聖霊に満たされて大胆に神の言を語る
― 1964年度エホバの証者の年鑑から
ビルマ
最高伝道者数: 234
人口: 20,054,000
比率: 85,701人に1人
増加はそれほど大きくなくても,ビルマのエホバの証者は徐々に前進しています。昨奉仕年度中の最大の出来事は,疑いなく,ラングーンで開かれた「永遠の福音」大会です。ビルマの兄弟たちは,協会の役員や外国からきた多くの兄弟たちに会えたことを非常に喜んでいます。支部の僕も述べるように,「これがビルマだけに限られた小さな組織でなく,世界の各地にたくさんの兄弟がいることを,土地の人々は良く知るようになりました」。大会はエホバの証者の仕事に対する一般の関心を高め,また,大会により強く励まされたエホバの証者はビルマ全土に良いたよりを伝えるべく,一層の熱意をもって押し進んでいます。ビルマから送られた興味ある経験をいくつか紹介しましょう。
南ビルマのテレグ人の間で仕事は進んでいます。この地の人々は真理を聞くことを好み,また,非常に謙遜です。そして,自分たちの牧者が偽りの羊飼である事を知る者が多くなりました。一つの教会は二つのグループに分裂していますが,その双方のメンバーと研究が開かれています。また,特別開拓者の一人は教会に行って講演をし,そこには17人が集っていました。話を聞いた17人はみな,テレグ語の「良いたより」の小冊子を使って研究を始めました。協会の出版物のうちテレグ語に翻訳されているのはこの小冊子のほか,「新しい世」のパンフレットしかありません。
この地方の善意者の一人は,バプテスト教会発行の月刊雑誌が,エホバの証者はクリスチャンの筆頭であり,バプテスト教会員はくちびるの奉仕をしているにすぎない,と書いているのを読み,その事を特別開拓者に話しました。この婦人は,自分でもその区別が分るし,神が自分のところにエホバの証者を送られたと言って,エホバの証者から真理を学ぶことを喜んでいます。
ビルマで非常に産出的な土地は,西北地方のルシャイ村です。特別開拓者は次のように報告しています。「私がここに来た時には,孤立した伝道者の群があるだけでした。4ヵ月たってから,巡回の僕の訪問があり,その後,群は会衆になりました。それから3年になりますが,今私はヨハネ伝 10章27節の,『わたしの羊はわたしの声に聞き従う。……彼らはわたしについて来る』というイエスの言葉をよく思い出します。私は,エホバの助けを得て,この3年の間に,10人の人が真理の側に立つのを助ける事ができました。
「私の経験の中でいちばんお知らせしたいのは,神霊を崇拝していた若者の事です。1960年,家から家の伝道のおり,私はこの青年に会いました。再訪問をして,研究が始まりました。2ヵ月後,野外奉仕について説明したところ,彼も進んで参加しました。今彼は,奉仕にも集会にも定期的です。研究生の話もし,証言も巧みですし,自分で聖書研究も司会しています。彼が教えている人もよく進歩して,集会にいつも出席し,良いたよりの伝道者にもなっています。
「彼は経済的には恵まれず,学校の休みには,学費をためるため,山で働かねばなりません。しかし彼は,働きながらも宣教の事を考え,多くの人の関心を呼びさまし,良い結果を生んでいます。会衆に報告を届けるため何キロも歩かねばならぬのに,彼はこれを欠かした事がありません。ラングーンの『永遠の福音』大会出席の費用をためる事は,彼にとって容易なことではありませんでしたから,エホバの祝福を得て,彼が出席できる事を知った時,私は喜びにあふれました。この大会で,彼は,水のバプテスマにより信仰を公に表明しました。こうして,かつては神霊の崇拝者であった若者が,エホバを崇拝し,その聖なる御名をたたえる者の隊伍に加わりました」。
シンガポール
最高伝道者数: 168
人口: 1,750,000
比率: 10,417人に1人
奉仕年度の終りに新しい国が誕生しました。シンガポール支部の管轄下にある四つの国が連合して,マレーシア連邦ができました。土地の人々はこの動きを歓迎しており,将来の発展を期待しています。一方エホバの証者は,平和裡に良いたよりの伝道を続け,善意ある人々を設立されたエホバの御国の側に集めています。マレーシヤ連邦成立以前の呼び名に従って,シンガポール,マラヤ,北ボルネオ,サラクワからの経験を次に紹介します。
