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天使はわたしたちの間にいますかものみの塔 1995 | 11月1日
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天使はわたしたちの間にいますか
それは,あっという間の出来事でした。物思いにふけり,周囲のことなど目に入らぬまま線路の上に迷い出たメリリンは,突如として耳をつんざくような轟音を聞きました。目を上げると,列車が自分の方に向かって突進して来るではありませんか。メリリンは恐ろしさのあまり体がすくんで動けません。列車はすぐそこまで来ていて,機関士の青い目と恐怖にかられた顔が見えます。メリリンは次に起きたことを決して忘れません。「まるで巨人が後ろから押してくれたような感じでした。線路から飛び立つようにして,向こう側の石炭の燃え殻の上に落ちたのです」と述懐しています。軽い打撲傷を負い,起き上がって,命の恩人にお礼を述べようとしたところ,だれの姿も見えません。メリリンはどう結論したでしょうか。「私の守護天使が命を救ってくれたのです。それ以外には考えられません」と語っています。
懐疑的な世界が突然,天使のとりこになったかの観を呈しています。ここ数年,天界の生き物のことがテレビ番組や映画の題材になり,ブロードウェーでも演劇の主題として取り上げられています。天使に関する本は宗教書のベストセラーリストの上位に入っており,天使クラブやセミナーがあり,会報も出されています。ある記事の言葉を借りれば,「あなたの『内なる天使』」を解き放つのを助けてくれる研究集会も設けられています。
こうした天使ブームをこれ幸いと利用しているのは便宜主義者の商人たちで,消費財を次から次へ際限なく売り込んでいます。米国で店を共同所有している一人の女性は,「天使のついた商品なら何でももうかる」と述べ,書籍が飛ぶように売れるほか,「天使の彫像,ブローチ,人形,Tシャツ,ポスター,グリーティングカード」も売れていると語っています。これらは皆,あるジャーナリストの言う,「この世のものとも思えない利益」を生んでいます。
しかしこれは単なる一時的な流行などではないと,天使のファンは主張し,その証拠として,「実際に」天使に遭遇した話を次々に持ち出します。人間の姿をした天使を見たという人もいれば,光が見えた,声が聞こえた,気配を感じた,天使から出たに違いない力を感じたと言う人もいます。メリリンのように,天使に命を救われたと言う人は少なくありません。
何が起きているのでしょうか。「霊性が復活しているのだと思う」と述べているのは,「超自然的な」出会いに関する本を2冊著わしたジョーン・ウェスター・アンダーソンです。別の本の著作に協力したアルマ・ダニエルはもう一歩踏み込んで,こう述べています。天使たちは「現在,もっと多くの人が天使たちと接触できるよう,自分の存在を知らせるように指示されている。天使に関して目にすることが非常に多いのは,天使たちがそれを望んでいるからだ。天使たちがそうしているのである」。
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天使に関する事実ものみの塔 1995 | 11月1日
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新しいサブカルチャーが発達しています。天使を信じると言う人が増えているだけでなく,幾らかでも天使の影響を受けたことがあると言う人が増加しているのです。500人のアメリカ人に対して,「これまでの人生で,天使の存在をじかに感じ取ったことがありますか」という質問がなされたところ,ほぼ3分の1が肯定の答えを出しました。しかも驚くべきなのは,天使を信じると公言する若者の数です。米国で行なわれたある調査によると,それは76%にも達しました。人々が天使に関心を抱いていることは明らかです。しかし,天使に関して現代人の考えている事柄はどの程度聖書の真理にかなっているでしょうか。
サタンの役割をあいまいにする
天使,つまりみ使いのことを話す際,邪悪なみ使いたち,すなわち神に反逆したと聖書が述べている天的被造物を無視すべきではありません。その中の主要な者はサタンです。「あなたの天使に聞いてごらん」という人気のある本が示唆しているところによれば,サタンは「神の一面」にほかならず,絶えず誘惑することによって,人間が「霊的な筋肉」を強めるのを助けます。その本の著者たちが言うには,サタンは「愛ある意図」を持っているにもかかわらず,幾世紀もの間に誤って悪と結びつけられるようになってしまいました。また,サタンとイエスは,「ぴったり補足し合っているわけではないが,少なくとも同じ側にいる,同じ統一体の肝要な部分である」と付け加えています。これは驚くべき主張ですが,聖書は何と述べているでしょうか。
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天使に関する事実ものみの塔 1995 | 11月1日
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祈りはだれにささげられるものか
天使ブームの擁護者の中には,天使と意思を通わせるために,めい想などのテクニックを奨励する人たちがいます。ある本は,「天界の家族のだれかと接触したいという誠実な願いが顧みられないことはない。求めれば与えられる」と述べ,ミカエル,ガブリエル,ウリエル,ラファエルなどの天使に相談するよう勧めています。b
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天使に関する事実ものみの塔 1995 | 11月1日
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天使は宗派とは無関係なのか
エンジェルウォッチ・ネットワークを主宰するアイリーン・イリアス・フリーマンは,「天使はあらゆる宗教,あらゆる哲学,あらゆる信条を超越している。事実,天使は我々が知っているような宗教など持っていない」と述べています。
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天使に関する事実ものみの塔 1995 | 11月1日
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「偽りの父」
いわゆる天使との遭遇には多くの場合,死者との交信が関係しています。エリスという名前の女性は自分がしるしと思えるものを受けたあとで,「おじが私と連絡を取る方法を見つけて,やっと幸せをつかんだことを私に知らせてくれたのだと思います」と語っています。同様に,テリーも死んだ大切な友だちのことを思い出して,こう語っています。「葬式から1週間後のこと,夢の中だったと思うのですが,彼が私に現われました。そして,ぼくがいなくなったことを悲しんじゃいけない,ぼくは幸福だし,気分も穏やかだから,と言いました」。
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天使に関する事実ものみの塔 1995 | 11月1日
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み使いたちと悪霊たちのどちらに近づいているか
今の天使ブームでは,オカルトに手を出すことも珍しくありません。マルシアの経験を考えてみてください。彼女はこう語っています。「私は1986年の9月から12月にかけて,『三次元のかなた』から音信を受け取るようになりました。亡霊を見たり,『前世の』すごい夢を見たりしました。亡くなった友だちと接触しただけでなく,たくさん心霊現象を経験しました。その際に私は,会ったばかりの人たちの事情を知らされました。自動筆記の賜物にも恵まれるようになり,肉体を離れた人々からの音信を伝達しました。ある人たちが私を通して他の人たちに音信を送ってくることもよくありました。それを送ってくるのは,生前には私が会ったことのない人たちでした」。
天使との「意思伝達」の手段として占いが用いられることも珍しくありません。ある資料は読者に,ルーン文字の彫ってある石やタロー・カードや易経のコインや手相術や占星術を用いるようおおっぴらに勧めています。「賢明な内なる自己があなたを正しい神託所に導くに任せよ。天使がそこであなたを迎えてくれることを確信せよ」と,その著者たちは書いています。
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