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「預言のことば」に注意しなさいものみの塔 1970 | 1月15日
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れる』苦しみを受けた時でさえ,エホバに対する全き忠誠を保ち,エホバをあがめて,神の正しさを立証する「すえ」となりました。こうして,アブラハムによって予表されたエホバ神はたたえられたのです。(創世 22:17)しかし祝福はさらにもたらされることになっていました。パウロは詩篇 110篇の成就を示し,イエスについてこう述べました。「このかたは罪のためにひとつの犠牲を永久にささげて神の右に座し,それ以後,その敵がご自分の足台とされる時まで待っておられるのである」。(ヘブル 10:12,13,新)さてここに「その敵」ということばが出てきました。この表現からすぐ思い出されるのは,二つの「すえ」のあいだの「敵意」について述べた創世記 3章15節です。また,アブラハムの「すえはその敵の門を取るであろう」とアブラハムに約束された神の誓いのことばも思い起こされます。この敵となる「すえ」はだれですか。神の女の「すえ」はそれをどのように卑しめるのですか。
へびとそのやから
11 ヨハネは「悪魔の子」についてなんと述べましたか。
11 大敵サタンの「すえ」について使徒ヨハネはこう書きました。「これによりて神の子と悪魔の子とは明かなり,おほよそ義をおこなはぬ者および己が兄弟を愛せぬ者は神よりいづるにあらず。われら互に相愛すべきは汝らがはじめより聞きし音信なり。カインにならふな。彼は悪しき者より出でて己が兄弟を殺せり。なにゆえころしたるか,己が行為は悪しく,その兄弟の行為は正しかりしによる」― ヨハネ第一 3:10-12。
12,13 (イ)『へびのすえ』はいつもどんなものと結びついていますか。(ロ)サタンの「すえ」を構成するものを幾つかあげなさい。
12 カインを悪魔の子にしたのは,自分の兄弟に対する彼の憎しみの心とともに,誤った崇拝の仕方でした。(創世 4:3-8)以来,今日まで『へびのすえ』は偽りの崇拝と結びついて,神の崇拝者を迫害し,殺害してきました。ノアの日の洪水後,バビロンの秘教に基づく偽りの宗教の世界的な帝国が興隆しました。(創世 10:9)この偽りの宗教の帝国は神の目にはなはだ忌むべきものであるため,聖書巻末の預言の中で「奥義大なるバビロン,地の淫婦らと憎むべき者との母」と呼ばれています。―黙示 17:5。
13 わたしたちはサタンのこの宗教上の「すえ」に対し,またその「すえ」の一部を成す,サタン配下の「天」に対して警戒を怠ってはなりません。(エペソ 6:12)サタンは,ノアの日に不従順になった天使たちをもってこの霊的な「すえ」を組織し,自らはそれを支配する「悪鬼の首ベルゼブル」になりました。(マタイ 12:24。ペテロ後 2:4)サタンはまた,「世のもろもろの国」を配下に置き,悪霊たちを国々の君として用いています。(マタイ 4:8,9。ダニエル 10:13,20)こうしてサタンの「すえ」は天と地にまたがる一つの強大な組織となりました。サタンはこれを器として正義愛好者を飲み込もうとしています。ゆえにわたしたちは決してその奴隷とならないように注意しなければなりません。―ペテロ前 5:8,9。
14 イエスは当時の宗教指導者をなんと呼びましたか。なぜでしたか。
14 イエスの時代の宗教指導者はサタンの「すえ」の一部でした。彼らは神のみことばの代わりに人間の言い伝えを教え,神の正しい預言者たちの血を流しました。イエスは彼らをその面前で,「へびよ,まむしの裔よ」と呼ばれたのです。(マタイ 23:33-36; 15:6)彼らは自らアブラハムの「すえ」と唱えましたが,イエスは彼らにこう言われました。「もしアブラハムの子ならば,アブラハムのわざをなさん。しかるに汝らは今,神より聴きたる真理を汝らに告ぐる者なる我を殺さんとはかる,アブラハムはかかることをなさざりき。汝らは汝らの父のわざをなすなり……汝らは己が父,悪魔より出でて己が父の慾をおこなはんことを望む。彼ははじめより人殺なり,また真そのうちになきゆえに真に立た(ざるなり)」― ヨハネ 8:39-41,44。
15,16 (イ)宗教はすべて良いものですか。その答えの理由を述べなさい。(ロ)マタイ伝 7章15,16節からすれば,キリスト教世界はどんなものであると言えますか。
