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  • 土壌侵食の問題
    目ざめよ! 1980 | 6月8日
    • が表土の保全にそれなりの貢献をしていた。カバには,川から上がる際,下流に向かって歩く習性があるが,これが物理的に重要な役割を果たしていた。洪水になって河川の水位が上がると,あふれ出た水は,自然自らが備えた灌漑システムを通じて指状に広がり,ゆるやかに流れていくのであった。今日,ほとんどの地域で乱獲のためにカバは姿を消しており,川の堤も開墾されている。そのため洪水になると,水が大地を逆巻き,土を海に運び去ってしまう。象には樹木を侵食溝<ガリー>に押し込む習性があった。奇妙な習性だが,そこに自衛本能の働いていることは明らかである。というのは,それによって侵食溝の拡大が阻まれ,侵食溝は埋まり,土地のおうとつがしだいになくなって,草原は再び草の繁茂する所となっていったからである。象にはまた,とげの生えた木を押し倒す習性があり,草原を散らかしていた。ところが倒された木は,日照りの際に夢中で草を探す動物たちに草が食べ尽くされないようにするのに好都合だった。ほんとうにひどい干ばつに見舞われたあとには,こうして特別に守られた草以外に草らしい草は一本も残っていないことが少なくない。春になって風が吹き,雨が降るようになると,草のこの苗床から草原に種が運ばれるのであった」。

      これは,地球とその上の生物を創造し,それにこのような均衡を保たせてすべてが順調にいくよう取り決めてくださった,知恵に満ちた創造者の存在を明白に裏づけるものです。ところが人間は,創造者が取り決めてくださった生物間の均衡を乱し,今日わたしたちの周囲で目にするような不快な結果を刈り取ることになったのです。しかし,最近になって,人間はこの問題を克服しようと努めてきました。

      講じられている方策

      南アフリカでは,1946年と1969年に,農業経営者を援助し,農業経営者と国家との協力関係を促進させる土壌保全法が制定されました。成されなければならないことがまだまだ数多く残されているとはいえ,これによって多数の農業経営者の農耕法に改善が図られました。

      アフリカ南部の多くの土地では,作物の育ちにくい冬に,強い風の吹く,乾燥した天候の日があります。風による土壌の侵食を少なくするため,細長く区切った畑地の間に,風の力を弱める生けがきや防風林が植えられています。場合によっては,冬用の作物や飼料になる草を植えて,土壌が失われないようにします。石灰を加えると土壌の粒子の粘着力が高まり,土壌の損失を防いだり,少なくしたりすることになります。

      今では等高線耕作を行なっている農夫が少なくありません。これは傾斜地に沿って上下に耕す代わりに,曲がりくねった等高線に沿って同じ高さの土地を耕すものです。こうすると,大雨の降った後,畝間が水路となって土壌を侵食するといった事態を妨げます。また,傾斜地の適当な所に帯状に草を植えておくと,水の流れが分散され,侵食を早める侵食溝の発生を防ぐのに役立ちます。畝間に掘った灌漑用の水路は表土を運び去るので,これを用いずに,噴霧器その他の機械を使って作物に水をやっている農場もあります。さらに,谷間や山腹に小さなダムを幾つも造ってよりいっそうの治水が成し遂げられています。また同じ目的で,古い侵食溝に石や枝を投げ入れることも行なわれています。こうして侵食溝は埋まり,やがてそこは草で覆われるようになります。

      一定の地域内で養える以上の動物を飼おうとすること(過放牧)も破壊的な土壌侵食の大きな原因の一つとなっています。動物の数だけでなく,その動きを制御することも大切です。牛には独特の行動習性があります。水飲み場や夜になって牛が連れて行かれるクラール(家畜用の囲い)が遠いと,牛の群れは普通一列になって進み,あとに深い足跡が残ります。大雨が降ると,そこが水の流れ道になってしまいます。そこで現在では,可能なかぎり牛の群れを夜も草原に出したままにする農業経営者が少なくありません。足跡がつかないように,これらの牛には適当な水飲み場の備わった幾分小さな牧場があてがわれています。

