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    ものみの塔 1980 | 10月1日
    • 「見張りの者よ,夜はどうなるのか」

      「見張りの者よ,夜はどうなるのか。見張りの者は言った,朝は来る,そして夜も」― イザヤ 21:11,12,欽定訳。

      1 比ゆ的に言って,世界は今,何を通過していますか。この事物の体制に関して楽観的になれる根拠が何かありますか。

      世界は今,「夜」を通過しています。この比ゆ的な夜の最も暗い時期にさしかかっています。夜が明ける時に物事がどんな状況を呈するようになるかはまだ分かりません。人類をますます不安な気持ちにしているのは,人間生活のあらゆる面において,物事の状態が悪化していることです。この状態が最初の世界戦争と時を同じくして始まったことを,世界の歴史は示しています。政治家,僧職者,社会の指導者,経済学者などは,夜明けの光が見えると考え,威勢をつけようとするかもしれません。しかし,不安定なこの事物の体制について楽観的になれる理由らしいものは何一つ見当たりません。

      2 この「夜」の到来が予見されていたかどうかは何から分かりますか。「昼」が訪れることはどのように人々の注意を引くものとなりましたか。

      2 この「夜」の到来は何十年も前から知られていました。入手できる過去の世紀の記録はそのことを証明しています。また,人間の歴史を通じて最も輝かしい「昼」が訪れることも予見されていました。そして人々は口頭で,あるいは印刷物を通してそのことに注意を促されました。

      3 今でも発行されているどんな雑誌がそのことの証明となりましたか。そしてその表題がその使命に合った適切なものだったのはなぜですか。

      3 その事実を証ししているのは,現在幾十もの言語で毎号幾百万部も発行されている一つの雑誌です。その創刊号が出たのは1879年の7月で,そのときの雑誌の表題は「シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者」でした。この創刊号は8ページから成り,現在の雑誌よりも大型でした。その雑誌には時宜にかなった果たすべき使命があったのです。その使命は「ものみの塔」という意味深い言葉が表題に含まれていた点に暗示されていました。ですからそれに調和して,表題の下の部分には,地上で最も古い本からの意味深い引用句が記されていました。それは「見張りの者よ,夜はどうなるのか」,「朝は来る」という句でした。それは聖書のイザヤ書 21章11,12節の預言をジェームズ王訳つまり欽定訳から引用したものです。聖書時代には,見張りの者と言えば武装都市の城壁の上にあるものみの塔を連想しました。その塔は高い所にあったので見通しがききました。この雑誌の発行者は見張りの者級として奉仕することを目ざしていました。同誌を用いて,発行者は「見張りの者よ,夜はどうなるのか」という質問に答えるための努力を払いました。この挑戦的な質問は1938年12月15日号まで,雑誌の第1ページにずっと掲載されました。

      4 どんな重要な出来事が1870年代に起こったため,「ものみの塔」誌は不吉な時代に発行された,と言えるのですか。

      4 「ものみの塔」誌が1879年7月1日に始めて世に出,発行部数がわずか6,000部だったころ,世界情勢には不吉な影がさし始めていました。1870年には普仏戦争が行なわれ,ドイツ第二帝国がすでに台頭していました。大英帝国とその宿敵ドイツ帝国の間には軍備競争が繰り広げられようとしていました。1878年には東方問題に決着をつけるためのベルリン会議が開かれましたが,その東方問題の中にはヨーロッパの諸帝国,ことに英国とロシアの間でトルコを分割しようとする運動も含まれていました。結果として将来に国家間の戦争が起こりそうな気配が立ちこめていました。

      5 それで,その時はどんな種類の調査を行なうべき時でしたか。それにふさわしく,1895年1月1日号の「ものみの塔」誌の表紙はどのようになりましたか。

      5 それは,世界の出来事の意味とその成行きについて何か少しでも述べられていないかどうか,聖書預言を研究するまたとない時期でした。1895年1月1日号から「ものみの塔」誌の表紙のデザインが,荒海の水ぎわに立つ,城壁の一角のものみの塔をあしらったものに変更されたのは適切でした。同時に,デザインが新しくなった同誌の表紙の一番下のところには,ルカ 21章25-31節に基づく次のような言葉がイタリックで印刷されました。『地にては国々の民なやみ,海と波(落ち着きがなく不満を抱いている人々)との鳴り轟くによりてうろたえ,人々おそれ,かつ世界(社会)に来らんとする事を思いて胆を失わん。これ天(教会中心主義)の万象,震い動けばなり。……かくのごとく此等のことの起るを見ば,神の国の近きを知れ。仰ぎて喜び頭を挙げよ,汝らの贖い近づけるなり。―ルカ 21:25-28-31』

      6 「見張りの者」級にとって20世紀を迎えることが興奮に満ちたものとなろうとしていたのはなぜですか。

      6 その後米西戦争が1898年に生じ,スペイン帝国が敗北しました。1899年に南アフリカで起こったブーア戦争では大英帝国が勝利を収めます。国際的な軍備競争はその速度を増してゆきました。飛行機が発明されるに及んで空中戦が可能となり,そのころには高性能の潜水艦も発明されて戦闘に用いられました。こうして20世紀は,熱心に問いかける人々に対して「見張りの者」級が報告を行なう興奮に満ちた時になろうとしていました。「見張りの者」級が「異邦人の時」の終わりを1914年の秋と見込んでいたことがそれに拍車をかけるものとなりました。―ルカ 21:24,欽定訳。

