天の御国は完全な武装解除を成しとげてヱホバに栄光を帰します。

52 そのとき，ペテロに告げたイエスのどんな言葉は真実ですか。それで，誰が生き残りますか。

⁵² その宇宙的な戦争においては，使徒ペテロに告げたイエスの次の言葉は真実です，『剣をとるものはみな，剣で滅びる。』（マタイ 26:52，新口）しかしイザヤ書 2章4節の言葉に従う者たちは，マゴグのゴグの攻撃を受けても，ちようどノアとその家族が世界的な大洪水を生き残つたように，その宇宙的な戦争に生き残るでしよう。

53 生き残る者たちは，軍事兵器の残り物について何をしますか。そのために費す時間は，何を示しますか。

⁵³ 現在の軍事的な兵器の残り物は，これら霊的なイスラエル人によりことごとく滅ぼされるでしよう。ヱホバ神はその宇宙戦争で彼らを守り，生き残らせます。戦争後の地上の活動について，ヱホバは次のように言われています，『イスラエル〔生き残る霊的なイスラエル〕の町々に住める者出できたり，よろい大楯，小楯弓矢，手槍，手予および槍を燃し焚き，これをもつて七年のあいだ火を燃さん。彼ら野より木を取りきたることなく，林より木をきりとらずしてよろいをもて火を燃やし，また己をかすめし己の物を奪いし者より物をうばわん。主ヱホバこれを言う。』（エゼキエル 39:3，9，10）すべての兵器を燃すのに必要な時間から判断すると，マゴグのゴグにみちびかれる諸国民の軍事兵器は，きわめて多いものです。しかし，かれらの兵器は，全能の神，万軍のヱホバとそのキリストに対しては何の役にもなりません。

54 なぜ地上は国際的な戦争で踏みにじられることがありませんか。なぜ獣を恐れることもなくなりますか。

⁵⁴ この古い世の軍事力に対して，万軍のヱホバが勝利を得られるとき，それはなんとよろこばしいことでしよう！ 神の創造されたこの美しい地球が，神の十のいましめを破る者たちの国際的な戦争でふみにじられるということは決してないでしよう。ヱホバの新しい世は，ヱホバを恐れ，イエス･キリストにならつて完全な武装解除をすでに行なつた地上の住民たちだけで始まるでしよう。獣のような諸国家を恐れる心配は，過去のものとなります。実際の獣から害を受ける，という恐れもなくなるでしよう。なぜなら，天の御国の地的な領域について，ヱホバ神は御自分の預言者を通して次のように語られています，『わが聖き山のいずこにても害うことなく，傷ることならん。そは水の海を覆えるごとく，ヱホバを知るの知識地にみつべければなり。』（イザヤ 11:6-11）この地上にニムロデのような猟夫は，もはやいないでしよう。

55 軍備に対するどんな影響は，神の地位を失いますか。人類をして永遠の武装解除を行わせる動機は何ですか。

⁵⁵ あの象徴的な蛇なる竜，人間の目から姿をかくし，軍備を促進しつつ，この地上を支配している偽りの神，サタン悪魔はもはやいないでしよう。従順な人類は，唯一の生ける真の神エホバを恐れて歩くでしよう。ヱホバの御子イエス･キリストは彼らの天的な王，サタンのかしらを砕く神の女のすえになるでしよう。神を愛することと隣人を愛することが，心の動機となります。そして，天の御国の下に地上で永遠の生命を得るすべての者たちは，完全な武装解除を行いつづけ，永遠の地的な楽園で互に平和に生活するでしよう。

「御心が地に成るように」（その32）

1945年にナチ-ファシストの枢抽強国が敗北すると共に，ロシアの共産主義の政府がダニエル書 11章に預言されている『北の王』の役を取りました。それは，『荒らすことをなす憎むべきもの』を生き返らせ，1945年に国際連合制度を設立しました。また，油そそがれた忠実なクリスチャンたちで成り立つヱホバの『聖所級』に迫害を及ぼしました。地上にいるこの御霊のそそがれた聖所級を助けるために，羊のごとき信者たちの大いなる群衆がきました。彼らは，神の御国の支配する地上で永遠の生命という運命を持つ『他の羊』です。ある人々は，巧言をもつて聖所級にしばらくくみましたが『他の羊』はヱホバの聖所級にかたくつき従います。その中のある者は非業な死をとげるという迫害を受けましたが，それはヱホバ神に破れることのない献身を保つかどうかを示す大きな試練でした。かくして，献身した忠実なクリスチャンたちは，象徴的な北の王からうけた火のごとき迫害によつて清められたのです。

