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    目ざめよ! 1980 | 9月22日
    • が20分も続いたでしょうか。私の腕は震えていました。手は色を失って,青く変わってきました。突如,ワシはニワトリの頭をのみ下し,締めつけていた圧力が抜けました。ハーピーにとっては何事もなかったのですが,おかげで私の腕は何日も使いものになりませんでした。

      「動物にして差しつかえない事柄と禁物な事柄を細かい点まで習得するには,何年もかかります。動物の種類が違えば,性質も違ってきます。一部の動物は,しかって訓練できます。ライオンやトラは,どちらかと言うと犬に似た反応を示します。ですから,言うことを聞かなければ,たたいてしかることさえできるでしょう。ところが,オオカミや猛きん類を打つのは禁物です。これらの動物は,力ずくの訓練に応じません。また,こわがらせようとすることもいけません。

      「経験を積んだトレーナーが,オオカミをたたこうとしてきばを立てられた場面を目撃したことが何度かあります。トレーナーは,『きのうライオンにそうして,効果があった』と考えて,オオカミにこん棒を振るうかもしれませんが,オオカミにこの手を試みるなら,相手にかみつかれることになるでしょう。オオカミにはこの種の扱いは通用しないのです。猛きん類も同じで,くちばしをぴしっと打ってしかることはできません。人間と猛きん類との間に親密な関係を築くには,平和的手段による以外にありません。どんな不意の動きも,鋭い言葉もいけません。相手は,あなたに対して安心感を抱いていなければならないのです。これが飼育に成功する唯一の方法なのです。

      「同時に,どの野生動物も人間の訓練に応じると期待するのは無理です。私が扱った猛きん類のほとんどは,自分が原野で捕獲したものです。タカ10羽ないし12羽を捕らえると,それを家に持ち帰り,どれとどれが傷つけずに仕込みに応じるか,候補をえり分けます。それから,残りの鳥は放してやります」。

      ラリーとクリスが相手にしたのは,大半がライオンとトラでした。

      「ライオンは気むずかし屋です」とラリーは説明を続けます。「煩わされるのを好みません。日中,熱いころは特にそうです。トラが相手なら,1日中でも取っ組み合いできるでしょう。でも,まっぴるまからライオンとたわむれようとするなら,一人相撲をとることになります」。

      二人が自然公園で働いていたころ,ナジという名のお気に入りのベンガル・トラがいました。

      「ナジは冷静で泰然自若としたところがありました。この雄の虎は,そこらを歩き回るのが何よりも好きでした。本当に穏やかなトラでした。日ごろ行なわれるどんな訓練や役目を課されても受け入れました。強いられることがないのを知っていたからです。ナジは島を自分の思うままに歩き回りました」。

      「ナジがどんな風にあなたを護衛してくれたか,話してみたら?」 クリスはこううながしました。

      ラリーは話を始めます。「そこにはバグダッドという名の別のトラがいました。バグダッドはナジと異なり,攻撃的で,いたずらっ子で,こっそりやるようなところがありました。この雌のトラは,島を忍び足で歩き回り,物陰にひそむ習性がありました。だれかがそばを通ると,背後から飛び出して襲いかかるのです。見物人はそれを目撃すると,心臓が止まらんばかりのショックを覚えるものですが,あのトラは家の飼い猫みたいなものです。ただ百数十㌔に大きくなりすぎただけなんです。あのトラは,相手の人間を押し倒すと,両のかかとを空中で打ち鳴らし,走り去って行きます。ところが,もしナジが近くにいると,ナジはその跡を追い掛け,バグダッドの行く手をさえぎって,2頭で騒々しい争いを始めます。バグダッドは逃げ去り,ナジは近寄ってきて,私にすり寄ったものです。

      「島にはシャンティーと呼ぶシベリア産のトラもいました。斜視の雌トラでしたが,私を見かけると疾走して来ます。そして,3㍍ほど右か左に目標をはずしたとみるや,反対側で大きく弧を描いて向きを変え,今度は私の上に的確に飛び乗ったものでした。このトラはふざけるのが好きでした。私が何かをやろうという気分になると,すぐにシャンティーはその気配を察して,先に立って行ったものです。

      「もう一頭のシベリア産のトラは,大きな雄で,体長3㍍,高さ1.2㍍,体重270㌔を超えるものでしたが,大好きなスポーツがありました。背中に乗られるのを好んだのです。ことの起こりは偶然の出来事でした。ショウが行なわれる舞台である日このトラはしゃがんでしまいました。私が歩み寄り,抱いたりなでたりしながら愛情を示し,片方の足をその背中に投げ出しました。ところがトラはやにわに立ち上がったので,私はその背中に乗っかってしまいました。見物人からは,期せずして一斉に拍手がわき起こりました。それが演技だと思ったのです。このトラは舞台を1周か2周すると,トンネルをロケットのように走り抜けました。それ以後というもの,私は公園でもどこででもこのトラの背にまたがり,疾走するその背から急速に遠ざかる観客の姿を見たものです。シベリア産のトラの背に乗ったことのある人は,余り多くありません」。

      しかしこのトラは,体重360㌔,体長4.5㍍にもなり,大きくなりすぎました。シベリア産のトラは,陸上に住む肉食動物の中ではもっとも大きい動物のひとつであり,例外はありますが,きわめて気むずかしく,親しくなるのは至難のわざです。タイタス夫婦は,このトラと別れるのを残念に思いましたが,管理者側は結局,このトラを中国に送ってしまいました。

