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もう一種類の鳥に別れを告げねばなりませんか目ざめよ! 1977 | 12月8日
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保護への努力
絶滅の危機がいよいよ迫るにつれて,この大きな鳥を保護するための措置が幾らか講じられてゆきました。それはなぜでしょうか。ひとつには,野生生物の身に起きる事柄が人間の福祉と密接な関係を持っていることを多くの人々が認めるようになってきているからです。「人類は,地上の生物の織りなす神秘的な織物のたった一本の糸にしがみついている」と,リーダーズ・ダイジェスト誌の1975年6月号に掲載された一記事は述べました。「我々は他の生物を根絶させることによって自らを危険にさらしている」。この記事はその点を例証するために,ヨーロッパで,シカの天敵であるオオヤマネコとオオカミが絶滅したことを指摘しました。その結果,シカの数が増加し,商業用の森林や作物の受けた被害は甚大でした。また英国でも,カエルの数が減ったために,害虫が増加してしまいました。
フィリピン諸島の場合,サルクイワシの保護は,その生息地である雨林をそのままの状態に保つことを意味しており,それは,土壌の安定につながります。そのことの重要性を示しているのは,イクスプレスウイーク誌の1976年6月17日号に載せられた次のような論説です。「木の根は低地の大水を防ぐ自然の障壁となっているため,山から木を切り払ってしまうと,そうした山々に降る雨は……土や他の固形物を運んで,より低い地域へそのまま滝のように流れ込む。これは浸食作用と呼ばれ,山くずれの原因ともなっている」。研究者たちは,森林の伐採が「毎年起こる洪水の主要な原因」であると指摘しました。そうした洪水のために,最近ルソン島の50の町々が水浸しになりました。
この鳥を保護するのに有利な法律が現在制定されつつあります。それには,国立公園内での樹木の伐採の禁止。およびこのワシの狩猟や輸出に関する禁令や他の厳格な基準なども含まれています。世界野生生物基金の理事が組織した保護運動は,最近になって新たな勢いを得てきました。その運動には,ラジオや新聞,パンフレットやポスター,また写真や他の資料の公開展示などによる継続的な報道および教育計画も含まれています。
今や,サルクイワシを捕獲したり所有したりすること,また傷つけたり殺したりすることは犯罪となりました。マニラ発ロイター特電は次のように伝えました。「フィリピンの野生生物当局は,三年計画が……絶滅の危機にひんしている,フィリピン原産のサルクイワシの保護に役立ったものと期待している。……当局者の話によると,この鳥の巣が次々に発見されており,公園監視員および野生生物猟獣保護官により,狩猟家や捕食動物から守られている」。また,ワシの保護区域を設けることや,森林の一部をワシや他の野生生物専用に取っておくことなどが提案されてきました。
幸いにも,自然の環境や野生生物を保護することに責任を感ずる人はますます多くなっています。そのような人々の誠実さと勤勉な努力により,もう一種類の鳥に別れを告げる必要は恐らくなくなるでしょう。
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まるでお湯目ざめよ! 1977 | 12月8日
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まるでお湯
海水の温度が特に高い水域がペルシャ湾にある。夏になると,その付近の温度は海面で32度近くにまで上昇することがある。外洋では,赤道の北側に最高温度の測定される海域がある。
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