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4イ 「魂」― 生物,人間,もしくは動物; 知性を有する人間としての命; 他の用法新世界訳聖書 ― 参照資料付き
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29,30; 27:2; 民 5:6; 15:27,28,30; 19:18,22; 31:35,35,40,40,46; 35:30; 申 10:22; 24:6,7; サ一 22:22; サ二 14:14; 王二 12:4; 代一 5:21; 詩 19:7; 箴 11:25,30; 16:24; 19:2,15; 25:25; 27:7,7,9; エレ 43:6; 52:29; 哀 3:25; エゼ 27:13; 使徒 2:41,43; 7:14; 27:37; ロマ 13:1; コ一 15:45; ペテ一 3:20; ペテ二 2:14。
生物である魂は死すべきものであり,滅び得る
創 12:13; 17:14; 19:19,20; 37:21; 出 12:15,19; 31:14; レビ 7:20,21,27; 19:8; 22:3; 23:30; 24:17; 民 9:13; 15:30,31; 19:13,20; 23:10; 31:19; 35:11,15,30; 申 19:6,11; 22:26; 27:25; ヨシ 2:13,14; 10:28,30,32,35,37,37,39; 11:11; 20:3,9; 裁 5:18; 16:16,30; 王一 19:4; 20:31; ヨブ 7:15; 11:20; 18:4; 33:22; 36:14; 詩 7:2; 22:29; 66:9; 69:1; 78:50; 94:17; 106:15; 124:4; 箴 28:17; イザ 55:3; エレ 2:34; 4:10; 18:20; 38:17; 40:14; エゼ 13:19; 17:17; 18:4; 22:25,27; 33:6; マタ 2:20; 10:28,28; 26:38; マル 3:4; 14:34; ルカ 6:9; 17:33; ヨハ 12:25; 使徒 3:23; ロマ 11:3; ヘブ 10:39; ヤコ 5:20; 啓 8:9; 12:11; 16:3。
知性を有する人間としての命
創 35:18; 出 4:19; 21:23; 30:12; ヨシ 9:24; 裁 9:17; 12:3; 18:25; 王二 7:7; 代二 1:11; ヨブ 2:4; 6:11; 箴 1:18; 7:23; 22:23; 25:13; マタ 6:25; 10:39; 16:25; ルカ 12:20; ヨハ 10:15; 13:38; 15:13; 使徒 20:10; ロマ 16:4; フィリ 2:30; テサ一 2:8; ヤコ 1:21; ペテ一 1:22; 2:11,25; ヨハ一 3:16。
魂はシェオルもしくはハデス(「地獄」)から救い出される
詩 16:10; 30:3; 49:15; 86:13; 89:48; 箴 23:14; 使徒 2:27。
死んだ魂,つまり死体
レビ 19:28; 21:1,11; 22:4; 民 5:2; 6:6,11; 9:6,7,10; 19:11,13; ハガ 2:13。
霊と区別されている魂
神は魂を有しておられる
サ一 2:35; 詩 11:5; 24:4; 箴 6:16; イザ 1:14; 42:1; エレ 5:9; 6:8; 12:7; 14:19; 15:1; 32:41; 51:14; 哀 3:20; エゼ 23:18; アモ 6:8; マタ 12:18; ヘブ 10:38。
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4ロ 「シェオル」,「ハデス」― 人類共通の墓; 墓の領域新世界訳聖書 ― 参照資料付き
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4ロ 「シェオル」,「ハデス」― 人類共通の墓; 墓の領域
ヘ語,שאול(シェオール); ギ語,ᾅδης(ハーイデース); ラ語,in·fer'nus(インフェルヌス); シ語,シウール
シェオルという語の出て来る66か所
新世界訳聖書のヘブライ語聖書中には,「シェオル」という語が次の66か所に出て来ます: 創 37:35; 42:38; 44:29,31; 民 16:30,33; 申 32:22; サ一 2:6; サ二 22:6; 王一 2:6,9; ヨブ 7:9; 11:8; 14:13; 17:13,16; 21:13; 24:19; 26:6; 詩 6:5; 9:17; 16:10; 18:5; 30:3; 31:17; 49:14,14,15; 55:15; 86:13; 88:3; 89:48; 116:3; 139:8; 141:7; 箴 1:12; 5:5; 7:27; 9:18; 15:11,24; 23:14; 27:20; 30:16; 伝 9:10; 歌 8:6; イザ 5:14; [7:11]; 14:9,11,15; 28:15,18; 38:10,18; 57:9; エゼ 31:15,16,17; 32:21,27; ホセ 13:14,14; アモ 9:2; ヨナ 2:2; ハバ 2:5。
