-
『あなたの御心が成るように』ものみの塔 1959 | 6月1日
-
-
の人は,ヱホバ神の御手を抑止したり,又は『汝なにをするのか』と挑戦の言葉を語ることができないからです。
18 聖書の見地から歴史を見るとき,人類に王権を与えることについては何が示されますか。ネブカデネザル自身の例は,その事実をどのように示しましたか。
18 聖書の見地から世界の歴史を見るとき,天から降つてきた『聖者』なる『警護者』の言つたことの真実さが示されます,すなわち最高の神ヱホバは,御自分のみこころのままに人に国を与えるのであつて,人々や独裁者の思う通りの人に国を与えないということです。バビロンの王ネブカデネザルの場合,ヱホバは彼を御自分の刑執行者に用いて不忠実な昔のイスラエルの国民に当然の罰をもたらしました。そして,ネブカデネザルに与えられた神のむくいは,彼を世界の支配者にならせることでした。かくして『諸国民の定められた時』は始まつたのです。予言者ダニエルは,金の頭を持つ偶像の意味を解釈したときに,ネブカデネザルにそう告げました。ネブカデネザルは,夢の中でその偶像を見ましたが,目が覚めたときにそのことを忘れたのです。ダニエルは次のように言いました,『王よ,あなたは諸王の王であつて,天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜いまた人の子ら,野の獣,空の鳥はどこにいるものでも,みなこれをあなたの手に与えて,ことごとく治めさせられました。あなたはあの金の頭です。』― ダニエル 2:36-38,新口。
19 その言葉と一致して,ヱホバは最高者が人類を支配する御国を与えると示すため,エゼキエルを用いて王なるゼデキヤに何と言いましたか。
19 その言葉どおり,ヱホバはネブカデネザルを用いてユダにあつた御自分の模型的な国を覆えしました。それで,エルサレムの模型的な『ヱホバのみくら』にすわつたゼデキヤ王に向い,ヱホバは次のように言われています,『かぶり物を脱ぎ,冠を取り離せ。すべてのものは,そのままには残らない。卑しい者(非ユダヤ人)は高くされ,高い者(ユダヤ人)は卑しくされる。ああ破滅,破滅,破減,私はこれをこさせる。私が与える権威をもつ者が来る時まで,その跡形さえも残らない。』(エゼキエル 21:31,32,リーサー訳。21:26,27,新口)ヱホバ神は,御自分のみこころに従つて与えられます。
時と季節を変える
20 ネブカデネザルの忘れた夢についての註の中でダニエルの言つたごとく,ヱホバはキリスト前607年に時と季節をどのように変えましたか。
20 ヱホバ神が,ネブカデネザルの忘れた夢とその意味をダニエルに啓示して後,その変化はダニエルの言つた通りに起りました。『ダニエルは言つた,「神のみ名は永遠より永遠にいたるまでほむべきかな。知恵と権能とは神のものである。神は時と季節とを変じ,王を廃し,王を立て,知者に知恵を与え,賢者に知識を授けられる。神は深妙,秘密の事をあらわし,暗黒にあるものを知り,光をご自身の中にやどす。』(ダニエル 2:20-22,新口)キリスト前607年,彼は時と季節を変えました。神は,地上における神の模型的な国の時から,非ユダヤ人の世界勢力による最高支配の時,すなわち『諸国民の定められた時』に変えました。神は,特定な時である『季節』を変えました。キリスト前607年の秋に神はこの変化を始めました。その後の2520年のあいだ,異邦人の世界勢力はエルサレムでのダビデの模型的な国の干渉を受けませんでした。エルサレムの『ヱホバの座位』にすわつて,そのような干渉をしたダビデ王の後継者は一人もいませんでした。
21 ネブカデネザル自身の場合と彼の王朝の場合,およびバビロン人の世界支配の場合,ヱホバは変化をなさしめる能力を,どのように示しましたか。
