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海から上って来る獣ものみの塔 1963 | 4月1日
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は,異教の国ローマから,ゲルマン民族の神聖ローマ帝国へと徐々に変化しました。この頭は,第一次世界大戦中に死ぬほどの傷を受けてなおりました。第二次世界大戦中に受けた傷は,部分的になおっているだけです。
この獣のしるしをひたいや手に持っているということは,人が,精神的にあるいは肉体的に,サタンの組織制度に支持を与え,それによって,「世の汚れに染まずに,身を清く保」てという命令を破っていることを意味します。(ヤコブ 1:27,新口)そのようにこの世を友とすることは,神を敵にまわすことです。
この獣は,666という数字を持っていると述べられています。聖書の中で,6という数字は,不完全もしくは不備の象徴です。(サムエル前 17:4。サムエル後 21:20。ダニエル 3:1)サタンの見える組織は,偽宗教,貪欲な商業,名利を追う政治という,三つの基本的支配要素で成っています。この三つは,不完全な数字666でよく表わされます。偽宗教が600,貪欲な商業が60,名利を追う政治が6で,数が大きいほど,それとの関係における責任が大きくなります。ハルマゲドンで,サタンの見える組織であるこの野獣は,サタンとその悪鬼の軍勢にくみして,王の王であるキリストと戦います。そしてその戦いで,この獣とその軍勢は完敗します。―黙示 13:18; 14:9,11; 15:2; 16:2; 19:19,20。
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二つの角をもつ獣ものみの塔 1963 | 4月1日
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二つの角をもつ獣
ダニエル書 8章の20節で,神の御使はダニエルに,彼の見た二つの角のある雄羊は,メデア-ペルシャという二つの国で成る国家を象徴すると告げました。この説明によって神は,使徒ヨハネが,龍と海から上ってきた野獣を見たあとで見た獣が,何を象徴しているかについて,解明の光を投げかけられます。「わたしはまた,ほかの獣が地から上って来るのを見た。それには小羊のような角が二つあって,龍のように物を言った。そして,先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また,地と地に住む人々に,致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。また,大いなるしるしを行って…。さらに,先の獣の前で行うのを許されたしるしで,地に住む人々を惑わし…」。―黙示 13:11-14,新口。
この獣は何を象徴するでしょうか。獣すなわちサタンの見える組織制度の前に,一段きわ立ったさまで現われ出てきたのは,英国と米国です。別々の国とはいうものの,両国は事実上合成世界勢力として働いてきました。両国は,言葉も,国民性も,主義も,政策も同じであって,1812年の戦争で両国間の紛争が解決されてからというものはずっと一緒に働いてきました。したがって歴史は,両国が,1823年のモンロー主義公表以来,相提携して世界の出来事に当たってきたことを記録しています。その著しい例は,第一次,第二次世界大戦において見られました。
エジプトよりこのかた,この地球を支配するすべての世界強国の中で,このアングロ-アメリカ合成世界勢力は最も強大なものでありました。ほかのどの世界強国よりもその勢力を拡張し,優勢な世界強国として,神聖ローマ帝国の後を継ぎ,聖書の預言と歴史の第7番目の世界強国となりました。この獣が,小羊のような二つの角をもっているということは,英国と米国が,自己防衛のための戦争をしてきただけで,征服的な戦争はしたことがない,とみずから誇ることと一致しています。まず英国が先に世界強国となり,ついでアメリカが19世紀の初期にそれに合してアングロ-アメリカ世界勢力を形成しましたが,確かにそれは,アレキサンダー大帝やナポレオンがしたような,武力による征服ではありませんでした。この世界勢力は,外交,通商,宗教等,いわば小羊のごとき手段をもって,その目的を達成しました。しかし小羊のごときさまをよそおいながらも,それは,龍の声,強力な声,サタン悪魔である龍に似た声をもっています。
この二つの角をもった獣は,世界強国であるがゆえに,先の獣の持つすべての権力を働かせて,世界を威圧します。悪魔の世界の中で顕著な地位を占めているがゆえに,その目的と手段は,世界の諸国に影響をおよぼし,諸国をして,神と神の御国ではなく,悪魔の組織制度に献身させました。
