことをご自分に尋ねてみてください。そういう秘術が日常絶えず行なわれている国々はどういう状態にありますか。それからどんな解放が得られていますか。

      東南アジアには,ほとんど全住民が,生活にかんするすべての事柄を占星術に頼って行なうところがあります。アフリカやラテン・アメリカの多くの国では,心霊術やブーズー教が盛んです。こうした慣行は,それらの地域に平和,安定,そして安全をもたらしていると言えるでしょうか。それともそうした慣行は惑でき性の強い麻薬のように,現実の状態に対して人々の精神を鈍らせているだけでしょうか。

      科学を信頼して心を休めますか

      いわゆる「先進」諸国では,多数の人が科学と科学技術に希望を置き,それらが世界の緊張を緩和するための策を考えだすと思っています。そしてそれは「実際的」であると考えています。

      過去半世紀の間に,人間科学の多くの分野が,驚異的進歩を遂げたことはだれも否定できません。おどろくべき外科技術,“驚異の薬品”,月面を歩く宇宙飛行士,地球をめぐる宇宙研究室などにかんする記事をわたしたちは目にします。また「グリーン・レボリューション」(品種改良によって高収量の農作物を生み出すこと)というのがあります。農業科学者たちの主張によると,彼らは,小麦,トウモロコシ,米などを高収量型に改良することによってこのグリーン・レボリューションを開始しました。これらの農作物は,これから生まれてくる地球の住民を養うことになっています。

      ですから,科学者たちを信頼し,彼らがその技術的「知識」によって,圧迫の原因となる問題からわたしたちを解放してくれると考えるのは,実際的でしょうか。そうではありません。

      なぜですか。なぜなら,正直な科学者たちは,『彼らがその方法を知らない』ことを認めているからです。

      州立大学(ニューヨーク)の出版物「汚染」は,人間の環境が世界的に毒されている危険について論じ,次のように述べています。

      「一般的に言って,しろうとは,災厄の起こる可能性を考えることさえしようとしない。その標準的な返答は,『科学と科学技術が問題を解決してくれる。今までもそうだった』である。……こういう考えに共鳴しない科学者がしだいにふえている」。

      人間の保健の分野においては,たとえば,コロンビア大学の外科医学の教授ハリー・グランドフェストは,1971年5月15日に,「ガン問題の性質については,まだかすかな手がかりしかない。まして解決策がないのは言うまでもない」と述べています。調査によると,医学上のあらゆる研究や努力にもかかわらず,アメリカ国民のまる25%が,生涯のうちいつかがんになります。最近外科医は,人間の心臓を移植するという驚くべきわざを行ないます。にもかかわらず,1971年7月16日付のニューヨーク・タイムス紙によると,米国では心臓病が依然として死因の筆頭となっており,他の「死病」も同様に,医学の征服を拒んでいます。

      ある国で,穀物の生産が劇的に増加しているとはいえ,「グリーン・レボリューション」にも大きな弱点が見られます。AP通信は次のように伝えています。「新交配種は,古い型ほど病害に対する抵抗力が強くない。一国の作物全部が ― あるいは全世界の作物が ― 植物の新しい病害によって全滅させられる可能性がある。アメリカでは昨年トウモロコシが危うくそのめにあうところであった」

      こうしたことや他の理由から,食品専門家のウィリアム・C・パドックは昨年,これが“爆発する世界人口”の圧力を相殺する方法であるということに対して疑念を表明し,こう言いました。「この革命がグリーンに見えるのは,緑色のめがねをとおして見るからにすぎない。めがねをはずすなら革命は幻影であることがわかるだろう……グリーン・レボリューションは効果的ではない」。

      彼や他の人々が指摘するもう一つの要素はこれです。つまり人間はかんがいによって開拓するよりもはるかに広い土地を砂ばくに変えているということです。たとえば,リチカルダー卿によると,西パキスタンのインダス川流域の人口は,5分間に10人の割合で増加し,養わねばならない口がふえていますが,「同じ5分間に同じ場所で1エーカー(0.4㌶)の土地が,水の浸透や塩気で失われていっています」。

      実際に科学技術は,今までのところ,交通混雑やLSDから世界的汚染,核戦争の恐怖に至るまで今日の圧力を助長する多くのものの根源ではなかったでしょうか。「科学がこれらの問題をつくり出したのだから,それから抜け出す道も見いだすことができる」と言うのは簡単です。波の荒い沖まで泳いで行くだけの体力があるからといって,その人はでき死せずに必ず泳いでもどれると言えるでしょうか。

      いろんなことを主張しても,科学者もやはり他の人間と同様に,国家の野望や個人の利己主義の支配のもとにあります。彼らは政治目的や商業の貪欲に仕えるために,何度も自分を“売り”ました。つまり“身売り”をしました。彼らは機械学や物理学,化学でもって不思議を行なうことができます。しかし人間関係がかかわりをもつ問題の解決はまた別です。残念ながら,問題が人間的であればあるほど科学が提供するものは少なくなるというのが実状です。

      ですから,まばゆいほどに輝かしく見えるかもしれませんが,結局,科学者たちの魔術に近い偉業は,真の解放を約束するものではありません。ぐるぐる回りながら骨を鳴らし,呪物を打ち振るアフリカの祈祷師の動作がそれを約束しないのと同じことです。

      “常識”と“人間の品位”が勝利を収めるか

      人類はついに危険にめざめつつあるから,問題の是正に必要なことをするだろうと信じて自らを慰める人たちもいます。行政指導者たちは今日の問題の重大さに気づいていることを示していると彼らは信じています。

      それで,「人類に本質的にそなわっている品位」を信頼することに安心が見いだせるとその人たちは言います。そして「協力して問題を解決しようとする人間の願いと能力を信じなさい」と言います。

      彼らの言うことは正しいですか。そういうことを信じればほんとうに安心できますか。

      多くの人は平和に暮らしています。ほかの人たちもそうすることができます。ある人々はいつも正直で,盗みやごまかしをしません。ほかの人たちも同じようにすることができます。ある場所の人々は,空気や水や土地を化学薬品や機械から出る廃物で汚すようなことをしません。他の人々も,みんなが害を受けないように,進んで何かを犠牲にし,生活様式を変えて,そういう人たちに見習うことができます。そうです,人々はそうしたことができるのです。問題は,それをする意志があるかということです。彼らは過去においてそれをしましたか。現在その方向に向かって進んでいますか。

      人間に「本質的に備わっている品位」は戦争のぼっ発を阻止してきましたか。歴史を見ると何千という平和条約や不可侵条約が結ばれています。しかしフランスのドゴール前大統領が言ったように,「条約はバラの花か若い娘のようなもので,一時的なもの」です。

      1928年の歴史的なケロッグ-ブリアン条約を例にとって考えてみましょう。記念碑的業績とたたえられた同条約は,戦争を「国策遂行手段として」排除しました。62か国の代表は,おごそかに同条約に調印しました。ところが10年あまりのうちにそれら調印国の大部分は,第二次大戦という血なまぐさい大殺りくに巻き込まれました。

      疑いもなくほとんどの人は平和を好みます。しかし利己的な関心事が危険にさらされると,進んで平和を犠牲にする態度を示します。物質の富,権力,国威は,彼らにとって人間の命以上の意味をもつのです。それで戦争も,他の大きな問題とともに,ストレスと緊張を生みだすものです。

      『人類に本質的に備わっている品位を信頼する』と言えば高尚に聞こえます。しかしそれは現実に即した考えでしょうか。

      たとえば,犯罪は,背後から襲って首を締める強盗や,強姦者,脅迫者だけにかぎられるとか,犯罪者はみな貧困にあえぐスラム街から出る,と考えるのは現実的ですか。

      カナダのある秘密探偵社は,調査の結果,平均「従業員3人につき一人はもともと不正直」で,盗む方法を考えており,もう一人は機会が訪れれば盗むということを発見しました。ニューヨーク・タイムス(1971年6月10日)が引用した地方検事補ミューレー・J・グロスのことばによると,ウォール街金融地域では,盗みは「みんなの自由勝手」のようになっていて,「走り使いをする者,事務員,はては管理者たちまで,だれもが盗みを行な」います。

