-
世界はついにひとつになるか目ざめよ! 1979 | 5月22日
-
-
社会主義共和国連邦などについて考えてみるとよいでしょう。
必ずしも政治上の統合を目的としたものではなくても,国家集団の間に思考や行動の面での一致を図ろうとした試みもあります。アラブ国家連盟はその一例で,国際連合組織も同様です。
しかし,世界がひとつになるなど全くのユートピア的発想であると考える人もいます。そうした人々は,神聖ローマ帝国や大英帝国でさえ,時とともに崩壊したことを指摘します。安定した連邦政府でさえ問題を抱えています。ケベック州が自国の残りの部分から分離しかねないことを憂慮するカナダ政府はその例です。
ですから,世界がひとつになることは望ましいことではあっても,それに逆行する大きな底流があるようです。イスラエルのエバン元外相は,次のように語ったことがあります。「我々の時代に見られる矛盾は,群小国家の拡散が,国際連合,欧州経済共同体,米州機構,アフリカ統一機構などに例示される,より広範囲な統合への追求と同時に進行している点にある」。この発言がなされてからの14年間は,この発言の正しさを証明しています。というのは,この期間に数多くの新国家が誕生しているからです。そのうちの三つだけを挙げてみても,アンゴラ,バングラデシュ,ボツワナなどの国があります。今や,国連加盟国は150か国に上り,その数はこれまでにないものとなっています。
国家主義へのこうした強い傾向を考えると,ひとつの世界について語るのは現実的と言えますか。確かに言えます。わたしたちは,世界がひとつになることが単に望ましく達成可能なばかりか必ずそうなり,今日の人間が夢想だにしないような恩恵をもたらす,と考えています。
しかし,それはどのようにして成し遂げられるのか,という疑問が残ります。西欧の人々は,提唱されている“ヨーロッパ合衆国”への進展を正しい方向づけを持つ一歩と見ているかもしれません。もしそれが実現されれば,大きな突破口となり得ますか。その結果,ひとつの世界はついに実現するでしょうか。では,事実を検討してみることにしましょう。
-
-
“ヨーロッパ合衆国”,正しい方向への前進?目ざめよ! 1979 | 5月22日
-
-
“ヨーロッパ合衆国”,正しい方向への前進?
ヨーロッパは,幾世紀にもわたって,世界の文明と文化の中心地となってきました。ヨーロッパはルネサンスを経験し,産業革命の発祥地となり,遠い“未発見”の土地を探険する資金を供給し,それらの土地を植民地化して,“異教原住民”を名目上のキリスト教徒に変えました。今日でも,ヨーロッパの影響力は世界各地で感じられます。
そのため,統合ヨーロッパ ― ことによると“ヨーロッパ合衆国”でさえ,世界の残りの部分に積極的で有益な影響を及ぼすと考える人は少なくありません。それは,正しい方向,つまり世界の一致に向かって一歩を踏みだすことになるでしょうか。
統合への試み
有名なフランスの作家,ビクトル・ユゴーは,1849年にパリで開かれ,世界平和を確実なものにするためヨーロッパ合衆国の建設を説いた会議の議長を務めました。後日,オーストリアのクーデンホーフ-カレルギー伯が同様の目標を持って,汎ヨーロッパ同盟なるものを設立しましたが,やはり
-