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どんな解決策が提案されているか目ざめよ! 1972 | 3月22日
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に拍車をかけているのは事実ですが,それは原因ではありません。
これに関係しているのは,それよりもはるかに基本的な事柄です。それは人類一般に浸透している病弊です。刑務所人口の増加は,社会のこの病弊の単なる反映にすぎません。
長いあいだ,とりわけ第一次大戦以来,諸国家に退廃的な影響が浸透し,集団暴力,戦争による破壊,人種的偏見,スラムやゲットーや貧困の増大,そして政界・宗教界・経済界の指導者層の利己主義と偽善などが見られました。道徳にかんするなまぬるい教えは高い標準をさらに侵食し,犯罪化の傾向を促しました。
人はまいたものを刈り取る,と聖書は述べていますが,これは至言です。人々がそのような退廃的な影響の攻撃に半世紀以上もさらされてきたのですから,莫大な数の違法者を刈り取っても驚くにはあたりません。
また,米司法省の発表したある報告は,「強盗を働いたかどで逮捕された者の75パーセントが,25歳以下であったこと」を指摘しています。同報告によると,そのうちの「33パーセントは少年少女」でした。ですから若い人々の多くは,刑務所の内部を見たこともないうちに犯罪を犯すのです。したがって犯罪増加の主因として,刑務所生活を責めるわけにはいきません。それは社会のもつ欠陥が生み出しているものです。
また,ごく一部の人々が犯罪に関係し,犯罪を支持しているのでもありません。責任は大部分の住民の上にあります。組織犯罪にかんする前の大統領顧問ラルフ・サレルノは,カナダ人の聴衆に向って次のように話しました。
「かけごとをし,組織犯罪者たちの提供する物資やサービスに迎合する人々はまた同時に,あなたやわたしの世論調査家に,法と秩序と公正を望むと言う人たちでもあります。
「[あなたは]あすの朝8時に組織犯罪をやめさせたいと思いますか。あなたは全部のカナダ人に,彼らの不法行為の支持をやめさせてください。私は全部のアメリカ人にそれをやめさせます。そうすれば組織犯罪は失業します。警官は必要ありません。必要なのは正直な市民です。あなたは偽善を攻撃する必要があります」。
刑務所内で受刑者を改心させようとする努力が失敗に終わるのは,刑務所外の犯罪者が生み出されているのと同じ理由によります。この世の教え,態度,また活動は,健全な精神の人々をつくる役にはたちません。人々が現在得ている精神のかてを考えれば,刑務所における矯正が効を奏し,あるいは犯罪が減少することを実際に期待することはできません。では解決策はどこにあるのでしょうか。刑務所自体にかんしては何をすることができますか,違法者を生み出す状態に対して今後何か手が打たれるでしょうか。
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幼い銀行どろぼう目ざめよ! 1972 | 3月22日
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幼い銀行どろぼう
◆ 最年少の子どもがわずか6歳,最年長の子どもが11歳の5人の少年たちが,カナダのノバスコシア州ハリファクスのある銀行にどろぼうにはいることを企てた。下町のその銀行にはいると,この5人の幼い一味のひとりはカウンターを飛び越えて,仲間に現金を渡しはじめた。警察官が2ブロック離れた所で5人組を逮捕し,盗まれた金の大部分を取り戻した。彼らが映画やテレビで何を見ているかを考えれば,幼い子どもたちがしばしばおとなの犯罪を企てるのも少しも不思議ではない。
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