      驚いたことに,アメリカにおける犯罪問題研究者たちの推定によると,表面「品位」ある従業員たちに盗まれる品物の価値の合計(年間約1兆2,320億円)は,はっきりした犯罪者たちが盗む物の70倍です。

      また,過去におけると同様今日でも,政府の要職にある人々が,一般市民と同様あるいはそれ以上に事実を偽って表裏のある言動を行なうという誘惑にさらされていることを示す証拠が日増しにふえています。そんなことはないという態度を装うことは,確かにわたしたち自身の真の益にはなりません。

      ではどうなりますか。救いの希望はつきたのでしょうか。決してそうではありません。

      考慮された対策に真の解放をもたらす力がなくても,わたしたちには頼ることのできるほんとうのものがあるのです。

      [12ページの囲み記事]

      現代科学についてアルバート・アインシュタインは言った。「戦時には,われわれが互いに相手を毒し不具にすることを助け,平時にはわれわれの生活を忙しく,不定なものにする。精根を疲労させる労働からわれわれを大幅に解放する代わりに,それは人間を機械の奴隷にし,その人間のほとんどは,長時間にわたる一日の単調な作業をうんざりしながら果たしている」。

      [10ページの図版]

      自分を信ずるという哲学を信奉していれば,交通の混雑から抜け出ることができるか

      [11ページの図版]

      多くの人が秘術に心を向けて圧力からのがれる道を求める。しかし結果としてどんな真の解放を得たか

      [12ページの図版]

      科学の偉業も,きとう師の奇怪な挙動と同じく,圧力からの真の解放を約束しない

  • どうすれば解決策が見いだせるか
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • どうすれば解決策が見いだせるか

      人々を圧迫する今日の諸問題を数えあげるのは簡単です。しかし,圧力から解放する対策を見つけることは別問題です。それはいうまでもなく容易ではありません。

      それがむずかしいひとつの理由は,治療がたいてい対症的で,根本原因がそのままにされているからです。問題の確実な解決策を見つけるには,まず原因をはっきりつかまねばなりません。いったんそれがわかれば,より確実な治療ができます。

      たとえて言いますと,もしからだのある部分が病気に感染して痛めば,くすりを飲んで痛みをとめることができます。しかしそれで問題は解決するでしょうか。原因を処置するのではなく症状を押えるだけですから,問題は解決しません。感染箇所はなくなっていないので,くすりの効力が消えるとまた痛みがもどります。反対に,もし根本原因が病気の感染とわかって,それが正しく治療されるなら,痛みはなくなります。

      同様に,今日の圧力の解決策をさがすときにも,表面の下にかくれているものをさがす必要があります。圧力は増大しつづけていますから,皮相的な対策が効果的でないことは明らかです。根本原因が発見され,正しい矯正法が適用されてはじめてそれらは除去されます。

      では今日の異常なまでの圧力の原因はどこにあるでしょうか。いくつかの原因のひとつは,各個人と関係があります。人々はある程度自分で自分に圧力を加えます。それにはいろんな方法があるでしょう。

      たとえば,経済的な圧力を感じている人は,多くの場合,責めの大部分を自分で負わねばなりません。どちらかというとその人たちは,ほんとうは必要でもなく買う力もないのに多くの物を欲しがり,それらを買うために借金をします。そして自分の収入が収支を償うのに不十分なことに気づきます。もし自分の収入の範囲内で必要品を求め,『人に負けまいとみえを張る』のをやめるなら,経済的圧力の多くは除かれるでしょう。

      不健康の圧力に苦しむ人々の中にも,自分でその原因をつくりだしている人がいます。そういう人たちは,酒を飲みすぎるとか,食べすぎるとか,適切でないものを食べるとか,またたばこを吸い,麻薬を使い,十分の休息を取らず,適当な運動をしていないかもしれません。まちがった生活の仕方はしばしば不健康の原因になります。正しい生活は多くの場合健康を増進させます。

      家庭内に問題をもつ人たちの多くは,家族の者を扱うその扱いかたによって不満をかきたてます。思いやりのないことばや行動によってほかの者たちを怒らせます。もう少し親切で思いやりがあるなら,家庭内の多くの問題と,それらがもたらすストレスは避けられるかもしれません。

      ですからある地域では,責任を果たす人として生活することを学べば,圧力はかなり除かれるでしょう。しかし,責任をきちんと果たしながら生活していても,種々の圧力のもとにいる人たちがいます。なぜなら,今日の圧力の多くは,個人に責任のないもの,または個人の力で制御できないものだからです。

      では人類の間で増大しているストレスと緊張の原因は何でしょうか。まず,これらの圧力が広がりはじめた時について考えてみましょう。それを知ることは,ほんとうの原因を知る助けになります。

  • 史上最大の圧力が加わりはじめた
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • 史上最大の圧力が加わりはじめた

      人類が常に圧力のもとにあったのは事実です。戦争,犯罪,飢え,その他の病弊は歴史を通じて常に存在しました。しかし大きな転換点がきて,そのとき圧力は突如大きくなりました。

      それは1914年でした。1914年に世界は急激に変化しました。その年に起きたできごとによって,人類の上にすさまじい圧力が加わりはじめ,今日に至るまで増大の一途をたどっています。

      1914年以降の圧力の相違を理解するには,その前の世界がどのようであったかを考えてみる必要があります。その前の世界は比較的に安定していました。何十年間も大きな戦争はありませんでした。とりわけ,人間の重荷を軽減する多くの発明品が紹介されたので,前途には大きな希望がありました。平和と繁栄は例外というよりもむしろ常態でした。

      ジョアキム・レマクは自著「第一次世界大戦の起こり」のなかで次のように述べています。「1914年の世界は申し分がなさすぎるほどであった。諸国家は総じて,彼らを区別する相違点と共存することを知っていた。……1914年の夏でさえ,世界戦争をはじめるような計画的な事前の決意などどこにも見られなかった」。

      バーナード大学の歴史学の教授レネ・アルブレヒト・カリエは,そのことについて「19世紀は平和の世紀であったと今よく考えられるが,われわれの激変的紛争の時代と比較対照させてみるなら,それはたしかに正しい見方といえる」と述べ,それからこう言っています。「その時代は1914年に突如として終わった。その後の変化の速度,紛争の大きさと激烈さは20世紀の特色となった」。

      比較的に平和な時代が長くつづき,前途の希望も大きかっただけに,第一次大戦は恐ろしい衝撃となりました。世界の指導者のだれひとりとして,そのような恐ろしい,あるいは長期の紛争を想像していませんでした。

      1914年以降,世界があまりにも急激に変化したので,多くの歴史家は今,1914年はきわめて意義の深い画期的な年であったと言います。歴史家のオロン・ヘールは,「ザ・グレート・イリュージョン(大いなる幻影)」のなかで,「第一次大戦は大分水界,世界史の分水界であった」と書いています。バンダービルト大学のD・F・フレミング教授は,「第一次大戦を,現代史の一大転換点,他の破滅,おそらく最後の破滅への道を開いた大変災的破滅として回顧する歴史家がますますふえている」と述べています。

      最大の圧力をもたらした時代

      こうして1914年の秋,一つの時代が終わり,別の時代が始まりました。そして始まったものは先例のない圧力の時代でした。世界戦争,ききん,病気,反抗,人種的憎悪,犯罪の増加,経済問題などの圧力があらゆる場所の人々の上にのぞみました。

