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世界を戦争へと駆り立てる科学技術目ざめよ! 1981 | 9月8日
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探知機や“攻撃型”潜水艦の開発に熱を上げています。しかし,原子力潜水艦が“第一撃”の攻撃目標になったならどうなるでしょうか。「そうなれば,先制核攻撃を行ないたいという誘惑はほとんど抗しがたいものとなろう」とバーナビー博士は述べています。
軍事衛星戦: 軍事衛星は今日の軍隊の目となり耳となっています。この緊張した時代にあって,敵のミサイルが発射されたことをできるだけ早期に警告し,また軍縮条約が守られているかどうかを確かめる手段にもなるのは軍事衛星です。現在では,軍事用の通信全体の7割ないし8割は軍事衛星を通して行なわれています。軍事衛星の重要度が非常に大きくなっているので,「ある国の軍事衛星が攻撃されれば,必ずや全面的核攻撃にまで発展すると言っても過言ではない。軍事衛星の情報収集能力が奪い去られてしまうからである」と述べる観測筋もあります。そのような攻撃は可能なのでしょうか。
「過去12年間にソ連は15基の衛星迎撃衛星を断続的に軌道に乗せてきた」と,「サイエンス80」誌に掲載された一報道は述べています。一方米国はF-15戦闘機から発射できる対軍事衛星ミサイルを開発中です。特に不穏なのは,非常に遠くの軌道上にある衛星の機能をさえも即座に停止させたりそれを破壊したりする能力を備えた新しい種類の兵器です。それはどのような種類の兵器でしょうか。
SF? 考え直すことが必要
飛んで来るミサイルを破壊する光線銃という概念はSFでの話だとお考えであれば,考え方を調整する必要があります。そのような兵器はすでに存在しているのです。1973年以来,空中の航空機やミサイルをレーザーで撃ち落とす実験が行なわれています。米国空軍は,輸送機に大型の実験用レーザー・ビーム装置を搭載し,高空での実験を行ないました。アメリカだけでもレーザー兵器の開発に10億㌦(約2,200億円)以上の予算がつぎ込まれており,この分野ではソ連も同じほど進歩しているとされています。
確かに,地上から発射されるレーザー・ビームが高空にある軍事衛星を撃ち落とせるようになるまでにはまだまだ時間が掛かるでしょう。そのようなレーザーには膨大な量のエネルギーが求められます。ところが,ニュー・サイエンティスト誌は,「それよりもはるかに少ない量のエネルギーで……軍事衛星の赤外線探知機の機能を停止させ,自国のミサイルの発射を敵国に探知されないようにすることができる」と述べています。これぐらいの出力を備えたレーザーであればすでにかなりの程度まで製造可能であり,危機感の増し加わる社会に別の不安定な要素を加えています。
いうまでもなく,安定感を損なう軍事面の科学技術の進歩を列挙してゆけば,そのリストはこれだけでは終わりません。スピードこそ遅いものの,命中精度はどんな大陸間弾道弾(ICBM)よりもはるかに優れている巡航ミサイルは,カウンターフォース兵器とみなせるでしょう。巡航ミサイルは小さな軍事目標を攻撃するには正にうってつけです。建物などの破壊は比較的少なくしながら,放射線で人間を殺害するために造られたのが“中性子爆弾”です。1925年以来戦闘で神経ガスを使うことは禁じられているというのに,新しい“改良された”神経ガスを用いるよう主張する軍当局者もいます。炭疽菌などの細菌を用いる細菌戦のことも話題に上っています。しかし,世界を第三次世界大戦へと追いやっているのは科学技術だけではありません。
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高まる世界の緊張 ― その原因目ざめよ! 1981 | 9月8日
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高まる世界の緊張 ― その原因
1979年9月に,米国の軍事衛星が南アフリカ付近に2重の閃光が上がるのを探知しました。そのような閃光は核爆発独特のものです。南アフリカは核兵器の実験をしていたのでしょうか。南アフリカ政府はそれを否定していますが,南アフリカは1968年の核拡散防止条約に調印していません。
核拡散防止条約に調印していない別の国はイスラエルです。1974年のこと,イスラエルの大統領はこう述べました。「我が国は核兵器を開発する
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