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経済の動向がだれにも分からない理由目ざめよ! 1975 | 5月8日
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うか。以上見てきたとおり,経済体制に終わりが来ることは確実なもののようです。問題はただいつ終わるか,ということです。
聖書を信じている人々は,経済体制に大きな調整が加えられるというだけでなく,世界の変化が近づいていることを知っています。世界的な体制は役に立たなくなって間もなく過ぎ去り,神のおつくりになる体制がそれに代わると聖書が述べていることを彼らは知っています。目下彼らは,彼らが住んでいる体制の影響を受けていることは明らかですが,この体制に信頼を寄せてはいません。(マタイ 6:9,10,19-34)彼らは別のところに,つまり神に,将来についての正確な理解を求めます。
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自分の考えをはっきり言い表わせますか目ざめよ! 1975 | 5月8日
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自分の考えをはっきり言い表わせますか
「あの人のように,自分の考えを言い表わせたらどんなによいだろう」。このように言ったことがありますか。もしそうでしたら,それはあなただけのことではありません。自分の考えをはっきり言い表わすのは容易なことではないと感じている人は今日少なくないからです。
ところが今や,物事をはっきり述べることは,かつてないほど必要とされています。実業家や従業員は特定の商品あるいはサービスの利点を顧客に納得させなければなりません。公開講演を行なう人は,啓発的で興味深い資料に聴衆の注意を引きつけなければなりません。親子は互いに自分の気持ちを通わせる必要があります。
自分の考えをはっきり言い表わせずに困っている人がたいへん多いのはどうしてでしょうか。どうすればこの問題を克服できますか。
明快な話し方の妨げとなるもの
時には感情が明快な話し方を妨げる場合があります。例えば,遊んでいてひどいけがをして泣き叫びながら家に飛び込んでくる子どもは,落ち着くまでは何が起きたのかはっきり話すことができません。何か新しい情報を知って興奮している人は「一気に話をしよう」として,結果としてはあいまいな話をします。実際に聴衆を前にして話をすると,時には緊張のあまりぼう然となる場合もあります。ですから,明快な話をするには感情を制することが関係しています。しかし,それがすべてではありません。
種々の考えが,明快な話し方を妨げる場合もあります。というのは,人の話す事がらは,考えている事がらを言い表わしたものにすぎないからです。考えが頭の中ではっきりしていなければ,話す事がらもはっきりしてはいません。一方,秩序だった,はっきりした考えがあれば,表現は明確なものになります。このことは一つの挑戦ともなります。それはどうしてでしょうか。
なぜなら,論議すべきある論題について考えると,おびただしい詳細な事がらが一度に頭に浮かんでくるからです。関係している人物,起きた事がら,時,場所など,あらゆる事がらがいっしょになってしまう場合があります。注意しないと,ただ思いつくまま話すことになり,結局わき道にそれたり後戻りしたりして,つじつまの合わない話し方をし,だらだらと長話をする恐れがあります。また,考えが混乱していると,「えー」とか,「あのー」とか,「えーと」というような耳ざわりで不必要なことばが出るようになります。会話を録音して聞き,自分の話し方で一番印象に残ったのは「えーと」ということばの連発だったのでがっかりさせられた人は少なくありません。読者にもそのような経験がありましたか。
考えを整理する
どうすれば明確な表現を生む整然とした考え方を展開できるでしょうか。単に思いつきの断片的な情報を述べるだけでは,聞き手を益することにはなりません。この点を忘れないでください。物事を明確に表現するには,前もって注意深く考えなければなりません。聖書は箴言 15章28節で,『義者の心は答うべきことを考う』と指摘しています。ウィリアム・G・ホフマン教授は,自著「上手な話の仕方」の中で,人前での話し方についてこう書いています。「上手な話し手は,家でも事務所でも歩道でも,つまり演壇以外のどこででも夢中になって本格的な思索を行なう。熟考し,再考し,計画することによって初めて良い話ができることを知っているのである」。
事前に考えるとはいっても,一度にあらゆる方向に考えを向けるのではなく,むしろある一定の型に従って考えるべきです。ホフマン教授はこう続けています。「良い話とは多くの点を漠然と取り上げたものではなく,深く掘り下げた話である。それは,『例えば?』というような疑問に答えようとする話であって,ある点を取り上げたかと思うとすぐその点から話を移して次の点を取り上げるようなことはしない」。
では,どうすればそのような具体的な情報を集めることができますか。講演者あるいは作家として成功している人の中には,英国の作家ラジャード・キップリングが述べた次のような六つの項目のもとに事実を分類するよう勧める人が少なくありません。
「私には六人の誠実なしもべがいる。
(私の知っていることはすべて,彼らが私に教えてくれたのである)
なに,なぜ,いつ,
どのように,どこ,だれ ― これが彼らの名前である」。
これら六つの疑問を考慮すれば事実を把握することができます。これらの点を事前に(できるだけ)別個に詳しく取り扱っておけば,話し方は秩序立った明快なものになります。もちろん,たいていの人は一度にある事がらの一つの面を考え抜くということに慣れてはいません。しかし,そのような能力を培うことができます。そうすれば,やがてひとりでに物事を明確に考えて,はっきりと表現できるようになります。しかし,これだけでは,自分の言うことを聞き手に必ず理解してもらえるとは言えません。どうしてでしょうか。
あなたの聴衆に話してください
また明快な話をするには,自分が話しかけようとしている聴衆のタイプを知っておくことも必要です。一つの論題にしても,人はそれぞれ関心を持つ点が異なっていますから,それに応じて論題の展開の仕方を考慮する必要があります。ある出来事について述べるのであれば,“何”が起きたかを知るだけで満足する人もいます。しかし,何らかの行動を取るよう説得したい場合には,恐らく“なぜ”かという点を強調しなければならないでしょう。他の人々はその出来事の起きた場所や時間その他の事情について知りたいと思っているかもしれません。
このことに関連して,自分が話そうとしている論題に関し聴衆がすでにどの程度の知識を持っているかを知ることも必要です。この点を例えで考えてみましょう。ある場所へ行く道順を人に尋ねられたとします。その場合,まず最初に,「本町通りをご存じですか」などと聞いてみるでしょう。相手がそれを知っていれば,そこからの道順を説明します。しかし知らないなら,そこに行くまでの道順をも教えなければならないでしょう。同様に,自分の考えをはっきり述べようと努力するさいには,次のように自問するのはよいことです。聞き手はこの問題についてすでにどの程度知っているだろうか。これらの点をはっきり伝えるには,どんな基礎を据える必要があるだろうか。
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