      この最大の圧力の時代の最初の部分は,第一次大戦をもって始まりました。この大戦は何百万もの人々の思いに人間性を失わせるような大きな影響を与えました。そして戦争の結果はさらに多くのショックを次々に生み出しました。フランスの将軍リシャール・トーミンの書いた「第一次世界大戦」の序文は次のように述べられています。

      「これほど多くの国が,そしてこれほど大きな軍隊が,これほど大規模な戦闘において対峙したことはいまだかつてなく,これほど多くの戦闘員が殺されあるいは不具にされたこともなく,これほど強力な武器を携えて戦場にのぞんだこともかつてなかった……

      「第一次大戦の血と涙は地球の様相を変えた。

      「第一次大戦は初めての『全面』戦争であった。そしてそういうものとしてすべての参戦者の心に強い衝撃を与えた。……彼らの多くは,自分たちは戦争という戦争の『最後の戦争』に参加しているのだとさえ信じていた。……しかしながら,20余年後,憎しみの声が従順な大衆を召集して,新しい,そしてさらに大規模の殺りくに従事させたとき,彼らの夢はむざんにも打ち破られた」。

      第二次世界大戦は第一次大戦よりも恐ろしいものでしたが,それでも,空前の圧力の時代の門を開いたのは最初の世界戦争でした。ハンブルグのフリッツ・フイッシャー教授の著わした「第一次世界大戦におけるドイツのねらい」という本の英語版の紹介のことばが指摘しているとおりです。「1945年以後の時代は第二次大戦の残した諸問題に支配されてはきたが,それでも第一次世界大戦を20世紀前半の決定的事件と見るようになった人々が,歴史家のなかにも一般大衆のなかにもふえてきている」。

      たしかに1914年以後すべてのことが変わりました。1914年は恐怖に満ちた世代の始まった年でした。

      より大きな意味

      しかしながら,1914年以来起きている事柄には,大部分の人が気づいているよりもはるかに大きな意味があります。その年は,ずっと昔に,圧力が必ず生ずる年として示されていました。どこにそのようなことが「示されていた」のでしょうか。神のことばである聖書です。証拠を考察し,聖書がわたしたちの時代についてなんと言っているかをごらんください。

      神の強力な活動力に導かれて書かれた聖書の預言を注意深く調べるとき,わたしたちは1914年が確かに歴史の「分水界」であったことを発見します。それは聖書が「終わりの時代」と呼ぶ一時代の始まりをしるしづけるものでした。―テモテ後 3:1,新。

      「終わりの時代」? それはどういう意味ですか。ところであなたは,「ポンペイの終わりの時代」とか「ローマ帝国の終わりの時代」などについて聞くとき,どんなことを思いうかべますか。ひとつの体制が終わりに近づきつつあって,やがて滅ぼされるか,または別のものがそれに取って代わることを考えるのではないでしょうか。

      「終わりの時代」という聖書のことばもそのことを意味しているのです。それは人類が,現体制全体の滅びとともに終わる特定の時代にはいったことを意味するものです。現体制には,今日の地上の人々を支配する政治,経済,宗教の領域が含まれます。神のつくられる全く新しい体制がそれらに取って代わるのです。―ペテロ後 3:13,新。

      イエス・キリストもイエスの弟子たちも,「終わりの時代」が始まった証拠として起こる多くの事柄を予告しました。そのなかには,戦争,ききん,疫病,不法の増加,神に対する信仰の衰微などがあげられています。こうした事柄はみな同時に,空前の規模で起こることになっていました。歴史はそれらが1914年に,第一次大戦とともに始まったことを確証しています。―マタイ 24:3-12。テモテ後 3:1-5。

      では「終わりの時代」とは,どのくらいの長さにわたるのでしょうか。イエスはその初めから終わりまでの長さを,せいぜい『一世代』とされました。(マタイ 24:34)これは,1914年の「終わりの時代」の開始を見た人々のある者は,生きてその終わりをも見る,ということを意味します。その終わりは,現在広く行なわれている邪悪な体制を撃滅してその存在を失わしめるため,神がその全能の力を示されるときに訪れます。―ダニエル 2:44。

      圧力は増大する

      1914年に生じ始めた圧力は,「終わりの時代」の終わるまで増大をつづけると予告されています。

      イエスは,紛争,ききん,疫病,不法,神の存在の否定,などがはびこることを言われたとき,「これらはみな産の苦難の始なり」と警告されました。(マタイ 24:8)これは婦人が出産前の陣痛のはじまりを経験していることにたとえられるでしょう。彼女はまだまだ多くの,そしてもっと大きな痛みが起こることをよく知っています。

      そういうわけで,第一次大戦は多くの苦しいできごとの始まりにすぎませんでした。やがて世界をゆるがすような圧力がのぞむでしょう。はたしてそれはやってきました。というのは,ある筋の示すところによると,1914年から1918年までの戦争においては,約900万の戦闘員と約500万の民間人が殺されましたが,ついで流行したスペイン風では,約2,000万人が死んだからです。そしてそのあと第二次大戦は,最近行なわれたある推測によると,約5,500万人の戦闘員と民間人を殺しました。それ以後も,大小さまざまの戦争,人種的,社会的,経済的,宗教的いざこざを含めて,圧力の原因となる事件が続発しています。

      そうした重圧の57年が経過した現在,わたしたちの前には何があるでしょうか。ニューヨーク・タイムスは次のように報じています。「世界の隅々で,国内における不法の精神が,激しい暴動,殺人,誘かい,海賊行為,飛行機の乗っ取りなどによって表わされている。あらゆる場所で,そしてイデオロギーや政治形態のいかんを問わず,一般に認められている支配は着実に退廃していっている」。

      頂点に達しつつある

      あらゆる分野の専門家たちは,一般に,今日の圧力がある種の頂点に達しつつあることを認めます。

      あまり前ではありませんが,著名な科学者,経済学者,歴史家,哲学者などが多数アメリカに集まって,人類の諸問題を論じたことがあります。種々の点で彼らの意見はかなり分かれていましたが,一つのことにかんしては全員が同意見でした。「人類は,社会組織の根本的修正を要求する歴史的危機に近づきつつある,ということを全員が力説している」― ニューヨーク・タイムス紙。

      別のとき,テレビ解説者のウォルター・クロンカイトはこう言いました。「災厄ののぞむ時にかんしては,科学者たち自身意見を異にしている。どの専門家も,それぞれ自分自身の特殊の災厄のことを考えて時をはかる。しかしなんらかの災厄のきざしがあることを否定する科学者はひとりもいなかった」。

      専門家たちは,今ある諸問題が「危機」に達するまでにはどのくらいの時があると思うか,という質問を受けました。ある問題は,1年間に少なくとも100万人の死者を出したとき,あるいは彼らの健康,福祉,または生活水準に大きな影響を与えたときにその域に達したということでした。専門家たちの意見をもとにしてひとつの表が作られました。その表にのせられた項目の一部は次のとおりです。

      人口過剰の問題はすでに危機に達したと考えられていたことに注意してください。そう考えられたひとつの理由は,1日に約1万,1年に推定350万人が,栄養不良で死んでいるという事実です。また人口増加率は,速度を落とすどころか,近年実際に高まっています。世界人口はいまや35年ごとに2倍になっているのです。

      表にのせられている問題はどれも,地上の全生物に悲劇的影響をおよぼしうるものです。しかも核戦争の脅威は含まれていないのです。これらの問題を合わせて考えてみれば,専門家たちが将来に対して悲観的な理由が理解できるでしょう。彼らは人類が,なにかの災厄的最高潮に向かって,急速かつ確実に進んでいることを知っているのです。

