現代の世における若い人々

思春期 ― 極めて危険な時期

思春期，つまり子供から大人へと変わる人生の一時期に遭遇する出来事は，今日，「人間の成長過程で最も危険な経験」とされています。この言葉を述べた人はこう説明しています。「思春期の若者が危険にさらされているのは，世代の連続性が断たれているからである。初めてただ独りで立ち，年長者の庇護を受けなくなる。そして，文化衝撃＜カルチャー･ショック＞や未来衝撃＜フューチャー･ショック＞を受け，あからさまに無視され，そのためストレスを経験する」― 米国医師会の出した本，「生活の質 ― 若いころ」に載せられたルース･アイキンズの言葉。

余りにも急速な変化が見られます。道徳規準は崩壊し，不信仰が増し加わっています。

導きを必要とする若い人々は，多くの場合，年長の者たちの中に，確信の力，しっかりした価値基準，動かされることのない倫理観などを見いだせません。若い人の多くは年長の世代が忌まわしいことをしてきたと考えます。しかし，自分よりも前の世代が正しい原則を無視してきたとはいえ，それらの原則は聖書の中にずっと存在してきたことを若い人は忘れるべきではありません。聖書は人々がどのように行動すべきであったか，また地上の諸問題を解決するために神が間もなくどんなことを行なわれるかを示しています。

揺るぎない確信の価値

あなたはお子さんから見てしっかりした，頼りになる人，子供が模範として見倣える人になっていますか。

ジョセフ･バードとロイス･バードは，「親の力」の中にこう書いています。「子供は自分の理解できない世界に生まれてくる。それは多くの支えと保護なしには生き抜いてゆけない世界である。……子供は自分の人生で最も顕著な役割を果たす大人が各々の人生に対する答えを見いだし，自分たちの世界の持つ意味を理解していることを知る必要がある」。

「子供たちは我々のうちに確信の力，すなわち我々が生きるための規範としている一そろいの揺るぎない価値基準や倫理観を見いだす必要がある。我々の行動に動揺や妥協や偽善を見いだせば，子供は成熟するにつれて自分の確信を保つために必要な力を築き上げてゆくのを難しく感じるであろう」。

ご家族が神の言葉の真理に基づくそうした確信を抱いているなら，お子さんは本当に恵まれています。そのみ言葉はご家族に，揺るぎない価値基準，強力な霊的目標，神に対する強固な信仰，およびそのすばらしい信仰を自分の愛する子供に伝えたいというやむにやまれぬ願いを与えることができます。

『悪いことをするよう圧力を受ける』

友だちと同じことをするようにとの圧力は強力です。16歳の少女はこう書いています。「私がもっと小さかったころ，喫煙や盗みなど様々な悪い事柄を行なわせようとする圧力を絶えず受けました。……たばこを吸いたいとは本当に思いませんでしたが，みんなから『まあ弱虫，うぶねえ』と言われたくなかったのです。……今では，妥協の上に成り立っている友情などすぐにだめになってしまう弱い友情だということか分かります」。12歳になる子供はこう語っています。「人から圧力を受けたら，それを無視するか，そうした人から離れているか，自分の好きな友人と一緒にいるのが最善です」。（「私たちの話を聞いてください」，110，111ページ）この二人の若い人々の言葉から実にすばらしい知恵が得られるではありませんか。正しいと分かっている事柄に背くよう誘惑されるよりは，友だちを変えた方がよいのです。

ずっと昔，エホバはイスラエルにこの問題について警告されました。不信者と交われば，彼らが「あなたを招き」，あなたはその犠牲の一部を食べることになって，彼らの娘たちはあなたの息子たちと結婚し，彼らを偽りの神々の崇拝へと導くであろう，とエホバは言われました。（出エジプト記 34:12-16，新）若いデナは，神から離れた交わりが危険な結果をもたらすことを悲しい仕方で学びました。デナは無分別にもカナン人の若い女性を訪れ，その時「その父の全家で最も尊ばれる者」と記されている若者がデナを犯し，それがきっかけで大規模な流血行為が起きました。（創世記 34:1-31，新）「悪い仲間は良い道徳を損なう」という聖書の警告は正に真実です。（コリント第一 15:33，改訂標準訳）エルサレム聖書はこの聖句を，「悪い友だちは最も高貴な人々をもだめにしてしまう」と訳出しています。

続くページに載せられている記事は，神のみ言葉に基づく詳細にわたる情報を載せ，この現代の世の挑戦を家族がどのように一致して克服してゆけるかを示しています。

問題の多い世にあって幸福な子供を育て上げる

これは二つの研究記事の前半です。この記事は，親と子供たちを対象にしており，第2研究は若い人々自身を対象にしたものです。

「彼らが，わたしを恐れ，わたしのすべてのおきてを常に守るこの心を培えばよいのである。それは，彼らまたその子らにとって，定めのない時に至るまで物事が良く運ぶためである」― 申命記 5:29，新。