21 ヱホバは変化をなさしめる力を持つています。それの別の例として,彼はネブカデネザルをバビロンの王座から『七つの時』のあいだ,すなわち7年間,取りのぞきました。後日,神はその特定な時に,ネブカデネザルの王系に属するカルデヤ人の支配者の王朝をバビロンの王座から取りのぞきました。それより185年以上のむかしからキリスト前539年に,神がその名前を予言しておられた者,すなわちペルシヤのクロス大王によつてバビロンの帝国を覆しました。神は予言者イザヤを通して,次のように言われていました,『われヱホバわが受膏者のクロスの右手をとりて,もろもろの国をその前に降らしめ,……わが僕ヤコブわが選みたるイスラエルのために,我なんじの名を呼べり。汝われを知らずと言えどわれ名を汝にたまいたり。』(イザヤ 45:1,4)それでバビロン人による支配の時は,ペルシャによる支配の時に変りました。
22 ユダヤ人の捕われとユダの荒廃について,ヱホバは時間通りにどのように変化をいたしましたか。そして,クロスの勅令は,この事柄についてのヱホバの責任をどのように示しましたか。
22 クロス大王がダニエルの民の福利を図り,バビロンに対する神の報復をするため,ヱホバはペルシャ帝国の支配者の地位に彼を即けました。エルサレムとその宮が滅亡してから丁度70年目に,ヱホバはクロスを感動し,捕われのユダヤ人をバビロンから解放して彼らの故郷に帰らせ,そしてエルサレムとその宮を再建させる勅令を出させました。それで,神のみこころにしたがい,又その季節である特定な時にしたがい,エルサレムの荒廃の時と,バビロンでのイスラエルの捕われの時は変りました。(イザヤ 44:28; 45:13。エレミヤ 25:12-14。歴代志略下 36:22,23)その宮の勅令は,このことについてのヱホバの責任を表わし示しました。それは,次のように述べていたからです,『ペルシャ王クロスはこのように言う。天の神ヱホバは地上の国々をことごとく私に下さつて,ヱホバの宮をユダヤにあるエルサレムに建てることを私に命じられた。あなた方の中,その民である者はみなその神の助けを得て,ユダにあるエルサレムに上つて行き,イスラエルの神,ヱホバの宮を復興せよ。彼はエルサレムにいます神である。」』(エズラ 1:1-3,新世)それで,ヱホバ神にこの奉仕を行つたクロスは,報いを受けたのです。
23 生ずる予定になつていた時と季節の変化は,何にしたがつて生ずるべきでしたか。そして,なぜそうですか。
23 しかし,時や季節は更に変化をなし,王たちは取りのぞかれたり,立てられたりしました。それは,人間の意志によるものでなく神のみこころによるものでした。神は人間の事柄におけるこれらの変化を許したのです。全くのところ,彼はそれらのことを予めに告げました。それで,神の先見は正しいものと証明されたのです。
24 ダニエル書の中だけでも,ヱホバは第6番目の世界勢力までの世界支配の変化を,どのように予めに告げましたか。第6番目の世界強国中のどんな著名な誕生は,変化がヱホバの定められた時にあることを示していますか。
24 ダニエル書内のすくなくとも4つの予言の中で,第4番目の世界勢力であるペルシャ帝国の王朝が終つて,マケドニヤの帝国すなわちギリシャの帝国が歴史上の第5番目の世界勢力になると,ヱホバは予めに告げられました。このことは,ギリシャ語を話した有名なアレキサンダー大王の時に成就されたのです。彼はペルシャ帝国の全領域を急速に席巻して,その全部を併有してしまいました。このマケドニヤの世界支配者の死後に分裂して生じた帝国は,時経つ中に第6番目の世界強国ローマ帝国によつて併呑されました。これも又,変化に対するヱホバの定めの時であつて,ヱホバの民の状態は変化し,また世界支配者にも変化は生じました。それで,ローマの世界強国が一つの勅令を出したとき,イエスの母親は余儀なくダビデの誕生地であるベツレヘムに行きました。かくして,神の子が人間として生まれることについての預言は成就したのです。(ミカ 5:2。マタイ 2:1-6。ルカ 2:1-20)このすべての事は,間ちがえることのないヱホバ神の先見と,失敗することのないみこころをすばらしく表わし示しているものです。