      神のことばである聖書は,この前例のない圧力の時を預言していました。1914年以来生じているできごとは,驚くべき正確さで聖書の預言を成就しています。しかしこれらのできごとは,大きな圧力をもたらしていながら,それ自身は圧力の根本原因ではないのです。この根本原因が除かれないかぎり,今日人類のうえにのしかかっている重圧を排除する方法はありません。ではその根本原因は何でしょうか。

      [16ページの図]

      (正式に組んだものについては出版物を参照)

      「終わりの日」

      一つの世代のうち

      1914 ――――――――――― → 邪悪な体制の終わり

      不法の増加

      国民は国民に敵対

      地震

      食糧不足

      行く手を知らない

      諸国民の苦もん

      危機の時代

      親に従わない

      容易にうけがわない

      自制しない者

      [17ページのグラフ]

      (正式に組んだものについては出版物を参照)

      危機に達する推定最低年限

      1970 1975 1980 1985

      人口過剰 ――

      ききん ―――――

      生態学上の崩壊 ―――――

      都市の空気汚染 ――――――――

      ごみの山 ――――――――

      水と土地の汚染 ―――――――――

      酸素の不足 ―――――――――――

  • この時代の圧力の根本原因
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • この時代の圧力の根本原因

      どこがまちがっているのでしょうか。今日の世界は,新しい発明品や便利品,増加した余暇などを楽しんでいます。またスピード,動力,能率に恵まれ,政治や社会福祉における組織形態も進歩したものを有しています。にもかかわらず,現在は以前のどの時代よりも不満,いらいら,ざせつ感の多い時代と言えます。なぜですか。なにかがまちがっていることは明白です。でも何でしょうか。

      それは人間の発明品よりも,あるいは人間が築き上げた政治的,社会的機構よりもずっと深いところにあります。

      問題の根源をさぐる

      ひとつの例をとおして考えてみましょう。ある国のひとつの建設会社が,その国にひとつしかないセメント会社のセメントを使うとします。建設会社はそのセメントを使って,大きな政府の建物,ついで工場,アパート,学校などを建て,最後に橋を建設します。しかしそれらの建造物はひとつずつ,破壊または倒壊にさえ至る構造上の弱さを見せはじめます。建設会社は,新しい計画,設計,建築方法などを用い,建てかえたり,完全に新しい構造のものを建てたりして一生懸命に努力しますが,結果はいつも同じです。

      建設会社はその問題を解決するために,さらに他の計画や方法を試みつづけるべきでしょうか。問題は基本となる建築材料のセメントにあるのです。そのセメントには力が欠けているのです。小さな建物の場合はかなりもちますが,大きな建物の圧力やひずみに会うと,その欠点がはっきり出てきます。科学的に分析すれば,かくれた弱点は明らかになります。

      もし会社が,何かを添加するなどして,その弱点を補うかまたは相殺する方法を見つければ,そのときはじめて会社は,ある程度成功を収めることができます。

      人類についても同じことが言えます。

      人間は,平和で繁栄した楽しい世界をつくろうとしていろいろ試みてきました。あらゆる種類の,そしてあらゆる型の政治機関を組織し,それは今日に至るまで際限なく続けられています。人間はまた広範囲にわたる種類の多くの他の制度 ― 社会,経済,教育制度など ― を発達させてきました。みな,地上の生活を快適でしあわせな,報いのあるものにすべく仕組まれたものです。しかし歴史は,それらの政府や制度が次々と崩壊していった証拠で満ちています。今日のわたしたちは,そのすべてが,圧力のもとに次第に崩壊してゆく明らかな兆候を示しているのを見ています。

      新しい計画や設計や方法によって,政治的,経済的,社会的指導を変えるとか,細工をしてごまかすことにより,人間は問題を変化させ,失敗を成功に変えることができる,とわたしたちは期待すべきでしょうか。そういう期待はすべきではありません。なぜならそれらの政府や制度を構成する基本的な建築材料に欠陥があるからです。その建築材料とは何ですか。

      人間,つまり人々です。

      地上の生活を管理する政府と他の諸組織は人々によって構成されています。彼らは発明をし,機械や工場を作ってそれらを利用,もしくは誤用します。

      それは簡単なことに聞こえるかもしれません。それでも今日の世界の設計者や建設者たちは,この根本的な問題の処理に完全に失敗しています。特定の支配者たち,指導者たち,または団体だけでなく人類全体に,この失敗の原因である欠陥のあることは明らかです。聖書はそれが何であるかを示しています。それは罪です。聖書はまた,現在ある程度までその欠陥を相殺するのに必要な“要素”を供給します。

      あなたはこの説明に反感を感じますか。ある人はそうです。もしそれに反感を感じるとすればその人たちはどういう考えをもっているのでしょうか。人類が自分の問題の解決に完全に失敗したことについて,ほかにどんな満足のいく説明ができるのでしょうか。

      真の変化が必要

      この世の人々は,用心して「罪」ということばを使わないようにしますが,実際には次のことを認めることを余儀なくされています。つまり今日の圧力から真に解放されるには,人々の変化がぜひとも必要だということです。しかし彼らはその変化をもたらす方法を知っているのでしょうか。次のことばを聞いてください。

      たとえばニューヨークに住む下院議員ジェームス・H・シューアーは犯罪について「犯罪はアメリカ人の生活のほとんどあらゆる面に織り込まれている社会問題である……これをコントロールすることは人々の思いと心を変えることを意味する」と述べています。―「ツー・ウォーク・ザ・ストリート・セーフリー」,191,192ページ。

      都市の退廃について,専門家のエドワード・C・バンフィールドは,「『人々の心と思いの変化』が非常に多くの問題を解決することに疑問の余地はない。しかしどのようにしてその変化をもたらすかである。その方法が具体的に示されないかぎり,この『解決策』は空想的なものとして退けねばならない」と言っています。―「ザ・アンヘブンリー・シティ」,240ページ。

      ドゴール前フランス大統領は,戦争と暴力について,次のように書いています。「われわれは希望するかもしれないが,人々や国家の戦争の根本原因である激情と利己主義がなくなると考えられる理由がはたしてあるだろうか。……要するに,人間のその性質は,今と違うものになるであろうか」―「ザ・エッジ・オブ・ザ・ソード」,8,9ページ。

      そうです,わたしたちの上にのしかかっている重圧の根本原因は,おもに人々およびその「激情と利己主義」にあります。人間がどんなことばを用いようと,人間は生来罪深いものであるという聖書の真理は変わりません。では「罪」とは何を意味するでしょうか。

      人類は『的をはずす』

      聖書が書かれた言語(ヘブル語とギリシア語)では,「罪」と訳されている語は「はずす」,つまりある目標,道,または的からはずれる,あるいはそれに達しそこなうという意味にすぎません。

      人類が逸している,もしくは達しそこなっているその目標,道,または的とは何でしょうか。

      それは人類の創造者エホバ神,およびエホバ神の属性,標準,そして道と一致調和するという目標です。聖書によると,神は人間を神のかたちに,神に似せておつくりになりました。ちょうどむすこが父親に似るように,人間も創造者に似ていなければなりません。といっても神は霊ですから,外観において似るというのではなく,神の道,属性,標準において似ていなければならないということです。―創世 1:26,27。ヨハネ 4:24。コリント前 11:7。

      しかし聖書の示すところによると,最初の人間夫婦は,神のひとりの反逆の子に感化されて創造者にそむきました。しかし神はその最初の夫婦に子孫を生み出すことを許されたので,地球には彼らの子孫が住むようになり,わたしたちはそのなかのひとりです。けれども,欠陥のあるセメントを作ったセメント工場のように,反逆した人間夫婦の子孫にはみな欠陥があります。彼らは不完全性をもって生まれ,遺伝によって受け継いだ罪があります。

