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刑務所問題 ― その解決策は?目ざめよ! 1977 | 8月8日
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刑務所問題は確かに大きな問題であると言わねばなりません。ある刑務所問題の専門家が,1980年代の半ばには連邦および州立刑務所に収容される囚人は40万人に上るであろうと予告していることを考えてみればなおさらのことです。ではどんな解決策があるのでしょうか。
更生させることは望ましい
問題から逃避してはなりません。私たちすべては,犯罪者たちが改心して,法律を守る有用な市民になることを願います。そして,刑務所内での囚人更生計画の大半が失敗しているとはいえ,各人がそのような変化を遂げることは不可能ではありません。最近,米国の刑務所局長ノーマン・カールソンはまさにその点を次のように語りました。「囚人の更生は,概念として吹聴されすぎた。……現在我々は,どんな囚人でも更生させることができるわけではないことに気付くようになった。我々は囚人たちに更生するための機会を提供できるにすぎない」。
私個人としては,ふさわしい機会が与えられれば,自分の行ないを改めようとする犯罪者もいることを確信しています。というのは,米国ケンタッキー州アッシュランドの連邦刑務所に収容されていた際,私はある囚人が心を動かされて,その全生活を変革するのを目の当たりにしたからです。
ですから私は11月の旅行,そしてルイジアナ州のアンゴラ刑務所で成し遂げられている事柄をじかに見るのを楽しみにしていました。同刑務所の敷地は1万8,000エーカー(約7,200ヘクタール)あり,米国で二番目に大きい州立刑務所です。1975年の一報道によると,同刑務所の定員は2,600人ですが,実際には4,409人が収容されています。
やがて,11月4日,木曜日になり,私は旅路に就きました。
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成功している更正計画目ざめよ! 1977 | 8月8日
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成功している更正計画
木曜日の晩,飛行機はルイジアナ州バトンルージュに到着しました。友人が出迎えてくれ,私たちは車で近くのニューローズにある彼の家へ向かいました。その晩私たちは,アンゴラ刑務所でどんなことが行なわれているかについて詳細に至るまで話し合いました。
友人は,刑務所内で行なわれる定期的な教育計画を司会する六人のクリスチャン男子から成るグループの一員でした。毎週交替制で彼らのうちの一人が出掛けて行き,受刑者たちの集会を司会します。それらの集会には,平均して40名ほどの受刑者が出席します。
「実を言うと,この計画は刑務所内部からの要請で始まったものなのです」と友人は説明しました。1973年の初頭,エホバの証人の出版物を読んでいた二人の受刑者が,自分たちを訪問してほしい旨を記した手紙を書きました。そうする間にも,この二人の受刑者は,自分たちの学んでいる事柄について他の受刑者たちに話し,彼らの関心を呼び起こしました。
刑務所内で初めての集会が開かれたのは1973年10月のことで,その集会には18人の受刑者が出席しました。やがて,毎週水曜日と日曜日に集会が開かれるようになりました。集会に出席する受刑者の数は増加し続け,あるときには60人以上が出席するまでになりました。そのような広範にわたる関心が呼び起こされたのはなぜでしたか。
教育計画
友人の説明によると,集会は他のエホバの証人の王国会館で開かれているものと,基本的に言って同じ方法で司会されています。日曜日には一時間の聖書講演があり,それは大抵の場合,近隣の会衆から派遣された講演者によって行なわれます。そのあと,「ものみの塔」誌の最近号の記事に基づく聖書研究が行なわれます。
水曜日の晩には神権学校が行なわれます。これは,聖書に対する研究生の知識を深め,同時に話す能力を向上させるために設けられた聖書教育の課程です。また奉仕会では,アンゴラ刑務所で仲間の受刑者たちに聖書の音信を語る最善の方法について討議されます。
自分たちが新たに見いだしたキリスト教の信仰について他の人々に語る面で,これらの受刑者たちがいかに活発であるかを知って私は驚かされました。ある月など,彼らは50人以上の受刑者仲間と週ごとの聖書研究を司会しました。そして昨年一年間に刑務所内で,「ものみの塔」誌や「目ざめよ!」誌および神の目的を説明した書籍などが5,000冊近く配布されました。
最初に研究を願い出た受刑者たちの熱意は,その研究生たちにも受け継がれました。この計画が成功を収めている一因はそこにあります。
資格を満たす
集会が開かれているのは刑務所内の教育ビルの一室で,その部屋は学校の教室に似ているとのことでした。しかし,受刑者たちが集会に出席するには,自分の名前を“呼び出し”名簿に載せてもらわねばなりません。そうすると,広大な刑務所の敷地内で自分が監禁されている場所を離れ,中心部に位置するこの場所に来て,“呼び出し”を受けたグループと集まり合えるのです。
刑務所内で開かれる集会にだれが出席するかを決める権限がエホバの証人にゆだねられているのを知り,驚かされました。だれでもやってくることができるわけではないのです。そして,それには理由があります。受刑者たちが,刑務所から早く出所できるよう助けてもらいたいと考えて,あるグループに加入することは珍しくありません。では,エホバの証人はどのようにしてある受刑者が誠実で,集会に出席する資格があるかどうかを見極めるのでしょうか。
まず,個人的な聖書研究がその人と行なわれます。その人が純粋な関心を示した場合にのみ,その人の名は“呼び出し”名簿に載せられます。しかし,病気など正当な理由もなく,一か月に四回以上集会を休むなら,その人の名前を“呼び出し”名簿から削除するよう刑務所当局に連絡が取られます。そうなると,再び集会に出席するためには,一定の期間純粋な関心を持っていることを証明しなければなりません。
初期の成功
私は,この計画の初期の成功について,1974年10月15月号(日本語は1975年1月1日号)の「ものみの塔」誌に載せられた地域大会の報告の中で読んで知っていました。その記事は次のようなものでした。
「ルイジアナ州バトンルージュの大会では人々を感動させる場面が見られました。エホバの証人は,何か月もの間,アンゴラにあるルイジアナ州立刑務所の囚人たちとの研究を司会してきました。それらの人々の中には,聖書の知識の点で進歩し,自分の行ないを急激に変化させて刑務所の職員を驚かせた者も多くいました。それで大会に出席できるよう,そのうちの八人をバトンルージュへ連れて行く許可が与えられました。足かせと手錠を付けられたこれらの人たちは,車から降り,その日バプテスマを受けるため他の人々と一緒に中に案内され席に着きました。それは心温まる瞬間でした」。
さて,忘れてならないのは,エホバの証人の一員としてバプテスマを受けるには聖書的な高い資格を満たしていなければならないということです。そして各人は,その資格にかなっているかどうか審査されます。その人は,少なくとも80の聖書的な質問に答えることができなければなりません。それらの質問の中には,次のようなものが含まれています。
「神の王国とは何ですか」。「地球に関する神の目的は何ですか」。「再婚の自由を与える離婚の唯一の聖書的根拠とは何ですか」。「うそを言うこと
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