ヘブライ語聖書中に「シェオル」という語が出て来る箇所は,マソラ本文中にこの語の出て来る65か所すべてと,他の1か所,すなわちイザヤ 7:11を含んでいます。イザヤ 7:11についてはその脚注を参照してください。新世界訳聖書はいずれの場合も,ヘブライ語シェオールに対して「シェオル」という語を用いています。ギリシャ語セプトゥアギンタ訳は一般に,シェオールをハーイデースと訳出しています。
ヘブライ語シェオールの派生した元の語として幾つかの語が提唱されていますが,これは明らかに,「求める」あるいは「要求する」という意味のヘブライ語動詞שׁאל(シャーアル)から派生しているものと思われます。このことは,シェオルが,死者をその中に受けとめることにより,すべての人を区別なく求める,もしくは要求する所(状態ではない)であることを示しているようです。(創世 37:35とイザヤ 7:11の脚注参照。)これは地にあり,常に死者と結び付けられていて,明らかに,人類共通の墓,墓の領域,もしくは死者の地的(海ではない)領域を意味しています。これに対し,ヘブライ語ケヴェルは個々の墓もしくは埋葬所を意味します。―創世 23:4,6,9,20。
ハデスという語の出て来る10か所
「ハデス」は恐らく「見えない場所」を意味すると思われ,この語は新世界訳聖書のクリスチャン・ギリシャ語聖書に10回出て来ます。それらの箇所を次に挙げます: マタ 11:23; 16:18; ルカ 10:15; 16:23; 使徒 2:27,31; 啓 1:18; 6:8; 20:13,14。
使徒 2:27でペテロが詩編 16:10を引用しているその用法から,ハデスがシェオルの同義語であり,人類共通の墓を指していることが分かります。(これに対して,ギリシャ語タフォスは個々の墓を指します。)ハデスに対応するラテン語はインフェルヌス(インフェルスのこともある)です。この語は「下に横たわるもの; 低域」を意味し,墓の領域を指して用いるのに適切な言葉です。このように,このラテン語はこれらのギリシャ語やヘブライ語によく対応する類義語となっています。
霊感による聖書の中では,「シェオル」や「ハデス」という語は死や死者と結び付けられており,生命や生きているものと結び付けられてはいません。(啓示 20:13)これらの語そのものには,喜びと苦しみといった考えやそれを暗示するものは何もありません。
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4ハ 「ゲヘナ」― 完全な滅びの象徴新世界訳聖書 ― 参照資料付き
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4ハ 「ゲヘナ」― 完全な滅びの象徴
ヘ語,גי הנם(ゲー ヒンノーム,「ヒンノムの谷」);
ギ語,γέεννα(ゲエンナ); ラ語,ge·hen'na(ゲヘンナ)
「ゲヘナ」は「ヒンノムの谷」を意味します。その語はヘブライ語ゲー ヒンノームのギリシャ語化したものだからです。ヨシュア 18:16に「ヒンノムの谷」という語が出て来ますが,七十人訳はそれを「ゲヘナ」と読んでいます。この語はクリスチャン・ギリシャ語聖書中に12回出ており,最初に出て来るのはマタイ 5:22です。新世界訳聖書はそのすべての箇所でこれを「ゲヘナ」と訳出しています。それらの箇所を次に挙げます: マタ 5:22,29,30; 10:28; 18:9; 23:15,33; マル 9:43,45,47; ルカ 12:5; ヤコ 3:6。
ヒンノムの谷は古代エルサレムの西方と南方に位置していました。(ヨシュア 15:8; 18:16; エレミヤ 19:2,6)ユダの後期の王たちの時代に,そこは異教の神モレクに対する偶像崇拝のための場所として用いられ,犠牲にされる人間が火の中に投げ込まれてその神にささげられました。(歴代第二 28:3; 33:6; エレミヤ 7:31,32; 32:35)忠実な王ヨシヤは,そこが再びそのような宗教的目的で用いられることがないよう,その谷,特にトフェトと呼ばれる区域を汚れた所としました。―列王第二 23:10。
ユダヤ人の注釈者ダビデ・キムヒ(1160?-1235年?)は,詩編 27:13に関するその注釈の中に,「ゲーヒンノム」に関連した次のような歴史的情報を記しています。「また,そこはエルサレムの隣接地にある場所で,忌むべき所である。そして,人々はそこに汚れた物や死がいを投げ込む。またそこでは,汚れた物や死がいの骨を焼くために絶えず火が燃やされていた。それゆえ,邪悪な者たちの裁きは比喩的にゲーヒンノムと呼ばれている」。
ヒンノムの谷はごみ捨て場,またエルサレムの汚物の焼却場となりました。動物の死がいは火で焼き尽くすためにそこに投げ込まれ,火勢を強めるために硫黄,つまり土硫黄が加えられました。記念の墓に普通に葬るには値しないとみなされた,処刑された犯罪者の死体もそこに投げ込まれました。そうした死体が火の中に落ちた場合は焼き尽くされましたが,死がいが深い谷の途中の出っ張った部分に落ちたような場合はその腐肉に虫,つまりうじが群がるようになりました。これらのうじは肉を食べ尽くして,死体が骨だけになるまで死にませんでした。