      ですから使徒パウロは,すべての人「罪を犯したれば神の栄光を受くるに足らず」と書きました。(ロマ 3:23)すべての人間は的からはずれているのです。人間のからだがついには老化し,衰え,死んでいって,そのことを示しているだけではありません。人間の欠陥は,その物事のやり方,考え方,努力の対象などにいっそうはっきり現われています。

      それにしても,わたしたちの世代にストレスと緊張がこうも増大しているのはなぜでしょうか。人々は何千年もの間地上に存在してきました。なぜわたしたちの時代に物事はこうも著しく悪化したのでしょうか。

      この疑問に対しても聖書は率直に答えています。その答えは,「人の播くところは,その刈るところとならん」という原則に要約されています。(ガラテヤ 6:7)雑草をまいて小麦を刈り入れることはできず,ツタウルシをまいてブドウを収穫することはできません。それと同じで,人も悪をまいて善を刈り取ることはできません。

      個人について真実であることは,諸国民または人類全体についても真実です。いく世紀もの間,人間や諸国家は,神のことばをわきへ押しやるか,または偽善的な口先だけの奉仕をしてきました。神の導きを求めもしなければ神のご意志に従うこともせず,自分自身の野望,自分自身の考えに従ってことを行なってきました。今日彼らは世界的な規模でその実を刈り取っているのです。全人類にとって今は収穫の時なのです。彼らは何を生産したでしょうか。平和と,快適な環境と,豊じょうの楽園ですか。そうではありません。非行,破壊した家庭,犯罪,暴力という雑草の畑と,病める都市,汚染された河川,湖,土地などです。これ以外の実が実るはずはありません。なぜなら,『神は侮べき者ではない』からです。―ガラテヤ 6:7。

      圧力を生む他の大きな原因

      しかしこうした事柄は,人間自身の不完全性だけから生じた結果でしょうか。これが歴史を通じて人類を悩ましてきた,そしてとくにわたしたちの時代にひどくなっている恐ろしい事柄の原因でしょうか。恐ろしいことがあまりにもよく起きるので,人類は,糸につながれたあやつり人形のように悲劇的事件に引き込まれている感じです。なぜ一国民全体が狂気に近い行動に走り,恐ろしい残虐行為を行なったり,組織的な拷問を加えたりして,何百万という人を殺すのでしょうか。

      人類が過去現在にわたって,人間の制御しえない勢力の影響を受けてきた,ということはありうることでしょうか。目に見えない力が諸国家をあやつり,諸国家を圧迫しているのでしょうか。

      わたしたちは,他の惑星に住む想像上の生物が圧迫を加えていると言おうとしているのではありません。

      しかしこういう事実があります。つまり,信じがたいほどの暴力行為と残虐行為を行なってきた人々や諸国家が,人類の歴史を通じて常に,人間よりも高い力への信仰を表明してきたということです。

      あなたは,神に反対する霊の勢力の存在の可能性を,全くの迷信であり想像であるとして一蹴するほうかもしれません。しかし,何百という迷信を捨て去り,宗教と神々の名前も変化したにもかかわらず,人間が今日に至るまで何千年もの間,目に見えない霊の勢力に頼りつづけてきたのはなぜですか。なぜそのような崇拝が,人間の歴史のあらゆる時代において主要な役割をしつように演じてきたのですか。大学の運動選手やプロの運動家,軍人,種々の専門職にある人々の多くを含め,現代の教育のある人々までが“幸運のお守り”を身につけているのはなぜですか。

      目に見えない勢力の助けを求めた人物の顕著な例は,占星術や他の秘術に傾倒していたので知られているヒトラーです。彼が政権を取っていた間に行なわれた残虐行為は,すべての人のよく知るところです。

      これはもっと最近のことですが,インドネシアで,推定40万人の大量殺りくが生じたとき,同国の著名な作家のひとりは,「われわれのなかには悪魔がいる。そしてこれがつなぎを解かれると,われわれの精神は錯乱して大量殺りくを行なうことができる」と評しています。

      こうしたことにかんして正しい説明を与えているのは聖書だけです。人間の罪深い歩みは見えない霊の勢力によっていっそう悪くされたこと,そしてこれこそ今日の人間にのしかかっている圧力の第二の根本原因であると聖書は示しています。

      そういう理由からクリスチャンたちは,エペソ書 6章11,12節で,「我らは血肉と戦ふにあらず,政治・権威,この世の暗黒を掌るもの,天のところにある悪の霊と戦ふなり。この故に神の武具を執れ,汝ら悪しき日に遭ひて仇に立ちむかひ,すべての事を成就して立ち得んためなり」。

      ここで聖書は,わたしたちが,天のところにある悪霊の勢力,「この世の暗黒を掌るもの」から自分を守る必要のあることを示しています。真の戦いは人間に対する戦いではなく,サタン悪魔のひきいるこの見えない勢力に対する戦いです。イエスは悪魔のことを,「世の支配者」と言われました。―ヨハネ 14:30,新。

      それにしても,神は全能者です。それなのになぜこのような状態が存在しうるのでしょうか。聖書の示すところによると,それはサタンが最初神に反逆したときにいくつかの問題を持ち出したからです。サタンはとくにエホバの支配の正しさに挑戦しました。ついで彼は神の他の霊の子たちを誘惑して反逆に加わらせました。

      黙示録にしるされている聖書の預言はさらに,この見えない勢力が,今日感じられる圧力の増大に大きな役割を果たしていることを示しています。それによるとこの霊の勢力はわたしたちの時代に天から追い出され,地の近くに投げ落とされました。すでに述べた証拠は,1914年を,この預言が成就した時として指し示しています。この悪霊の勢力の追放について説明したあと,記録はさらにこう語ります。「地と海とは禍害なるかな,悪魔おのが時の暫時なるを知り,大なるいきどほりを懐きて汝等のもとに下りたればなり」― 黙示 12:10,12。

      隅に追いつめられた犯人のように,神の敵は非常な憤りをいだいて最後の防戦に努めています。悪魔の方針は“支配か,破滅か”です。人間のある犯罪者たちと同じように,悪魔は,もし自分が滅びねばならないなら,ほかの者たちも全部巻きぞえにすることを決意しています。それで悪魔は,地球を汚すだけでなく,とくにその上の全住民を汚し,そうすることによって彼らを神に受け入れられない者とし,神によって滅ぼされるにふさわしい者にしようと骨を折っています。

      これはたしかに,人類の世界が1914年以来極端に悪に走り,狂気の行ないをしてきた理由を説明するものです。

      ではわたしたちには,その圧力からのがれ出る道は残されていないのでしょうか。そうではありません。今のこの時を指し示し,この空前の圧力の真の原因を示している本は,またすべての有害なストレスと緊張からの真実で完全な解放の唯一の源も示しているのです。

      [19ページの図版]

      もしセメントに重大な欠点があれば建物は倒壊するおそれがあります。人類がもつ欠陥は,多くの政府や制度が崩壊する理由のひとつです

      [21ページの図版]

      秘術に導きを求めたヒトラーは,恐るべき強制収容所をつくった

  • 解放をもたらしうる政治
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • 解放をもたらしうる政治

      今人類の上に容赦なくのしかかっているもろもろの圧力から解放されたら,どんなにほっとすることでしょう。そのような解放をもたらしうる政府をあなたは歓迎しないでしょうか。

      実はそのような政府があるのです。どこに? それはだれの政府ですか。それは間もなく地の事柄をすべて完全に制御する,天に基礎を置く政府 ― 神のみ子キリスト・イエスによる神の王国です。

      「なあんだ,もっと現実的なことを言ってくださいよ!」と,あなたは言うほうですか。

      では次を読んでください。そしてこの時代の事情に通じている人々が,真の解放に必要なものを何と認めているか見てください。それから神のみ子の政府がその必要を満たす方法を,聖書がどのように予告しているかに注意してください。

