世界展望
家から家の配布が擁護される
◆ 米国ミシガン州の法務長官は,1978年9月25日,次のような裁定を下した。つまり州ならびに市当局は,市民が家から家の訪問に携わって請願を行なったり,ビラや宗教冊子を配布したりすることは,連邦ならびに州条令によって保障された権利であるので,この法にかなった権利を尊重すべきであるという裁定である。この権利の行使に対して税を取り立てることも,認可証を要求することもできない。
家族で盗み
◆ 「今は家族ぐるみで盗みを働いている」とロンドン警視庁のジョイス・クルックス婦人警部は語っている。同警部はロンドンの万引きに関する会議で,この傾向が強まっていると述べた。親は子供たちに“下劣な仕事”をさせて,自分たちは安全なところで見守るのである。10歳以下の幼い子供は起訴されることがない。警部はさらにこう述べている。「彼らの手口はこうだ。父母と祖父母が土曜日に子供たちとスーパーマーケットに出掛ける。母親と父親がワゴンにたくさん品物を詰め込むと,子供たちがそれを“無邪気に”動かしてレジを通り過ぎ,車まで運ぶ。そこでは祖父母が待機している」。
中国は喫煙に反対
◆ 何百年もの間,中国人は世界屈指のたばこ好きで,たばこの生産と消費において世界一の立場を占めていた。しかし今北京政府は喫煙に反対する大キャンペーンを繰り広げている。比較的年長の人々にこの習慣をやめさせるのは難しいという政府職員の判断により,特に若い世代が対象とされている。中国で非常に著名な医師二人が,反たばこキャンペーンの先頭に立っている。
テレビのコマーシャルと子供たち
◆ 2歳から11歳までの子供は年間2万2,000ものテレビコマーシャルを見ているので,彼らは親を動かしてその品物を買わせるようにするための,広告主の手中にある格好な道具となっている。ところがスタンフォード大学の研究者たちは,どんなに幼い時でも,ちょっと教えれば健全な懐疑心を持たせられることを発見した。「コマーシャルがどのように心を動かそうとしているかを示して,子供たちがコマーシャルの訴えにもっと批判的になるよう教えることは確かに可能だと思う」と,研究者団の代表者は述べている。欺まん的な宣伝方法を暴露した映画を見た子供たちは,映画を見なかった同様な子供たちのグループよりも,その後,懐疑的な傾向が強くなったことが判明した。
マラリアのワクチン
◆ 毎年マラリアで死ぬアフリカ人は百万人,世界中でこの病気にかかる人は二億人もいる。ハワイ大学の医学研究者,ワシム・A・シディキ博士は,現在,自分の作ったマラリアのワクチンでサルに免疫性を与えることに全面的に成功したと語っている。同博士は人間を対象にした実験を手ぐすね引いて待っている。しかし,もし成功するとしても,製品が入手できるまでには,普通二,三年の実験期間が必要なため,今すぐに成果を期待することはできない。
ギリシャ語を教える
◆ 定期刊行物「ギリシャ」によると,「教育する」を意味する古代ギリシャ語の動詞は,ヘレニズム時代には「罰する」に変化し,現代ギリシャ語ではそれがついに「攻撃する」という意味を持つようになった。同ギリシャ誌は次のように評している。「ギリシャの皮肉家の中には,これらの概念が今日混乱していてもやはりやむを得ないと考える人がいる。しかし政府は[時代遅れになった習慣を]大胆に改革して,教育をあるべき姿に正そうとしている」。ギリシャの教育省は現在,教育方法改良の法制化を推進しようとしていると言われている。
“道路の王者”
◆ ブラジルでは年間2万人以上の人が交通事故で死亡したが,それは世界中の自動車による死亡率の中でも一,二を争う記録である。ブラジル人の車一万台につき年間25.9人が死んでいる。米国の場合,一万台ごとの死者は約八分の一にすぎず,3.3人である。西ドイツは7.6人,フランスは7.5人だった。ブラジルがこれほど多いのはなぜだろうか。ブラジル・ヘラルド紙のインタビューを受けたある会社員の述べるところによると,多くの人にとって自動車は力の象徴となっており,「ブラジル人は自動車を単なる輸送手段とは考えていない。自分の車に乗り込むと,人は道路の王者となる」。交通関係の一職員も同様に「[ブラジル人の運転手が]法律に違反しても,本人は自分を悪者とは考えず,英雄とみなす」とこぼしている。命を尊重するように促す,政府の強力な宣伝キャンペーンがこの問題に立ち向かっている。
帝王切開の記録
◆ リオデジャネイロ連邦大学のカルロス・アントニオ・モンテネグロ教授によれば,「ブラジルは帝王切開手術の記録を保持している」という。開業医個人の診療所をとってみると,女性の半分以上は普通の出産よりも,切開手術を望む。
手術時の注意
◆ カリフォルニア州ロサンゼルス郡の医師が1976年に五週間のストライキを行なったとき,同郡の死亡率は人口10万人につき,19.8人から16.2人まで,平均18%減少した。カリフォルニア大学の二人の研究者は最近この調査資料を米国公衆衛生協会に提出し,「もし米国で行なわれた任意手術[命を救うために必ずしも必要ではない手術]の数がもっと少なければ,人々が益を受けただろうことを示す証拠は山ほど」あると述べている。医師たちが仕事を再開したとき,死亡率はストライキ前の平均をやや上回る数字にまた逆戻りしてしまった。
丸薬に潜む危険
◆ イタリアでは毎日平均約50人の子供たちが,不注意にもたなの上に置きっぱなしにされた丸薬などの薬物で中毒を起こし,そのうちの多くは死亡している。UPIの報道によれば,不用になった薬を捨てる人はほとんどいないため,「イタリア人のほとんどの家では,古くなった薬がごろごろしている」。米国,日本,西ドイツを除くと,イタリアほど薬にお金を使う国はない。
空港付近の生活
◆ 飛行機の騒音は大空港の近くに住む人々にどんな影響を与えるだろうか。カリフォルニア大学の研究者たちは,ロサンゼルス国際空港から3ないし5㌔離れた地域の死亡と病気に関して統計調査を行なった。空港から13ないし14㌔離れた同じような地域の住民と比較したところ,あらゆる死因を含めた場合の死亡率は空港に近い地域の方が二割高かった。ニューズウィーク誌にのせられた報告はこう述べている。「一番衝撃的だった発見は,[空港に近い場合]飲酒に起因する肝硬変のケースが140%も高いということだった」。
これが宗教か?