      「見張りの者」に尋ねるのはなぜか

      7 「見張りの者」に向けられた質問は,続く文脈に示されているように,どんな背景の中で語られているものですか。

      7 「見張りの者」に向けられた,イザヤ書 21章11節の中にある質問は,戦争の気配を示す背景の中で語られています。続く文脈は次のようになっています。「荒れ野に対する宣告。デダンの者たちの隊商よ,あなたがたは荒れ野の森林の中で夜を過ごすであろう。渇いている者を迎えるために水を携えて来るがよい。テマの地の住民よ,逃げ去る者にその者のためのパンをもって立ち向かえ。剣のゆえに彼らは逃げ去ったからである。抜き身の剣,曲げられた弓,戦争の激しさのゆえに。エホバはわたしにこのように言われたからである。『雇われた労働者の年期にしたがってもう一年のうちに,ケダルのすべての栄光は必ずその終わりに至る。そして,弓を持つ者の数の残された者たち,ケダルの子らの力のある者たちは少なくなる。エホバ,イスラエルの神がそう語られたからである』」― イザヤ 21:13-17,新。

      8 問いかける者と見張りの者の言葉のやり取りに先立つ文脈も,やはり何のことを示していますか。問いかける者はどの場所にいますか。

      8 同様に,問いかける者と見張りの者との言葉のやり取りに先立つ「宣告」も,戦闘のあることを示しています。ゆえに,問いかける側には懸念するだけの理由があるのです。問いかける者はどこにいるのでしょうか。それは世界征服者の進む道筋と思われます。イザヤ書 21章11節(新)には,「ドマに対する宣告。セイルからわたしに呼ばわる者がいる。『見張りの者よ,夜はどうなのか。見張りの者よ,夜はどうなのか』」と記されています。

      9 (イ)宣告を下された土地の名称にはどんな意味がありますか。それはどのように適用されますか。(ロ)ヤコブの双子の兄弟エドムはどうしてセイルと結びつけて考えられるようになりましたか。

      9 宣告を下された土地は,“沈黙”を意味するドマの名で呼ばれています。この名は,この場所が沈黙を特色とするようになることを予示する預言的な名称のようです。必ずしも,荒廃と死によって生じた沈黙がすでにそこを支配しているという意味ではありません。ドマの位置については,見張りの者を呼ぶ声がセイルから,つまりセイルの地から聞こえてくることがヒントになります。この土地はイドマヤ,すなわちエドムの国のことだと考えられています。ギリシャ語セプトゥアギンタ訳がドマの代わりにイドマヤを用いている理由はそこにあるのかもしれません。エドムとは,ヤコブの双子の兄エサウに与えられたあだ名でした。エドムの地の人々はヤコブの民,すなわちイスラエルの民に敵対しました。

      10 エドムつまりエサウの子孫が同胞民族を憎むようになり,西暦前607年のその災いを喜んだのはなぜですか。

      10 ヤコブの双子の兄は,生まれた時に毛深かったので,“毛深い”という意味のエサウと呼ばれました。セイルとは“毛深い,または灌木の茂った”という意味ですが,この土地のそのような呼び方はエサウに由来しているわけではありません。エサウの子孫は土着の住民を征服してセイルの地を支配するようになりました。エサウ,すなわちエドムは,長子の権をヤコブに進んで売り渡したことでよく知られています。ヤコブの神エホバはこの売買を承認し,買い求めた者ヤコブに祝福をお与えになりました。こうした理由でヤコブはエサウに憎まれるようになります。ですから,バビロニア人が西暦前607年にエルサレムを滅ぼした時,エサウの子孫のエドム人が自分たちの同胞民族であるイスラエルに恐ろしい災いが臨んだことを大いに喜んだとしても,驚くにはあたりません。国家的なこの災い,および生き残ったイスラエル人がバビロニアへ連れ去られる事件が生じたのは,見張りの者に関してイザヤが預言した後の世紀のことでした。

      11 問いかけに対する答えの情報源はどこにありますか。それで,イザヤは,今日のどんな人々を表わしていますか。

      11 では,エドム人の地セイルの問いかける者が質問を投げかけている相手の見張りの者はどこにいるのでしょうか。問いかける者と見張りの者に関して預言したのはイザヤでしたが,イザヤはまだ自由であったイスラエルの地にいました。したがって,イスラエル人がイザヤの預言の成就する時にどこにいることになろうとも,見張りの者の答えの情報源はイスラエルの地にあったのです。この預言をした当時,イザヤは,問いかけに対して正しい答えを与えるべく,神の命令によって任命された見張りの者を表わしていました。イザヤとその子供たちは神の是認を得ていました。ですからイザヤが今日の「見張りの者」級,つまり天的な相続財産を有する霊的イスラエル人の残りの者を表わしていたのは極めて適切なことでした。これらの人々は暗闇に包まれた現在の世界情勢に関して啓発されてきた人々です。

      12 (イ)1879年当時,より大きな「見張りの者」級のための見張りの者として奉仕することに身を捧げていたのはだれですか。(ロ)当時生じつつあった質問に対する彼らの答えは,必然的にどこから来るものでしたか。それは実質的にはどんな答えでしたか。

