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核による大破壊でこの世は終わるのか目ざめよ! 1982 | 12月22日
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核による大破壊でこの世は終わるのか
地球は核戦争で滅びるか
今年,1982年までに,“核保有”諸国は少なくとも5万個の核弾頭を備蓄したと言われています。こうした兵器の破壊力を合わせると,1945年8月に米国が広島に落とした型の爆弾160万個分に相当します。
その身の毛もよ立つような備蓄の中から超高性能爆弾300個だけを取って,米国の人口密集地に一斉攻撃をして投下するなら,米国の人口の6割を滅ぼし,広い地域を荒れ地に変えることが可能です。アメリカ側の推測では,300個のメガトン級の爆弾はソ連の核保有量の3%に過ぎないとされています。それに対し,アメリカ側もソ連を同様の仕方で破壊する備えをしています。
政治指導者は軍備を拡充する競争を行ないながら,1956年にアイゼンハワー大統領の語った言葉を借りれば,いつの日か世界の諸強国が「軍拡の時代は終わり,人類はこの事実と調和した行動を取らなければ死ぬ以外にないとの理解をもって会議の席に臨む」ことを迫られる,という厳粛な警告を発し続けています。四半世紀後,カーター大統領はその退任演説の中で,核による大破壊の生存者がいるとしても,その人たちは「自殺を図った文明の汚染された廃きょのただ中で絶望のうちに生活することになる」という懸念を鳴り響かせました。ソ連の指導者たちは,核戦争が「世界的な惨禍」を意味することに同意しています。
アルバート・アインシュタインは,真理を求めて知識を追求した“純粋の”科学者でした。その追求の結果,E=mc2(エネルギーは質量と,光速の二乗との積に等しい)という,原子のうちに秘められたエネルギーを解き放つための手がかりになる公式を導き出しました。原子を分裂(核分裂)あるいは結合(核融合)させると,恐るべき量のエネルギーが発散されます。どれほどの量のエネルギーでしょうか。広島を破壊するのに用いられた,核分裂を起こし得る物質の質量は約1㌘でした。
最初の水爆,つまり熱核爆弾の実験が行なわれる2年前の1950年に,アインシュタインは,「大気の放射能による汚染と,その結果生じる地上のあらゆる生物の滅びが技術的には可能と言えるまでの域に達している」と警告しました。
世界の指導者たちは,“文明”が始まってから6,000年このかた,これに匹敵する危険はかつてなかったという点で意見の一致を見ています。人類はとうとう,自滅できるだけの力を手中に収めたのです。核爆弾の全面的な応酬になれば,すべての生物は破滅に至りかねません。
地球は死滅しかねない: 100万分の1秒で,幾つもの都市全体が蒸発してしまいます。メガトン級の爆弾が地表面で破裂すると,その地点には摩天楼がすっぽり収まるほどの深さの破裂口ができます。きのこ雲が一つまた一つと重なり合い,昼を夜に変えて一つの大陸を覆い,致死的な放射能の“黒い雨”を降らせるのです。火事あらし<ファイアストーム>が廃きょを覆います。がれきの山のあちこちに黒焦げになった犬や馬や人間の死がいが残っています。生存者がいれば,放射能がそれらの人々を殺します。それでも生存者がいれば,その人たちは食糧・衣服・光・電力・衛生・通信・医療・家族・友人・警察・政府など身近なものすべて,正に文明のなくなった世界を前にショックを受けて立ち尽くします。
それを阻止する方法は全くないのでしょうか。
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広島の当時の状況目ざめよ! 1982 | 12月22日
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広島の当時の状況
地球は核戦争で滅びるか
それは1945年8月6日の朝8時16分のことでした。広島市の人々は目を覚まして,1日の活動に取り掛かろうとしていました。暑いながらも,のどかな朝でした。
その瞬間,幾万もの人々が黒焦げになり,吹き飛ばされ,押しつぶされて死にました。人口34万の都市の中心部は完全になぎ倒されてしまいました。
