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人間のために強力な働きをする ― 磁気目ざめよ! 1978 | 4月8日
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合う磁石の性質によって円形の電磁石内に電機子を回転させる仕組みになっています。こうして様々な力のモーターが,時計の針を動かすことから,満員の通勤電車を目的地に運ぶことに至るまで日常多くの働きをしています。
スイッチ,継電器,線輪筒,メーター,計器その他の電気器具は,電気と磁気のこの簡単な関係を基にしています。親しい人々の耳にあなたの声が電話で届き,彼らの声があなたの耳に聞こえるのも磁気によるのです。ラジオ,テレビ,ステレオのスピーカーに組み込まれた電磁石は電気的な振動を音声に変えて,驚くほどの忠実さで元の声を再生します。息子が初めて覚えた言葉,娘の初めてのバイオリン・ソロをテープに録音してその貴重な瞬間を何年も後に再生できるのも磁気のためです。
テレビの画面に像を映し出すのも,磁場によって正確に焦点に集められた電子のビームなのです。磁気によって電子ビームを焦点に集めるこの同じ原理を用いたのが電子顕微鏡であり,これによって科学者は極微の世界をのぞくことができます。
磁気に対する電気の関係は逆の方向にも作用します。電気を起こす発電機は磁気に依存しています。強力な永久磁石を円形に配置し,蒸気あるいは水を動力とするタービンを用いて針金のコイルをこの強い磁場の中で回転させると,この運動によって針金には電流が流れます。こうして起きた電気は適当な電圧に変えられて家庭に送電されるのです。
人間のために強力な働きをするこの磁気と呼ばれるものが無かったとすれば,今日の電気産業は存在しないと言っても過言ではありません。
きわめて大きい可能性
磁気について未知の事柄はまだ多く,科学者がこの力について知れば知るほど,応用面も広くなっています。例えば磁気流体力学(MHD)と呼ばれる新しい学問とその技術を用いると,現在よりも安価に電力を供給できる見込みがあります。今日たいていの大都市では発電機を動かすのに蒸気タービンを使っており,蒸気を発生させるのに石炭のような化石燃料に頼っています。しかしMHDを応用すれば,発電機だけでなく煙突の中でも電気を起こすことができるでしょう。どのようにですか。石炭を燃やす時に生ずる高熱のガスを磁場の中に通すと,電流が生ずるのです。この革命的な新方式では,他のどんな方法よりも効率的に石炭のエネルギーを電気に変えることができます。ある研究者たちによると,MHD方式による発電量は石炭1トンにつき50パーセントも多いということです。MHDを使ってある型の原子炉からエネルギーを取り出す方法も考えられています。
輸送の分野では「磁気浮揚」により,特別な軌道の上を“飛行する”列車の研究が進められています。列車につまれた電磁石と軌道の床の中に置かれた電磁石は,すべりみぞの上に約30センチも列車を浮上させ,非常な速度で前進させます。ドイツと日本で行なわれた実験に照らしてみると,このような列車は時速300キロを越える速度で旅客を運ぶようになるものと思われます。磁気浮揚に基づく高速輸送システムには他の方法と比べて経済および環境の両面で利点があります。例えば,動く部分が無いので摩滅することもなく,消費するエネルギーも少なく,汚染のおそれも,運転に伴う騒音もありません。
磁気のいっそう広範な応用面の開発は,“緒についた”ばかりに過ぎません。宇宙内にあるこのような強大な力について知識を増すことは,このようなエネルギーの創造者エホバ神の力を人間に思い至らせます。エホバ神は『強大なエネルギーに富み,力の大いなる』神であって,人間のために強力な働きをする磁気の創始者であられます。―詩 147:5。イザヤ 40:26。
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今なお昔のままの生活をする人々目ざめよ! 1978 | 4月8日
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今なお昔のままの生活をする人々
メキシコの「目ざめよ!」通信員
メキシコには,この国を訪れる人を驚かすようなものが数多くあります。この国で見掛ける興味深い人々の中に,タラウマラ・インディアンがいます。このインディアンの話を聞かれたことがありますか。
この部族はおよそ七万人を数え,メキシコ北西部にあるチワワ州の山岳地方に住んでいます。タラウマラ族は幾世紀も昔と少しも変わらない生活をしています。
タラウマラ族の服装や身づくろいはごく質素なものです。男性は腰布を巻いており,女性は数枚のスカートを重ねてはき,鮮やかな色のシャツを着てネックレスをしています。男性も女性も,太くてまっすぐな黒髪を肩までのばしています。
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