      12 西暦1879年当時,「ものみの塔」誌の編集者とその仲間たちは,全く献身し,バプテスマを受けたクリスチャンでした。彼らは霊で油そそがれたクリスチャンの兄弟たちのために見張りの者のグループとして奉仕することに身を捧げていました。こうした人々が一団となって,より大きな「見張りの者」級を構成していました。これらの人々は,当時生じつつあった,「見張りの者よ,夜はどうなるのか」との質問をかわすことはできませんでした。彼らが与えることのできた信頼に足る唯一の答えは,古代の見張りの者の口に入れられた霊感を受けた神の言葉だけでした。それは,実質的に,「朝は来る,そして夜も」という答えです。(イザヤ 21:12,欽定訳)その通りです。エホバ神の明らかにされた見込みによれば,より輝かしい期間,「朝」が必ず訪れることになるのです。それはエホバの選びによるメシア,栄光を受けたそのみ子イエスの統治する千年期,つまり一千年の期間の前ぶれとなるでしょう。しかしその前に世界的な苦難という「夜」が来なければなりません。

      13 (イ)1886年から発行され始めた一連の「聖書研究」は何と呼ばれましたか。なぜですか。(ロ)セイルの問いかける者が,その土地を覆っていた「夜」に関心があったのはなぜですか。

      13 キリストの千年統治の幕開けとなる,約束された「朝」にちなんだものに違いありませんが,「ものみの塔」誌の編集者が1886年に発行し始めた一連の「聖書研究」は,「千年期黎明」と呼ばれました。その表題の下には,『正しき者の道は旭のごとし いよいよ輝きをまして昼のもなかにいたる』という箴言 4章18節の言葉が引用されていました。しかし,セイルの地の問いかける者が大きな関心を抱いていたのは「夜」のほうでした。預言者イザヤの時代には,エドム人の地セイルを覆っていた「夜」の暗闇は濃密なものになろうとしていたのです。その土地が,セイル山のエドム人よりもその同胞民族であるイスラエルに好意を示す新しい世界支配者の支配下に置かれたときにそうなるのです。

      14 世界中に広がる「夜」に関する質問に,今日正しく答えられるのはだれですか。ほかの質問ははねつけられますか。

      14 「ものみの塔」誌が初めて世に出てから1世紀以上を経過した今日においても,光を求めるこの世の人々は「夜はどうなのか」という緊急な質問を投げかけてやみません。この質問に対して正当な根拠のある答えを出せるのは,「見張りの者」級だけです。この級は正しい答えである聖書の答えが得られずに困ったことはありませんでした。イザヤの預言の中の見張りの者が,「もしあなたが尋ねたければ,尋ねよ。また来るがよい!」と述べているように,ほかの質問もすべて歓迎します。―イザヤ 21:12,新。

      15 ほかの質問も歓迎することを考えて,「ものみの塔」誌はどんな立場を保ってきましたか。そして「夜」に関するどんな知らせを妨げに屈することなくふれ告げてきましたか。

      15 その目的のために,「ものみの塔」誌は今に至るまで引きつづき発行されてきたのです。実際の見張りの者がその部署で絶えず目ざめていなければならないのと同じく,「ものみの塔」誌も目ざめ続け,1879年7月の創刊号以来,1号も休刊したことはありません。第一次および第二次世界大戦の期間中に「見張りの者」級に加えられた世界的な迫害にもかかわらず,このことは真実でした。同誌は,「夜」の暗闇が,聖書預言でハルマゲドンと呼ばれている「全能者なる神の大いなる日の戦争」でその頂点に達するという布告を恐れずに伝え,「夜」の進みゆく様を報じてきたのです。こうして油そそがれた「見張りの者」級は,「わたしたちの神の側の復しゅうの日……をふれ告げる」という使命を果たすことに引きつづき努めています。―啓示 16:14-16。イザヤ 61:1,2,新。

      見張りの者が部署についた後の宣告

      16 「見張りの者」が自分の口に置かれた「宣告」を広く宣明するためにはなぜ勇気が必要でしたか。この宣告が今のわたしたちにとって,つかの間の関心事でないのはなぜですか。

      16 声の届く所にいるすべての人の耳に達するように広く宣明すべく口の中に置かれた言葉を告げ知らせるためには,神の「見張りの者」は勇気を持ち,忠実でなければなりません。その宣告は,当時まで世界最強の国と目されていた者にとっては快いものどころか不快なものでした。しかし,これら古代の世界をゆるがす事件が生じた時期に見張りの者が所属していたイスラエル国民にとっては,それは良い知らせでした。仮に,この不利な「宣告」に示されている事柄が,戦争に悩まされる今の世紀に全世界的な規模で最終的に成就するという事実がなかったとしたら,これは現代のわたしたちにとってつかの間の関心事にすぎないものとなっていたことでしょう。したがって遠い昔のイザヤと同じように,わたしたちも必ず影響を受けるのです。

      17,18 「海の荒野」という表現は何をさしていましたか。その地域からどんな世界強国が支配しましたか。

      17 イザヤを通して与えられた霊感による知らせの冒頭は穏やかならぬものです。こう記されています。「海の荒野に対する宣告。前進する南の暴風のように,荒野から,畏怖の念を起こさせる地からそれはやって来る」― イザヤ 21:1,新。

      18 「海の荒野」という表現で指し示されている場所は,人類史の上で世界的に重要な場所でした。それはユーフラテス川とチグリス川つまりヒデケルとによって形成されたデルタ地帯のことです。その2本の川のことは,最初の人間アダムの創造に関連して述べられています。(創世 2:14)どちらも,現在のペルシャ湾に注いでおり,二つの川の河口はお互いに近い所にあります。洪水時に川の水が堤防からあふれると,その二つの川の間の平地は「海の荒野」のように,荒海のようになるのです。その結果,低湿の沼地が生じます。預言者イザヤの時代にこの地域を支配していたのは,聖書歴史上2番目の世界強国アッシリアでした。次の世紀になると,一段と強力な第3世界強国がそれに取って代わります。