まだ息のある被爆者たちが信じがたいような有様でうごめいていました。当時幼い少女だったある人は思い出を次のように語っています。「気が付くと,私は木の破片に覆われ,地面に倒れていました。周りを見回そうと力を振りしぼって立ち上がったのですが,あたりは真っ暗でした。ただもう恐ろしくて,自分だけが死の世界にいるように思われました。そして光を探し求めました。……ふと,母と妹はどうなったのだろうかと心配になりました。……暗やみが薄らいでゆき,周りには何もないことが分かりました。私の家も,隣の家も,その隣の家も皆跡形もありません……静かで,非常に静かで,無気味な瞬間でした。私は母が水溜めの中にいるのを見付けました。母は気を失っていました。私は『お母さん,お母さん』と叫び,意識を取り戻させようと母を揺さぶりました。意識を回復すると,母は狂ったように,『えい子! えい子!』と妹の名を大声で呼び始めました」。
その叫び声に,ほかの人々の叫び声が重なりました。「忘れられぬ火」という回想録に収められているこうした情景の中には,次のような記述も含まれています。
妊婦と思われる女性が死んでいました。そのそばには3歳ぐらいの女の子がおり,自分で見付けた空きかんに幾らかの水を入れて持って来ていました。それを自分の母親に飲ませようとしていたのです。
30分もしないうちに,空を覆っていたやみのとばりが幾らか上がり,火事あらし<ファイアストーム>が起こりました。ある教授は屋根の梁の下敷きになった妻を救い出そうとしていました。教授は炎のために前へ進めず,奥さんは「あなた,逃げてください!」と嘆願していました。夫や妻や子供や友人や通りがかりの人が,死にかけた人を火の中に残してゆくことを余儀なくされたために,そうした情景が数限りなく見られました。
爆発の1時間後に,同市の風下にある地区に“黒い雨”が降り始めました。放射性降下物は午後遅くまで降り続けました。幾時間もやむことなく激しくうず巻く不思議な風のため,煙と炎の大火災全体が一層勢いを増しました。やけどを負ったりけがをしたりしてぼろぼろになった人々が列をなして,火事あらしの中から出て来るようになりました。ロバート・ジェイ・リフトンは自著「命の中の死」の中で,ある食料品商の次のような言葉を引き合いに出しています。「人々は腕を曲げたままでした。……そして手だけではなく,顔や体の皮膚までが垂れ下がっていました。……道端で死ぬ人は少なくありませんでした。今でもその人たちのことが頭に浮かんできます。生きた幽霊のようでした。この世のものとは思えなかったのです」。
中には吐き気を催している人もいました。これは放射能症の初期の兆候です。身体的な虚脱に,感情的また霊的な虚脱が伴いました。人々は感覚を鈍らせ,ものうげに,また一言も口にせずに苦しんで死んでゆきました。「歩くことのできる人々は遠くの丘にある,郊外の住宅地区に向かって黙々と歩いていたが,意気消沈し,進取の気象を全く失っていた」と,ある博士は自著「ヒロシマ日記」の中に書きました。
広島に投下された爆弾による死者の数は,3か月たたないうちに推定13万人に達しました。それでも,死者はまだ出ており,最終的にその数は確定されていません。爆弾投下後数週間して,数えきれないほどの生存者たちが皮膚出血を起こすようになりました。吐き気と熱と渇きを伴うこの最初の兆候に続いて,容態が軽くなってむなしい希望を与える時期があります。しかし遅かれ早かれ,放射能が再生細胞,特に骨髄を冒します。そして,脱毛,下痢,および腸・口・体のその他の部分からの出血などを含む最終段階を経て死に至ります。
放射能にさらされた結果,人々は実に様々な病気にかかりました。生殖の過程に変化が生じました。先天性障害,白内障,白血病およびその他の形のガンが,広島の被爆者たちの行く末を特徴付けるものとなりました。
ところが,この爆弾は小規模なものでしかないのです。12.5キロトンというその破壊力(TNT火薬1万2,500㌧に相当)は今日では単なる戦術的な兵器としかみなされていません。それに比べ,水素爆弾はその1,600倍の力を出し得ます。現在の世界の核軍備のレベルから言えば,広島で起きた惨事はその100万分の1にも満たないものでしかありません! ジョナサン・シェルは次のように書いています。「広島の人々の経験……は,この全世界が常に陥ろうとしている状況のひな型になっている。それは日常生活という表面のすぐ下に横たわり,いつでもその日常生活に飛び込んで来る可能性のある,ほとんど想像もしないような戦りつの下敷きとなっている」―「ザ・ニューヨーカー」誌,1982年2月1日号。
世界はこのような仕方で終わるのでしょうか。
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広島に投下された爆弾による死者の数は,3か月たたないうちに推定13万人に達しました。それでも,死者はまだ出ており,最終的にその数は確定されていません
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核戦争を回避する方法はないのか目ざめよ! 1982 | 12月22日