1 この研究記事の主題がわたしたちにとって非常に重要なのはなぜですか。

「わたしの初めての赤ちゃん！」母親は，産着に包まれたあの温かい小さな体を胸に抱き締めて，本当にうれしそうにそう言います。聖書は乳を与える母親の優しさについて述べ，それをクリスチャン会衆内になくてはならない愛情の一例として用いています。不義者でさえ自分の子供を愛し，子供に良いものを与えます。では，義を愛するわたしたちはそれ以上に，自分の子供に心を用い，今の世にあって生きるための訓練を子供に与えることに関心を払うべきではないでしょうか。―テサロニケ第一 2:7。詩篇 127:3-5。マタイ 7:11。

2 子供の養育に関する最良の助言と導きの源はどこにありますか。なぜですか。

² しかし，親になったばかりの人はほどなくして，子供を育てることが重大な責任であることに気付きます。健全な助言と導きはどこで得られるでしょうか。創造者に求めてはいかがですか。創造者は子供たちが生まれてくるように取り決めた方です。（創世記 1:28）創造者は，かつて生を受けた子供たちすべてと，その親たちが行なった事柄の結果を見てこられた方です。創造者の教えは数ある教えの中でも最良のものです。それらの教えは，その方の原則に従った人々や従わなかった人々の例と共に，聖書の中に収められています。―箴言 3:5，6。

3 （イ）子供たちが必要としている事柄を幾つか挙げてください。（ロ）なぜ，このことでやる気をなくしてはなりませんか。

³ このすばらしい書物は子供の養育について何を教えていますか。そこには，現代の専門家たちが独力で発見したと考えている多くの事柄が説明されています。特筆すべきなのは，子供たちには愛と保護が必要であると記されていることです。子供たちは神とそのみ言葉聖書について教えられる必要があります。良い教育，有益な経験，立派な模範，正しい交わりが必要です。また権威に対する従順と敬意を学ばねばなりません。道徳と結婚について，どんな配偶者を持ち，また自分自身がどんな夫や妻になることを願うべきかについて，そしてどうすれば良い親になれるかについて教えられなければなりません。親にとっては大仕事のように思えるかもしれませんが，聖書から知恵を得られることを忘れてはなりません。『経験のない者たちに明敏さを』，若い人々には「知識と思考力」を『与える』ことができるのです。では聖書が子の養育について述べていることを少し調べてみましょう。―箴言 1:4，新。

聖書中の模範

4 （イ）神を恐れる親を持つ子供たちは何を学びましたか。（ロ）この教育はだれによって，またどのように行なわれましたか。

⁴ 聖書を見ると，神を恐れる親を持つ子供たちは，彼らの弱さや保護の必要に心を配る家族によって安全に守られ，育て上げられたことが分かります。（創世記 33:14; 43:8）子供たちは生計を立てる手段も学びました。ダビデは羊飼いの少年で，イエスは大工でした。（サムエル前 16:11。マルコ 6:3）子供たちはまた，それよりもはるかに重要なこと，つまり偉大な神エホバの驚くべき道についても学びました。この訓練は公教要理などを用いた授業や日曜学校で与えられたのではなく，子供たちに最大の関心を抱いていた親たちから与えられたのです。エホバはイスラエル人がご自分の道をその子供や孫たちに知らせることを期待しておられました。（申命記 4:9，10）親たちは四六時中，家にいる時もいない時も，寝る時も起きる時も，子供たちを教えなければなりませんでした。言葉と模範によって教え，すばらしい真理を次の世代に伝えなければなりませんでした。―申命記 11:18-21。

5 有名な聖書事典は子供の訓練について何と述べていますか。

⁵ フランスの有名な「ディクショネール･ドゥ･ラ･ビブル（聖書事典）」は，話ができるようになるが早いか，子供たちに聖書の律法から幾つかの節が教えられたと述べています。「母親は一つの節を繰り返し教え，子供がそれを覚えると，別の部分を教えるようにした。後に，子供が空で言えるようになった幾つかの節を書き記したものが，子供たちの手に渡される。ここで子供たちは初めて読むことを学び，大きくなったなら，主の律法を読みまた黙想することによって，その宗教上の教えを学び続けることができた」。a この参考文献はさらにこう述べています。「子供たちは，家庭の保護を受けて，また父と母のひざの上で，最初の，また非常に有益な道徳的訓練を受けた」― 第2巻，1596欄。

6 （イ）イスラエルの子供たちはどんな楽しいことを経験しましたか。（ロ）あなたのお子さんは同様の経験をしていますか。そうであれば，それにはどんな益がありましたか。

⁶ 子供たちが新しい体験に心を躍らせ，それが教えるための助けになることを神はご存じでした。それで「幼い者」も，エルサレムへの楽しい旅行に連れて行かれ，神の律法が読まれるのを聞きました。（申命記 31:12，13）あなたのお子さんも定期的に行なわれるエホバの証人の巡回大会や地域大会に出席して同様の祝福を得ることができます。そのような大会で子供たちは話から益を得，自発奉仕に参加し，新しい良い友だちをつくることができます。イスラエルの子供にとってエルサレム旅行が特別な行事だったと同じように，あなたもこうした行事を，子供の生活の中の重要な事柄とすることができます。