      19 第3世界強国はイザヤの民に何をもたらしますか。今日,この問題はだれにとって特別な関心事となっていますか。

      19 勃興しつつあった第3世界強国はイザヤの民に大きな悲しみをもたらす国でした。当然のことながら,その民に生じる出来事は,見張りの者としてのイザヤにとって,また「海の荒野に対する宣告」のすべてが成就する時に見張りを務めるあらゆる人々にとって尽きることのない興味の対象となるでしょう。そういうわけで,今日におけるその最終的な成就は,現代の「見張りの者」にとって,そして「見張りの者」級を見守ることにより導きを得ようと願うすべての人々にとって興味深いものなのです。

      20 近づく災いの原因は何になぞらえられますか。破壊的な力はどこから来ると言われていますか。

      20 「南の暴風のように」抗しがたく圧倒的な何ものかが,水平線上にその輪郭を現わし始めました。暴風は非常に激しく,破壊的なものでした。人間の作ったもので,前進する暴風の進路にあるものは,完全に破壊される危険がありました。切迫している災いに人々を驚嘆させる面があることは,それが「荒野から,畏怖の念を起こさせる地から」やって来ると言われていることに表われています。(イザヤ 21:1,新)当時の預言者イザヤは,気象台の職員のように,嵐の通り道にあたる人々に最悪の事態のための準備を促すため,警戒警報を出しました。

      21 今世紀に警戒警報を掲げてきたのはだれですか。警戒するように促され特に責任を課されているのはだれですか。

      21 それに対応して,「見張りの者」級は特に第一次世界大戦の終結した1918年以降,警戒警報を掲げ続けてきました。「見張りの者」級が世界の各地で激しい迫害を受けていた危機的なその時期に,「ものみの塔」誌は廃刊の脅威にさらされながらもそれを切り抜けたのです。「見張りの者」とその器である「ものみの塔」誌は,地の四方で発せられてきた警告をさらに鳴り響かせることを旨としてきました。人々,とりわけその指導者は警戒するように促されてきました。彼らには責任があります。

      22 どんな種類の宣告がまもなく大声で発せられますか。その時,「大群衆」が幸福に感ずるのはなぜですか。

      22 「見張りの者」級はまもなく衝撃的な宣告を大声で発します。そうした宣告が不意に発せられる時,その警戒警報にすぐに注意を払ったあの特別な「大群衆」は幸福感を味わうことでしょう。―啓示 7:9-15。

  • 見張りの者は言った,「彼女は倒れた!」
    ものみの塔 1980 | 10月1日
    • 見張りの者は言った,「彼女は倒れた!」

      1 なぜわたしたちは意志を堅固にして,イザヤが告げなければならなかった「幻」を調べてみるべきですか。

      急速に近づきつつある将来の出来事に関する幻は厳しい幻である。預言者イザヤは,当時世界を支配していたアッシリア帝国の全盛時代においてさえ,事態をそのように言い表わしました。その「幻」は現在わたしたちが調べることのできないほど「厳しい」ものでしょうか。それでもわたしたちは意志を堅固にして,イザヤが述べる事柄に注意を払いましょう。イザヤはこう述べています。「わたしに告げられた厳しい幻がある。裏切りを働く者は裏切りを働き,奪い取る者は奪い取っている」― イザヤ 21:2,新。

      2 (イ)「奪い取る者」とはだれのことですか。どうしてそれが分かりますか。(ロ)「裏切りを働く者」は特にだれに対して裏切りを働きましたか。なぜですか。

      2 はなはだしく『裏切りを働いていた』者の名前は挙げられていませんが,その正体をつきとめることは可能です。これは第3世界強国となった古代バビロンのことです。この国はエルサレム市だけではなく,同市のエホバの神殿の至聖所をも奪い取って卑しむべき悪名をはせていました。確かに,エホバはユダ王国を懲らしめるためにバビロンの皇帝ネブカデネザルをご自身の「僕」としてお用いになりましたが,バビロンはエホバの契約の民に対して裏切りを働きました。バビロンは,70年が過ぎ去ろうとしていたにもかかわらず,ユダヤ人の流刑囚を解放して,神から与えられた故国へ戻すことはしませんでした。(イザヤ 14:3-17)西暦前537年にこれらの「囚人たち」が本国へ戻れるよう道を開くために用いられたのは,バビロニア帝国を征服した者でした。ですから,見張る者イザヤに告げられた「幻」が,国々の民,特にイザヤの神の民を奪い取る者であったバビロンにとって「厳しい」ものであったのは当然です。

      3 「裏切りを働く者」,「奪い取る者」であるという点で,バビロンの現代版となるのは何ですか。

      3 古代バビロンの現代版の場合はどうですか。その現代版も,エホバ神との契約関係にあるクリスチャンを扱う際に,キリスト教の教理に関して負けず劣らず裏切りを働いてきています。そのようなクリスチャンがエホバ神の命令を守り,即位した王イエス・キリストについての証しの業を行なうという理由で,無情にも彼らを奪い取ってきました。(啓示 12:17)とりわけ第一次世界大戦以後,先に立って裏切り行為や奪い取ることをもくろんだのはキリスト教世界です。「厳しい幻」が現代の偽りの宗教の世界帝国である大いなるバビロンの上に成就する時,同世界はその幻の持つ力を特に強く感じることでしょう。では,まもなくこの「厳しい幻」を実現させるためにエホバに用いられるのはだれですか。