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核戦争を回避する方法はないのか
地球は核戦争で滅びるか
ここに記されている事柄はどこかの根本主義者の宗派の説く最後の審判の日に関する話などではありません。それは,幾年もの歳月を費やし,地上の全生物に及ぼす核戦争の悲惨な影響に関する権威ある研究論文や白書を編さんしてきた人々の出した厳粛な結論なのです。
広島で起きたことを思い起こし,それを下敷きにして規模の点で拡大し,1,000メガトンの爆弾が国々に投下されることによる世界的な衝撃について考えれば,核による大破壊という言葉の意味が分かるでしょう。
それはあまりにショッキングで,あまりに感覚をまひさせるものであるために,大抵の人はそのことを考えないようにし,危険が存在しないかのようなふりをし,『明日は死ぬのだから,食べたり飲んだりする』というまやかしの状態に生きようとします。そうした人々は普通の災害に対して無感覚になります。引き返す道はないようです。あたかも何らかの超人間的な勢力が人間を自滅へと向かわせているかのようです。
科学者は,人類が自滅し得るだけの力を手にしたことについて少しの疑いも差しはさむことができません。しかし,人間とともに動物や鳥もいなくなるでしょう。生き残る可能性が一番強いのはある種のこん虫かもしれません。そうなれば,それは制御されず異常に増え続け,自らの消滅を早めるでしょう。穀物や野菜などの作物を含む植物は全滅してしまうでしょう。まずは樹木が,そして最後には草がやられます。土地の浸食により,水路にミネラルが流れ出し,それを食べる藻や微生物が育ち過ぎ,水に含まれる酸素がなくなってしまい,生き残った水中生物は酸素不足に陥るでしょう。シェルター,工場,公益事業,国家組織など人間製のものすべてと共に,自然の環境も甚だしく変えられるでしょう。
全面的な大破壊は,局地的な惨害以上のものになります。例えば,米国にある76の原子力発電所が,ソ連が爆弾でねらう1万か所の標的に入っていたらどうなるでしょうか。サイエンティフィック・アメリカン誌によると,ギガワット(ギガは“巨大な”を意味する)級の原子力発電所一つが爆弾で蒸発してしまえば,幾十年もの間広範囲にわたって生物の居住を阻む,長い間消えない種類の放射能を加えることになるでしょう。それは放射能灰の一部になって成層圏へ上ってゆき,地球の周りを巡って数か月また数年後に降下し,地の全面を汚染します。そうしたことが起こるずっと前に,放射線を直接に受けて土地や空気や海洋が汚染され,生物の組織や骨,根,茎,葉にもその放射能が浸透していることでしょう。
地表面での爆発からはちりの雲が生じて成層圏にまで達し,この惑星を覆って,地球の表面温度を下げる可能性もあります。同時に,それと関連して,地球を取り巻き,致死的な紫外線を太陽光線から取り除いているオゾンの層にも害が及びかねません。全米科学アカデミーの1975年の推定によると,北半球で1万メガトンの核爆弾が爆発すれば,同半球のオゾンの層の7割,そして南半球のオゾンの層の4割が失われます。米国国防省とエネルギー調査開発局が合同で出した結論は次のようなものです。「オゾンによって太陽の紫外線の大半が吸収されなかったとしたら,現在知られているような生物は存在し得ず,存在の可能性があるとすれば海中だけであろう」。
生物と無生の環境とは互いに緊密に依存し合っていることを科学者たちは認めています。土壌と水と空気は生物にとって環境となってきましたが,その一方で生物は土壌や水や空気にとっての環境となってきたようです。ハーバード大学地球・惑星物理学センターの物理学者,マイケル・マクエルロイ博士は,誕生・新陳代謝・腐敗などの生命の過程が,酸素・炭素・窒素などの大気中の重要な元素のバランスを保つ点で,さらには成層圏のオゾンの量を保つ点でも,主要な要素になっていると信じています。
ですから,地球の“代謝作用”そのものが地球上の生物の質に依存しているのです。
生態圏とは,実に様々な種類の種がバランスの取れた,自ら再生してゆく統一体を形成する全地球的な体系のことです。地球の生態圏は注意深く調整されています。それはバランスが取れており,無限に継続し得るものです。その中にあって秩序を乱す影響力の一つは人間です。現在,人間は1日に三つの種の割で生物を地上から消滅させています。貪欲な利得のためなら,人間は生態圏のいかなる部分をもためらうことなく汚染したり崩壊させたりします。ところが,今や人間は生態圏の一部ではなく,全部を脅かしているのです。
人間は地球を全く破滅させることができるのです。