英米合成世界勢力は,黙示録 16章13節の龍および獣とつながりをもっていて,そこでは,「にせ預言者」と呼ばれています。このにせ預言者が二つの角をもつ獣と同一のものであることは,事実から見ても,また黙示録 19章20節がにせ預言者について述べていることから見ても明らかです。そこでは,「にせ預言者は」,13章で,二つの角をもつ獣が行なったと述べられている事柄と同じ事柄を行なったことが描写されています。「獣は捕えられ,また,この獣の前でしるしを行って,獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も,獣と共に捕えられた」。にせ預言者という名前はふさわしい名前です。それは,獣すなわちサタンの見える組織制度の代弁者として語り,しかも龍のように物を言ったからです。にせ預言者は,海の獣と運命を共にするでしょう。なぜなら,「この両者とも,生きながら,硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた」からです。この火の池は,第二の死であることがほかの箇所に示されています。つまりそれは,永遠の滅亡もしくは破滅のことです。―黙示 19:20; 20:14。
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赤い獣ものみの塔 1963 | 4月1日
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赤い獣
使徒ヨハネが,黙示的まぼろしの中で見た第4番目の,すなわち最後の獣は,現代に,黙示録の成就としてやはり最後に出現することになっていました。「わたしは,そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ,また,それに七つの頭と十の角とがあった。あなたの見た獣は,昔はいたが,いまはおらず,そして,やがて底知れぬ所から上ってきて,ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち,世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちは,この獣が,昔はいたが今はおらず,やがて来るのを見て,驚きあやしむであろう。…七つの頭は,この女のすわっている七つの山であり,また,七人の王のことである。そのうちの五人はすでに倒れ,ひとりは今おり,もうひとりは,まだきていない。それが来れば,しばらくの間だけおることになっている。昔はいたが今はいないという獣は,すなわち第八のものであるが,しかしかの七人から出てくるものであって,ついに滅びに至るものである」。―黙示 17:3; 8:11,新世。
これらの三つの獣,すなわち赤い龍(サタン悪魔),海から上ってきた獣(悪魔の見える組織制度),赤い獣が,よく似ていることに注目してください。いずれも七つの頭と10の角をもっています。10の角は,どの獣の場合も,全部の権力を象徴します。ところが七つの頭は,龍の場合は,悪霊の君たちを通して7つの世界強国を支配する龍の権威を表はします。海から上ってきた獣の場合,七つの頭は七つの世界強国そのものを象徴します。赤い獣の場合は,これらの7つの世界強国は,現代の一つの組織あるいは実在するもの,に属する七つの頭として現われます。この赤い獣は,「七人から出てくる」もので,第8番目であるとはっきり述べられていますから,それらの七つの世界強国の中のどれか一つの国を表わすものではありません。それでこの獣は,何らかの形で,七つの世界強国全部を包含していなければなりません。この獣は,最初に国際連盟として知られ,いま国際連合として知られている実在物を象徴していると言えます。それは,サタンの見える組織制度と同じように世界的なものではありませんか。七つの世界強国の残存者がこの世界的組織に包含されてはいませんか。そして事実上,第8の世界強国をつくりあげてはいませんか。この獣の10の角は,地上のすべての王もしくは支配者を象徴します。
「昔はいたが今はおらず,やがて来る」というこの預言の言葉は,赤い獣になんとよくあてはまるのでしょう。その獣は国際連盟として昔いました。1920年1月10日から存在しはじめています。そして,第二次世界大戦の間,つまり1939年から1945年まで,この獣は事実上いませんでした。というのは,世界の諸国家が,国際連合の編制されるまで国際連盟の解体を正式に宣言しなかったとはいうものの,国際連盟を無視したからです。さて,国際連盟の後継者が形成されるにおよんで,この赤色の獣は再び存在するようになりました。そして世界は過去17年の間,この8番目の世界強国である国際連合を,賛美のまなこをもって見つめてきました。
ヨハネの時代に,「そのうちの五人はすでに倒れ,ひとりは今おり,もうひとりは,まだきていない。それが来れば,しばらくの間だけおこることになっている」と書かれている7人の王たちについては何が言えますか。これらの王は,龍および海から上って来た獣という象徴によって指摘されているところの,聖書の歴史と預言に出てくる七つの世界強国と同じものです。ヨハネの時代には,すでに5人が倒れていました。エジプト,アッスリヤ,バビロン,メデア-ペルシャ,ギリシャがそれです。6人目は当時存在していたローマで,のちに神聖ローマ帝国として存在をつづけました。また,これから来ることになっていたもうひとりの王は,二つの角をもつ獣であるアングロ-アメリカ世界強国です。それがしばらくの間だけおるということは,この二つの強国の終りが近いことを示しています。