7 正しい模範を示すのはなぜ非常に重要なのですか。

⁷ 神は良い手本を示すことの大切さをご存じでした。子供は目にすることをそのまままねします。聞きまねで一つの言語を学ぶというような難しいことでもやってのけます。神はこう言われました。「[人々]が，わたしを恐れ，わたしのすべてのおきてを常に守るこの心を培えばよいのである。それは，彼らまたその子らにとって，定めのない時に至るまで物事が良く運ぶためである」。聖書には，『善良な者は子らの子たちに相続物を残す』と述べられています。（申命記 5:29; 箴言 13:22，新）したがって多くのことがあなたに依存しています。子供たちが悪い手本に従ってほしいとは決して思っていないのですから，わたしたちは親として，正しい手本を示すよう最善を尽くすべきです。

悪い交わり

8 子供の交わりについてどんなことを自問してみるべきですか。

⁸ 神はまた，悪い交わりの危険性についても注意を喚起しておられます。神のみ言葉聖書は，「悪い交わりは有益な習慣をそこなう」と述べています。（コリント第一 15:33）ですから，子供たちがだれと交わっているかを知るのは大切なことです。あなたは子供の友だちがどんな友だちか本当に知っていますか。その友だちのことを知るために，友だちを家に連れてこさせますか。それとも邪魔にならないようもっぱら子供たちを外に出していますか。子供たちがどんな言葉を耳にしているか，子供たちのつき合っている仲間がうそをつくことや盗みや麻薬に対してどんな見方を持っているか，ご存じですか。

9 子供たちがより良い友人を得るよう助けるため，どんな積極的な措置を講ずることができますか。

⁹ その交わりに何かよくない点があるなら，子供たちはどこで良い友だちを得ることができるでしょうか。不潔な言葉も，うそをつくことも，盗みも麻薬の乱用も大目に見られることのないエホバの証人の会衆の中で得られます。会衆内の他の人が自分の子供ともっと交わってほしいと考えることがありますか。ではそのような人々に働きかけてはどうでしょう。あなたの方から話したことがありますか。他の若い人々を家に招待したり，自分と一緒にクリスチャンの証しの業を行なうよう，あるいは他の健全な活動に携わるよう頼んだりしてみてはどうでしょうか。

10 子供が他の人にとってより良い仲間となるよう，どのように援助できますか。

¹⁰ それを試してみて，それでもまだ交わりの問題が残るなら，その理由を自問してみるとよいでしょう。あなたはごく最近，聖書の原則を当てはめるようになったばかりですか。王国会館に連れて来られる若い人たちの間違ったところがまだ直っていないため，その人自身が良い友だちになれないということが時折生じます。ある若い人は別の人についてこう言いました。「あの女の子は王国会館ではとても行儀がいいのですが，学校では思いもつかないようなことをしているのです」。この少女が学校で性的にだらしのない態度を見せるため，他の子供はこの少女と同じに見られることを嫌いました。この種の問題について子供たち自身の思いを作り変えるために何ができるでしょうか。言って聞かせること，家族の聖書研究，家族でクリスチャンの証しの業に参加すること，言葉や行動や正直さに関する親自身の模範，正しい原則を子供の心にしみ込ませようとする努力，それらはみな非常に役立ちます。必要であれば，愛ある助けを得るために会衆内の長老たちを呼ぶこともできます。―ヤコブ 5:13-15。

家庭内の問題

11 自分自身の家庭内に悪い手本があるとしても絶望的になることはありません。なぜですか。

¹¹ しかし自分自身の家庭そのものの中に重大な問題がある場合はどうでしょうか。未信者の配偶者が健全な聖書の原則と正反対の生き方をしているならどうですか。それでも絶望することはありません。あなたの正しい影響力と神の助けは，奇跡的とも言える結果を生み出すことがあるのです。乗り越えられないかと思われた多くの問題を克服して立派な若者になった子供は何人もいます。人間は神によって創造されたので，小さな子供でさえ，友人や思慮深い年長の人々，あるいは未信者の勢いの方が強い家庭で信者となっている片親から正しい方向付けが与えられれば，驚くほどの強さを示すことができるのです。

12 ロトとテモテの例は，この問題に関するどんな励ましを与えてくれますか。

¹² ロトの例を考えてください。ロトの家族は邪悪なソドムに住んでいました。そしてロトの妻はそこにとどまりたいそぶりを見せていました。しかしロトとその娘たちは逃れ，その町の滅びに生き残りました。（創世記 19:15-17，23-26）若いテモテには未信者の父親がいましたが，母親と祖母が聖書をテモテに教えたため，テモテはイエス･キリストの忠実な追随者，および使徒パウロの忠節な仲間となったのです。（テモテ第二 1:5; 3:14，15）したがって配偶者が未信者であったとしても，神はお子さんの心に真理と義に対する深い愛を植え込もうとするあなたを助けることがおできになるのです。

知識と教育

13 （イ）若いクリスチャンが教育を真剣に考えるべきであるのはなぜですか。（ロ）ソロモンの例は，正しい文法にそって話すことの重要さをどのように示していますか。

¹³ あなたはお子さんに学校でも会衆内でも学ぶように励ましていますか。学ぶことは家族全体にとって重要なことになっていますか。イスラエル人にとってはそうでした。イスラエル人の社会は，人々が読み書きのできる社会でした。子供たちは聖書を読むことができました。あなたのお子さんは，読むことだけではなく，他の人々に神の言葉を語ることにもなるのです。子供たちは正しい文法を使っていますか。あなたは，文法的に正しい話し方を子供たちに聞かせるよう，自分自身が幾年も犯してきた文法上の誤りがあればそれを正しましたか。ソロモンは神を賛美する言葉を注意深く選びました。それでこう書かれています。「召集者は喜ばしい言葉を見いだし，真実の正確な言葉を書き記そうと努めた」― 伝道之書 12:10，新。