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死に方は果てしない
● 火の玉あるいは熱パルスにより焼き殺される
● 初期放射線により死亡する
● 爆風あるいはそれに含まれる残がいにより圧死,あるいは吹き飛ばされて死ぬ
● 局地的な死の灰による致死的な放射線
● 疫病で死亡する
● オゾンの層が失われた後の太陽からの紫外線中毒
● あとになって襲って来る放射線中毒
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人間の貪欲による,無力な犠牲者たち
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どうすれば地球を救えるか目ざめよ! 1982 | 12月22日
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どうすれば地球を救えるか
地球は核戦争で滅びるか
容易ならぬ危険があるのですから,人間は核兵器を取り除く方向へと向かっていて然るべきです。では,なぜ人間は逆の方向へ向かっているのでしょうか。世界の指導者が会談を開き,核兵器を禁止することをあなたは期待し,そうなると信じておられますか。
指導者たちがそのようなことをいつの日か行なうというどんな見込みがありますか。人間が従来よりも恐ろしい兵器を非合法化したことが歴史上1度でもあったでしょうか。それは恒久的なものでしたか。今の世代は原子を分裂させ,また融合させる方法を学びました。人間は物質に秘められたエネルギーを無力なものにすることができないのと同様,この知識を葬り去ることはできないのではないでしょうか。人間は次の世代にこの知識が伝わらないようにできるでしょうか。
アダムの子たちは,その父親と同様,何が善で何が悪であるかを決める力を自らのものにしようとしてきました。原子を分裂させる方法に関する知識は広まっています。その知識は主権にかかわる境界を越え,社会を対立し合う分子へと分裂させます。それからどうなるのでしょうか。
全面核戦争になれば,身を隠す場所は全くありません。シェルターは役に立ちません。疎開しても,一つのきのこ雲から別のきのこ雲の中へ逃げるに過ぎません。潜水艦に装備されて発射準備を整え,目標にねらいを定めている核ミサイルは,互いに相手国の沿岸部の標的に10分以内に到達できるのではないかと核武装した二超大国は考えています。双方の国から発射される大陸間弾道弾(ICBM)は15ないし20分後に飛来するでしょう。長距離爆撃機は数時間以内にその後を追うことができます。ところが,どちらの国民に対してであれ,警報が出されるのは一番早くてミサイルが発射されてから15分後のことです。それは爆弾が落ち始めてから5分後のことなのです。
暴力をふるうのが人間の生来の性質だという概念を人間はどうして受け入れるのでしょうか。人間はそのようなものとして造られたのではありません。「まことの神は人間を廉直な者として造られたが,彼ら自身が多くの計画を探り出したのである」― 伝道の書 7:29。
人間を超えた勢力が人間を破滅へと向かわせているように思えますか。聖書はそのような影響力が何であるかを明らかにしています。
その力は目に見えない霊者から出ています。それはエデンでの反逆をたくらんだ目に見えない同じ存在者です。聖書の中でその者は,「大いなる龍」,すなわち貪る者,「初めからの蛇」,すなわち欺く者,「悪魔またサタン」と呼ばれ,神を中傷する敵対者とされています。そして聖書は,その者が「人の住む全地を惑わしている」と述べています。―啓示 12:9。
サタンは単なる比喩でも風喩でもないのです。このことを信じなければなりません。サタンは実在者で,偽り者の総元締めです。そして最初の殺人者です。(ヨハネ 8:44)それから,反逆した他の霊者たち,つまり悪霊たちがサタンに加わりました。そしてこれらの者たちが,「この闇の世の支配者たち」,および「天の場所にある邪悪な霊の勢力」を成しています。―エフェソス 6:12。
抑圧的な政治支配を行なう諸帝国が長年にわたって人類を支配してきたのはなぜだろうか,と不思議に思ったことがありますか。それは,「この事物の体制の神」で,「不信者の思いをくらまし」ているサタンの働きです。(コリント第二 4:4)これらの政治体制は聖書の中で野獣のような怪物として描かれています。悪霊たちはそれらの体制を通して,「汚れた霊感の表現」を口にする,と聖書は述べています。―啓示 16:13,14,16。ダニエル 8:20-22。啓示 13章。