44 北の王は，何にまさつて自分を高くし，自分を大いにしましたか。どの程度まででしたか。

⁴⁴ ヱホバの御使は，20世紀の北の王について正しく描写しました，『この王は，その心のままに事をおこないすべての神を越えて，自分を高くし，自分を大いにし，神々の神たる者にむかつて，おどろくべき事を語り，憤りのやむ時まで栄えるでしよう。これは定められた事が成就するからです。』（ダニエル 11:36，新口）昔の時代の北の王だけが自らを神と唱えて，神の称号を受けただけでなく，彼の現代の後継者も神の役割を行おうと努めます。彼は自分の思うこと，欲すること以外のことを知ろうとしません。この目的にむかい，彼は全体主義的独裁主義的な政府権力を得ようと良心的でない手段を選びます。第一次世界大戦後のナチとファシストの領域内における北の王はそのようでした。そして，第二次世界大戦後の共産主義的な北の王の場合もそうです。すくなくとも，その心の中で人間のつくつた地的などの『神』にもまさつて，彼は自分を高くし，自分を大いなる者にしています。しかし，実際には彼は敵対者である南の王に打ち勝つていないのです。

45 神々の神は誰ですか。北の王は，彼に対して『おどろくべき事』をどのように語りましたか。

⁴⁵ 北の王は，神々の神なるエル･エリム，すなわちヱホバに向かつてさえ攻撃しました。彼は，最高の裁き主，真の神の御前で裁かれている，ということを深く認識しません。最高の裁き主について詩篇 82篇1節と2節（新口）は次のように述べています，『神は神の会議のなかに立たれる。神は神々のなかで，さばきを行われる。「あなた方はいつまで不正なさばきをなし，悪しき者に好意を示すのか。」』ナチおよび共産主義者として現われた敵対的な北の王は，ダニエルの民の神に対しておどろくべきこと，不可思議なことを語りました。実際のところ，彼は言葉で言わなくても，神の存在を否定します。彼はキリストの御手にある神の御国をしりぞけて，世界支配を得る，という目標を宣言しています。それは，ヱホバに反対して語ることであつて，ヱホバの証者は，ヱホバの設立した御国を全国民に伝道しているのです。ヱホバの献身した民に関しては，彼はイエスの述べた原則，『カイザルのものはカイザルに，神のものは神に返しなさい。』を信じません。（ルカ 20:25，新口）彼は，一切のものに対する神の権利を否定します。政治国家は，その臣民から一切のものに対する権利を持つ，と彼は主張します。

46 彼は，繁栄したためにどのように感じましたか。しかし，いつまで彼は繁栄しつづけますか。そのとき，何が成就されますか。

⁴⁶ 市民は，悪魔の霊感をうけた人間製の国家を崇拝すべきである，と彼は要求します。人間は，国家によつて死ぬまで働かされる物質機械にすぎない，と彼は思います。1957年10月4日以来，人間製のスプートニク，すなわち衛星を宇宙空間に打ち上げてから，彼は宇宙の主のように感じます。スプートニクが，地球と太陽のあいだの空間で，目に見えぬ神と会わなかつたために，特にそのように感じています。彼は栄えて，地上の3分の1が共産主義形式の政府によつて支配するようにしました。しかし，天の神が『憤りのやむ時まで』これを笑い，これを許すということを知りません。『これは定められた事が成就するからです。』『全能の神の大いなる日の戦争』のとき，ヱホバはその憤りと非難を終らせてしまいます。そこで成就されることは，北の王が定めたことではなく，全能の神が定めたことです。

