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電力はどこから得られるか目ざめよ! 1972 | 11月8日
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しかし,発電所で,石炭の使用をやめてほかのものに切り換えても ― ニューヨーク市はことし,相当の費用をかけてこれを完了した ― 問題は解決しません。石油やガスも汚染源になるからです。石油に含まれる硫黄も空気中に排出され,天然ガスは燃焼するときに窒素酸化物を出します。また,近くの川や湖に流される,発電所から出る廃棄熱の問題もあります。これは川や湖の温度を危険なまでに高めることがあります。
現在の電力危機はこの環境に対する脅威によるものでしょうか。あるいはそれ以上に深刻な原因があるのでしょうか。
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今日,電力危機が存在するのはなぜか目ざめよ! 1972 | 11月8日
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今日,電力危機が存在するのはなぜか
すべての力には源があります。たとえば馬は,その食料である植物の中に貯蔵されている化学的エネルギーから力を得ます。植物は,動物と人間の筋力の源です。
今世紀まで人間は自分の仕事を成し遂げるのに筋力に大きく依存し,人間自身の筋力か,または動物の筋力を用いてきました。また人間は,植物 ― まき ― を燃やして,それから出るエネルギーを利用しました。1870年というごく最近まで,まきから出るエネルギーが,人間の動力の必要の大半をまかない,初期の蒸気機関,河川用ボート,機関車などを走らせていました。
掘り出された燃料の使用
しかしながら,産業が発達するにつれて,人間は新しく発明された機械を動かすのにさらに多くの動力を必要とするようになり,遠い昔に地中に埋没したものが燃料として掘り出され利用されることになりました。石炭が採掘されて,その使用量は増加しました。1910年までには石炭は,人間の必要とする動力の4分の3のエネルギー源となっていました。
1859年ごろ,人間は掘り出した燃料を大量に使用しはじめました。その年に油井を掘ることに成功したのです。今日における石油の主要な用途は,自動車や他の輸送機関に動力を供給することです。アメリカだけでも現在,1日に平均24億4,500万㍑ほどの石油(重油)を使います。
もっと最近になって,とくに第二次世界大戦以来,地下に埋蔵されている天然ガスが採取されるようになりました。アメリカでは,128万㌔以上におよぶ,地下を走るガス・パイプライン網が敷設されました。これは国のオイル・パイプラインの長さの4倍に当たります。主婦が料理に使うガスは,何百㌔も離れた遠い天然ガス発生地から直行したものかもしれません。
今日では,アメリカの必要とするエネルギーの95%以上が,これらの掘り出された燃料によってまかなわれています。1970年には,国のエネルギーの全必要量の約43%を石油が,約33%を天然ガスが,20%余を石炭が供給しました。残りの動力はおもに水力発電施設によって供給されました。動力危機の根本をなすのは,地下から掘り出す燃料へのこの依存です。
危機
1972年3月19日のニューヨーク・タイムズ紙は次のように説明しています。「エネルギー資源 ― 石炭,石油,天然ガス ― がなくなりはじめたのに,世界の他の国々のこれらの資源に対する需要は,アメリカにおける需要よりも急速に伸びているため,まさつが感じられるようになった」。
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