サタンはまた,地上の諸王国の上に偽りの宗教というみだらな情婦,「大いなるバビロン」をすえました。この女も,「悪霊たちの住みか」となりました。―啓示 17:5,18; 18:2。
世の終わりの時には,人類に大きな災いが引き起こされます。「悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りを抱いてあなた方のところに下ったから」です。―啓示 12:12。
わたしたちの生きている時代についてこれ以上の説明がありますか。もしあるなら,人類はまっしぐらに破滅へと向かうこの歩みをどのようにして阻止するのでしょうか。つかの間の「平和だ,安全だ」という期間が入って,このシナリオがひっくり返されたように見えるとしましょう。人々が「平和だ,安全だ」とふれ告げることは,平安を招じ入れるでしょうか,それとも滅びをもたらすでしょうか。―テサロニケ第一 5:3。
地が存続して柔和な者がそれを受け継ぐには,外部からの,それも人間や悪霊の間に働いているいかなる勢力をも超えた所からの助けによって,地球が破滅から救出されなければなりません。政治的な議会も,宗教的な会議も,哲学の学派も,科学も,科学技術も,一筋の希望を差し伸べるものでもありません。こうした人間の諸勢力もやはり死をもたらすミサイルのようなもので,誤導されており,発射した者にとって裏目に出るだけでなく,それが落下するところではどこでも,生き延びる希望をすべて打ち砕きます。
地球を救う方として,だれに頼ることができますか。それを創造された方に頼らなければならないでしょう。
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人間を越えた勢力が人間を破滅へと向かわせているように思えますか
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『神はそれをいたずらに創造されなかった』目ざめよ! 1982 | 12月22日
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『神はそれをいたずらに創造されなかった』
地球は核戦争で滅びるか
エホバの証人がこの雑誌を発行している理由の一つは,この世が核による大破壊で終わることがないという点を読者に確信させることにあります。一つ,あるいは複数の国々がその核爆弾を実戦で使ってみるかどうかについては何とも言えませんが,核による大破壊ということになると,わたしたちはそのようなものを予期してはいません。それは地を破滅させるものとなるでしょう。そうなれば神の創造の業は破滅させられてしまいます。神のみ言葉聖書は,はっきりと,『神はそれをいたずらに創造されなかった』と述べています。―イザヤ 45:18。
柔和な者は地を受け継ぐと言われたとき,神のみ子は本気でそう話された,とわたしたちは信じています。
み父,すなわち創造者なる神は,人が義をもってそこに住むよう地を形造られた,とわたしたちは信じています。
マタイ 5章5節およびイザヤ書 45章18節はこうした保証の言葉を力強く述べているので,エホバの証人は200以上の国で人々を個人的に訪問するために昨年中,毎日ほぼ100万時間を費やし,こうした聖書の保証をもって幾百万もの人々を恐れから解放してきました。
今日の思慮深い人々は,人間がどのように地を従えてきたかを知っておののきます。“自然”はもはや人類を支配する無敵の主人ではなくなっています。人間は今や生命の行方を自らの手中に収めています。地は人間から保護されなければならないのです。
地は現在損なわれていますが,人間はこのような仕方で地を服させるはずではありませんでした。人間に完全な出発をさせ,どのようにして地を服させるべきかを示すために,「エホバ神は人を取ってエデンの園に住ませ,それを耕やさせ,またその世話をさせた」のです。―創世記 2:15。
パラダイスにおけるそのすばらしい出発についてさらに詳しく調べてみるのは報いのあることです。最初に,「エホバ神は地面の塵で人を形造り,その鼻孔に命の息を吹き入れられた。すると人は生きた魂になった」と述べられています。―創世記 2:7。
そこで人は,生理学的には成熟した成人として創造者のみ前に立っていましたが,経験がなく,教育もありませんでした。神はまた女を十分に発達した者としてお造りになりました。
ここに地上で最高の生命形態が存在しており,次の壮大な目的を遂行するよう神により定められていました。「わたしたちの像に,わたしたちと似た様に人を造り,彼らに海の魚と天の飛ぶ生き物と家畜と全地と地の上を動くあらゆる動く生き物を服従させよう」― 創世記 1:26。