14 子供たちが正しい決定を下すことを学べるよう，どのように助けることができますか。

¹⁴ いうまでもなく，わたしたちは子供たちが円熟した成人となり，神の言葉に従って正しい決定が下せるようになってほしいと思います。ですから正しい原則を ― 従うべき命令だけではなく，命令が出されている理由を子供たちに早くから教えるのは良いことでしょう。そうすれば子供たちは，自分自身で正しい決定を下す方法を学んでゆきます。

15 （イ）重要なこととして，子供たちは親からのどんな支えを必要としていますか。（ロ）どんな点について，親は非常に注意深くあるべきですか。

¹⁵ 子供たちは腐敗した世のただ中にいます。重要なのは，子供たちが親を見て，精神力と強い信念とを感じ取ることです。そして子供たちは自分が正しければ，サラがイサクをイシマエルから守ったように，親が自分を守ってくれるということを知っていなければなりません。（創世記 21:9，10）それに，正しい事を期待すれば，実際にそのようになってゆくことが多いことも忘れてはなりません。ある若いエホバの証人は父親に，「お父さんは僕たちがどうして一つも問題を起こさずにすんでいるか知っていますか」と尋ね，こう言いました。「それは，お父さんが，わなをしかけて僕たちに悪いことをさせるようなことをされないからです。お父さんは僕たちが正しいことをするよう期待しておられます。ですから僕たちはほかのことはしようとしないのです」。親があることで子供をとがめだてした後に，そんなことは全くなかったことが明らかになる，という例は何と多いのでしょう。実際にはうそをついていないのにうそをついたと子供をとがめるなら，子供たちは自分が親からうそつきと見られていると考え，次には本当にうそをつくかもしれません。

16 （イ）クリスチャンの集会についてどんな提案がされていますか。（ロ）これらの集会が子供たちにとって大きな価値があることを何が示していますか。（ハ）集会が若い人々にとって価値があることを示す例をご存じですか。

¹⁶ 多くの人々が気付いていることですが，神の言葉聖書の話が行なわれる集会にごく幼いうちから子供たちを連れてゆき，子供たちと別の部屋に座ったり，子供を歩かせて後ろの方へ出て行かせたりするのではなく（きちんとした理由があって短時間そうする場合を除く），静かに座り，集会に対する敬意を示し，また話される良い事柄から益を得るように教えるのは賢明なことです。堅い信仰を抱く年長の人々の脳裏を去らないのは，そのような集会に出席するため，おんぼろの車で遠い所まで定期的に連れて行ってくれた親の熱心さです。ある会衆の一長老は，ずっと昔に両親が「ものみの塔」誌の研究記事を準備しながらこみ入った様々な預言について話し合っていたのを聞いて覚えています。その時この人はまだ床の上で遊んでいた小さな子供でした。親にしてみれば，その子が半世紀以上たってその説明を思い出すなどということはもちろん，その子が聴いていたということさえ分かりませんでした。

17 集会に出席していた子供たちについて，どんな聖書的な例を挙げることができますか。この点について，どんなことを自問できますか。

¹⁷ エズラの時代には，聴くだけの力がある人は，聖書の朗読を聞くために一人残らず夜明けから昼まで立ち続けました。（ネヘミヤ 8:2，3）もしあなたがその当時生きていたとしたら，あなたのお子さんはそこにいたでしょうか。あるいは，その資料は難し過ぎるし，朗読の時間は長過ぎると考えて，子供たちをどこか遊びにゆかせたでしょうか。ヨセフとマリアは，「過ぎ越しの祭りのため年ごとにエルサレムに行くならわしであった」と記されています。ですからイエスが12歳になった時にも，二人はそこにいたのです。（ルカ 2:41-49）あなたはその集まりに出るため，徒歩で，あるいはロバの背中に乗ってそれだけの遠方に出掛けて行ったでしょうか。「幼子」を含めた大群衆がイエスの話を聞きにやって来た時，そして何も食べる物がなかった時，イエスは奇跡的に食物をお与えになりました。（マタイ 14:21; 15:38）あなたのお子さんはそこにいたでしょうか，それともあなたは子供たちに必要と思える食事を与えるため家にとどまっていたでしょうか。

18 クリスチャンの集会に対して，さらにどんな方法で認識を示すことができますか。

¹⁸ お子さんは，あなたが聖書研究の集会を真剣に受け止めていることを知っていますか。子供たちは親がこれらの集会を，出席するだけではなく，求められれば注解して参加すべき重要なものと考えていることを理解していますか。例えば，あなたはこの記事をお子さんと一緒に準備し，この記事が討議される集会で，一人が少なくとも1回注解するようにされますか。