15 この世界の今日の諸宗教はどの「すえ」に属していますか。「宗教はすべて良いものだ」というようなことばには注意しなければなりません。すべての宗教が良いとは言えません。世の政治に深く介入しているものは特にそうです。パウロは1世紀のクリスチャンに対し,真の宗教が腐敗することを次のように警告しました。「されど我が恐るるは蛇のわるだくみによりてエバの惑されしごとく,汝らの心そこなはれてキリストに対する真心と貞操とを失はんことなり」。(コリント後 11:3)こうした腐敗は生じましたか。歴史は,それが使徒たちの予告どおり生じたことを示しています。(使行 20:29,30。テサロニケ後 2:3-12,ヨハネ第一 2:18,19)イエスもこのことを預言して言われました。「にせ預言者に心せよ,羊のよそほひして来れども,内は奪ひかすむるおほかみなり。その果によりて彼らを知るべし」― マタイ 7:15,16。
16 たとえばキリスト教世界はどんな実を結びましたか。バビロン的な言い伝えをもって聖書の純粋な教えに置き換えたカトリックおよび新教諸教会は今や教理上の混乱に陥っています。また,異端審問所,十字軍その他の「聖戦」,さらにキリスト教世界で勃発し,敵味方双方の一般牧師および従軍牧師の心からの支持を得た二つの世界大戦などの形で生み出されたその実を見てください。キリスト教世界はエホバの預言の書である聖書に「平和の君」と述べられているその「すえ」との結びつきを持っていると主張できますか。―イザヤ 9:6,7; 2:4。
問題の最高潮
17 1914年以来問題はどのようにその最高潮を迎えようとしていますか。それはなぜですか。
17 1889年,ものみの塔協会が発行した「時は近づけり」(英文)という本に詳述されたとおり,ダニエル書 4章を含め聖書の預言は1914年が重大な年であることをさし示しています。a サタン配下の諸国家が妨げられることなく地を支配する七つの時,あるいは2,520年の期間がその年に終わることになっていました。それは約束の「すえ」が天で御国の支配権を執る時でした。そして1914年,「産の苦難」のはじめとして世界大戦が勃発したことは,サタンの事物の体制が今やその終わりの日を迎えたことの明確な証拠となりました。以来,地上の苦悩は増大し続け,「事物の体制の終局」に関するマタイ伝 24および25章の著しい成就となりました。それとともに,イエスがその追随者にあらかじめ警告されたとおり,二つの「すえ」のあいだの敵意も最高潮に達してきました。「そのとき人々なんぢらを患難にわたし,また殺さん。汝らわが名のために,もろもろの国人に憎まれん。……多くの偽預言者おこりて多くの人を惑さん。また不法の増すによりて多くの人の愛,ひややかにならん」。(マタイ 24:3,9-13)この預言どおり,今日キリスト教世界は不法に悩まされています。エホバ神とその義とに対する純粋の愛をキリスト教世界のどこに見いだせますか。それに反して,キリスト教世界のバビロン的な宗教組織から出て,真の「すえ」キリストによる救いの希望をもって忍耐している人々は幸福です。―ヘブル 9:28。ルカ 21:34-36。
18,19 (イ)敵の「すえ」はなぜ真のクリスチャンを攻撃しますか。(ロ)神がご自分の民を保護された実例をあげなさい。その例から何を学べますか。
18 聖書に基づく信仰を持つクリスチャンは現代にかかわるイエスの次の預言的なご命令に服して忙しく働いています。「御国のこの福音は,もろもろの国人に証をなさんため全世界に宣伝へられん,しかしてのち,終は至るべし」。(マタイ 24:14)このゆえに,敵の「すえ」は彼らに対し残酷な迫害を加えてきました。たとえば第二次世界大戦中,カトリックの信奉者,ドイツのヒトラーは,これらエホバのクリスチャン証人に関してこう宣伝しました。「このやからをドイツから根絶しなければならない!」 そして彼らを強制収容所に投げ込んだのです。しかし結局,滅びたのはヒトラー自身であり,エホバの証人は解放され,その組織的な伝道のわざは続けられました。その危急の時期を通じてエホバがご自分の民を保護されたすばらしい実例の一つを次に掲げましょう。
