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  • 資源不足はどれほど深刻か
    目ざめよ! 1975 | 3月8日
    • そのため,これらの国は原材料の深刻な不足に悩まされており,その不足はしだいに深刻化しています。

      膨大な需要

      以前,人類家族が主として農耕生活を営んでいたころ,地球の資源に対する需要はごくわずかでした。しかし,数世紀前の工業時代の到来と共に,原材料に対する需要は驚くほどの勢いで増大するようになりました。

      工業社会には,工場,オフィス,アパート,発電施設,機械類,交通機関,熱源などが必要です。鉄鋼,アルミニウム,銅,セメント,その他の資材がなければそうしたものを建てることはできません。また,工業文明は燃料として主に石油を消費します。

      西欧,日本,北米の工業諸国では,そうしたすべての資源の需要が,人口増加の数倍の速さで増大してきました。しかし,この需要の増大は別の面からも拍車をかけられています。それは,いわゆる“開発途上”の地域における人口爆発です。

      それら比較的貧しい国の人々も,工業国に見られる機械その他の品物を求めます。また,その指導者たちは,自国をできるだけ速く工業時代に突入させようと躍起になっています。これがあらゆる品物に対する需要をどれほど増加させるかは,工業化された国におけるわずか一つの品目の例からも分かります。それは,「地質学入門」という本に示されています。「アメリカにおける鉄の消費は,同国の人口が倍になる間に,およそ20倍も増大した」。

      そうです,高度に工業化されると,原材料に対するその国の欲求は人口増加とは釣合いのとれないほど増大します。そして,比較的貧しい国々では,幾億という人々が工業によって生産される物資を手に入れようと切望しています。生態学者ポール・アーリッヒとデニス・ピラージスはその著「第二の箱船」の中でこう述べています。「数の面でのこの危機を一層悪化させているのは,世界的な規模で見られる,人々の期待の革命的な増大である。物質主義は人類共通の宗教となった。ほとんどすべての人は,加工品生産の定常的増大を不可欠なことと考えている」。

      それで,全体的な世界人口の爆発に加えて,すでに工業化された国々の飽くことのない要求,さらに今では,比較的貧しい国々の拡大する期待などのすべてが,地球の資源を手に入れる面で過重な圧迫となっています。政治学者ウイリアム・オファルスは,それがどれほど重大なものであるかをハーパーズ誌の中で次のように述べました。

      「世界の人口増加に適応してゆくために,大ざっぱに言って,これから30年以内に,数の上で人類がこれまでに行なってきた建築仕業すべてに匹敵するほどの家屋,病院,港湾,工場,橋,その他のあらゆる施設を建設しなければならない……現在の諸問題は非常に早く進展するので,十分前もって予知しておかねばならない。そうしておかないと,我々の“解決策”は非力すぎ,また遅すぎたものとなるであろう。

      「我々すべてがより頼む技術社会の崩壊を防ぐには,きわめて念入りな注意を払うしかない」。

      1973年から74年初めにかけて,この圧迫が明らかに観察できました。その時,世界の全般的な“好況”を反映して,物資に対する要求は急速に増大していました。諸政府は債券を発行して,自国の経済にどんどんと資金をつぎ込み,それによってこの繁栄を持続させようとしてゆきました。しかし,需要が急に増大したのに対し,新しい工場や鉱山はすぐには開かれませんでした。短期間のうちに在庫品は底を尽きました。典型的なのは銅の場合です。銅の生産は1950年代の初め以来平均して年に約4%ずつ増加してきました。ところが1973年,西側世界の銅の需要は10%以上も増えました。こうして,物資に対する需要は,それを生産する能力を上回り,それはとほうもないインフレを招来する一因ともなりました。

      インフレのために,資金を借り入れるさいの利率も急速に上がりました。そのため,新たな生産設備を建設することはさらに費用がかさむようになりました。USニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は次のように述べました。「種々の不足の中で最も危機的なもの,つまり資金の不足は,一つの業界から別の業界へと,原料や生産能力の不足を悪化させている……需要に追いついてゆく生産能力を備えるため,それに必要な資金を支払ってゆく方法を見いだすよう,企業は強く迫られている」。

      どんどん上がる物価

      物価はもちろん変動します。物価は下がることもあります。ある商品がだぶついている時などはそうです。しかし年毎の需要のほぼ着実な増大,不足の深刻化,そして地球の資源に対するせり合いなどは,全般的に物価を押し上げる方向に働いてきました。その例は,卸売物価の上昇に関する上記の表に示されています。

