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「千年」― 見せかけの希望ではない神の千年王国は近づいた
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地パトモス島に幽閉されたひとりの男の人によって書き記されました。それは現に存在する場所で,伝説めいたところは少しもありません。その流刑囚は若いころ,当時のローマ領ガリラヤ州のガリラヤの海の漁師でした。彼はゼベダイの子ヨハネで,その漁師の兄弟はヤコブです。ヨハネは啓示の書を霊感を受けて記したと,その冒頭で述べていますが,それは何に関する啓示もしくは覆いを取り去る書ですか。今日のわたしたちの関心をそそるその答えを解くにさいして,その書に対する責任をヨハネがだれに帰しているかに注目しましょう。
21 ヨハネは冒頭で,啓示の書に対する責任をだれに帰していますか。
21 「これは神によりイエス・キリストに与えられた啓示である。それが彼に与えられたのは,まもなく起こるはずの事を彼がそのしもべたちに示すためであった。彼はその使いを遣わして,そのしもべヨハネにそれを知らせた。ヨハネは,自分の見た事をすべて告げるにさいして,神のことばとイエス・キリストの証言との証を行なった。この預言のことばを読む者と,それを聴いて,そこに書かれている事に注意する人たちは幸いである。成就の時が近いからである」― 啓示 1:1-3,新英語聖書(1970年)。
22 今日のわたしたちにとって,「成就の時が近いからである」ということばには,なぜ感動させるものがありますか。
22 およそ19世紀前に書かれた前述の「成就の時が近いからである」ということばには,西暦20世紀の今日のわたしたちを感動させるものがありますか。確かに時間の観点から評価すれば,およそ1,900年を経た後の今日,とりわけ予告された「千年」が始まるまでに,「まもなく起こるはずの事」が起きても早すぎはしないでしょう。問題の千年とその直前の期間に関するヨハネの記述を読めば,その始まりの時をよりよく確定できます。では,啓示 19章11節(新英)から読んでみましょう。
23 白い馬の乗り手をはっきり見分ける特色を挙げなさい。
23 「また,私は広く開かれた天を見た。すると,私の前には白い馬がいた。それに乗った方の名は,忠実また真実と称えられた。彼は正しく裁き,正しく戦う方だからである。その目は火のように燃え,その頭には数多くの王冠があった。その身には,ご自身のほかはだれにも知られていない名が書かれていた。彼は血に染まった衣をまとっていた。彼は神のことばと呼ばれた。天の軍勢は,清くて輝かしい,上等の亜麻布を着て,白い馬に乗って彼に従った。彼の口からは,諸国民を打つための鋭い剣が出ていた。この方こそ,鉄の杖をもって彼らを支配し,主権者なる主であられる神の憤りと懲罰の酒ぶねを踏む方だからである。その長服にも,そのももにも,『王の王,主の主』という名が書かれていた。
24 (イ)中天を飛んでいる鳥はどんな招待を受けましたか。(ロ)戦いに加わった者たちはどうなりましたか。
24 「また私は,太陽の中にひとりのみ使いが立っているのを見た。彼は,中天を飛ぶすべての鳥に向かって大声で叫んだ。『さあ,来て,神の大いなる夕食に集まり,王たちや司令官たち,また戦士たちの肉,馬とその乗り手たちの肉,奴隷と自由人,大いなる者と小さい者などすべての人の肉を食べよ!』 また私は,地の王たちとその軍勢が召集されて,馬に乗った方とその軍勢と戦いをまじえるのを見た。すると,獣は捕えられた。また,獣の前で奇跡を行なって,獣の印を受けた者とその像を拝んだ者たちを迷わしたその偽預言者も,同様に捕えられた。彼らは両方とも,硫黄の燃えている火の湖に,生きたままで投げ込まれた。残りの者たちは,馬に乗った方の口から出る剣で殺された。そして,すべての鳥が,彼らの肉をたらふく食べた。
25 次いで,悪魔サタンはどんな処置を受けましたか。それはいつまで続きますか。
25 「また私は,ひとりのみ使いが底知れぬ所の鍵と大きな鎖を手にして,天から下って来るのを見た。彼は,悪魔またはサタンである竜,つまりあの年経たへびを捕えて,千年の間縛った。そして,彼を底知れぬ所に投げ込んで,そこを閉じ,その上に封印して,千年の終わるまでは,彼がもはや諸国民を唆すことのないようにした。そののち,サタンはしばらくの間,解き放されねばならない。
26 天に見えた数々の王座にはだれが座していますか。彼らは何を行ないますか。