高い目標

19 愛する子供たちを育てることに関してわたしたちはどんな積極的な態度を取るべきですか。

¹⁹ これらすべてのことを完全に行なえる人がいるでしょうか。もちろんいません。ここで論じられている事柄は，すでに達成された目標ではなく，これから努力して追い求めるべき事柄です。この世には常に問題がありますが，聖書はそれらに対処する方法を教えています。もし神の方法で物事を行なおうとするなら，神は助けてくださいます。クリスチャンの一人の父親は，子供が強い信仰を持っているように見える理由を尋ねられてこう語りました。「全く分かりません。私たちは特別なことは何もしていないのです。ただ聖書と組織から与えられる助言を適用しようとしただけです」。

20 （イ）今日幸福な子供を育て上げるためにできることの中にはどんなものがありますか。（ロ）この研究記事の冒頭にある聖句と箴言 20章7節の聖句は，この点でどのようにわたしたちを励ましていますか。

²⁰ つまるところ，これこそ今日幸福な子供を育て上げるのに必要とされる事柄です。正しい模範を示し，それを若い人々に教えてください。子供たちが行なっている良い事柄を喜び，そうではない事柄を正すように助けてください。子供たちの喜びとその生活に共にあずかってください。愛を示しましょう。神の方法で物事を行なえば，神はその努力を祝福してくださいます。ソロモンの霊感を受けた次の励ましとなる言葉を忘れないでください。「義なる者はその忠誠のうちに歩んでいる。彼の後の子らは幸いだ」― 箴言 20:7，新。

[脚注]

神の命令は戸柱の上に書かれ，手に結ばれることになっていましたが，それは字の読めない人々にとってはほとんど価値のないことだったでしょう。（申命記 6:8，9; 27:8）王は律法を自分用に書き写し，それを毎日読むべきでした。（申命記 17:15，18，19）スコテの若者は，その町の指導的な人々の名を書き記しています。―士師記 8:14。

読み書きの能力は教育を受けた階級だけのものではありませんでした。ジェームス･D･マーチンは士師記に関する注解の中で，「アルファベット文字の最も古い筆跡と言えるものの中に，シナイの鉱山の壁に奴隷たちが彫り付けたものがある」と書いています。アモスは身分の低い羊飼いでした。ミカはモレシテの村出身の田舎の預言者でした。（アモス 1:1。ミカ 1:1）しかし，両者とも聖書の文書を書いています。

西暦前2世紀後半に書かれたと考えられる外典のマカベ前書は，人々の家に律法の写しがあったことを示しています。（マカベ前書 1:55-57）ユダヤ人の歴史家ヨセフスは，律法は子供たちに「読むこと，および律法と父祖たちの行動とを学ぶこと」を命令していたという，1世紀当時の自分の観察を述べています。―「アピオーンへの反論」第2巻，375ページ（25）。

親と子供の皆さん，次の質問にどう答えますか。

□ 親は子供の養育に関する助言をどこに求めるべきですか。なぜですか。

□ 正しく子供を訓練した聖書中の例を幾つか挙げてください。

□ どんな実際的な方法で，親は子供たちの交わりを守ることができますか。

□ 聖書の原則を適用すれば，分裂した家庭においてもどのように問題を克服できますか。

□ 子供たちの正しい教育に注意を払う親たちは，どのような措置を講ずるべきですか。

□ 親と子はすべてを完全に行なえると期待できますか。しかしどうすれば成功するでしょうか。

[14ページの図版]

ある子供が母親に尋ねました。「子供を育てるってとても大変なことなんだね。お母さんは僕がいなければよかったと思う？」この子は何年たってもその答えを忘れません。母親は深い愛情をこめてこう答えたのです。「どんな事でも本当に価値あることをするには時間と努力がいるものよ」。

[15ページの図版]

あなたは親として，神の言葉聖書が教えられる集会に出席するだけではなく，その集会に参加する面でどれほど模範を示しているでしょうか。

腐敗した世にあっても幸福な若い人々

この記事は特に若い人々のために書かれました。ですからこの記事が王国会館で討議される時には，若い人々が率先して注解するようにお勧めします。

「あなたの若い時代にあなたの創造者を覚えよ」― 伝道之書 12:1，新英訳聖書。

1 今は若い人々にとって良い時代ではないと考える人が多いのはなぜですか。

今は若者にとってすばらしい時です！ おかしなことを言うと思いますか。大勢の若者は自分の目に入って来る悪い状態，つまり路上での犯罪，不道徳な行為，麻薬の乱用，十代の妊娠，堕胎，性病などのことを指摘するでしょう。核戦争の危険とか地球を台なしにしつつある公害のことを指摘するかもしれません。これからのことを考え，どうして今が若者にとってすばらしい時となるのかと尋ねる人もいるかもしれません。

2 （イ）今の時代に生きていることはなぜ本当にすばらしいことですか。（ロ）この事実はあなたにどんな影響を与えるはずですか。

² それらの人々とは別に，聖書の預言から，神は人間が地を破壊するままにはされないということを知っている若者たちがいます。聖書は神が物事を変化させられること，つまり神が介入して義と平和の状態をもたらされることを約束しています。（詩篇 37:10，11。ペテロ第二 3:13。啓示 21:1-4; 11:18）あなたはこうした約束を信じていますか。信じているなら，それはあなたの生活に大きな影響を及ぼすはずです。それは，明るい将来があることを意味しているからです。