      しかし,金属その他の資材の価格が上がったことにはもう一つの理由があります。原材料を握る“開発途上国”がその生産物に対して今まて以上の代価を要求し,それによって工業国から自分たちの欲する品物を買おうとしているのです。すべての国の人々の記憶に新しい例は,石油価格の四倍化です。そして,それと同様のことは他の必需品についても起きました。

      例えば,ジャマイカ,そしてギニア,ガイアナ,スリナムなど他の幾つかの国は,アルミニウムの元となる鉱石ボーキサイトの豊富な鉱床を持っています。その価格の上昇は目を見張らせました。銅も同じような局面を迎えようとしています。世界の輸出可能な余剰量の大半は,チリ,ペルー,ザンビア,ザイールから来ているからです。すずについても同じことが言えます。輸出量の70%ほどは,主にボリビア,マレーシア,タイから来ているからです。他の基本的な必需品の多くも同じ様な形を取っています。

      輸入に依存する

      工業社会の人々で,自分たちの生活が輸入品に依存する度合いの高まっていることに十分気づいている人は多くいません。そうした輸入品の多くが必要とされるのは,自国内での不足のため,それを他国に求めなければならないからです。

      例えば,オランダは,そのたんぱく質食品の大半,綿花のすべて,羊毛の80%を輪入に頼っています。同国はまた,必要とするアンチモン,ボーキサイト,銅,金,鉄鉱石,ニッケル,リンおよびカリ肥料,すず,亜鉛,その他,石油を含む多くの産物を100%外国から輸入しています。他のヨーロッパ諸国も似たような状態にあります。

      石油について言えば,西欧諸国の大半は,輸入石油に完全に依存しており,自国内ではほとんど産出しません。1973年後半の石油禁輸措置は,そうした国々の繁栄がいかに崩れ易いかを如実に示しました。石油の輸入が途絶えると,その生活は直ちに崩壊しうるのです。

      しばしば物質面での成長の手本とされるのは日本です。しかし,その成長はおおむね他国の資源を使って成されてきました。日本は食糧の多くだけでなく,自国の工業で使う原材料の大半をも輸入しています。その中には,鉄鉱石の92%,コークスおよびれきせい炭の59%,ボーキサイトのすべて,銅の84%,石油の99.7%などが含まれています。そうです,日本の“繁栄”もやはり崩れ易い土台の上に築かれているのです。

      輸入が増えるアメリカ

      アメリカは地上で最も生産力のある国と考えられています。しかし同国の状況も,今では日本や西欧の工業国とそれほど変わりません。それで,USニューズ・アンド・ワールド・リポート誌はこう述べています。

      「当初天然資源に豊かに恵まれていたアメリカは,今や“持たざる国”になりつつある。

      「厳しい現実として,アメリカは,世界で最も繁栄した国としての地位を保つに必要な原材料をますます他国に依存しなければならなくなっている。しかも,そうした材料は将来しだいに得難くなるであろう,とアメリカ人は警告されている」。

      アメリカにおける“最も得易い”原材料の源泉地の多くはすでに利用し尽くされています。例えば,ミネソタ州メサビ山地の豊かな鉄鉱床も枯渇寸前になっています。質の悪い鉱石を掘るのは費用がかさみます。“最も得易い”油田はすでに開発されてきました。そのために海底での石油採掘が広がっているのです。それに,地上の油井はますます深く掘り下げられています。アラスカからの石油はパイプラインで送られて来る予定です。現在でさえ,同国が輸入する石油関係品目は使用量の三分の一に上ります。

      さらに,現在のアメリカは,自国の工業に不可欠と思える鉱物類の三分の一近くを他国に依存しています。1985年までに,この依存度は二分の一までになると考えられています。その価格ですか。1970年,アメリカ国内での鉱物生産高は,必要とされる量に90億ドル(約2兆7,000億円)分ほど及びませんでした。政府一役員の推定によると,この不足分は1985年までに310億ドル(約9兆3,000億円),2000年までに640億ドル(約19兆2,000億円)にも達するでしょう。そのすべては輸入によって埋め合わされねばなりません。しかもこの推定は,1973年と74年の途方もないインフレの前になされたものです!