      4 イザヤ 21章2節で,バビロンを攻撃すると述べられているのはだれですか。ペルシャ人のことがここで述べられていないのはなぜですか。

      4 イザヤはさらに,「エラムよ,上れ! メディアよ,包囲せよ! 彼女のゆえに出るすべての溜息をわたしはやめさせた」と述べ,その答えの基礎を据えています。(イザヤ 21:2,新)エラムはチグリス川の東側に位置し,ペルシャと呼ばれた国の一部となりました。ただし今はイランがその地域を所有しています。a メディアはメソポタミアの谷の東側にあったより広範に及ぶ地域です。イザヤの預言の約200年後,クロス大王(2世)はメディア人を制圧し,ペルシャ王国をメディアに勝る権力を持つものとしました。ところがクロス大王の母はメディア人であり,その軍隊の兵士も大部分はメディア人でした。このクロスは,イザヤが神の霊感を受けて予告したクロスつまりコーレッシのことです。(イザヤ 44:28から45:7)イザヤの預言が行なわれた時期には,メディア-ペルシャ帝国はまだ興っていませんでしたから,ペルシャ人も目立った存在ではありませんでした。したがってエホバは,バビロンを攻撃するものとしてエラムとメディアの名だけを挙げておられるのです。

      5 エホバは,「彼女のゆえに出るすべての溜息」をどのように終わらせましたか。「捕らわれ人」はどのように故国に帰る自由を得ましたか。

      5 これら攻撃を加える者たちは成果を上げ,南西アジアと中東の情勢を変えることになっていましたか。その通りです。イザヤが次に述べる,「彼女のゆえに出るすべての溜息をわたしはやめさせた」という言葉にそのことが示されています。これは確かに宇宙の主権者なる主「万軍のエホバ」の言葉です。その方はエラムとメディアをご自分の代理者として用いることにより,抑圧的なバビロンゆえに出る「すべての溜息」を終わらせました。霊感を受けた詩篇作者は,イスラエル人が捕らわれの状態で朽ちてゆくことを少しも意に介さない略奪者の手から解放してくださるようエホバ神に訴え,次のように述べました。『ねがわくは汝のみまえに捕らわれ人の嘆きのとどかんことを 汝の大いなるみ力により死にさだめられし者をまもりて長らえしめたまえ』。(詩 79:11-13。イザヤ 14:17)この祈りに対する答えは,ユダヤ人がバビロンに追放されてから70年目に,クロス大王の勅令という形で与えられました。―イザヤ 35:8-10。

      バビロンの倒壊に対する個人的反応

      6,7 バビロンの倒壊が,不利な影響を受ける人々に及ぼすその影響について,イザヤはどのように描写していますか。

      6 勢力を振るっていた第3世界強国が西暦前539年に倒れ,イスラエルという小さな国に特別な益がもたらされたことが想像し難いとしても,それは当然のことです。この事件は世界史の流れを大きく変えるものとなりました。「海の荒野」の中心に位置していた同帝国が倒壊したことで不利な影響を受けた人々は,悶え苦しむ運命にありました。そうした人たちに及ぶ影響は,「厳しい幻」について述べるイザヤの次の言葉の中に描かれています。

      7 「それゆえに,わたしの腰は激しい痛みで満たされた。出産しようとしている女のけいれんのようなけいれんがわたしを捕まえた。わたしは錯乱状態となったので,ものが聞こえない。わたしは動揺させられたので,ものが見えない。わたしの心はさまよい,身震いがわたしをおびえさせた。わたしが慕っていたたそがれは,わたしにとってはおののきとなった」― イザヤ 21:3,4,新。

      8 イザヤの描写的な言葉は,偽りの宗教の世界帝国が倒壊する時のキリスト教世界や異教世界の宗教指導者に関して,何を示していますか。

      8 裏切り者である第3世界強国の倒壊と関連のあるこれらの描写的な表現は,バビロンの現代版が倒れる時に,世界の宗教的社会の骨組を伝わる衝撃波を表わしています。それは,現在エホバの証人たちが1914年以来のこの「終わりの時」に伝えている強烈な音信より,はるかに深く現代の対型的なバビロニア人の宗教感情を傷つけます。(ダニエル 12:4,新)キリスト教世界および異教世界の宗教団体に属する司祭や他の職員は呆然とし,生じていることを見ることも聞くこともできないかのように度肝を抜かれることでしょう。その心は落ち着きと平静を失い,かつて崇拝していた神々にゆらぐことのない信頼を置くこともできなくなります。宗教的偽善が暴露されたことが主な原因となって,身震いが彼らをおびえさせるほどに状態は恐ろしくなります。1日の仕事を切り上げるころ,安らぎと慰めを約束するかのように訪れる「たそがれ」は,暗黒へと向かうわななきの時となるのです。彼らが自らの宗教組織内の人々を誤導し抑圧した時代は,恐ろしい終わりを告げます。出産の苦しみのために自分の腰を押える女のように,彼らはけいれんします。

      9 イザヤに明かされた舞台装置は,突然,エホバの命令のために変化します。それはどんな命令ですか。

      9 預言者イザヤに明かされた舞台装置は,突然,劇場の場面が変わるように変化します。イザヤは次のようなエホバからの命令を耳にします。「食卓を整え,座席の位置を決め,食べかつ飲むように。君たちよ,立ち上がって盾に油そそげ。エホバはわたしにこのように言われたからである」― イザヤ 21:5,6,新。