      解放は世界的でなければならない

      たとえそれが人間にできたとしても,一国だけを,あるいは地球の一部分だけを,今日の有害な圧力から解放したところで,それから永続的な幸福が生まれることはありません。著名な科学者アイザック・アシモブは最近このことを次のように指摘しました。(1971年4月19日号,ケミカル・アンド・エンジニヤリング・ニュース)

      「今日の重要問題 ― 人口の着実な増加…環境の破壊,都市の腐敗,生活の質の低下 ― はすべて相互に依存しており,すべて世界的な性質のものである」。

      世界的な問題は世界的な監督と管理を要求します。それで科学者のアシモブは次のように述べています。これは多くの人がもっている考えです。

      「その国際協力は,必要な決定を下しかつ実施するだけの実力をもつ世界政府の形をとらねばならない。その決定に対し,個々の国は武器を取って立つ権利も力も有してはならない」。

      しかし人間は,国際連盟,国際連合のような国際組織をつくりませんでしたか。たしかにつくりました。しかしそれらは真の世界政府ではありません。なぜなら,加盟国は自国の主権を固持して,世界政府が持たねばならない権力を渡そうとしないからです。

      現実的に,地球が反目し敵対し合う諸政府の間で分割されているかぎり,世界政府は存在することも,解放をもたらすこともできません。このことも事情に詳しい人々は認めています。「大英百科事典」(1959年版)は「国際平和」という項目のところで次のように述べています。

      「諸主権国家の国際政府によって平和を確保する試みはすべて,これらの試みそのものに内在する矛盾の犠牲になった。……〔その矛盾〕は,国家主権そのものを直接攻撃することによってのみ除去し得る」。(傍線は当誌)

      国家主義の垣は取り除かれる

      しかし聖書は遠い昔にこのことを明示しました。ダニエルの預言には,敵対し合う政府や帝国のもとにおける地の分裂的支配が描写されています。そして次に,それらの政府に対して神の王国が何をすると同預言は述べているか注意してください。そのことはダニエル書 2章44節にしるされています。

      「この王等の日に天の神一の国を建たまはん是は何時までも滅ぶることなからん この国は他の民に帰せず却てこの諸の国を打ち破りてこれを滅せん 是は立て永遠にいたらん」。

      別の箇所では,この激減は,いわゆる『ハルマゲドンの戦い』で生ずることが示されています。(黙示 16:13-16)この戦いは,混乱した,役にたたない,そしてしばしば圧制的な地の政治支配を終わらせるだけでなく,全地の事柄を統御する完全に新しい秩序を招来します。

      したがってハルマゲドンでは,地を分割する国境はすべて消滅します。そして遊星であるこの地球は,その大陸,島々,大洋もろとも,ひとつの政府,神のみ子による神の王国の支配下にはいります。王国の法律と命令は,地の隅々にまでゆき渡るでしょう。そしてその王国は,反抗の余地を少しも残さずに,それらの法律や命令を実施する力をもつでしょう。

      力と法律以上のものが必要

      しかし,力と法律だけが,今人類を悩ましている圧力からの解放をもたらすのではありません。どんな政府でも真の解放をもたらすには,種々の圧力の根源である人間の心と思いを動かす必要があります。前の記事で示したように,現代の事情に通じている人々はこの必要をも認めています。

      すべての人間の政府が失敗したところを,神のみ子による神の政府が成功する理由はまさにここにあります。なぜなら,神の政府は全地で義を施行し,すべての非行者を罰する力があるからです。しかしそれだけではありません。

      王国政府の地的臣民として生活する特権を得る人々は,強制されて義を行なう人々ではないのです。これが大きな原因となって神の政府は成功します。彼らはそうすることを望み,そうするほうを好むのです。

      現在の圧制的な世界体制の終わりを生き残る人々は,すでに神の王国政府の法律を知り,それに自分から従って生活する人々です。その基本的な法律はこれです。「なんぢ心を尽し,精神を尽し,思を尽して主なる汝の神[エホバ]を愛すべし」。「おのれの如く,なんぢの隣を愛すべし」― マタイ 22:37-39。

      愛は強制できるものではありません。また立法手続きによって人の心に入れることもできません。しかし愛を培うことはできます。神の政府はまさにそれをするのです。今でさえそれをしています。

      正義の支配機関は休みをもたらす

      イエス・キリストは地上におられたとき,疲れた人々に対して,「すべて労する者・重荷を負ふ者,われに来れ,われ汝らを休ません」と言われました。―マタイ 11:28-30。

      聖書の示すところによると,キリスト・イエスは天の政府において,14万4,000人の仲間の支配者をもたれます。それらの人々はみなためされ,試みられた弟子たちのなかから選ばれます。(黙示 5:10; 14:1)キリスト・イエスの政府はまた見える代表を地上にもちます。(詩 45:16。イザヤ 32:1,2)彼らはみなイエス・キリストが示される模範に従わねばならないので,わたしたちは,彼らがけんそんな態度で奉仕し,人々をよく助けて同胞に休みを与えるという確信をもつことができます。

      真の公正と永続する平和

      ですから,イザヤ書 11章3,4節の預言が,神のみ子とその王国の支配を予告していても不思議ではないわけです。

      「かれはエホバを畏るるをもて歓楽とし,また目みるところによりて審判をなさず,正義をもて貧しき者をさばき,公平をもて国のうちの卑しき者のために断定をなし,その口の杖をもて国をうち,その口唇の気息をもて悪人をころすべし」。

      キリスト・イエスの支配下には「断絶感」もなければ,わずらわしい「官僚的形式主義」から生まれるいらいらや欲求不満,政治的共謀,政治問題や裁判における腐敗などはないでしょう。

      すべての人間の心を読むことができるので,この王は,人間がどうしてもなし得なかったこと,つまり地から悪人を除くことをします。背後から襲って首を締める強盗や強姦者,人殺しだけでなく,表面で“品位”を装いながら,より狡かつな方法で故意に盗みを働いたり,致命的な圧迫を加えたりする者たちも除去します。王国支配下の地の住民は,不正直な商行為や人間にごまかされたり,だまされたり,詐取されたりしないように絶えず警戒している必要はありません。生活費のうなぎ上りはとまり,土地と水と空気のひどい汚染も終わるでしょう。

      軍備競争は廃止され,全面的核戦争の脅威が人々をおびやかすこともなく,また今日アジアや他の地域で何千何万もの人々を殺傷しているいわゆる「局地」戦争の脅威さえもなくなります。なぜですか。なぜなら,生き残ってこの政府の支配する新秩序にはいるには,まず最初に各人がイザヤ書 2章4節の次のことばを成就することが要求されているからです。

      「かくてかれらはその剣をうちかへて鋤となし,その鎗をうちかへて鎌となし,国は国にむかひて剣をあげず,戦闘のことを再びまなばざるべし」。

      現在,年間61兆6,000億円を上回っている軍事費の重圧もなくなるでしょう。この膨大な額が示す人間の労と物質を考えてごらんなさい。そして人間の努力と地球の物質が全部建設的で役だつ活動に向けられたらどれだけ良いことができるか考えてごらんなさい。

      快適な生活と労働環境

      現代の工業化された社会は,人々を都市と呼ばれる巨大なコンクリートのジャングルのなかにすしづめにし,ほこりと雑音そしてプライバシーのない環境のなかに住まわせています。多くの事実は今,このことが人間の福祉を害したことを示しています。このような,犯罪,病気,汚染,貧困,人種的憎しみ,麻薬中毒などの温床もなくなります。聖書の示すところによると,神は人間が庭園のような状態のもとで生活することを意図され,そして神の王国政府はそれを実現させます。―創世 1:28; 2:15。マタイ 6:10。