王の神

47 現代の北の王が顧みない神々を持つていた『先祖』とは誰ですか。

⁴⁷ 北の王の場合，ヱホバ神は先見しなかつた者に対処することはありません。ヱホバ神の御使は，その王が極めて現代的であると昔から描写し，次のように語りました，『彼はその先祖の神々を顧みず，また婦人の好む者も，いかなる神をも顧みないでしよう。彼はすべてにまさつて，自分を大いなる者とするからです。彼はこれらの者の代りに要害の神をあがめ，金，銀，宝石，および宝物をもつて，その先祖たちの知らなかつた神をあがめ，』（ダニエル 11:37，38，新口）『彼の先祖たちの神々』とは，ヒットラーとかスターリンのような特定な人間の神々ではなく『北の王』と呼ばれるこの政治的な職務の先祖たちの神々です。彼が支配権をにぎつていた2000年以上のうちに，その『王』は変化しました。すなわち，ギリシャ人の王たちによるセレウカス王朝から，異教のローマ人皇帝に，それからローマ･カトリックの皇帝とギリシャ正教の皇帝に，また神聖ローマ帝国のドイツ皇帝へさらにオーストリアとドイツのカイザルを経てナチの帝国主義支配者へ，そして今では共産主義者の帝国主義支配へ，と変化してきたのです。しかし，『この組織制度の神』なるサタンは，北の王と南の王が始まつて以来，いつも彼らの神でした。（コリント後 4:4）それでは，北の王は，どのように父祖の『神々』をかえりみませんか。

48 北の王にその『好む者』をかえり見られない『婦人』とは誰ですか。

⁴⁸ 彼は男性の支配者の神々を顧りみないばかりか，婦人の特別な神をも顧りみません。この預言に述べられている『婦人』は，北の帝国主義制度の侍女，あるいはこの王の長い系統を持つ『先祖』の侍女であるかも知れません。『婦人』は弱い器です。それで，現代の北の王は，これらの弱い代理者たちが特別に好んでいる神をかえり見ません。彼らの神は第2級のもので，劣つているものです。

49 北の王は実際にはバビロン的に誰を崇拝しますか。彼は自分の民のために何をつくり上げましたか。

⁴⁹ 彼は自分自身を神として崇拝するので，他の外部の神をも顧りみません。彼は先ず第一のもので，すべての者にまさつているのです。すべての臣民が国家を崇拝すべきである。あるいは更に狭い意味で，独裁者を崇拝せよ，と要求するのも，全く当然です！ それは，本当にバビロン的であり，悪魔的なものです！ むかしのバビロンの王は，ヱホバ神に対して，次のように語りました，『わたしの王座を高く神の星の上におき……いと高き者のようになろう。』この場合，バビロンの王はサタン悪魔を予言的に表わし示すものでした。（イザヤ 14:4，12:14，新口）アドルフ･ヒットラーが1945年，第二次世界大戦に敗北して自殺をとげて以来，いま共産主義になつている北の王は，ポーランド，ハンガリーそして他のところでキリスト教国の宗教勢力と交渉を持つていますが，キリスト教国と連繋をむすびませんでした。彼は，古い宗教を阿片と見なし，人々の精神面に害を加えたと見なしながらも，実際には人々のために赤の宗教をつくり上げました。彼は『要害の神』を尊びます。ナチ･ヒットラーも同じことをしました。

50 北の王は，『要害の神』をどのように尊びましたか。

⁵⁰ 北の王は，ナチ政権の存在していた期間中，現代の科学的な軍事主義に誉を与えました。しかし，共産主義になつてから，さらに一層そのことは押し進められたのです。1958年，旧式の軍隊の数を減少しましたが，彼は世界で最大の軍隊を持つていました。2万台の戦争用飛行機は，陸軍を後押ししました。その陸軍の大きさは，ひみつをもらさぬ鉄のカーテンのために知られていません。その潜水艦の数は500から700のあいだであつて，歴史上最大の潜水艦隊で，ドイツのUボート艦隊よりも大きいものです。東ドイツを征服したとき，彼はロケットや弾導弾のドイツ人専門家をできるだけ大勢とらえて，ロシアにおけるロケットと弾導弾研究の発展に，彼らを働かせました。ロシアの教育は，科学と技術者の産出に専心しました。その目的は，全地の軍事支配および経済支配をにぎることです。実際のところ，技術科学は，彼の崇拝物，偶像になりました。彼は，そのような部門あるいは領域で，自分自身をいちばん強い者にすることによつて，すべての『要害』を取ろうと努めました。それは，英米両国の世界強国なる南の王を含めて，世界を支配するために必要です。南の王は，1945年の8月，日本に二つの原子爆弾を投下することにより，第二次世界大戦の最高潮としました。しかし，年が経つにつれて，北の共産主義的な王も，原子爆弾を所有するようになりました。それから水素爆弾をも所有して，南の王におくれるということはありませんでした。