25 ヱホバの御使は,世界支配のどんな一層の大変化を,ダニエルに予め告げましたか。それで,その世界強国は,どんな最重要の決定をしなければなりませんか。
25 しかし,ヱホバの御使は更に大きな変化をダニエルに予めに告げて説明しました。それは,ローマ帝国から最大の地的な帝国,すなわちアメリカ合衆国という密接な仲間を持つ大英帝国です。この両方の政治強国は第7番目の世界強国をつくりあげています。いわゆるクリスチャンと言われるこの世界強国は,1914年に世界を支配していた強国です。それですから,その重大な年に天に設立された神の御国に関して,それは最も重要な決定をしなければなりません。
26 ヱホバの先見は,『終りの時』の世界の発展について,何を予めに見ましたか。
26 神の先見は,更に将来を見透して『終りの時』まで見透したのです。そして国際的な平和制度である国際連盟の形成やその他,そして又国際連合としてのその再生をも予めに見ました。ヱホバの御使は,世界の共産主義の進歩をもダニエルに予め告げました。世界の共産主義は,非常な力を得て,強力な第7次世界強国と現在の国際連合である第8次世界強国に挑戦をするでしよう。
27 世界的な変化がどれ程大きなもの,広範囲なものであろうとも,ネブカデネザルの夢についてのダニエルの註が示すごとく,これらのものはみな何によつて生じましたか。
27 まつたくのところ,幾世紀をも経て現在にいたるまで世界の状勢は広範囲な大きな変化をしてきました。しかし,これはみな最高の神の先見によるもの,そして神御自身の時と季節にしたがつてなされたものです。神はそのすべてを予めに見ました。神は何物によつても御自分の目的を阻止せしめなかつたのです。いまから幾千年もの昔,これらの事柄はみな人間の心には理解できませんでした。ダニエルに与えられた予言には,部分的な説明がついていましたが,彼は『私はこれを聞いたけれども悟れなかつた』と言いました。(ダニエル 12:8,新口)ネブカデネザルは金の頭の偶像について夢を見ましたが,神はそれについての劇的な説明をダニエルに啓示しました。ダニエルは,神の啓示し給うたことから神の先見を深く探り知ることができたのです。それで,ダニエルは次のように言いました,『(神は)暗黒にあるものを知り,(これらの事についての)光を御自身のうちに宿す』神の民にたいし,『神は深妙,秘密の事をあらわし』。
28 ヱホバの支配権および支配権を与え得る能力を支持するものとして,ダニエルは地上における最大の変化をどのように予めに告げましたか。
28 あらゆる変化の中でいちばん大きな変化として,『いと高き者が人間の国を治めて,自分の意のままに,これを人に与えられる』という真理が最高潮に達します。神の時および神の季節にしたがつて,ヱホバは最大のいちばんすばらしい変化を行います。ダニエルは,そのことを予めに告げるように霊感を受けて,こう語りました,『それらの王たちの世に,天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく,その主権は他の民にわたされず,かえつてこれらのもろもろの国を打ち破つて滅ぼすでしよう。そしてこの国は立つて永遠に至るのです。』― ダニエル 2:44,新口。
29-31 なぜ人間の国の上に立てられる『人のうちの最も卑しい者』は,英米世界強国をも意味せず,また世界の共産主義をも意味しませんか。
29 いまから2500年以上のむかし,ダニエルはこのすばらしい変化を予めに告げました。今日,私たちはその真只中に生活しています。私たちの時代の中にヱホバは『人の中の最も卑しい者』と呼ばれる者を人々の国の上に立てます。この『人のうちの最も卑しい者』とは誰ですか。
