世界の食糧危機 聖書から分かること
「飢餓をゼロに」。これは,世界の食糧問題について各国のリーダーたちが掲げた目標です。a 飢餓がなくなることはあるのでしょうか。聖書にはどんなことが書かれていますか。
聖書は食糧危機を予告していた
聖書は私たちが生きている時代を「終わりの時代」と呼んで,食糧不足が起きることを予告していました。(テモテ第二 3:1)食糧不足を引き起こしているのは神様ではありません。でも神様は,それに気を付けるよう警告していました。(ヤコブ 1:13)では,聖書の2つの預言を見てみましょう。
「あちらこちらで食糧不足……があります」。(マタイ 24:7)聖書は世界的な食糧不足が起きることを予告していました。食料供給の専門家が発表した最近の報告によると,「飢餓,食料不安,栄養不良を終わらせる世界の取り組みが後退している」とのことです。b 数十カ国で何億人もの人々が必要な食料を手に入れることができず,多くの人が命を落としてしまっています。
「黒い馬が現れた。それに乗っている者は,はかりを持っていた」。(啓示 6:5)この預言に出てくる馬と騎手は,終わりの時代に生じる飢饉を表しています。c 騎手は食糧を量るためのはかりを持っています。騎手が乗り進むと,食料の値段が高騰するので生活に欠かせない食料を節約するように,という警告が出されます。(啓示 6:6)実際,世界で食糧危機が起き,何十億もの人々が食べ物を手に入れにくくなっています。
食糧危機はどのように解決されるか
専門家によると,地球には全ての人を養うのに十分な量の食糧があります。では,何が食糧不足を引き起こしているのでしょうか。聖書の神エホバdはこの問題をどのように解決しますか。
問題 政府は食糧不足の原因となっている貧困や経済格差をなくすことができない。
解決策 人間の政府に代わって神の王国が治めるようになります。(ダニエル 2:44。マタイ 6:10)現在,多くの人が食べ物を手に入れるのに苦労しています。でも,イエス・キリストが神の王国の王として統治する時,この問題はなくなります。聖書にこうあります。「王は,助けを求めて叫ぶ貧しい人を救い出す。立場が低い人や誰にも助けてもらえない人も。……地上には穀物が豊かに実り,山々の頂でも豊作になる」。(詩編 72:12,16)
問題 戦争によって破壊や経済不安が生じ,食料の供給が遅れたり止まったりする。
解決策 「[エホバ]は地上の全ての場所で戦いを終わらせる。弓を折り,やりを砕き,兵車を火で焼く」。(詩編 46:9)神様は戦争を引き起こしている人々を滅ぼし,武器を一掃します。結果として,全ての人が食べ物を手に入れられるようになります。聖書は次のように約束しています。「正しい人たちは幸せに暮らし,平和が行き渡る」。(詩編 72:7)
問題 異常気象や自然災害によって作物や家畜が被害を受けている。
解決策 神様は自然をコントロールして,地球を作物が十分に育つような環境にします。聖書にはこうあります。「[エホバ]が暴風をなだめると,海の波は静まる。……神は砂漠をアシが茂る池に,乾いた土地を泉に変える。飢えた人をそこに住まわせる。……畑に種をまき,ブドウ園を造る。豊かな収穫を得る」。(詩編 107:29,35-37)
問題 私利私欲のために,安全上問題のある食品を製造する人や,流通を妨げる人がいる。
解決策 神の王国の下では,人をだまして不正を働く人はいなくなります。(詩編 37:10,11。イザヤ 61:8)聖書によると,エホバ神は「だまし取られた人を公正に扱う方。飢えた人にパンを与える方」です。(詩編 146:7)
問題 毎年,世界の食糧生産量の3分の1が無駄になったり捨てられたりしている。
解決策 神の王国の下では,食糧の管理がきちんと行われます。イエスは地上にいた時,食べ物を無駄にしませんでした。例えば,奇跡によって5000人以上に食事をさせた後,弟子たちにこう言いました。「余ったかけらを集め,何も無駄にならないようにしなさい」。(ヨハネ 6:5-13)
神の王国は飢餓の原因を根本からなくします。その時,全ての人が,体に良くておいしい食べ物をおなかいっぱい食べられるようになります。(イザヤ 25:6)このことがいつ実現するかについて詳しくは,「神の王国が地球を治めるのはいつか」という記事をご覧ください。
a 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」,2015年の国連サミットで採択
b 国連食糧農業機関(FAO),国際農業開発基金(IFAD),国連児童基金(UNICEF),世界食糧計画(WFP),世界保健機関(WHO)が共同で発表した報告書
c 「啓示」の書に出てくる4人の騎手について詳しくは,「黙示録の四騎士 その正体」という記事をご覧ください。
d エホバとは神様の名前です。(詩編 83:18)「エホバとは誰のことですか」という記事をご覧ください。