51 弾道弾や衛星の面では，彼はどのように南の王より抜き出ましたか。

⁵¹ しかし，弾導弾計画において，彼は敵対の王よりはるかに進みました。そして1957年8月27日，大陸間弾導弾の発射は成功し，非常な遠距離の標的地に飛んだ，と発表しました。それから2ヵ月も経たない10月4日，北の王は184ポンドのスプートニク第1号を地球のまわりの軌道にロケット発射しました。南の王のアメリカ側は大きな恥と驚きおよび動揺を感じたのです。それから三日の後，その新しい要害すなわち力の地位から彼は発言し，アメリカ合衆国は，二つの隣国シリアとトルコのあいだに戦争を生ぜしめていると非難しました。翌月の3日，彼は重さが半トン以上で犬ライカを乗せたスプートニク第2号を軌道にロケット発射しました。1958年1月31日になつて始めてアメリカは30.8ポンドのエクスプローラー衛星を軌道にロケット発射しました。

52 北の王は，金や銀や宝石や宝物をもつて，先祖たちの知らなかつた神を，どの程度まであがめましたか。

⁵² 南の王は，国際連合を通して行われる国際的な軍縮の進歩が共産主義者の北の王によつてまつたく妨げられている，と非難しつづけました。1958年3月31日，ソヴィエト連邦は原子爆弾および水素爆弾の試験を中止した，と公表しました。しかし，他の国々であるアメリカと英国が共産主義者の率先的な行いに注意を払わず，爆弾の試験を行ないつづけるなら，ソヴィエトも試験を再開すると公表しました。アメリカはその挑戦を無視しました。そしてアメリカにとつて肝要な理由のために，1958年4月28日，太平洋上のエニウェトック試験場で公表されていた連続核試験を始め，英国はその翌日に太平洋のクリスマス島地方にジェット爆撃機から核装置を爆発させました。この軍事的な準備は，みな極めて費用のかかるものでした。しかし，北の王は国民から物質的な慰安品をとりのぞいてしまいました。それは『先祖たち』が全く知らない現代の科学的な業績という神を，金や銀や，宝石やそして価高い品物であがめるためでした。

53 彼がそのようなことをなす神は，どの面で『異邦』ですか。

⁵³ 北の王は，このあがめられた『神』の助けをうけて，その区域すなわち影響の範囲を拡大しました。ヱホバの御使はこのことを予めに告げて，次のように語りました。『異邦の神の助けによつて，最も強固な城にむかつて，事をなすでしよう。そして彼を認める者には，栄誉を多く与え，これに多くの人を治めさせ，代価を払う者に土地を分け与えるでしよう。』（ダニエル 11:39，リーサー訳）この高度に発達した現在の科学的な『神』は，北の王の『先祖たち』の見知らぬもの，知らなかつたものであつたという点で，異邦のものです。

54 彼は誰に『多くの者を治め』させましたか。彼は，『代価』を払つた誰たちを，見出して，土地をすぐ分け与えましたか。

⁵⁴ ドイツ･ナチ主義の形態下の彼が侵略したとき，占領された国の人々が北の王を認めたならばそれらの者には多くの栄誉が与えられました。北の王はそれらの人々を立てて，不本意な人々の支配者にならせました。正しい代価が払われるなら，彼は区域を分けて支配させました。北のナチの王は，『代価』を払つて彼から土地を受け取る人々をたしかに見出しました。この中には，ローマ･カトリックの教職者制度もふくまれていました。歴史家たちは，次のことを忘れていません，すなわちヒットラーが1938年にオーストリアを占領したとき，ウイーンの枢機官セオドア･イニッツァーはヒットラーに手紙を送り，その手紙の結びに『ヒットラー万才！』と書きました。また，ドイツのローマ･カトリック司祭たちが1940年のフルダ会議を開いたとき，彼らは洗礼を受けていたカトリック信徒ヒットラーに忠誠をつくすと誓いました。