王国宣明者の報告
「悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば,彼はあなたから逃げ去ります」
1世紀に,エフェソスで熱心に「魔術」を行なっていた者たちのあるグループがキリスト教の音信にこたえ応じ,自分たちの持っていた魔術に関する本を公衆の面前で燃やしました。(使徒 19:19)これらの本の値を計算したところ,銀5万枚に相当しました。もし聖書の記述がデナリ,つまりローマの銀貨を指しているとすれば,その値は少なくとも370万円ほどになります。
今日でも,一時期オカルトに関する文書を所有していたものの,古代エフェソス人と同様の決意を示してそれらを処分した人は大勢います。カナダから次のような体験談が寄せられました。
今から5年ほど前,あるエホバの証人が家から家に伝道していた時,ある家の戸口でノーラという名前の女性に会いました。ノーラは彼女を文字通り家の中に引っ張り込みました。何年にもわたって霊的な事柄を探求していた間に宗教書や心霊術の本を何百冊も集めてはいましたが,聖書は死者のための希望について何と述べているかを知りたかったのです。証人はノーラに,「亡くなった家族の者にはどんな希望がありますか」というパンフレットを配布しました。ノーラは疑問の答えが得られたので,「ものみの塔」と「目ざめよ!」誌を予約しました。
後日ノーラは移転し,エホバの証人との連絡は途絶えましたが,新しい住所に郵送される雑誌は引き続き受け取っていました。ノーラはまた,雑誌を見てほかにも聖書に基づく出版物があることを知り,それらも幾冊か注文しました。しばらくすると,ノーラの家を一人のエホバの証人が訪れました。証人が質問に答えるとき,聖書を直接引用することに感銘を受けたノーラは,証人を喜んで迎え入れ,もっと話がしたいのでまた来てくださいと頼みました。
ところが,ノーラと再び連絡を取るのは容易でないことに証人は気づきました。時間帯や曜日を変えて繰り返し訪問しても会えません。しかし,やがて証人の粘り強さは報われ,良い結果を刈り取るようになりました。定期的な聖書研究が始まったのです。ノーラのたっての希望で聖書研究が週に3回行なわれることもよくありました。ノーラは学んだ事柄に心を動かされて友人や家族に話したいと思うようになり,結果として3人がエホバの証人との聖書研究を申し込みました。
ノーラは研究を通して,たくさんの偽りの宗教や偽預言者たちが存在していても,命に至る道はただ一つしかないことを認識するようになりました。彼女はこれまで何年もの間,偽りの宗教に関して抱いていた疑問の答えを探していましたが,悪霊たちについて聖書が述べていることを学ぶと,使徒 19章19節に述べられている古代エフェソス人と同様の行動を取りました。自分の蔵書の整理をし,数日かけて,オカルトや偽りの宗教の教えに関する本を1,000冊以上も処分したのです。破棄した本の中には,全4巻で800㌦(約8万円)以上するものもありました。
悪霊たちがノーラの取った行動に腹を立てたのは明らかで,彼らは2週間ほど彼女を悩ませました。しかし,邪悪な霊者たちは,彼女が聖書研究を続け,また現代のエホバの組織と交わるのを思いとどまらせることはできませんでした。
こうした経験は,聖書の次の言葉の真理をよく例証しています。「したがって,神に服しなさい。しかし,悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば,彼はあなたから逃げ去ります」― ヤコブ 4:7。