30 現代,民主主義と共産主義はおたがいに熱い戦いをしています。民主主義は身分の低い一般人のものです。しかし,この『人のうちの最も卑しい者』は,民主主義の強力な擁護者である英米世界勢力ではあり得ません。歴史上,この第7番目の世界強国は『人のうちの最も卑しい者』ではないと,ヱホバの予言により削除されています。ヱホバの予言は,次のように述べていました,『彼はいと高き者に敵して言葉を出し,かつ,いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。……(この世界強国は)みずから高ぶつて,(天の)その衆群の主に敵し,その常供の燔祭を取りのぞき,かつその聖所を倒した。』― ダニエル 7:25; 8:11,新口。
31 一方,ロシヤの共産主義はプロレタリア階級,つまり資産のない階級の支配と主張されています。しかし,『人のうちの最も卑しい者』は不敬虔な世界共産主義の制度でもあり得ません。世界支配をしつように狙うその政治運動は排斥されています。ヱホバ神の御使は,そのことについて次のように述べました,『(彼は)その心のままに事をおこない,すべての神を越えて,自分を高くし,自分を大いにし,神々の神たる者にむかつて,驚くべき事を語り。……彼はすべてにまさつて,自分を大いなる者とするからです。彼はこれらの者の代りに,要害の神をあがめ,金,銀,宝石,および宝物をもつて,その先祖たちの知らなかつた神をあがめ,異邦の神の助けによつて,最も強固な城にむかつて,事をなすでしよう。そして彼を認める者には,栄誉を増し加え。』(ダニエル 11:36-39,新口)それらの予言的な描写は,英米世界勢力にも,また現代の挑戦者である共産主義にも謙遜な心のないことを予めに告げました。
32,33 誰が真実に『人の中の最も卑しい者』ですか。この事実は,どのように証明されましたか。
32 真実のところ『人のうちの最も卑しい者』は,他のものと比較できないものです。彼は非常に卑しい者ですが,堕落した人ではありません。天にいる者でも,地上にいる者でも,神の栄光の為と人間の永遠の福利のために,この者ほど自分自身をいやしく低くすることはできません。なぜですか。なぜなら,自分の心がどれ程ひくいかを示す前に,彼は天の霊者として神のかたちで存在していたからです。彼は最初に生まれた神の子,独り子でした。そして,天にあるものも地にあるものも,他のすべてのものは彼を通してつくられました。
33 彼はヱホバ神のつくつたものの最初でしたが,神の地位を横領して,神と等しい振をしようなどと考えませんでした。彼は自分を高めて天の『衆群の主』になろうとせず,また『神々の神』ヱホバ『にむかつて驚くべき事を語り』ませんでした。それとは逆に,聖書は次のように述べています,『(彼は)自らを空しくし,僕のかたちをとられ,人間の様をなして生まれ給うた。そして,自らをひくくして人の像をもつて現われ,死にいたるまで,苦しみの杭の死にいたるまで従順であられた。』(ピリピ 2:5-8,新世)彼は,つかれて荷を負う人に,自分のところに来て休むようにと招待したとき,自分自身について正直に語りました。彼は強圧的で圧迫を加えるということとは全くちがい,『私は柔和で心のへりくだつた者である。』と言いました。(マタイ 11:28,29,新口)自分の神でもあり天的な御父であられる方の御心に謙遜に従つたイエスは,弟子たちに次のように祈れと教えました,『天にいますわれらの父よ,御名があがめられますように。御国が来ますように。みこころが天に行われるとおり,地にも行われますように。』― マタイ 6:9,10,新口。
-
-
神の御こころは天と地で成されるものみの塔 1959 | 6月1日
-
-
神の御こころは天と地で成される
1 イエスがその大工の店から出て洗礼者ヨハネのところに行つたのは,何によりましたか。
人々にさげすまれていたガリラヤ内の一地方にあつた辺鄙なナザレの町で,イエスは30歳まで大工をしていました。当時ローマは第6番目の世界強国として地を支配していました。イエスはその大工の仕事場,人目に立たない存在から出
-