      古代イスラエルが,バビロンにおける長い圧制のあと再び神の恵みを享受したのと同じく,きたる新秩序においても人々は,『家をたててそれに住み,ぶどう園を作ってその実を食べるでしょう。……彼らは自分の手のわざをあますところなく用いるでしょう。彼らの働きはむだにはなりません』。そうです,彼らは『それぞれ自分のぶどうの木の下に座し,いちぢくの木の下におるでしょう。そして彼らをおののかせる者はいないでしょう」― イザヤ 65:21-23。ミカ 4:4。

      そのときにはだれも,連続式製造機の単なる“歯車”として,知性や能力になんの挑戦も投げかけない単調な仕事をし,自分の知らない人々のために働き,真の個人的な誇りの持てない物を作って,“毎日ぐるぐる回る”ということはなくなります。彼らは生活に真の目標をもち,創造者にほまれをもたらす事柄を行ない,創造者が住みかとして与えてくださった地球を美化します。

      健康と生命

      心臓病,胃かいよう,がんを含め今日の病気の多くは「文明病」と呼ばれています。神の新秩序における緊張やストレスからの解放は自然,人類の精神的,肉体的健康の増進に大きく役だつでしょう。しかしそれよりももっと重要なことは,人類を買いもどすためにあがないの価としてご自分の命を与えられたキリスト・イエスが,全臣民の霊的健康を増進させ,彼らに霊的栄養を与えられることです。霊的健康の増進は,受け継いだ罪と不完全性をいやします。そしてついに,黙示録 21章4節の神の約束は完全な成就を見ます。

      「[神は]かれらの目の涙をことごとく拭ひ去り給はん。今よりのち死もなく,悲歎も,さけびも,苦痛もなかるべし。前のもの既に過ぎ去りたればなり」。

      がんその他の致命的な病気や人を不具にする病気と診断される恐れがなくなったら,どんなにほっとするでしょう。永遠に生きる特権を得,何十年かの短い不確実な寿命の圧迫から自由になることは,なんとすばらしい希望でしょう。この『希望は失望には終わりません』。なぜならそれは神の確かな約束にもとづいているからです。(ロマ 5:5)しかし神の政府は,圧力を生み出す諸問題を地から除く行動をいつ開始するのでしょうか。わたしたちはいつごろ完全な解放を楽しむことができるのでしょうか。

      [23ページの図版]

      神の王国は国家主義の垣を永遠に除去する。そしてあらゆる人種が一つの政府のもとで平和に暮らす

      [25ページの図版]

      神のことばである聖書は,神の王国政府の支配する楽園の地上での快適な暮らしと労働環境を約束している

  • 休息と回復の時は近い
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • 休息と回復の時は近い

      わたしたちの世代は,圧迫に満ちた現体制の終わりを見るでしょう。事実,この70年代に,神のお立てになる新秩序が発足するという希望さえもてる十分の理由があります。1914年以来,人類に加えられる圧力は劇的に増大し,爆発点に達しようとしています。この号の初めのほうで述べたとおり,成就した聖書の預言は,1914年が,予告されていた,圧迫に満ちた現体制の「終わりの時」の開始する年であることを示しています。しかしそれは同時に,その時に住んでいる世代を『しるしづけられた』世代にします。なぜですか。

      イエスはこのことを,マタイ伝 24章,マルコ伝 13章,ルカ伝 21章にしるされている偉大な預言の中で示しておられます。なるほどその預言の多くは第1世紀に成就しました。それはユダヤ教の秩序の崩壊と,エルサレムおよびその神殿の荒廃を予報しました。しかしイエスご自身のことばは,この預言が,イエスの『再臨』の時にもう一度,つまり主要な成就を見ることを明示しています。その主要な成就が,1914年に始まったこの「終わりの時」に生じつつあるのです。―マタイ 24:27,30。

      1914年以来いっしょになってこの世代のうえに重圧をもたらしてきた戦争,ききん,病気,地震,犯罪の増加その他の苦しみをイエスは預言しておられました。ジレンマから脱出する道がわからないために『国々の民は悩み』,『人々は恐れ,また世界にくることを思って胆を失う』であろうとイエスは言われました。それらのことばは,人間の歴史のどの時代よりも,1914年以降の人類の状態に当てはまります。

      でもしあわせなことに,イエスはイエスの王国政府に信頼と希望を置く者たちに対してこう言われました。『これらのこと起り始めなば,仰ぎて首を挙げよ,汝らの贖罪,近づけるなり。……われ誠に汝らに告ぐ,これらの事ことごとく成るまで,今の代は過ぎゆくことなし」― ルカ 21:25-32。

      第1世紀にこの預言を聞いた世代のユダヤ人は,エルサレムにかんするイエスの預言が40年足らずのちに成就したのを見ました。それは西暦70年,エルサレムが破壊されたときでした。その預言がわたしたちの時代に主要な成就を見ることも,わたしたちは確信することができます。

      『これらのことが起き始めた』1914年に生きていた世代は今は年を取っています。過ぎ去った50年の間に,その世代の人々の数はかなり少なくなりました。しかしイエスがわたしたちの時代にかんして予告された「これらの事」は,『その世代が死に絶える』前に「ことごとく」起こらねばなりません。それは,それらのことごとく生ずる,定められた時が近い,しかも非常に近いことを意味します。イエスの預言の他の部分はすべて現在,驚くべき正確さで成就しています。この「終わりの時」のはじまりを見た世代はその結末をも見ると言われたイエスは,霊感によって真理を語られたのであって,そのことをわたしたちは疑う必要はありません。これは,不満足で,利己主義で,圧制的な古い秩序が終わり,神の正義の,すがすがしい新秩序が到来することを意味します。

      それにしても,この変化が70年代に起きるかもしれないという希望をもつ理由はどこにあるのですか。

      聖書の示すところによると,わたしたちは人間の歴史の6,000年の終わりに近づいています。聖書の年代表は,人間の生命が,イエスの死(西暦33年の春)より4,058年ほど前に,アダムの創造とともに始まったことを示しています。これに,イエスの死から現在までの年数を加えると,人間の生存の6,000年が完全に終わるのは,1970年代のこの10年間の半ば近くになります。これはたいへん意義の深いことです。なぜですか。

      答えは,神が仲介者モーセを通して古代イスラエルにお与えになった律法契約のなかに見いだされます。聖書は律法が,「来らんとする善き事の影」であることをわたしたちに保証しています。(ヘブル 10:1)影をたどっていくと最後には実体に行き当たります。実体は実質のあるもので,影は輪かくにすぎません。律法契約が予影した事柄は,神のみ子キリスト・イエスの手中にある神の王国という実体にわたしたちを導きます。

      コロサイ書 2章16,17節は,安息日の取り決めが『こようとしているよいことの影』に含まれていることを示しています。その安息日の取り決めによると,七日目はすべての働きをやめて休む日でした。また七年目は土地の休息の年で,耕すことも,種をまくことも行なわれませんでした。それによって土地だけでなく人々にも生産力を新たにする機会を得ました。―出エジプト 20:8-11。レビ 25:1-8。

      これはどんな「善き事」を予影しましたか。その安息日の取り決めは,キリストの王国が全人類にもたらす大きな祝福と解放を予影しました。黙示録の示すところによると,現在の不義の秩序が終わるとともに,神の王国は,平和と神の祝福の豊かな千年統治を招来します。それによって地とその全住民は安息日のような休息を得る結果になります。そのときには人類はキリストのあがないの益をあますところなく受け,最後には罪から完全に解放されるでしょう。またサタンとその配下の悪霊の勢力は底のない坑に閉じ込められ,人類は彼らの圧制から解放されるでしょう。―黙示 20:1-6; 21:1-4。