論理的なこととして,教育は第1課から始まりました。『命の道は,わたしがあなたに教える事柄にこたえ応じることにかかっている。わたしはすべてのものを目的をもって,また定められた原則に従って造った。あなたが知らなければならない事柄はすべてわたしが教える。自らのうちで自分の歩みを導こうなどと決めてはならない。あなたの判断では正しく思えても,死に至る道がある」。(詩編 36:9。エレミヤ 10:23。箴言 3:5,6)聖書の主旨全体は,これこそ最初の男女が次の簡単な命令から悟るべき要点であったことを示しています。「善悪の知識の木については,あなたはそれから食べてはならない。それから食べる日にあなたは必ず死ぬからである」― 創世記 2:17。
地球が宇宙で何十億年まわっていたにしろ,生命の過程を準備するために神がどれほど長い時間を掛けられたにしろ,その管理を神が人間にゆだねる時が来ました。思考力と意志を持つこの知覚力のある被造物には,遅かれ早かれ地上の被造物に対する最高の権力を得る能力が備わっていることを,神は知っておられました。ところが,今や人間は,破壊的な意図を持ってそのような権力を手にしたのです。
もしあなたが地球の創造者であったら,どうされますか。ある形態の政治主権の方が神のみ手の業の福利よりも重要であると思い込んでいる人間の世に地球をまかせますか。
原子爆弾を投下するという決定は,必ずしも良い意図を持った人々が熟慮し,断固とした決定を下す話し合いによって定められるわけではありません。それは錯乱した独裁者によって始められることもあるのです。あるいは一握りのテロリストやさらには事故によっても起こり得るのです。米軍は最近の数年間に,攻撃の脅威があるとの警報を3度受けました。2度は,コンピューター内部の不良のチップが原因でした。もう1度は,だれかがミサイル攻撃を想定したテスト・テープを誤って音響システムに入れたために起こりました。それが本当の攻撃だと思った北米大陸防空軍司令部は震え上がりました!
もしあなたが地球の創造者であったなら,その行く末を,盲目的で,不確実で,取るに足らない可能性にかけるような管理者の手に地をゆだねておきますか。
人間と諸国民は地の所有者の前で罪ありとされています。その者たちはこの惑星の上に,核による破壊の危険を,故意に,また暴力的な意図を持って垂れ込めさせているのです。たとえ核爆弾を投下する意図は“自衛上の報復”にだけ限ると主張しても,だれ一人としてその責任を逃れることはできません。雑誌記者のジョナサン・シェルは次のように論評しています。「相手側の住民は不公正な政府の無実の犠牲者であると双方ともみなしていながら,すでに苦しみ,抑圧されているその住民を滅ぼすことにより相手の政府を罰すると互いに提唱していることは,核にまつわる窮状の別の愚にもつかない側面である」―「ザ・ニューヨーカー」誌1982年2月8日号。
神は地が破滅することをお許しにはなりません。神は事態に介入されます。たとえこの惑星上のすべての国民を怒らせることになっても介入されます。「諸国民は憤り,あなたご自身の憤りも到来しました。また……地を破滅させている者たちを破滅に至らせる定められた時が到来しました」― 啓示 11:18。
啓示の様々な預言を現代に当てはめることについて,ある人々は嘲笑するかもしれません。そうした者たちはこの適用に挑戦するとよいでしょう。そうした者たちは事を試みてみるとよいでしょう。しかし,人間が,自ら火を付けた全面核戦争を生き残れないのと全く同様,そうした者たちは「全能者なる神の大いなる日の戦争」を生き残ることができません。―啓示 16:13,14,16。
その戦争は地球上から,野獣のような政治体制を「地の王たちとその軍勢」もろとも永遠に除き去ります。その戦いが終わると,サタン悪魔さえ底知れぬ深みに投げ込まれるでしょう。これは無差別の戦争ではありません。この戦争は地の柔和な者を生き長らえさせるものとなります。その人たちは,汚染され,放射線の照射を受けた地球の燃えがらなどではなく,清められた地を受け継ぎます。それは,天からの支配を受ける義の新秩序の下で美化される地球です。―啓示 19:19-20:3; 7:9,10,13-17。
地が核による大破壊やその他人間の手中にある手段で破滅に至らされることはないとエホバの証人が確信しているのはなぜですか。アダムの子らが全体として神の是認を受けない仕方で地を服従させてきたとはいえ,柔和で,教えを受け入れ,創造者の方法に快く従う人々が存在するからです。その人たちは,地に住んで,神が目的とされた方法でその世話をするという神の目的を進んで遂行します。―詩編 37:34。
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