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ピサの斜塔 ― なぜ傾いているのですか目ざめよ! 1979 | 11月8日
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へ通じる七つの道,人生の七つの面,および神に達するために魂が(聖霊の七つの賜物の助けを得て)通らねばならない七つの調和した領域を表わしている」。中世の教理や哲学が,すでに“キリスト教”文化の本質的な部分となっていた,東洋の異教の信条で満ちていたことは明らかです。
わたしには斜塔のほかにも見物するところがありました。やはり外観が非常に美しく,たいへんすぐれた芸術作品に富んだ近くの記念物や大聖堂や洗礼堂のことをすでに読んでいたのです。こちらの方にはあまり通じていなかった少年は,わたしがそれらを見物しているあいだ,もどかしそうな様子でした。二人が別れる時が来てわたしたちは,ふたたび屋外に出ました。ビロードを広げたような緑の草の上にはまだ日が輝いています。わたしはさようならを言ってから,少年にささやかな贈り物をしました。少年はそれを受けるのに十分値しました。それからわたしは,少年がとびはねるように人ごみをかけぬけ,小さくなってゆく姿をみつめていました。
ふたたびひとりになったわたしは,最後にもう一度優美な斜塔をながめながらこう考えました。昔の美しい記念物は数多くあるが,それらと同様ピサの斜塔は人間の技術と創意の証明だ。それらの賜物を正しく用いるなら,どんな鐘の音よりもはるかにすばらしく創造者を賛美できるのだ,と。
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放火だけの問題ではない目ざめよ! 1979 | 11月8日
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放火だけの問題ではない
1979年1月8日号のニューズ・ウィーク誌によれば「放火罪は米国で最も増加率の高い犯罪となっている」ということです。同誌はさらにこう伝えています。「全米防火協会によると,放火によって引き起こされた火災の損害は,1965年の7,400万㌦から10年後には6億3,400万㌦に急増しており,以来その数字は三倍に増加している。1977年には,放火によって700人が死亡し,推定16億㌦の物的被害が生じたのに加え,失業や課税の基盤の破壊に伴う表に出ない損害が幾百万㌦も生じた」。
放火の目的は保険金をもらうことにあり,その背後には組織犯罪があります。放火の請負人はなにからなにまで全部します。“放火人”を雇うこともすれば,多くの場合保険金の支払い額を決定する調停人を買収することもします。このようなわけで,多くの人,多くの財産家は苦労せずにお金を手に入れるために放火という手段に訴えるのです。ある人々は,保険会社は火災について注意を払わないと唱えます。火災が増えれば保険に対する需要は増し,保険料率は上がります。要求された保険金の支払いを保険会社が拒絶するなら,被保険者はそれに対して告訴することができますが,法廷での弁護にはお金がかかります。支払い要求額が高くない場合には,保険会社にとってそれを支払うほうが安くつきます。結局のところ,そうした請求すべてに対して支払うのは人々であり,保険会社は繁盛することになります。保険を掛ける事業家は自分の顧客にその費用を払わせているのです。
しかし,放火の副産物である殺人に対してはだれが償いをするのでしょうか。
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