3 若過ぎて神に仕えることに関心を持てないということがあり得ないのはなぜですか。

³ 『でも，わたしは年が若すぎてそんなことは分かりません』と考える人がいるかもしれません。でも本当にそうでしょうか。聖書は若い人々，少年や少女に，神に仕えるよう勧めています。（詩篇 148:12，13）エホバの僕になるようシリアの士官ナアマンを導いたヘブライ人の幼い少女のことも述べています。（列王紀略下 5:2，3，15-17）また聖書には，子供たちがイエスを賛美したことや，宗教指導者がそうすることを好ましく思わなかった時にイエスが次のような質問をなさったことも記されています。「一体，あなたがたは聖書を読んだことがないのですか。『小さい子供でさえ神をたたえる』と，書いてあるのを」。（マタイ 21:15，16，リビングバイブル）イエスは若い人々に個人的な関心を示されました。若い人々が自分のところに来るのをとめてはならないと言われました。そして全世界のエホバの証人の会衆は特に今の若い人々に，そして若い人々が神に仕えるために行なっているすばらしい事柄に関心を抱いています。―マタイ 19:14。

幸福な生活のための様々な原則

4 より幸福な生活を送る上で，聖書はどのように助けになりますか。

⁴ ご両親があなたを幸福にしたいと思っていることは知っているでしょう。あなたの天の父エホバ神も同じように考えておられるのです。そのみ言葉聖書は，いろいろな問題からあなたを守る助言を与えています。行なわなければならない細かい事柄が全部書いてあるのではなく，多くの場合，様々な原則だけが述べられています。これらは物事を決定する際の根拠となる真理なので，あなた自身の良い判断力が，何が正しいかを決めることになります。例えば，前の記事でも取り上げられた「悪い交わりは有益な習慣を損なう」という原則がありますが，この原則については恐らく何度も説明を聞いたことがあるでしょう。―コリント第一 15:33。

5 （イ）どのようにして，「悪い交わり」が「有益な習慣」を損なうことがありますか。（ロ）この節に引用されている聖句は，（1）悪い言葉，（2）いかがわしい話，（3）性の不道徳について何を示していますか。

⁵ これはどういう意味でしょうか。わたしたちは周りの人々から影響されるという意味です。汚い言葉を使ったりいかがわしい話をしたりする人々とたくさんの時間を過ごすなら，その手本にならうことになるでしょう。性や結婚に関して，あなたが知っている神のご要求とは違う考えを持つ人々と交わるなら，そうした事柄から衝撃を受けなくなってしまうでしょう。自分では気付かずにそのような交わりに陥ってしまうことがあるのです。本を読んだり映画やテレビを見たりする時，人はそれを作った人の考えを自分の思いの中に取り入れることになります。それらの考えが間違っていると，自分の心も汚されてしまうことがあります。聖書はそうしたことを楽しむのではなく，避けるようにと述べています。（エフェソス 5:3，4。コリント第一 6:18と比較してください。）聖書には次のような言葉もあります。「あなたがたは，不義の者が神の王国を受け継がないことを知らないとでもいうのですか。惑わされてはなりません。淫行の者，偶像を礼拝する者，姦淫をする者，不自然な目的のために囲われた男，男どうしで寝る者，盗む者，貪欲な者，大酒飲み，ののしる者，ゆすり取る者はいずれも神の王国を受け継がないのです」― コリント第一 6:9，10。

6 （イ）交わりに関する聖書の助言を無視したために人々はどんな問題を抱え込みましたか。（ロ）心についてどんなことを覚えておくべきですか。良い交わりはどこで見いだすことができますか。

⁶ わたしたちは周囲の人々から確かに影響されます。リビングバイブルのコリント第一 15章33節が示しているように，「それに耳を傾けていると，同じ状態に陥ってしまいます」。若い人々は，喫煙，麻薬の乱用，盗み，あらゆる種類の不道徳な事柄に誘い込まれてきました。彼らと交わっている人々がこうしたことを行なったからです。あるいは同じことをしないために彼らからばかにされたからです。正しいことを行なうと言ってからかう人々が価値のある友人だと思いますか。心というものはコンピューターに非常によく似ていることを覚えておくのは大切です。悪い情報を入れたなら，そこからは悪い決定が出て来るのです。ですから，神を恐れる人々，王国会館に来てそこで学ぶ事柄を適用する人々と交わるのは賢明なことです。―箴言 18:24。

7 （イ）クリスチャンの集会に来る人は皆，敬虔な原則を適用していますか。（ロ）サムエルの時代のどんな例は，これが古くからある問題であることを示していますか。（ハ）サムエルは何をしましたか。どんな結果になりましたか。

