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どもる人のための助け目ざめよ! 1975 | 10月8日
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つまり一分間に60語とします。この速度ですらすらとことばが出るようになったら,正常な速さになるまで徐々にその速度を上げていきます。そして第三に,この言語の権威は自ら「組織的脱感策」と呼んでいる方法を用います。この療法の場合には,話をするいろいろな場面を患者に想像させ,一番抵抗の少ない場面から始めさせます。そして障害を克服するにつれ,電話をかけるなどの,よりむずかしく感じられる場面に進みます。
前述の療法とよく調和しているのは,最近医学雑誌に取り上げられた,テンプル大学言語研究所所長M・F・シュバルツ博士が用いている療法です。同博士によると,喉頭が緊張するのは,吃音者(あるいは吃音者が子どもであるならその親)が過度に心配する性向を持つとか,あるいはなんらかの精神的外傷を受けた経験があるからですが,また遺伝的素質もあります。この問題は多くの場合,三歳になってむずかしいことばを習う努力をするようになると,はっきり表われてきます。子どもは無意識に喉頭つまりのどを緊張させます。そしていったん話しにくいことに気づくと,自分で精神的な壁を作ります。
あるどもりの人は,九人の言語専門医,一人の催眠術者,そして一人の精神療法者にまでかかって一万ドルをつかい果たし,前よりも貧しい,しかし依然として「話すことをよく加減しているどもり」でしたが,この説明を聞いて,「わたしがどもる理由が初めてわかった。これは本当にありがたいことだ。重い荷をおろしたような気持ちがする」と言いました。
シュバルツ博士は,精神身体医学上の要因を強調して次のように言いました。「どもりの人がここへ来るとわたしはその人に,わたしと話す間,くつとくつ下を脱いで,右足をバケツの水の中に入れていなさいと言ってやった。すると彼はどもらなかった。気を散らされていたので喉頭が緊張しなかったのだろう」。
シュバルツ博士とその同僚は,まずより柔らかい,より健康的な声を出させる深い腹式呼吸をすることを吃音者に教え,さらに彼らが喉頭を無意識に緊張させることを説明します。次に患者は,くちびるを固く閉じないで軽く合わせるように言われます。吃音者は問題を予期するので無意識に固く閉じる傾向があるからです。それから柔らかい,楽な声で話すように言われます。この種の話し方,いわば「新しい声」は,喉頭つまりのどの状態を変えることによりどもる作用を妨げます。
しかし,このような話し方を身につけても,それは戦いに勝利を得たことを意味しません。次に患者はこの話し方をさまざまな状況に適用させることを学ばねばなりません。なぜなら,異なる状況の下では,どもり声に逆戻りする傾向があるからです。家族の者,仕事仲間と話すとき,電話に出たときなどがそうです。それには時間と努力がいります。そして言語矯正教室でこの治療を受けている人は,週に五日,そして一日に数時間そこで過ごします。今日までのところ,シュバルツ博士のこの方法は最も効果的な治療法の一つとなっています。
確かに今日は,どもる人のために,かつてないほど多くの助けがあります。もし当人がほんとうに助けを得たいならばですが。
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世界に増える文盲目ざめよ! 1975 | 10月8日
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世界に増える文盲
◆ 世界の文盲の数は1950年以来,約1億人増加し,現在およそ8億人になったが,そのほとんどは開発途上国の人々である。人口調査局の最近の報告によると,成人1,000人につき米国及びカナダで読み書きのできない人は15人だけだが,アフリカでは737人,アジアでは468人,ラテン・アメリカでは236人が文盲である。
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