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死 ― どこに通ずる戸口ですか目ざめよ! 1979 | 10月22日
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の外に出るという体験をしています。同様に,患者が生きるか死ぬかの瀬戸際の時期 ― すなわち心臓が血液を送り出さなくはなっているが,まだ細胞が死んでいない時 ― に,酸素の欠乏した脳の状態は異常な作用を引き起こします。回復した人々は,この変化した状態の生み出す結果について語っているにすぎないのかもしれません。アリゾナ・リパブリック紙の医学欄編集者であるジュリアン・ドフリースは,伝えられる体験談の裏にはそのような要素があるとみなしています。
この編集者はこう書いています。「麻酔がかけられたり,病気やけがをしたりしたために,身体の能力が衰微の極みに達すると,それに応じて体の機能の自動的な制御能力も減少する。そのため,神経系統の神経ホルモンやカテコールアミンが放出され,無制限に注ぎ出される。結果として,他の様々な徴候の中でも特に,死の世界へ行って生き返ったという幻覚が起こり,意識を取り戻したときにもっともらしい説明がなされる」。
残る疑問
それでも,これまでの論議では,ある患者が仮死状態から息を吹き返したときに,自分が意識を失っていた間に起きた事柄をどのようにして悟ったかということの説明はつきません。ムーディ博士の言うとおり,「もしジョーンズ氏が自分の霊魂が天井のあたりをさまよっていたと言い,いつ,だれがその部屋に居て,何がそこで起きたかを説明したとすれば,当人の言う事を信じるほかないように思う」ということになります。息を吹き返した患者たちのこの驚くべき知識をどのように説明できますか。
また,死があらゆる意味で命を終わらせるとすれば,神の約束しておられる永遠の命の希望はどのようにして実現するのでしょうか。人は一体どのようにして墓で終わる命とは別の命を享受できるのでしょうか。
今からこうした質問を検討することにしましょう。
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あの世からのお告げが本当にありますか目ざめよ! 1979 | 10月22日
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あの世からのお告げが本当にありますか
“あの世”からの“お告げ”。それは,見過ごすことができないほど,ここかしこで生じています。こうした交信は普通,自分と生前交友のあった死者からもたらされる,というのが通説になっています。20年余りカナダの首相を務めたW・L・マッケンジー・キングは,そのようなお告げを受けたと自分の日記の中で書いています。1979年1月3日付のトロント・スター紙は次のように説明しています。
「首相は,その幻や交霊会によって,とりわけ,死んで久しい愛する母親やヒトラーや米国のフランクリン・ルーズベルト大統領との接触を保った。
「1948年8月29日,オタワ北方のガティノ・ヒルズにある自宅,キングスミャーで,ドイツの独裁者,アドルフ・ヒトラーが『私のベッドおおいに似たものの上を』歩いて,『その上にボタンの留め口のような跡を幾列も残していった』と,首相は記している。
「首相の“会話”や“幻”すべては,その日記に記されている。
1950年代から1960年代に活躍した,米国監督教会の著名な一主教,ジェームズ・アルバート・パイクも,やはり“あの世”からのお告げを受けました。霊媒の助けを借りて行なわれたその交信は,同主教の死んだ息子,ジムとのものであるとされています。パイクは,ルック誌上で,ジムとの次のような会話について伝えています。
「『ありがとう,ジム。……お母さんを呼んで,今ここで何が起きているか話すことにするよ』と私は答えた。
「『是非そうしてください。お母さんに知ってもらいたいのです。ぼくがお母さんを本当に愛しており,生きているということを』という応答があった。
「そこで私は安心させるようにこう言った。『お母さんはそう信じているよ,ジム。これまでずっと信じてきたんだ。ところで,お前が今いる場所のことなのだがね,お前は……独りぼっちなのかい。それとも ―』。
「『周りにはたくさん人がいます。まるで,みんなの手で支えられているようなものです』という答えが返ってきた。そして,少し間を置いてから,『お父さんにお知らせできるようになるまでは,とてもつらかった』という声がした」。
上記のような対話に関する報告は数多く,仮死状態から息を吹き返した人々からも同様の報告があるほどです。確かに,こうした交信には,その源となっているものがあるはずです。しかし,それは死者から出ているのではありません! 聖書はこの点を大いに強調し,こう述べています。『生きている者は自分が死ぬことを意識しているが,死んだ者は,何事をも全く意識していない』。(伝道 9:5,新)死はこの世の命からあの世の命への転換ではないのです。
では,これら“あの世”からのお告げを引き起こしている張本人はだれですか。
最初のうその促進者たち
神が最初の人間夫婦に,不従順に対する刑罰は何であると告げられたか覚えていますか。神は,「あなたは必ず死ぬ」と言われました。(創世 2:17,新; 3:3)しかし,「初めからのへびで,悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている者」は,エバに,「あなたは決して死ぬことはありません」と告げました。(啓示 12:9。創世 3:4,新)このことを考えると,反逆したみ使いサタンと,神に対する反逆に加わったみ使いたちが,人間は神の命令に背いても地上から死にうせることはなく,人間として生き続けるといううそを信じ込ませようとしてきたとしても,少しも驚くべきことではないのではありませんか。
この者たちは,肉体の死に際して“魂”は霊の領域で生き続ける,と教えることによって,それを行なってきました。そして,この教えを支持するために,一見,この世を去った魂,つまり死者の霊に源があると思わせるような特別な知識を備えた呪術者や霊媒,易者を起こしました。しかし,エホバ神はご自分の民をこの邪悪な欺きから守ろうとしてこられました。イスラエル人が今しもカナンの地に入り,そこを領有しようとしていたとき,神はイスラエル人にこうお命じになりました。
「あなたはそれら諸国民のなす忌み嫌うべき事を習い行なってはなりません。あなたのうちに……占いを用いる者,魔術を行なう者や兆しを求める者や
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