      アメリカは莫大な量の真水をも使います。工業は膨大量の水を消費します。たった一台の自動車を生産するのに約378立方㍍の水が必要とされます。このままの割合で使っていくと,25年以内に同国では,生産のために毎日約9億4,500万立方㍍の真水のほか,廃物を流すために17億立方㍍が必要になるであろうと推定されています。しかし,今のところ,あてにできる地表水の流れは,一日わずか3億8,000万立方㍍から4億7,500万立方㍍にすぎません。

      世界の工業国の中で天然資源のおおむねを自給している国がありますか。あります。それはソ連です。ソ連には,まだ開発されていない物質の富が測り知れないほどあります。それでも,同国の土壌はアメリカほど肥沃でないため,ソ連はたびたび作物の不作に見舞われ,食糧を輸入せざるをえません。

      変化を目指す

      工業諸国,特に西欧,日本,アメリカなど工業が高度に発達した国々は,結局のところ自らをわなに陥れました。現在の自分たちの生活水準を保つためにこうした国々は,必要とされる原材料やエネルギー資源を今やますます多量に輸入しなければなりません。しかし,そうした資源を握っている比較的貧しい国々は,現在ではそれらに対してより多額の代価を要求するようになっています。

      必要とするものを手に入れるためにこれら工業国の借金がしだいにかさんでいくことが,その直接的な結果です。1973年中の石油の費用だけでも西側世界全体の経済をぐらつかせました。値上がりした石油代を払うために借金に深入りしてゆく国は増えています。ですから,原材料を確保して人々の要求するものを生産してゆくことがしだいに困難になっている事を別にしても,工業諸国の財政状態は絶望的なものになっています。

      経済学者たちは,こうした状態を長く続けてゆくことはできない,という点で同意しています。何かを変えねばなりません。これらの国の国際収支の赤字は,近いうちに大きな調整のなされねばならないことを示しています。今は富裕になった産油諸国から多額の資金を借り入れることによって災厄を一時的に食い止めえたとしても,必要な総額は膨大なものですから,そうした借入れを無期限に続けることはできません。このことは,それらの国が自分たちの生活の仕方を維持するための輸入品すべてを購入してゆく余裕がなくなることを意味するでしょう。そうなれば,人々の生活水準に思い切った変更が加えられねばなりません。

      人々が今までより低い生活水準に順応する能力があるかどうかには疑問があります。ニューヨーク・タイムズ紙が最近伝えた次の事は,これから起こるべきことを暗示しているかもしれません。

      「8月10日,カイロ発ロイター電 ― 近ごろエジプトでは少なくなった石けんを一個買うために人々が殺到し,二人が死に,五人が負傷した,とアル・アーラム紙は今日報じた。

      「同紙によると,ロゼーイック村のある店で最後に残った一個の石けんの取り合いで,ある雑貨商とその息子が殺された」。

      英国の歴史学者アーノルド・トインビーは自分の見解を述べ,工業諸国は「自らが定常的なろう城状態にあることを知ることになろう。そこでの物質生活の状態は……しだいに困難な事態へと進行していくであろう」と言いました。そして次のように加えています。

      「苦悩する“先進”諸国それぞれの国内では,減少したその資源をなんとか自分の手中に収めようとする激しい争いが起きるであろう……

      「その結果として,すべての“先進”諸国においては,無情な権威主義が,新しい生活の仕方,厳重に規格化された生活を強いることになるであろう」。

      世界情勢の大々的な再調整が遠くないことは,多くの観察者たちの目に明白です。いろいろな問題があまりにも危機的な段階に達しました。「第二の箱船」の著者はそれを次のように言い表わしています。「この古い体制がそれほど長く続かないことを我々は知っている」。

  • 信頼の欠如
    目ざめよ! 1975 | 3月8日
    • 信頼の欠如

      ◆ 国際的な軍縮を求める声が世界中で大きくなっている。種々の条約が調印され,禁止された核実験を探知するための装置が設置され,対抗する国どうしの査察団が編成されているにもかかわらず,兵器の製造は増大し続けている。何が必要なのだろうか。スウェーデンの軍縮問題専門家アルバ・ミルダールは,「相互の信頼」が不足しているとして,次のように語っている。「究極的に言って,そうした信頼は,条約の当事国がどこまで信頼に答えるかどうかにかかっている。……これは将来どんな形の世界秩序を作り出すことを望むか,という問題と関係してくる。つまり,率直さに基づく社会を望むか,それとも秘密に基づく社会を望むか,である」。

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