      人間にも規制が必要です。南アフリカでは,冬に草原を焼く昔からの習慣(マダニその他の害虫の駆除を目的に行なう)があります。しかし,これを行なうと,地面を覆う草がいっそう薄くなり,侵食に拍車が掛かるため,南アフリカでは現在,特別の許可を得ないかぎり,冬の火入れは法律で禁じられています。

      “砂漠化”の脅威に面している国では,砂漠の侵入を食い止めるための方策が講じられてきました。ホフーフの近くにあるアルハサオアシスが徐々に砂漠になってゆくのを阻止するため,サウジアラビアの人々はギョリュウ,アカシア,ユーカリ樹を合計1,000万本植えました。この国では,石油化学製品で作った“にかわ”を砂に吹きつけて砂の粒子を大きくし,砂が風に運ばれるのを防ごうとする試みもなされています。リビアでは,砂漠の下にあるいわゆる“化石水”が利用されてきました。米国で開発された灌漑技術の助けを借りて,サハラ砂漠に大規模な円形農地も出現しました。中国では,シンチャンウイグル自治区の砂漠地域に草地やぶどう畑を作ることに成功し,綿花その他の作物が栽培されています。

      イスラエル人は,古代ナバテア人がネゲブ砂漠に作った水収集システムを再建し,これをアーモンドやピスタシオの果樹園の灌水に用いています。ネゲブでは滴下<ドリップ>灌漑システムも用いられています。これは,コンピューター監視装置を利用して,植物の根元に少量の水を直接供給するものです。

      しかし,環境が取り返しのつかないような被害を受ける手前でこれを救おうと努力している人々の前には,依然として多くの障害が立ちはだかっています。1977年に国連は,「人類史上これまでに見たことのない規模の」国際協力を呼び掛けました。そのような協力が実現する見込みはありますか。ナイロビで開かれた会議は,政治的な敵対感情や不一致のために台なしになりました。一オブザーバーはこう語りました。「公開の場でも秘密会でもこれほどひどい政治的なけなし合いや実質の伴わない誇張が行なわれるのを見ていると,人間の思いにこそ最も荒廃した砂漠があると思えてくる」。

      政府の立法措置では十分の効果を上げることはできません。なぜなら,法律は人間の利己的な欲望を変えるものとはならないからです。侵食の問題,また人類の直面している他の多くの問題を解決するには,全く新しい事物の体制,問題に対する新しい取り組み方,そして「あなたは隣人を自分自身のように愛さねばならない」という偉大な律法を基盤にして進歩することが求められます。(マタイ 22:39)そのような変化をもたらす力を有しておられるのは,この美しい惑星の偉大な創造者だけです。このかただけが,当初,様々な自然の力の間に存在していた完全な均衡を回復させる力を持っておられます。

  • 外見では判断できない
    目ざめよ! 1980 | 6月8日
    • 外見では判断できない

      第一印象に基づいて他の人を判断するのはどれほど当を得たことでしょうか。英国の個人経営者協会の年次会議で行なわれた直観力テストによると,これらの専門家の場合でさえその即断はあてになりません。例えば,幾つかの論題について10人の人が話している様子をビデオテープに撮り,それをこれら個人経営者たちの前で放映しました。一般に個人経営者たちは自分に似ている人を好み,その人をより知性的な人物とみなしました。ところが,そうした判断のほとんどは間違っていたのです。「どんな大学教育を受けた人も,大学教育を受けなかった人より[判断の点で]優れてはいなかった」と,「今日の心理学」誌は伝えました。また,「全般的に,男性のほうが女性より少しよい」という結果が出て,女性の直観力に痛い一打が加えられました。わたしたちは,人類を裁くために神に任命されたかたが「自分の目に映る単なる外見で裁きを行なうことなく,単に自分の耳で聞く事柄によって戒めることもない」のを知って,大いにうれしく思います。―イザヤ 11:3,新。

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