この地で行なわれた最大の神権的活動は,「永遠の福音」大会です。私たちは,ロマ書 1章12節で,「あなたがたの中にいて,あなたがたとわたしとのお互の信仰によって,共に励まし合うためにほかならない」と述べたパウロの言葉の意味を改めて深く知りました。大会で行なわれたどんな事も,末長く兄弟たちの記憶に残るでしょう。活動と交わりと霊の祝宴にあふれた輝くような五日間は,またたく間に終り,世界一周のリレー競走に参加しているのではないかとさえ感じられました。
一人の姉妹は次の経験を寄せました。「主人と私は長老教会員として洗礼を受け,教会活動に熱心に参加していました。しかし,その後,意見の相違があって,教会に行くのを止め,言わば,霊的な真空状態にはいりました。エホバの証者が訪ねてきたのはこの時です。私はすぐ聖書の研究を取りきめました。以前,1941年に,主人が協会の文書を焼いた事があるのを覚えていましたので,主人がエホバの証者の音信を拒み,私が証言に参加する事を禁じても,それほど驚きませんでした。主人はとくに,この教えを子供に教える事を禁じ,日曜学校に行かせる事を主張しました。ペテロ前書 3章1,2節にある,『夫に仕えなさい。……あなたがたのうやうやしく清い行いを見て,その妻の無言の行いによって,救に入れられるようになるであろう』というペテロの助言の意味を深く考えたのはこの時です。私は,子供たちを日曜学校に行かせましたが,家庭では真理を教えました。日曜になると,主人は子供を連れて映画に行きました。しかし,ある日曜日,『ものみの塔』研究のほうが大切だからと言って,子供たちが映画行きを断わった時,主人は最初の衝撃を受けたようでした。第二の衝撃はそのすぐのちに続きました。私はエホバのみ心に従うことを求めて,活発に宣教に参加するようになりました。浸礼については主人と子供がそろう事を望んで,少し延期しました。その後,子供が野外奉仕に参加し始め,私は自分の献身の象徴として水の浸礼を受ける決意をしました。私の子供二人も浸礼を受けたため,この宗教に何かあるに違いないと,主人も認めるようになりました。主人のほうからだれか一緒に研究する人を求めるようになり,今度は私の驚く番でした。今,私たちの祝福の杯は満ちあふれるほどになりました。『永遠の福音』大会のおり,主人も浸礼を受けたからです」。
マラヤ
最高伝道者数: 112
人口: 7,100,000
比率: 63,393人に1人
教育程度の低い,未開な区域での伝道をしりごみすることがありますか。教育のある中国人の特別開拓者一人は,そのようには感じませんでした。彼は自分に割り当てられた山腹の区域を徹底的に網羅して,一人の「羊」を見つけました。定期的な研究が取りきめられました。この「羊」は間もなく集会に出席し,手をあげて注解するようにもなりました。開拓者が奉仕に招待すると,彼は喜んで参加し,以来毎月平均10時間ずつ奉仕しています。彼は800キロも旅行して世界一周大会に出席し,他の21人と共に起立して,二つの質問に中国語で答え,浸礼を受けました。彼は今,休暇開拓をする事を望んでいますが,申込書に記入する前に,それまでしていた印刷の仕事をやめ,別の仕事につきました。宣教に十分の時間をとるためです。もし特別開拓者が自分の区域を徹底的に伝道しなかったなら,この喜びを得られなかったでしょう。
北ボルネオ
最高伝道者数: 28
人口: 454,328
比率: 16,226人に1人
良いニュースは,北ボルネオの東側に伝道者15人の会衆が設立された事です。これらの兄弟たちは,以前,各地に散在する丸太の切出し場で働いていました。マレーシヤ連邦設立前後に,多少の政治的問題があり,家族をフィリピンに送りかえした兄弟もありました。残った兄弟たちは,良い働き口を捨てて一つの場所に集りました。その結果が会衆の設立となりました。兄弟たちは,自分たちの御国会館に集ってすべての集会を開き,互に愛と良きわざを励ましあえることを喜んでいます。
サラワク
最高伝道者数: 6
人口: 750,000
比率: 125,000人に1人
サラワクは,道路がすくなく川の多いところです。旅行の手段といえば,飛行機か船以外にありません。クチン市の学校で教える一人の証者は次のように語っています。「学校の先生になる勉強をする目的で,遠くの村から毎年新しい学生がはいってきます。家から家の伝道でそうした学生によく会いますが,たいてい,進んで文書を求め,聖書の話に関心を示します。学生は自分の村に帰るとき,求めた文書を持っゆきます。このような方法で,証者がまだゆかぬ土地にも協会の文書が達しています。私の兄は時おり,仕事の関係で,川をさかのぼってずっと奥まで旅行し,私の父が訳したイバン語のパンフレットを配ります」。