19 1945年の4月,ザクセンハウゼンのナチス軍は迫り来るソ連軍の前に同強制収容所からの撤兵を余儀なくされ,そのため一群のエホバの証人は他の囚人たちとともに収容所を出ることになりました。証人たちの周囲では略奪やそ撃など恐るべき事態が生じ,また交戦による砲撃のごうごうたるさく裂音がいよいよ迫ってきました。彼らはどうしましたか。彼らは身を寄せ合い,祈りをささげてエホバにより頼んだのです。そして群れの中で神権的な秩序を保ち,かつ道々会う人々に神の国について証言しました。人々はその証言に喜んで耳を傾け,証人たちに食べ物を与え,また一夜のやどを提供したりしました。一方,他の囚人たちは幾千人となく死んでいったのです。その群れのひとりが寄せた次の報告からもわかるとおり,エホバはご自分の忠実な民とともにおられました。
「兄弟姉妹たち約230人の一行のうち,65歳から72歳の兄弟たちも何人かいましたが,からだがひどく弱っていた人を含め,ただのひとりも途中で倒れた者はありませんでした。みな信仰をもってしっかりと立っていました。ここでも一行は神権的な精神と取り決めを保ち,主の天使の保護を受けました。この時,イザヤ書 40章29-31節にあるエホバのお約束はなんとすばらしい成就を見たのでしょう」。
エホバは確かに,二つの「すえ」のあいだの論争でエホバを忠実に支持する人々には「強きをまし加へ」てくださるのです。
20 (イ)エホバがご自分の民のために力を表わされた近年の例をあげなさい。(ロ)サタンはどんな決意をいだいていますか。では何を予期できますか。
20 また近年,キューバ,スペイン,ポルトガル,マラウィ,ザンビア,アラブ連合共和国などにおける,悪霊のしわざのような激しい反対に直面した忠節な神のしもべたちはエホバのすばらしい力によって強められ,真の崇拝をしっかり守りました。神の女にも似たその組織に憤りをいだいたサタンは,「[女]の裔の残れるもの,すなはち神の誡命を守り,イエスのあかしをもてる者に」あくまでも「戦闘を挑まん」と意を決しています。サタンは天と地にまたがるその「すえ」の全組織を動かして,キリストの治めるエホバの御国に関するお目的を宣明する一見無防備なエホバの証人に対し,最後の総攻撃を行なおうとしています。―黙示 12:17。エゼキエル 38章。
21 (イ)今はなぜ「目をさまして」いるべき重大な時ですか。(ロ)『大いなるバビロン』の前途には何がありますか。生き残れるかどうかは何にかかっていますか。
21 最後の決戦は今や迫っています!「悪鬼の霊」が諸国家を「全能の神の大なる日の戦闘……ハルマゲドン……に集め(る)」とともに,サタンは偽りの宣伝をもって人々を酔わせようとしています。今は神の民がどの時代にもまして「目をさまして」いるべき時です!(黙示 16:13-16)いま地上では不法,暴力,苦悩が増し加わっています。しかしすべての人のために全地で自由が告げ知らされる少し前に,大いなるバビロンを含め,サタンの「すえ」は破滅をこうむらねばなりません。宗教上のバビロンが破滅を受けるのはまさに当然です。そのバビロンは「聖徒の血とイエスの証人の血とに酔ひたり」と述べられているからです。偽りの宗教のこの世界帝国の滅びは,黙示録で3回強調されているとおり「時の間に」,すなわち驚くほど突然に到来します。約束された真の「すえ」とともにあることを願う人すべてにとって,天使の次の命令に聞き従うのは今やきわめて急を要する事柄です。「わが民よ,かれの罪にあずからず,彼のくるしみをともに受けざらんため,そのうちを出でよ」。あなたが生き残るかどうかは,偽りの宗教とのかかりあいから離れるかどうかにかかっているのです。―黙示 17:6; 18:4,10,17,19。
22 預言のことば聖書はサタンとその「すえ」に対する勝利をどのように描写していますか。
22 神はサタンとその「すえ」に対するさばきを執行されます。預言のみことばである聖書はこのことを再三警告しています。たとえばエレミヤ記 25章31-38節は,「その日エホバのころしたまふ者は地のこの極より地のかのはてに及ばん」と述べています。その最初のものは政治および宗教上の「牧者」で,彼らは「なげき叫(ぶ)」でしょう。そして,恵まれた立場にあるその著名な追随者を含め,「群の長たち」はそれら牧者とともにのたうちまわり,ともに滅びてゆきます。最後に元のへびとその配下の悪霊たちがともに一千年のあいだ閉じ込められます。黙示録はその19章11節から20章3節にわたって,キリスト・イエスと聖なる天使たちがこの戦いでいかに勝利を収め,エホバの御名がいかに立証されるかを述べています。へびとその「すえ」に対するこの戦いは完全な勝利に終わるでしょう!