⁷ しかし，良い手本を示すはずの人がそうしない時はどうしたらいいのでしょう。聖書時代にもそうしたことは何度か起きました。若者サムエルはエホバの崇拝の場所で仕えるという際立った特権を得ていましたが，大祭司エリの息子たちはとても悪い手本を示しました。この二人はならず者で，エホバの律法を破り，エホバが崇拝される場所で仕えていた女たちと不道徳な関係を持つことさえしました。しかし若いサムエルは何が正しいかを知っていました。それでこの二人の悪い手本にはならいませんでした。聖書はこう述べています。「その間ずっと，少年サムエルはますます大きくなり，エホバの見地からも，人々の見地からもますます好まれるようになった」。（サムエル前 2:12-17，22-26，新）サムエルは神から大いに祝福されました。大きくなってから預言者となり，エホバに用いられて聖書の士師記，ルツ記，その名が付されたサムエル前書などを書きました。サムエルは箴言 20章11節（新）の言葉通りの人です。「少年は正にその行ないによって，その行動が清く，廉直であるかどうかを明らかにする」。だれかが悪いことをしているのを見たなら，エホバの道を知りながらその道に従わなかったエリの子のようではなく，若者サムエルのようにならなければならないことは言うまでもありません。

あなたのクリスチャンとしての良心

8 聖書で訓練された良心を持つ若いクリスチャンは，どんなことから守られますか。

⁸ 忠実な若いクリスチャンとして，聖書で訓練された良心が許さない事柄があるのは分かるでしょう。例えば，多くの祝祭日には異教的な起源があります。それらは偽りの宗教の習慣から出ています。ですからあなたの良心は，そうした祝日を祝うことを許しません。さらに学校は，自国を他国の上に高める国家主義的な行事や儀式をひんぱんに行ないます。したがって，『神はひとりの人からすべての国の人を作った』という聖書に基づいたあなたの見解とは一致しません。（使徒 17:26）それに学校は競争心をあおるスポーツにしばしば熱を入れ過ぎ，生徒がこのような活動に多大の時間を費やすように勧めます。それはただのレクリエーションではなく，何としても勝ちたいという気持ちで行なわれるので，時々暴力ざたが生じるほどです。a

9，10 ある若いクリスチャンは，これらの問題をどのように扱いましたか。

⁹ より高い基準に従うと，問題が生じますか。一人の若いエホバの証人はこう説明しました。「先生が私たちの立場を前もって，問題が生ずる前から知っておられる限り，クリスチャンの良心についての問題はほとんどありません」。クリスチャンとしての良心に基づく特定の見解の理由を冷静に，敬意をもって，そして先生がその立場をクラス全体の前に持ち出し，問題が感情的なものになってしまう前に説明しておく若い人々には，この点に関する問題はほとんど生じません。

¹⁰ 音楽が好きで，学校のオーケストラに参加して演奏することを願っていたある若者はこう言いました。「新学期の初めに，私は先生に，オーケストラに入りたいけれど，演奏できない音楽があるということを説明しました。その理由もお話ししました」。そのような音楽を演奏することになっても，この生徒が演奏せずにじっと座っていることをこの先生はあらかじめ知っています。それどころか，先生方は，こうしたクリスチャンの良心に反しないものにするよう，プログラム全体に再調整を加えたということです。もちろん，若い人々が指摘しているように，学校の他の活動すべてにおいて良い評判を得，あなたが本当に自分の宗教を自分の生き方とし，クラスの中で一生懸命努力していることが先生方に知られているなら，それは助けになります。

価値ある目標

11 （イ）目標を持つことは若い人々にとってどのように有益ですか。（ロ）価値ある目標を幾つか挙げてください。

¹¹ あなたは将来に対してどんな計画を立てていますか。多くの人々がそういうものを持っていないことを知っていますか。目標がないからこそあまり成功しないのです。彼らはやって来るものは拒みませんが，ほとんど何も成し遂げません。成績をあるところまで上げることが一つの目標となるかもしれません。また自活するために特殊な技術を習うことも目標となるでしょう。

12 別の，より重要な目標とは何ですか。

¹² しかし聖書の中には，霊的な目標，つまり神の奉仕において到達すべき事柄の必要性も示されています。聖書は「義を追い求める」人がエホバから愛され，その人は「命，義，そして栄光を見いだす」と述べています。（箴言 15:9; 21:21，新）イエスは，「バプテストのヨハネの日から……天の王国は人びとの押し進む目標となって（いる）」と言われました。パウロはこう語りました。「わたしは……そのためにキリスト･イエスがわたしをとらえてくださったものを，自分がそのとおりにとらええないものかと追い求めているのです。……目標に向かってひたすら走っているのです」。（マタイ 11:12。フィリピ 3:12-14）このように，価値ある目標を持つのは良いことです。

13 正確な知識はどれほど重要ですか。

¹³ 今日の若者として，あなたは知識を追い求めますか。多くの若い人はそうしません。でもエホバについて知るのはとても重要なことです。イエスはみ父への祈りの中で，「彼らが，唯一まことの神であるあなたと，あなたがお遣わしになったイエス･キリストについての知識を取り入れること，これが永遠の命を意味しています」と語られました。（ヨハネ 17:3）これ以上に重要な理由がほかにあるでしょうか。