      10 その神の命令は何を描写していましたか。そこに描かれている事柄は,何があって,エホバ神にはなはだしい侮辱をもたらすものとなりましたか。

      10 これは,世界支配の最後の夜を迎えたバビロンの宮殿の場面の簡単な描写です。ベルシャザルの宴会の様子が写実的に描かれています。父である皇帝ナボニドスはその席にいません。そのとき,確かにバビロンの幾千人もの高官たちの座席を決めることが行なわれました。そして陽気に食べたり飲んだりしました。しかしその宴会は,人々がエホバ神の神殿のものであった卓上食器を使って飲み食いし始めるに及んで,エホバ神にはなはだしい侮辱をもたらすものとなりました。それらの食器はバビロニア人がエルサレムを占領し,その神殿を破壊するまではエホバ神の神殿のものだったのです。

      11 ベルシャザルのこの不敬な宴会で,エホバは奇跡的にどんなことを行なわれましたか。このとき,解き明かしを行なう者としてダニエルは何をしましたか。

      11 ベルシャザルの宴会は,エホバをそうした状態に陥れたため,不敬なものとなりました。エホバは奇跡を起こし,王の目に入る宴会場の壁に,手が文字を書き記すようにされました。それは,「メネ メネ テケル そして パルシン」という文字でした。これらの暗号を解読するには,どうしても捕囚の身のユダヤ人預言者ダニエルが登場しなければなりません。手書きの文字の末尾の語パルシンは,カルデア語ペレスの複数形で“分けられたもの”を意味します。それでダニエルは霊感を受けて解き明かしを行ない,「ペレス,あなたの王国は分けられて,メディア人とペルシャ人に与えられました」と語りました。―ダニエル 5:28,新。

      12 君たちから油そそがれる「盾」とは何でしたか。このような「盾」に油そそぐようにという命令は何を意味していましたか。

      12 ダニエルはその褒美として,王室の衣服を与えられ,帝国内の「第三の支配者」とされました。しかしながらこのことによって,「君たちよ,立ち上がって盾に油そそげ」という,バビロンの貴族階級に対して語られたエホバの命令が成就したわけではありません。(イザヤ 21:5,新)この命令は,バビロンを包囲する者たちと戦うための軍事用の盾に油を塗ることを君たちに求めるものでもありませんでした。むしろ,「盾」という表現は,国家の首長たる王に適用されるものでした。(詩 89:18と比較してください。)では,「盾に油そそげ」との命令にはどんな意味があるのでしょうか。それはこうです。ベルシャザル王がまさに殺されようとしていたので,別の人がバビロニア帝国内の“第二の支配者”の立場を引き継ぐ必要が生じるということです。でも,新しい象徴的な「盾」が油そそがれて就任することにはなりませんでした。ベルシャザルの横死は,実際に王室から後継者の出る余地を残しませんでした。

      13 それで,イザヤ書 21章2節にある命令はむなしくなりましたか。新しくダニエルに与えられた地位は,政治体制が変わっても引き継がれましたか。

      13 ダニエル書 5章30,31節にはこう記されています。「まさしくその夜,カルデア人の王ベルシャザルは殺され,メディア人ダリヨスがその王国を受けた。彼はおよそ62歳であった」。それは世界政治のなんという電撃的な変化だったのでしょう。「エラムよ,上れ! メディアよ,包囲せよ!」とエホバがお命じになった事柄はむなしくなりませんでした。(イザヤ 21:2,新)メディア人とペルシャ人の前にバビロンが倒れた時,メディア人ダリヨスがバビロンの“第二の支配者”の地位につきました。ダニエルは新しく与えられたバビロンの「第三の支配者」としての地位に,メディア-ペルシャの体制下においても引き続きとどまるということはできませんでしたが,ベルシャザルと一緒に殺されることはありませんでした。

      14 古代バビロンの倒壊は何を予示していますか。それに関係する人々はどんな影響を受けますか。

      14 古代バビロンの驚くべき倒壊は,その現代版である大いなるバビロンが突如として倒壊することを予示しています。この出来事は,油断している世界の宗教家たちを捕らえます。したがって,偽りの宗教の世界帝国が無敵であることを信ずる人が同帝国の倒壊の間近いことを予期しないなら,その自己満足は,必ずや不意の衝撃を受けることでしょう。

      見張りの者が報告すべき事柄

      15 ベルシャザルの宴会に関する預言的な描写の後に記されている命令は,古代バビロンとその現代版について何を示していますか。

      15 それにしても,ベルシャザルの宴会が催された西暦前539年のあの苦しい夜に関する予告編を,イザヤが示しているのはなぜですか。それは,その後に続くもの,つまり,「裏切りを働く者」の倒壊を喜ぶ,エホバの契約の民にとって世紀の大事件となる事柄を報告するためでした。イザヤ書 21章5,6節には,バビロン倒壊の直後に生ずることが次のように示されています。「君たちよ,立ち上がって盾に油そそげ。エホバはわたしにこのように言われたからである。『さあ,見張りを配置し,その見るところを告げさせよ』」。この出来事は世界中に知れ渡ることになるのです。では,大いなるバビロンの倒壊についても大々的に告げ知らせなければなりません。