26 「また私は,数々の座を見た。そして,その上に,裁きをする権を委ねられた者たちが座した。また私は,神のことばとイエスに対する証言のために首をはねられた人たち,つまり獣やその像を拝まず,その印を額または手に受けなかった人たちの魂を見ることができた。それらの人たちは生き返って,キリストとともに千年の間王となったが,残りの死人は,千年の終わるまでは,生き返らなかった。これが第一の復活である。この第一の復活にあずかる者は確かに幸いであり,神の民のひとりである! この人たちに対しては,第二の死は何の力も持っていない。かえって,彼らは神とキリストとの祭司となり,彼とともに千年の間統治するのである。
27 地上では,サタンの解放に続いて何が生じましたか。彼はどうなりましたか。
27 「千年が終わると,サタンはその牢から解き放され,出て行って,地の四方にある諸国民,すなわちゴグとマゴグの大群を唆し,戦いのために彼らを召集する。その数は海辺の砂のようである。そこで,彼らは地の広い所を進んで来て,神の民の陣営と神の愛しておられる都とを包囲した。しかし,火が天から彼らの上に下って来て,彼らを焼き尽くした。そして,彼らを唆した悪魔は火と硫黄との湖に投げ込まれた。そこは獣も偽預言者も投げ込まれた所で,そこでは永遠に昼も夜も責め苦しめられるのである」― 啓示 19章11節から20章10節まで。
28 (イ)それで,その千年はどんなできごとの後に始まりますか。(ロ)では,どうしてその千年は明らかにこれから始まるといえますか。
28 この記述の中には「千年」という表現が6回出ていることに気づきます。また,その千年は,「王の王」と,「獣」や「偽預言者」それに「地の王たち」との間で戦いが行なわれ,次いで悪魔サタンが鎖でつながれ,底知れぬ所に投げ込まれた後に始まることがわかります。こうしたできごとは,「まもなく起こるはずの事」の一部です。これまでのところ,世界にはそうしたできごとに匹敵する事がらは何も生じていません。したがって明らかに,その「千年」はこれから始まるに違いありません。それは正確に計れない漠然とした長い期間を意味してはいません。それは文字どおりの千年です。
29 その千年に関してはどれほどの長さの期間が,証明ずみの神の時間表とよく合致しますか。
29 その千年は無期限の期間を表わすと主張する研究者は,神がご自分の新たに組織されたエルサレムのクリスチャン会衆に聖霊を注がれた西暦33年のペンテコステの祭りの日に,その期間が始まったと言います。しかし,そのような議論は結局厄介な問題に直面し,クリスチャン会衆が霊的に生気を得たペンテコステのその日以来今日までの1,940年余の全期間中,霊によって生み出されたクリスチャンに実際に起きた事がらに反する説明を試みるものとなります。字義どおりの千年期は,証明ずみの神の時間表とよく合致します。
30 わたしたちはどうしてその千年の期間の預言的な光景を調べずにはおられませんか。
30 その千年がこの地に招来する事がらは,人類の世の永遠の生活と幸福にとって必要不可欠です。では,使徒ヨハネがわたしたちのためにたいへん美しく描写した驚嘆すべき千年期の預言的な光景を,どうして早速綿密に調べないでおれるでしょうか。
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その千年に先だって起こる,天と地との間の戦い神の千年王国は近づいた
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2章
その千年に先だって起こる,天と地との間の戦い
1 (イ)啓示の書によれば,至福千年期が到来するに先だってどんな戦いが起きるはずですか。(ロ)その戦闘は明らかになおわたしたちの前途にあります。それはなぜですか。その戦いに対してどんな態度を取るべきですか。
わたしたちは,その千年に関して使徒ヨハネが自ら先見した事について描写した記述を少し前に読みましたが,その期間に関してはそうしたすばらしい事がらが予告されているので,それは至福千年期とも呼ばれています。とはいえ,ヨハネはその輝かしい至福千年期の直前に起きる事がらとしてどんな事を描写しましたか。天の軍勢と地上の人間の軍勢との間の戦闘を描きました。クリスチャン会衆が命を与える神の霊によって生み出されて霊的に生気を得た西暦33年のペンテコステの祭りの日以来今に至るまで,そのような戦いは起こりませんでした。確かにイエス・キリストはその祭りの時,つまりヨハネが「まもなく起こるはずの事」に関する啓示を得る60余年前,天で神の右におられました。(啓示 1:1,2,新英)しかし,ヨハネが啓示を得た後の時代でさえ,「王の王」と「地の王たち」との間のそうした戦闘は起きませんでした。それはなお前途にありますから,わたしたちはその事前の記述に関心をもつべきです。それは真向から近づいているからです。
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