      エホバ神にとって『千年は一日のようである』という聖書のことばを適用するなら,人間存在の6,000年は,神の目から見れば六日くらいのものです。(詩 90:2。ペテロ後 3:8)神のみ子のきたる千年統治はその六日につづく七「日」目です。それは,六日間労し働いたのちに休む安息の預言的形と完全に一致しています。したがって,人間存在の6,000年がこの70年代に終わりに近づくので,休息と解放の大安息が非常に近いというすばらしい希望があるのです。そのとき,ざせつ感,人を疲労させる圧力などは終わりをつげ,人を元気づける自由と善を楽しむ喜びがそれに取って替わります。

      そのすがすがしい,神のみ子の治める神の王国の新しい秩序にはいって命を得たいと思えば,何をしなければならないでしょうか。次の記事の内容をよくお考えください。

      [27ページの図]

      (正式に組んだものについては出版物を参照)

      1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

      人間の ノアの洪水 イエス・キリストの死 1914年 キリスト・イエス

      創造 西暦33年 の千年統治

      1970年代の半ばに,人間の歴史の6000年が終わりに近づくので,すばらしい解放の希望がある

  • 解放の真の源を受け入れますか
    目ざめよ! 1972 | 4月22日
    • 解放の真の源を受け入れますか

      まもなくよりよい事が実現するという希望があると,人間はかなり忍耐できるものです。しかし,その希望がもたらす解放は,希望そのものが真実であるときにのみ真実です。

      あなたはどこに希望を置いて,現代の圧力からの解放を待ち望みますか。あなたの選択は実際に2点にしぼられます。

      あなたは人間に希望を置くことができます。または神に希望を置くこともできます。人間は,世界の衰えゆく体制をつぎはぎしてそれを役だて,成功させることができると言います。神は,地からそれらの体制を一掃し,義にもとづく新秩序を立てる,と聖書を通して,言われています。

      人間に希望を置くのは「現実的」で,神に希望を置くのは「非現実的」ですか。

      人間からどんな希望が得られるか

      人間が戦争の脅威からわたしたちを解放してくれることに期待をかけるのは現実的ですか。人間の過去の歴史は大部分人間の血でつづられています。今の人間は変わりましたか。ではなぜ空前の軍備競争が行なわれているのですか。最近ブラッセルで開かれたインターポル,つまり国際警察組織の集会に100か国からの代表が出席しましたが,彼らはどんなことを聞いたでしょうか。それは全世界の法施行機関が犯罪に対して着実に敗退しているということです。

      人間は麻薬禍対策を持っていますか。麻薬中毒にかんするスウェーデンの有名な専門家ニルス・ベジェロット博士は西の世界について,「社会的破局を防ぐ時間はよく見てせいぜい10年,悪くするとすでに手おくれかもしれない」と述べました。

      わたしたちは,人間が世界の病める諸都市をいやすと信じることができますか。1970年の年次市議会については次のように書かれています。「希望がもてるような将来の展望は行なわれなかった。……70年代中に,あるいは予見し得る将来に,都市の危機が減少するという期待はなかった」―「1971年ブリタニカ年鑑」。

      科学者を含め,人間は,激増する世界人口を養うという差し迫った問題,あるいは環境破壊の風潮を改めることなどについて,確信のもてるどんな基礎を提供しますか。ポール・アーリッヒ博士はこう言います。

      「全部の人間を養うための戦いは終わった。1970年代に世界はききんに見舞われるであろう ― 今どんなぼく滅計画を立てたところで,何千万という人々は餓死するだろう」。

      これらの問題を考えて「一部の科学者たちは,この10年の半ばまたは後半のいつかをハルマゲドンのくる時としている」と,カリフォルニアの一新聞が伝えたのも不思議ではありません。彼らのハルマゲドンは世界的なききん,疫病,戦争という形でくるのでしょう。

      引用したこれらの資料は,決して単なる不吉な予言者ではおりません。もしそのように考える傾向があるなら,自問してみてください。あなたは,これらの問題に対して人間が提供できるどんな解決策をご存じですか。ほんとうに,今は夢からさめて,勇気を出して事実を直視すべきときです。これは生死にかかわる問題です。

      世の諸宗教も真の希望の源ではない

      しかし神に心を向け,神に希望を置くとはどういうことですか。それはキリスト教世界の諸教派に心を向けて解放を求めることですか。決してそうではありません。なぜですか。

      なぜなら,キリスト教世界の諸教派も,残りの人間社会同様,重圧で難破状態にあるからです。法王パウロ6世は最近,「教会はいま不穏,自己批判,人によっては自己破壊とさえ言うであろう時を経験しつつある」と言いました。またボストン神学校のウォルター・D・ワゴナー博士は,プロテスタントの一流誌クリスチャン・センチュリーのなかで,「われわれプロテスタントは疲労し混乱している」と述べています。こうした状態と平行して,キリスト教世界の諸教会の聖書とその原則に対する忠実さは次第に薄れていっています。

      なぜ聖書を調べるか

      それにもかかわらず,真の解放は聖書のページと,ほんとうに聖書の教えに従って生活する人々のなかに見いだされます。人間の予言はくりかえしはずれて,失望だけをもたらしています。しかし聖書の預言とその原則の正しさは日増しに確証されていきます。

      聖書はまさに,世の識者たちが今警告している諸問題を預言し,人間社会にあらわれる諸種の問題がこの時代に危機に達することを予告していました。圧力の真の根本原因を説明しているのは聖書だけです。しかし聖書は解決策があること,しかもその解決策が人間よりも高い源から与えられることを示しています。惑星であるこの地球,またわたしたちの頭上にあるもろもろの天体は,その源つまり人間の創造者が,人間を完全に解放するのに必要な力と知恵とそして愛の持ち主であることをいかんなく証明しています。

      今まではあなたは,聖書にたいした関心をお持ちでなかったかもしれず,聖書の音信を真剣に考えようとされなかったかもしれません。しかしわたしたちが今日直面している事態は,聖書を調べて,その言わんとするところを知らねばならない十分の理由を示しています。というのは,聖書だけが,生き残る希望と,今日の世の圧力からの解放を与えるものだからです。

      解放を発見した人々

      エホバの証人は聖書の言うことを信じています。人間の哲学や理論,計画を支持して聖書を拒否する世の諸宗教とは異なる道を歩んできました。聖書は現在においてさえ彼らの生活に大きな変化をもたらしました。彼らはすばらしい新秩序を待ち望んでいます。

      エホバの証人とはどんな種類の人々か,あなたご自身で調べてみるのはいかがですか。聖書の影響がほんとうにその人たちの生活をより幸福にし,また現在,世の多くの問題から彼らを解放しているかどうかをご自分で見てはいかがですか。エホバの証人の王国会館は,何が正しく,何が真実であるかを知ろうとまじめに探求しておられる人々すべてに開放されています。おはいりになって,彼らが話していることをお聞きください。彼らの集会がほんとうに人を元気づける,建設的で信仰を強めるものであるかどうかをごらんになってください。

      もちろんある人々は,現在のような緊張した生活の仕方 ― 激しい競争,激しい練習,ごまかし,不道徳 ― を好み,こうしたもののない世界は望みません。もしあなたがこちらのほうを好まれるならば,エホバの証人との交わりから喜びは得られないでしょう。彼らの幸福,確信に満ちた未来観の源をさぐる気持ちにはなれないでしょう。

      しかしもしあなたが,世界の状態の完全な変化を心から願い求め,正義の栄える世界に解放されることを熱望されるなら,あなたはきっと,調べまた知るために必要な努力を払われるでしょう。

      エホバの証人は喜んであなたのお宅をお尋ねし,あなたの疑問に対する聖書の答えについてお話ししあい,ご希望ならば6か月の間毎週1時間,無料で聖書の勉強のお手伝いを致します。

      この雑誌の発行者にご希望をはがきで通知なさるだけで,そのようなよい援助と知識を得ることができます。わたしたちはあなたがそうなさることを,心からおすすめ致します。

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