      16 古代バビロンおよび大いなるバビロンの場合に,部署についていた「見張り」について何と言えますか。

      16 「見張り」を配置してその目に映るものを報告させるようにと命じられたのはイザヤです。イザヤは,自分が予告したことや自分が書いた記録の目撃証人となるまで生き延びたわけではありません。ですからイザヤの民の中のだれか外の人が,配置された見張りの役を務めなければなりませんでした。その時からかなりの時が流れた後の,大いなるバビロンの倒壊が差し迫っている時代にも同様の見張りが部署についています。それはエホバの聖霊で油そそがれたグループです。依然として「ものみの塔」という名称の雑誌と,適切にも関連を持つグループです。エホバ神がイエス・キリストを通してこの「見張り」級を任命しておられる証拠には事欠きません。この人々は,全世界が暗闇に覆われる今の不吉な「夜」の時間に至るまで,その資格で奉仕してきました。(マタイ 24:45-47)では,この「見張り」は,しかるべき時に何を知らせてくれると考えられますか。

      17 部署についている「見張り」は何を見ましたか。それは何を表わしていましたか。

      17 「見張り」に関するイザヤの預言は,さらに続きます。「すると,彼は一対の乗用馬と共に戦車やろばの戦車やらくだの戦車を見た。そして,彼は思いを凝らして厳重な注意を払った」。(イザヤ 21:7,新)これらの車は,駿足のペルシャの早馬ないしは乗用馬のスピードで近づいているものと思われます。そして「[征服された]海の荒野」からやって来ています。戦車が縦隊を作っているようです。ろばに引かれた戦車の縦隊は,メディア人ダリヨスの率いるメディアの軍勢を表わします。馬よりも速く走れるより大きな動物であるらくだが引く戦車の縦隊は,クロス大王bの指揮するペルシャ勢を表わします。このペルシャ人は,事実上,メディア人とペルシャ人から成る連合軍の指揮官でした。エホバがイザヤを通して,わたしはあなた個人の名を呼んだ,と述べられた征服者は,メディア人ダリヨスではなく,ペルシャ人クロスのことでした。このクロスの前に,エホバはバビロンの金属製の門と扉を開いてクロスがユーフラテス川の川床を上り,堅固な城壁に囲まれたバビロンの町に侵入できるようにされたのです。―イザヤ書 44:27から45:4。ダニエル 8:1-4,20と比較してください。

      18 イザヤ書 21章8,9節によれば部署についている「見張り」はどんな種類の人ですか。それは現在に至るまで同じですか。

      18 自分の部署についているこの見張りは,見張りの者としてどれほど忠実で信頼できる者でしょうか。イザヤ書 21章8,9節(新)は次のように述べてその答えを示しています。「それから彼はししのように呼ばわった,『エホバよ,わたしは昼間はずっとものみの塔の上に立っていますし,わたしは夜通しわたしの見張り所についております。それが何と,今,人の乗った戦車が,一対の乗用馬と共にやってきます!』」見張りは,自分がうむことなく警戒していた重大な情景をその鋭い目で見る時まで,しっかりと目覚め,自分の部署を離れませんでした。同様に,現在の「見張りの者」級も,神から与えられた使命を果たすために「ものみの塔」誌や他の神権的な出版物,および公開講演を用いて,声を大にし,恐れることなく叫び続けてきました。待望の発表が行なえるまで,見張りはエホバの尽きることのない力によって,そのことをこれからも行ない続けます。

      19 戦車が近づいて来ることの意味を見張りの者が的確につかんでいたか否かを,何が示していますか。

      19 見張りの者は,自分が立つものみの塔から得られる視界の中に入ってきた戦車の重要性を悟りました。70年間ユダの地が荒廃するというエホバの時の定めにより,また捕囚の身となったダニエルが西暦前539年に開かれたベルシャザルの不敬な宴会の前に行なった預言により,見張りの者は,非バビロニア人の戦車が何にも妨害されずやって来ることの意味を的確に解釈することができました。イザヤ書 21章9節(新)の後半には次のように述べられています。「それから彼は語り,こう言い始めた。『彼女は倒れた! バビロンは倒れ,彼女の神々の彫像すべてを彼は地に砕いた!』」

      20 バビロンの神々の彫像を砕いたのが,バビロンに追放されたユダヤ人でなかったのはなぜですか。この偶像破壊者はだれでしたか。

      20 ここで語られている偶像破壊者は,唯一の生ける真の神,ねたむ神つまり「専心の献身を求める神」であられるエホバのことです。(出エジプト 20:5,新)バビロンの神々を崇拝しなかったメディア人とペルシャ人にバビロンを征服させることにより,エホバは第3世界強国の偶像的な神々が偽りであり,実在しないことを証明されました。第3世界強国に反旗を翻し,同国を覆したのはバビロンに追放されていたユダヤ人ではありませんでした。彼らの神エホバは,そのユダヤ人たちにそうする権限や命令をお与えになりませんでした。むしろエホバは,メディア人ダリヨスとペルシャ人クロスをお用いになり,世界強国としての偶像礼拝的なバビロンを破滅に至らせたのです。(ダニエル 2:32,36-38)したがって,「裏切りを働く者」の倒壊を生じさせたのは「見張りの者」ではありません。「見張りの者」はバビロンの破滅を証しし,預言の神,主権者なる主であられるエホバの正しさを立証したに過ぎません。

      21 イザヤの預言の「見張りの者」が行なった発表に似たどんな発表がその後に行なわれますか。

      21 イザヤの預言の「見張りの者」が行なった発表に似た,すべての人が影響を受ける重要な発表がこの現代になされると予告されていました。1世紀の終わりまで生きていたクリスチャンの使徒ヨハネは,発表を行なう者に関する幻を見,次のことを書き記しました。「わたしは,別の使いが天から下って行くのを見た。彼は大いなる権威を持っており,地は彼の栄光によって照らし出された。そして,彼は強い声で叫んで言った,『彼女は倒れた! 大いなるバビロンは倒れた。そして,悪霊たちの住みか,あらゆる汚れた呼気のこもる場所,またあらゆる汚れた憎まれる鳥の潜む場所となった!』」― 啓示 18:1,2。