生きた動物や人間がゲヘナに投げ込まれ,生きたまま焼かれるとか責め苦に遭わされるということはありませんでした。ですから,人間の魂が文字通りの火の中でとこしえの責め苦に遭わされたり,死ぬことのない虫によって永久にさいなまれたりする見えない領域をこの場所が象徴しているとは全く考えられません。そこに投げ込まれた死んだ犯罪者は復活の希望の象徴である記念の墓に正しく葬るに値しない者とされていたので,イエスとその弟子たちはゲヘナを,神の宇宙領域から全く断たれることを意味する永遠の滅び,すなわちとこしえの処罰である「第二の死」の象徴として用いました。
このように,人の死体をゲヘナに投げ込むことは最も重い処罰とみなされました。文字通りのゲヘナとそれの持つ意義を考慮して,象徴としての『火と硫黄で燃える湖』という表現が用いられています。―啓示 19:20; 20:10,14,15; 21:8。
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4ニ 「タルタロス」新世界訳聖書 ― 参照資料付き
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4ニ 「タルタロス」
ペテロ第二 2:4 ―「彼らをタルタロスに投げ込んで」
ギ語,タルタローサス; ラ語,デートラクトース イン タルタルム;
シ語,アゲン エヌーン ベタハターヤーター
「タルタロス」という語はペテロ第二 2:4に一度だけ出て来ます。この語はギリシャ語の動詞タルタロオーに含まれており,この動詞を訳すに際し,「彼らをタルタロスに投げ込んで」という句が用いられました。
古代の詩人ホメロスの作品「イリアス」の中で,タルタロスという語は地下の獄を指して用いられており,地が天の下にあるように,それはハデスのはるか下方にあるとされています。そこに閉じ込められたのは人間の魂ではなく,下位の神々である霊者たち,すなわち,ゼウス(ジュピター)に反逆したクロノスをはじめとするティタンたちでした。そこは,神話に出て来る神々が設けた獄で,それらの神々が天界から放逐した霊者たちのためのものでした。また,それは,死の際に人間の魂が閉じ込められると考えられていたハデスより下方にありました。神話におけるタルタロスは,下方の領域の最も低い所,また暗闇の場所でした。ちょうど,天が地の上にあるすべてのものを覆っているのと同様,それは下界のすべてを覆っていました。このように,異教のギリシャ神話において,タルタロスは,人間の魂ではなく,霊者であるティタンを閉じ込める場所,また暗闇と辱めの場所とされていました。
七十人訳のヨブ 40:20には,ベヘモトについてこう記されています。「そして険しい山にのぼったとき,これは深みにいる[ἐν τῷ ταρτάρῳ(「タルタロスにいる」)]四つ足の生き物に喜びをもたらした」。ヨブ 41:31,32(41:23,24,七十訳)には,レビヤタンについてこう記されています。「これは深みを真ちゅうの大がまのように沸き立たせ,海を塗り油のなべのように,深みの最も低い所[τὸν δὲ τάρταρον τῆς ἀβύσσου(「底知れぬ深みのタルタロス」)]をとりことみなす。これは深みをその激怒とする」。七十人訳のこれらの節におけるタルタロスという語の用法は,それが低い場所,すなわち,底知れぬ深みの「最も低い所」を表わすのに用いられたことを明らかにしています。―ペテロ第二 2:4の脚注と比較。
霊感による聖書は,いかなる人間の魂もタルタロスにいるとはしておらず,霊の被造物,つまり,「罪をおかしたみ使いたち」だけがそこにいることを示しています。それらがタルタロスに投げ込まれることは,彼らが依然として生きてはいるものの,最も低い卑しめられた状態にあることを示しています。これは,至高の神に対して反逆の罪をおかしたそれらの者に対する処罰となります。使徒ペテロは,神が彼らを「裁きのために留め置かれた者として濃密な闇の坑に引き渡された」と述べて,闇をそれらの者たちの低められた状態と結び付けています。―ペテロ第二 2:4。
クロノスと反逆したティタン族の神々に関する神話伝説の中で,異教徒は,反逆した霊者たちの置かれた卑しめられた状態に関する見方をゆがめました。それに対して,「タルタロスに投げ込む」という意味の動詞タルタロオーのペテロの用法は,「罪をおかしたみ使いたち」が異教の神話に出て来るタルタロスに投げ込まれたことを示すのではなく,彼らが全能の神によって卑しめられて,それまでいた天の場所と享受していた特権を奪い去られ,神の輝かしい目的に関して深い精神的暗闇の状態に引き渡されたことを明らかにしています。同時に,それらの者たちの終局については暗い見込みしかありません。聖書は,それらの者たちがその支配者であるサタン悪魔と共に永遠の滅びを迎えることを示しています。このように,タルタロスは,反逆したこれらみ使いたちの置かれた卑しめられた最も低い状態を指しています。
霊感による聖書において,タルタロスは,死んだ人間の共通の墓であるハデスとは何の関係もありません。被造物が意識ある状態でとこしえの責め苦を味わわされる場所としてのタルタロスで,罪をおかしたみ使いたちと死んだ人間の魂とが共になるということはありません。現在そのような卑しめられた状態にある反逆したみ使いたちを至高の裁き主が滅ぼす時,タルタロスはなくなるのです。
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