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デンマークの法律は良心の自由と相いれないものですか目ざめよ! 1978 | 4月22日
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デンマーク軍法のこの改正により,良心的兵役拒否者を何度も罪に定めることは確かにできますが,国際規約に照らしてそのような解釈はすべきではありません。被告弁護人は法廷でそのように述べました。
またこの法律の解釈をあやまらないようにするのは,(良心的兵役拒否者を二回も徴集した)内務大臣の責任でもあり,(彼らを二回起訴した)法務大臣の責任でもあるのではないのか,と弁護人は問いかけています。
人権の尊重
人権尊重の要求は世界的に高まってきている事が,法廷で強調されました。それは世界的な大論争になっています。その事に照らして見る時,デンマークのような国もスウェーデン,オランダ,ドイツ連邦共和国のように良心的兵役拒否者に関して人権保護の原則を守るべきではありませんか。
エホバの証人に対する誤った取扱いは人権にかかわる問題であることが認められています。例えば,コペンハーゲン大学のエリク・シスビイ教授は次のように述べました。「兵役拒否者,とくにエホバの証人のメンバーであって良心に基づき,兵役を拒否する人々の取扱いは,現に世界的な研究と討論の課題である」。
シスビイ教授によれば,デンマーク最高裁判所で係争中のこの事件は「世界の注目を集めるであろう。その判決はなかんずく公権および政治的権利に関する国際規約に関連して解釈の根拠を与える意義深いものとなろう」とのことです。
デンマークにおける良心的兵役拒否者の扱い方は,他の国々の前に明らかとなり,公権および政治的権利に関する規約に署名した国々でさえ,自国の良心的兵役拒否者を扱う際の先例としてデンマークの判決を見るようになるでしょう。しかもそれはきわめて悪い前例です。
なぜ二度も罰せられたか
しかしデンマークのエホバの証人が,同一の違反に対して二度も罰せられたのはなぜですか。
この事についてエホバの証人の弁護人は最高裁の法廷で,ひとつの考えを次のように述べました。「宗教的信念を動機とする兵役拒否者が何回も罰せられるのは,思うに,宗教的信念の強さ,真剣さ,耐久力について当局の側に疑いがあるためです。兵役拒否に対する刑期を終えたエホバの証人のメンバーを再び徴集し,新たな刑罰でおどすのは,刑に服している間に考えを変えたり,そうでなければ罰を再び受けることを恐れて信念を捨て,あるいは信念に反する行動をすることもあろうと期待するからです」。
しかしエホバの証人は神の律法に基づく信念を捨てるような事をしません。そのことは法廷でも明らかに表明されました。例えば,この事件で罪に定められた人は,最初の刑に服している間に徴兵委員会に手紙を書いています。法廷で朗読されたその手紙はこう述べていました,「たとえ何百年の刑期を宣告されようとも,わたしは自分の立場を変えません」。
繰り返し刑罰を課することの否定的な要素を更に挙げるならば,それは結合したひとつの刑の場合よりもその人の生活を乱す程度が大きいと言えます。ひとつの刑期を終えるならば,人は普通の生活にもどることができます。しかし繰り返し宣告されるならば,人は絶えず不安定な状態に置かれ,生活を大きく乱されます。
それでヨーロッパにおける良心的兵役拒否者の法的な取扱いに最も精通していると言われるオランダのハイン・ヴァン・ウィーク弁護士は,兵役拒否者に何度も刑を宣告する慣行を,猫がねずみをもてあそぶことに適切にもたとえています。
下された判決
上訴と弁論はむだに終わりました。デンマーク最高裁判所は,下級裁判所の審判を支持する判決を下したのです。刑は確定することになるでしょう。
また最高裁は刑期を3か月から元の8か月に変えたうえ,訴訟費用の全額支払いを被告に命じました。
デンマーク最高裁判所のこの判決は,デンマークの法律が公権および政治上の権利に関する国際規約の原則と相いれないことを示すものですか。その判決はまた常識から考えても寛大さに反するものですか。公平な観察者はそう考えざるを得ません。
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コロンビアにおける“音響”外交目ざめよ! 1978 | 4月22日
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コロンビアにおける“音響”外交
コロンビアのボゴタにあるカバード・コロセウムの経営者は,エホバの証人の地域大会がそこで開かれているときに,メキシコの「マリアチ」音楽の特別プログラムのために会場を貸してしまいました。証人たちはこの催しのために,音響装置を保護する人を幾人か残して会場を明け渡しました。
しかし,高い料金を払って契約した音響装置があまり調子が良くなかったので,場内を埋めつくした1万6,000人を超える聴衆が騒ぎはじめました。群衆が階段座席からメーンフロアに向けて物を投げつけだしたとき,建物の管理者は会場がめちゃめちゃに壊されるのを恐れ,エホバの証人のところへ来て,証人たちの音響装置を使わせてもらえないだろうかと尋ねました。テストがはじまったとき,聴衆は拍手しはじめました。プログラムが成功裏に終了したとき,テレビのアナウンサーが,エホバの証人の協力に感謝の意を表することを提案したところ,聴衆は万雷の拍手をもってそれに応じました。
妻がエホバの証人と交わるのをそのときまで反対していたある音楽家は非常に感激し,証人について間違った考えを持っていたことを告白しました。それどころか,翌日そのコロセウムで大会が再開されたとき,その人も出席しました。
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