◆ 急激に会員が減少する事態を食い止めるため,ニューヨーク州ロングアイランド島のユダヤ教礼拝堂<シナゴーグ>は,通常一年300㌦(約6万円)の会費を新会員のために値下げする旨を発表した。「若手の人々が入ってこなくなれば,我々すべてはおしまいだ」とシナゴーグの責任者,バーナード・グリーンは語っている。もうひとりの職員が案じているのは,新しい人が入ってこないと,シナゴーグはやむなく閉鎖されるか他の教会に吸収されるのではないかということである。ニュースデー紙は次のように報じている。「その職員は,人数が多ければ,礼拝や成人教育の課程はもっと楽しくなるだろうし,資金作りのための毎週のビンゴゲームの時に便利な働き手もふえるだろうと述べている」。
交通事故の死者を減らす
◆ 米国のブロック・アダムス運輸大臣は,最近,事故防止のための安全ベルトと空気袋を用いた研究結果を発表した。その発表によると,自動安全ベルト(運転手の手をわずらわせる必要のないもの)が装備された自動車に乗っていた時の死亡率は,それほど使用されることのない標準的な安全ベルトのついた車の場合のわずか三分の一,空気袋の設備がある車に乗った時のそれは二分の一だった。操作する必要のないこれらのいわゆる“自動的な安全装置”を用いたなら,9,000人の死者と幾万人ものけが人を出さずにすんだだろうと同大臣は推測している。
アルコール中毒の“爆弾”
◆ ワルシャワの一ポーランド人科学者は,アルコールの消費量がいたるところで激増しているため,アルコールが人類にとって原爆よりも危険なものとなるかもしれないと言明している。ミコライ・トルカンは国際会議の席上,アルコール中毒について触れ,このアルコールの「爆弾はすでに秒読み段階に入っているが,それに気付く人はほとんどいない」と述べた。同氏の言葉によれば,ポーランドにおけるアルコールの消費量は5年間で35%増加した。人口3,500万人のうち300万人のポーランド人が毎日過度の飲酒にふけっていると言われる。5年間でアルコール消費量が一番増加したのは,60%のオランダだった。モントリオールのラ・プレス紙はカナダではアルコール使用量が爆発的に増加したと述べ,「我々はますます酒に入りびたるようになってきた」と付け加えている。
最大の特別保護区
◆ 世界最大の自然特別保護区がナミビア(南西アフリカ)に残されている。この地域は約228万ヘクタールで,米国イエローストーン国立公園の約二倍の広さがある。この地域をできる限り汚さないようにするため,旅行者の大規模なキャンプは許されない。この特別保護区はその西海岸の境界に魚や鳥の禁猟区があり,内地には,山,渓谷,森林,滝,砂漠がある。ヤマシマウマ,だちょう,ひょう,チータ,トビカモシカなどの動物の数は保護を与えれば急速に増加するものと期待されている。
人気のあるアーケード
◆ 米国には約1万9,000か所のアーケードや市の立つ広場がある。1960年代の後半から,気候の調節ができるように屋根の付いたアーケードが目立つようになってきた。それが現在では1,000を超えるようになった。都会からの人口流出によって,郊外のアーケードが増えている。アーケードという発想は30ほどの国々に広がり,ソ連では1980年の夏のオリンピックに向けて,モスクワの近郊に“大アーケード”を作る計画が進められている。
“旅行好きな”ドイツ人
◆ 米国人は世界で一番旅行する国民だろうか。そうではなく,ドイツ人と日本人がその双璧である。ルフトハンザ航空チャーター部門のマルテ・ビショフ博士は,「ドイツ人全体のうち約28%が少なくとも年に一回は外国旅行に出かけている。これと比べて英国人の場合は17%である」と述べている。同博士の言葉によれば,ドイツ人ほど外国旅行にお金をかける国民は外になく,昨年中の外国旅行に費やした金額は約108億㌦(約2兆1,600億円)に上り,「人口でドイツの3倍半もある」米国の旅行者が使った金額より340万㌦(約6億8,000万円)も多かった。ビショフ博士は,ドイツの旅行代理店が「旅行好きで富裕な国民」のために一役買っている,と述べている。