      22 大いなるバビロンを廃虚にしてしまうのはだれですか。その方はその目的のためにどんな代理者を用いますか。

      22 大いなるクロスである栄光を受けた主イエス・キリストこそ,将来に大いなるバビロンの字義通りの倒壊をもたらし,そこを人の住まない荒れ地とならせる方です。今日,エホバのクリスチャン証人たちはエホバの王国とその復しゅうの日について世界中に宣べ伝えることを望み,またそれを余すところなく行なうことができます。しかしそれで偽りの宗教の世界帝国が粉砕されるわけでは決してありません。彼らは,大いなるバビロンが倒れたとの発表ができる時を切に待ち望んでいるのです。(啓示 18:2)大いなるクロスは大いなるバビロンを覆すために,平和を守る地上の弟子たちは用いられませんから,啓示 17章に示されているように,獣のような代理者を用いられます。それは10本の角を持つ緋色の獣として描かれています。その七つの頭は聖書歴史上の七つの世界強国を表わします。かの国際的娼婦大いなるバビロンは,第一次世界大戦後の国際連盟が結成された時に,この20世紀の象徴的な獣の背中に乗りました。

      23 象徴的な獣を以前支持していた人々は,次にだれに攻撃のほこ先を向けますか。大いなるクロスは何を行ないますか。

      23 大いなるバビロンは今日に至るまで,連盟の後を継いだ国際連合の上に乗ってきました。しかしほどなくして,国際連合を支持する政治家たちは偽りの宗教の世界帝国に牛耳られることにあきあきし,彼女を振り落として滅ぼします。そして「見張りの者」が「大いなるバビロンは倒れた」と大声で叫んだ後に,政治家たちは全力をあげて,今度は生き残っているエホバのクリスチャン証人たちに攻撃のほこ先を向けます。ここで大いなるクロスである「王の王」イエス・キリストが介入され,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」で,国際連合を以前支持していた人々を滅ぼすのです。複合の見張りの者が叫ぶ知らせにこたえ応じた,エホバの油そそがれた「見張りの者」級と「大群衆」は,天と地すべての主権者としてのエホバ神の正しさを立証したため,神の保護を受けてこの最終的な戦争を生き残ります。

      24 古代イスラエルは,どのような点でエホバの脱穀場の「子」でしたか。今日,同じようなだれの脱穀がまもなく終わりを迎えますか。どのように。

      24 古代バビロンに70年間追放されていたユダヤ人たちは,こうしてまるで「脱穀」されるかのように矯正されました。彼らは,象徴的に言って,エホバの脱穀場の「子」を構成するものとなりました。バビロンが倒壊した後に,矯正を施すこの「脱穀」は終わりを告げることになっていました。この点に関し,イザヤ書 21章10節(新)には,思いやりを示し,慰めを差し伸べるかのような言葉があります。「脱穀されたわたしの者たちと,わたしの脱穀場の子よ,万軍のエホバ,イスラエルの神から聞いたことを,わたしはあなたに報告した」。同様に,大いなるバビロンには,エホバの忠実な証人たちを脱穀することが許されてきました。が,大いなるバビロンが倒壊して破滅に至った後は,大いなるバビロンによる「脱穀」は終わります。その以前の政治的情夫は脱穀を引き延ばそうとするでしょう。その報いとして,彼ら自身が脱穀され,エホバの象徴的な脱穀場で滅ぼされてしまいます。―啓示 14:14,15。ヨエル 3:13-16。ミカ 4:12,13。

      25 大いなるバビロンの倒壊が近づいていることを考えて,今は,以前のどの時にも増してエホバの「民」が神の命令を鳴り響かせるべき時だと言えるのはなぜですか。彼らはどんな目的を念頭に置いていますか。

      25 大いなるバビロンの倒壊が近づいていることを考えると,今は以前のどの時にも増して,「見張りの者」級と「大群衆」が,「わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄をともに受けることを望まないなら,彼女から出なさい」という神からの命令を鳴り響かせるべき時です。(啓示 18:4)そうです,「彼女から出」,その政治的な情夫,つまり神に敵対するこの世の不信仰な勢力に加わらないようにするのです。そしてエホバに献身した民である「わたしの民」の一部となるのです。(エレミヤ 51:45,新)イザヤの「海の荒野に対する宣告」に基づいてすぐに行動するのです。―イザヤ 21:1-10,新。

      26 何に関して「万軍のエホバ」への感謝を捧げるべきですか。それに留意する人々には,どんな喜ばしい希望がありますか。

      26 それで,「見張りの者」級を立てて配置されたことに関し,また遠く広く鳴り響かせるべきすばらしい報告をそのグループにお与えになったことに関し,すべての感謝を「万軍のエホバ,イスラエルの神」に捧げましょう。神から与えられたその報告に留意するすべての人々には,この世に臨む恐ろしい「夜」を生き残り,大いなるクロスである解放者イエス・キリストの統治する義の満ちる新しい事物の体制という輝かしい「朝」を迎える喜ばしい希望があるのです。これは「万軍のエホバ」,わたしたちの主権者なる主の喜びとなり,賛美となります。

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