      愛情による訓練

      ラリーはこう説明を続けます。「私たちの見せるショウは,動物園やサーカスで行なわれるものとは違い,タイガー・アイランドの自然のままの生活環境の中で行なわれました。私たちは普通,動物たちを子供の時から育てました。動物たちを走り回らせ,たわむれ遊ばせてから,そのありのままのふるまいを基本にしてショウを行なわせます。個々の動物に何かの特色を見いだすと,いつもそれを強化するようにしました。このやり方で,動物は命令の90%を習得しました。もしある動物が,ころげ回って細い棒とたわむれるのが大好きなら,ころがるたびに私たちからえさがもらえることを学ばせます。もしある一定の姿勢を取りたがる動物がいるなら,そうするたびにごほうびが与えられます。このような方式を愛情による訓練と呼びます。

      「愛情による訓練は,野生動物の持って生まれた性質の中から最善のものを引き出します。サーカスの演技は概して最悪です。皆さんはサーカスの舞台のライオンや虎が,むちや椅子や銃に向かってうなり声を上げているのを見たことがあるでしょう。動物たちは棒で駆り立てられて,どう猛さを強調するショウを演じているのです。人間の演技者たちは,動物が危険で狂暴であることを観客に印象づけようと望んでいます。

      「サーカスの舞台裏で,私はトレーナーたちが動物に向かって叫んだり突ついたりして,興奮させているところを目撃したことがあります。食べ物を十分与えず飢えさせ,ショウを面白く盛り上げようとしているところも目撃しました。動物たちがもしうまく割当てを果たすと,多分,えさが与えられるのでしょう」。

      ところが,タイタス夫婦が動物たちを相手にする時は,独立した専門トレーナーのようになり,情況はもっと楽しいものになります。

      ラリーが口を開きます。「たとえば,“サイレンス”という題名の映画で,私は動物たちを扱ったことがあります。映画にはクマ,野獣の子,ヤマアラシ各1頭,それにコヨーテ2頭が必要でした。脚本は自然なふるまいを求めるものでした。動物たちはA点からB点へ,あるいはC点からD点へ移動するといったものでした。私の仕事は,それぞれの動物ごとに,食べ物に到達するルートをしつらえ,綱につないだ動物を連れてそのにおいをつけたルートに沿って何度か歩くことでした。その前夜,えさを与えずにおいたので,動物たちは脚本の指示と全く同じように,食べ物に至るルートを熱心に走りました。ひとつの場面では,ヤマアラシが俳優のウィル・ギアを小屋から追い出し,これを追って丘をかけおりるというものでした。ギアのやることと言えば,食べ物のルートの上にいたヤマアラシの前に現われることだけでしたが,これで追跡がスタートしたのです」。

      クリスは自分と夫の現在の心境と希望を次のようにまとめました。

      「野生の生物が自然の生息環境の中にいるのを見ていて,後にそれらが連れ去られ,人間の重罪人のように動物園やサーカスの檻の中に閉じ込められるとするなら,悲しい思いになるのではありませんか。動物と一緒に様々なことをしましたが,これは,キリストの王国の下に建てられる地上の楽園に関する神の言葉の真理を受け入れる上で大いに役立ちました。

      「イザヤ書 11章6-9節に述べられている,動物たちの約束された状態について学び,私たちは心がときめくのを覚えました。そこには,あらゆる種類の動物が共に住み,幼い子供がそれを導く平和な様子が予告されています。これによって,エホバが人類のために備えてくださっている事柄をさらに学びたいという気持ちになりました。確かにエホバは,動物というすばらしい創造物に対する私たちの愛を理解しておられ,こうした夢のような約束をしてくださったのです。

      「動物たちと一緒に暮らしたのはしばらく前のことですが,私たちはしばしば戻っては動物たちに会っています。ベンガル・トラのナジなど,あるものは私たちのことを覚えています。

      「エホバが新しい体制の中に私たちのための場所をもうけてくださり,動物たちを相手にできるようになることを希望し,祈り求めています。野生動物であれ家畜であれ,動物たちは人間の世話を必要とすることでしょう。新しい体制に対する私たちの期待は,まことに大きいものがありますが,私たちが神の義の新秩序の中で行なうことは何であれ,私たちの心の願いを満たしてくれるものとなることを私たちは知っています。

      「私たちが新秩序に関する真理について学び知るようになったのも,ラリーの双子の兄弟で1年前に死の眠りについたギャリーの助けがあったおかげです。ギャリーは,これまでラリーと一緒にやってきたように,もう一度サイの背に乗り,ライオンを抱きしめてかわいがることのできる日の到来を待ち望んでいました。

      「ですから,私たちがどんなに期待に胸をふくらませているかがお分かりでしょう。従順な人類すべてにそのような幸福を約束してくださるとは,なんと愛ある創造者なのでしょう」。

  • 危機にひんするパンダ
    目ざめよ! 1980 | 9月22日
    • 危機にひんするパンダ

      ● パンダは竹を食べて生きているが,ニュー・サイエンティスト誌によれば,中国の四川省で多くのパンダが「餓死した。パンダの好物である竹の繁殖の仕方が変わっているためである」。ある種の竹は草のような繁殖の仕方をし,タケノコつまり分枝系をあらゆる方向に伸ばす。それらの竹の分枝系の中には,100年かそれ以上の期間にただ一度だけ花をつけ,実を結んで枯死するものがある。それがパンダの食糧供給に問題となる。人間が侵入して来たためにパンダは,古さの異なる多くの竹林から自由に食糧を得ることができなくなっているからだ。

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