この赤い獣は,黙示録の中で,もう一つの形で現われます。聖書の預言の中では,多くの人物や実在物は,時に一つ以上の形で現われることがあるので,これは別に驚くべきことではありません。いずれもみなよくあてはまった適切なものです。しかし,人,組織,国,政治的実在を,異なった面から示すために使われます。したがって私たちは,アングロ-アメリカ世界強国が,海から上って来た獣の7番目の頭として,また小羊のような2本の角を持ちながら龍のように物をいう獣として,その宣伝活動のゆえに偽預言者として示されているのを知りました。ここの赤色の獣の場合も同じです。この獣は第8の世界強国とも呼ばれており,また黙示録 13章14,15では,「先の獣」すなわち海から上った獣の「像」と呼ばれています。「さらに,〔二つの角をもつ獣は〕先の獣の前で行うのを許されたしるしで,地に住む人々を惑わし,かつ,つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを,地に住む人々に命じた。それから,その獣の像に息を吹き込んで,その像が物を言うことさえできるようにし,また,その獣の像を拝まない者をみな殺させた」。
この預言によると,二つの角をもつ獣,すなわち英国とアメリカは,地に住む者たちに,獣の像,すなわち国際連盟をつくるように告げました。史実はそのことを証明しますか。確かに証明しています。1959年版の「大英百科事典」第20巻846頁は,南アフリカの政治家,ジャン・クリスチャン・スマッツに関する伝記の中で,つぎのように述べています。「休戦〔1918年〕後スマッツは,国際連盟に関する覚え書『ザ・リーグ・オブ・ネイションズ: ア・プラクティカル・サジェスチョン』(1918年)を作成した。そしてそれは,ウイルソン大統領とロイド・ジョージ氏の支持を受けて,事実上,連盟規約となった」。いうまでもなくこのふたりは,当時のアメリカと英国の首脳でありました。アメリカは,正式に国際連盟に加盟しなかったとはいうものの,その主脳は,この獣の像を作るよう世界に告げることにおいて,まさに指導的な役割を演じました。年が経つにつれアメリカは,連盟加盟諸国が発表した規約と条約を支持することによって,連盟の裏口から事実上加入したも同様でした。この二つの国すなわち合成世界勢力の首脳たち ― ウインストン・チャーチルとフランクリン・ディ・ルーズベルト ― が,第二次世界大戦により無活動という底知れぬ穴に投げこまれていたこの赤い獣をそこから出させるように,地に住む人々を指導率先したことは,もっと大きな証拠です。
では,赤色の獣に乗っていると言われている,同じく赤い衣をまとった女はどうでしょうか。創世記 3章15節から,黙示録 22章17節に至るまで聖書は終始,一つの組織,ことに宗教組織を表わすのに女を用いています。不忠実になったエルサレムは妓女,忠実なクリスチャン会衆は清き処女と描写されています。(イザヤ 1:21。コリント後 11:2)ですからこの女は,いつわりの宗教,ことに背教したキリスト教国をよく象徴します。キリスト教国は,イエス・キリストに許嫁されていると公言しながら,イエス・キリストへの誠を保ちませんでした。そのことは,彼女が,キリストの御国を待つことをしないで,この世の諸政府と交際し,この世の諸政府と協力しているのを見ればわかります。「大いなるバビロン,淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」という非難の言葉は,キリスト教国に当てはまります。獣どもに対しては,王の王であられるイエス・キリストが刑を執行すると示されているのにくらべ,この偽りの宗教制度を滅ぼすものは,赤い獣の10の角すなわち王たちであることが示されているのは,注目に価する点です。その一つの前兆は,宗教的なものすべてに対する,共産主義の公然たる反対の中にあらわれています。―黙示 17:5。
黙示録の獣に関する,このごく簡単なスケッチともいうべきもので,すべての詳細な点を取りあげることができないのは,いうまでもありません。しかし,よく研究するなら,これらの獣が,前述の事柄と調和しており,まさにものみの塔協会の他の出版物の中で指摘されている通りであることがわかるでしょう。
確かにエホバ神は,神のしもべたちの道の光はその輝きを増すであろうと約束されたとおり,遠い昔に記録されたご自身の預言の上に光を輝やかせておられます。神のすべてのしもべが,神は世界の出来事をいつも完全に統御され,また聖書は神の霊感による言葉であるという信仰をいっそう強くすべき理由はそこにあります。神のしもべたちは,それによって,窮極の勝利は義にあるという希望を強め,「父なる神のみまえに汚れのない形式の崇拝」をもって神に奉仕し,世の汚れに染まないで身を清く保っていなければなりません。―ヤコブ 1:27。
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ギリシャにのこる異教思想ものみの塔 1963 | 4月1日
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ギリシャにのこる異教思想
「クリスチャン時代以前の遺物が,ギリシャ全域にわたって,依然残存している。ある地方では,異教に由来する一種の魔術が,昔よりも遙かに公然と行なわれている。……全土にわたって,古代の多神教の神殿を占領しているのは,いわゆる聖徒たちの群像である」。―ザ・アトランティック誌1962年6月号
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