14 エホバを知り，そのみ言葉聖書を理解するために，どのような着実な方法がありますか。

¹⁴ あなたは，神の言葉聖書とそれを説明しているものみの塔協会の出版物をおもしろいと思いますか。それとも難しくて分からないと思っていますか。難しくて分からないなら，「わたしの聖書物語の本」を使えば，聖書中の歴史全体を正しい順に知ることができます。その本は色々な事件をつなぎ合わせ，理解を深めるのに役立ちます。それから「あなたの若い時代，それから最善のものを得る」と題する本は，人生に喜びを増し加える聖書の様々な原則を理解する助けになります。学べば学ぶほど，勉強が楽になり，「ものみの塔」誌の研究記事を含めより深い内容の資料，神権宣教学校の資料，そして週ごとの聖書通読の準備をしたいと思うようになります。すべてを1日で行なえるわけではありませんが，個人的な目標を設け，一歩一歩知識と能力を進歩させていくなら，霊的な円熟性を得ることができるのです。―箴言 1:5; 2:10-12。

15 自分のためにどんな目標を設けることもできますか。

¹⁵ あなたはクリスチャンの奉仕の特権を追い求めていますか。毎週あるいは毎月家から家に教える業を行なう時間について，個人的な目標を設けていますか。一緒に来るように他の若い人を励ましていますか。再訪問や家庭聖書研究の際の教える能力を向上させるという目標を持っていますか。若い人の中には，学校の休みに開拓者（全時間の自発的な伝道者）となることを毎年の目標としている人もいます。

16 どんな長期的な目標を考慮すべきですか。

¹⁶ 長期的な目標はどうでしょうか。来年の今の時期までに何を成し遂げたいと思っていますか。あるいはこの古い体制の終わりが来なかったとして，5年後には何をしたいと思っていますか。あなたは長期的な目標として，正規開拓奉仕者になること，あるいはあなたが住む地域の人々に聖書文書を供給するベテル家族の一員になるといった他の特権を得ることを考えていますか。目標を設け，それに向かって努力することは，あなたの人生をより有用なものとする方法です。

17 （イ）若い時にそうした知識を深め能力を培った人々の模範を，どこに見いだすことができますか。（ロ）あなたは，この表現にかなう模範となる人を知っていますか。

¹⁷ 会衆内の愛情深い長老たちや，巡回監督，地域監督のことを考えてみてください。そうした人々もかつてはあなたと同じような若者でした。しかしそうした人々は知識を深め能力を培い，神と兄弟たちに仕えて，何年か前に成長を遂げました。彼らの模範は，若い時の時間を活用するようあなたを励ますものではありませんか。そうであるなら，次のように書いた詩篇作者のようになることができるでしょう。「神よ，あなたはわたしの若い時からわたしを教えてくださいました。わたしは今に至るまであなたのくすしいみ業について告げ知らせています」― 詩篇 71:17，新。

テモテのことを考える

18 どのような面でテモテは，ここで説明されている事柄についての際立った模範でしたか。

¹⁸ テモテはこの点で優れた模範でした。パウロはテモテにこう述べました。「[あなたは]幼い時から聖なる書物に親しんできたことを知ってい（ます）。その聖なる書物はあなたを賢くし，キリスト･イエスに関する信仰によって救いに至らせることができます」。（テモテ第二 3:15）テモテは子供のころに真理を学んでおり，それには計り知れないほどの価値があることを知っていました。テモテは信仰と知識において成長しました。その事実は人々に知られるところとなりました。聖書は，「テモテが」兄弟たちから「良い評判を得ていた」と述べているからです。テモテには，非ユダヤ人が住む地域に会衆を設立したときのパウロの忠実な同労者，ならびに旅行仲間となるという際立った特権が与えられました。―使徒 16:2-5。

19 テモテは，自分の若さを他の人から見下げられないためにどのようにすべきでしたか。

¹⁹ あなたもテモテのようになれます。真理にしっかりと付いてください。今ある時間の余裕を活用してください。今のあなたには，時間をたくさん必要とする家族の責任や，会衆内の重要な割当てもないのです。勉強し，知識を深め，能力を身に付けてください。若い人のほとんどは，「あなたの若さをだれにも見下げられることのないようにしなさい」という，テモテに語られたパウロの言葉を覚えています。しかし重要なのは，テモテがこれをどのように行なうべきであったかを忘れないことです。パウロは，「語ることにも，行状にも，愛にも，信仰にも，貞潔さにも，忠実な者たちの手本となりなさい」と言いました。（テモテ第一 4:12）パウロはさらにこうテモテに告げています。「若さに伴いがちな欲望から逃れ，清い心で主を呼び求める人びととともに，義と信仰と愛と平和を追い求めなさい」。（テモテ第二 2:22）もし本当にこうした事柄を追い求めるなら，今は生きるのに本当にすばらしい時であることが分かってきます。

20 この古い世が終わりに直面しているのを知っているあなたは，どういう態度を取りますか。

²⁰ 古い世は災厄的な終わりに直面していますが，サムエル，テモテなど神の忠実な僕たちの模範に従うとき，あなたはより良いものを望み見ることができます。神の恵みを求めてください。この古い体制の終わりに生き残り，間近に追っている義の満ちあふれる状態に入れるよう力を尽くしてください。「これらのことをよく考えなさい。それに打ち込んで，あなたの進歩がすべての人に明らかになるようにしなさい」というパウロの助言に留意してください。―テモテ第一 4:15。