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ラクダ ― こぶのある,驚くべき砂漠の動物目ざめよ! 1977 | 4月8日
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を大量に引き出すと,こぶは小さくなります。しまいには,空の袋のように背中の片側に垂れ下がります。ラクダが再び栄養分を吸収し休息を取ると,こぶはまたふくらみます。
水のある所では,ラクダは1日に20㍑から26㍑もの水を飲みます。しかしその著しい特徴は,ラクダが長時間水を飲まずに過ごすことができるという点です。荷を乗せたラクダが,水を飲まずに8日間旅をしたことが知られています。また,34日間という記録もあります。
どのようにして水を飲まずに生き続けるのでしょうか。ラクダはこぶにも胃にも水を蓄えません。もちろん,食べた植物から幾らかの水分が組織に取り入れられます。しかし,ラクダにそうした耐久力があるのは,体内に水分を保持し,かなり多量の水分が失われても悪い症状を示すことなく,その状態に耐える能力があるからです。ラクダは体温が6度上がっても特に問題はないようです。人間は体重の一割相当の水分を失うと危険状態に陥りますが,ラクダは体重の四分の一の水分を失っても大丈夫です。これはラクダの場合,水分が主に組織から失われ,血液からはほんのわずかしか失われないからです。しかし人間の場合は,水分が組織と血液の両方から失われるのです。人間の血液とラクダの血液の大きな違いは,赤血球の形にあります。人間の赤血球は円板形ですが,ラクダの赤血球は楕円形になっています。
長時間水を飲まずにいたラクダは,10分ほどで100㍑もの水を飲んでしまいます。それだけ水を飲むと,やせ衰えていたラクダも,見る間に元の状態に戻ります。これは,水分が組織内に入るからです。
確かにラクダは,砂漠地帯で生きるのにぴったりの際立った動物です。幾十世紀もの間,ラクダは人間のためによく働いてきましたが,地上の乾燥した地域で,これからもきっと働き続けることでしょう。
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根元から先端まで役に立つ目ざめよ! 1977 | 4月8日
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根元から先端まで役に立つ
● ブラジル北東部の原地人の間で“命の木”と呼ばれているブラジル・ロウヤシには実に多くの用途があります。“ヤシ園”で刈り取られた葉からカルナバろうが抽出されます。このろうは,上質の床用ワックス,皮革保存剤,カーボン紙,レコード盤,映画のフィルム,各種のゴム製品,絶縁材などの原料になります。
ろうが世界の各地で利用されている一方,原地ではこのヤシの木の残りの部分をフルに活用しています。葉は言うまでもなくござや草葺の屋根に用いられ,幹はあらゆる種類の建築資材に使われています。特に,ジャンガダと呼ばれる丈夫ないかだを作るのにこの幹は適しています。中をくり抜かれた樹幹は,導水管としても役立っています。
その上ある部分は食用にもなります。新芽はキャベツヤシの芽のように食べることができますし,若茎からは澱粉が取れます。小さな丸い果実は,豚を太らせる飼料になり,また樹液から造られた発酵飲料もあります。確かに,ブラジル・ロウヤシは,根元から先端まで製品を生み出す経済的な“工場”です。
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