「すえ」を通してもたらされる祝福
23,24 (イ)アブラハムに与えられた約束の最後の部分はどのように成就しますか。(ロ)わたしたちはそのことをなぜ確信できますか。ゆえにわたしたちはどのように行動すべきですか。
23 こうして真の「すえ」は「その敵の門」をとらえます。しかしそれで終わるのではありません。アブラハムに対するエホバの誓いのことばは次のように結ばれているからです。「またあなたのすえによって地のすべての国の民は自らを祝福するであろう。あなたがわたしの声に聞き従ったからである」。(創世 22:18,新)それら多くの「国の民」が「自らを祝福する」には,アブラハムが行なったように神に従わねばなりません。それらの人々は,生きてハルマゲドンを通過する人であれ,あるいは復活により再びこの地に立つ「死にたる者の大なるも(の,また)小なるも(の)」であれ,すべて,祭司の務めを持つ「すえ」とそのあがないの犠牲に信仰を働かさねばなりません。また,そのすべては,キリストとその14万4,000人の仲間で構成される「新しい天」の支配に服さねばなりません。こうして従順に「自らを祝福する」人々すべてにはなんとすばらしい祝福が注がれるのでしょう! 彼らは「新しい地」,すなわちあらゆる人種の人々から成る幸福で平和な愛のある社会を形造るのです。そして彼らは輝かしい健康と若さを回復し,「神の子たちの栄光ある自由」のうちに永遠の命を享受する見込みを持つことになります。その時に設けられる神のすばらしい取り決めの壮大な幻が使徒ヨハネに与えられたのち,エホバは自ら,人類のために備えられているこれらの祝福を描写したことばにご自分の印を付してこう言われました。「書きしるせ,これらのことばは信ずべきなり,まことなり」― 黙示 21:1-5; 20:11-13。ロマ 5:12,18,新; 8:21。
24 また黙示録 22章6節はこう述べています。「これらのことばは信ずべきなり,まことなり,預言者たちの霊魂[新世界訳の字義訳では,霊感の表現]の神〔エホバ〕は,すみやかに起るべきことをそのしもべどもに示さんとて御使をつかはし給へるなり」。〔新〕。そしてこの預言は緊急な響きをこめて次のように付け加えています。「みよ,われすみやかにいたらん,この書の預言のことばを守る者は幸福なり」,「みよ,われ報をもてすみやかにいたらん,おのおのの行為にしたがひてこれを与ふべし」。わたしたちは,エホバの神聖な御名を立証する「すえ」を忠実に支持して働き,その報いを求めて一心に努力できますように。―黙示 22:7,12。
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この時代にかかわる預言的なひな形ものみの塔 1970 | 1月15日
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この時代にかかわる預言的なひな形
「わたしはエホバである……わたしは新しい事柄を告げている。それが生じはじめる前に,わたしはあなたがたに〔それを〕聞かせる」― イザヤ 42:8,9,新。
1 エホバはご自分の預言の成就を図る際に何を考慮されますか。
エホバは真の預言の神であられます。ご自身の預言の成就を図られるエホバは,全宇宙から反逆者すべてを一掃する偉大なお目的の実現に向かって,何ものにも妨げられることなく進んでおられます。しかしエホバについて,昔次のように述べられました。「主エホバはその隠れたる事をそのしもべなる預言者に伝へずしては何事をもなしたまはざるなり」。(アモス 3:7)そして現代においても神のしもべたちは起ころうとしている事柄を神が前もって知らせてくださるということを確信できます。したがって彼らは自分自身と他の人々の救いのために行動できるのです。―テモテ前 4:16。
2,3 (イ)昔のできごとが預言的な意味を持っているとどうして言えますか。(ロ)ヨシュア記の1章から6章を読んで最も深い感銘を受けたのはどんな点でしたか。
2 「聖書はすべて神の霊感によるものであり,教え……るのに有益」です。(テモテ後 3:16,新)この聖書には,二つの「すえ」のあいだの長年にわたる論争の解決に直接関係した預言だけでなく,エホバがご自分の民の歴史の中で動かしてこられた数々の劇的なできごともしるされています。それらのできごとの多くは今日のわたしたちに対する警告となっています。「これらの事柄が彼らに起きたのは,戒めとしてであり,それがしるされたのは,事物の諸体制の終わりが臨んでいるわたしたちへの警告のため」なのです。(コリント前 10:11,新)それら古代の劇的な事柄の幾つかは,神がご自分の敵に対して収められる勝利と,その勝利の行進にあずかるわたしたちに与えられた特別な仕事を示しています。
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