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アフリカではどのように数をかぞえるか目ざめよ! 1975 | 10月22日
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で自国語を使う人々の多くが,日常生活において数を表わすことばだけはヨーロッパの言語を使っている理由が,これですぐにわかるでしょう。こうしてナイジェリアではエフィク語を流ちょうに話す人が数詞だけは英語を使い,隣国のダホメーではフォン語を話す人がフランス語の数詞を使うことが珍しくありません。
実用的な仕組み
サハラ砂漠以南の文化圏において,いろいろな部族の用いる異なった数え方は彼らの生活の仕方によく適合したものでした。ナイジェリアのヨールバ族の用いる方法をもう少し詳しく調べると,そのことがわかります。
何世紀ものあいだ彼らの文明は交易を中心としていました。そして彼らの交換の手段はタカラ貝でした。それで売り買いにともなってたくさんの貝殻を数えることが必要でした。彼らの社会では引くことによって数を出す方法が好まれた理由もこれでわかります。人々は20また200の山をいくつも作るのに,貝殻五つずつを引き去ることによって“お金”を数えました。ついで中間の数を出すためには,総合計からいくつかの余分を引き去ることをしたのです。これは数える時の動作を最小限にしました。
分数,順序,度数を表わす数も,サハラ以南の諸言語においてすべて表現できます。ある部族はこのような数を表わすのに接頭語や接尾語を用い,他の部族はひとつの完全なことばや句を用いてそれを表わします。スワヒリ語の表現「カサロボ」(1/4)は,文字どおりに訳せば「四分の一少ない」ということであり,一と四分の三(「ムビリ カサ ロボ」)は文字どおりには「二つに四分の一少ない」という意味です。
アフリカの都会では,タカラ貝や,同じく交換の手段として昔使われたマニッラスすなわち金属製の腕環にかわって近代的な通貨制度が用いられています。しかし田舎では昔ながらの複雑な方法が今でも広く用いられており,これならばどの言語を問わず読み書きのできない人でも暗算で算術をして,見る人を驚かせることができます。全くのところアフリカではさまざまの変化に富んだ方法で,しかも非常な熟練さをもって数がかぞえられています。
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旅人のための備え目ざめよ! 1975 | 10月22日
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旅人のための備え
● アフリカの他の国々と同様,ザイールでも,かつては,歩くことが主な旅行手段でした。長い距離を歩かねばならないので,旅人は身軽な服装をし,水と,寝る際の敷き物,それに体に掛ける物など,どうしてもなくてならないものだけを携えてゆくことが必要でした。しかし食物と宿はどうしたのでしょうか。その点を心配することはありませんでした。というのは,村に着くと村長が食物と小屋を提供してくれることになっていたからです。そうするのが習慣だったのです。
しかし,近くに村のない所で空腹になったような場合でも,旅人は食糧を手に入れることもできました。どのようにしてですか。それは,同国のある地方では,道沿いのうねに栽培された食物は,主に旅人が食べる,という習慣があったからです。それで,旅人は好きなだけ食べることを許されていましたが,その入れ物に入れて持ち去るなら,それは盗みとみなされ,畑の所有者はその旅人を告発することができました。そのような備えは,モーセの律法中の取り決めと似ています。例えば,申命記 23章24節には次のように書かれています。『汝の隣の葡萄園に至る時 汝こころにまかせてその葡萄を飽くまで食うもよし されど器の中に取りいるべからず』。
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