ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 冷たい世界へ!
    目ざめよ! 2003 | 12月22日
    • 冷たい世界へ!

      赤ちゃんが生まれてくるのは,厳しくて冷たい世界,ストレスだらけの世界です。赤ちゃんは自分の気持ちを言い表わすことができませんが,生まれる前でさえ,周囲で起きている物事を感じていると考えられています。

      「胎児たちの秘密の生活」(英語)という本はこう述べています。「胎児は意識を持ち,物事に反応する一個の人間であり,6か月目から(あるいはもっと早い時期から)感情豊かな生活を始めていることが分かっている」。たとえ覚えていなくても,出生時の緊張に満ちた経験が赤ちゃんのその後の生活に影響を及ぼすのではないかと考える科学者たちもいます。

      誕生後はストレス続きです。お母さんのおなかを出ると,自動的に滋養物をもらうことはできなくなります。酸素や栄養を運んでいたパイプはもうありません。生きていくために,自分で呼吸して,栄養を取り入れなければなりません。だれかから食べ物をもらい,ほかのいろいろな世話をしてもらう必要があります。

      新生児は,知的,感情的,精神的に成長してゆく必要もあります。ですから,だれかが養育しなければなりません。そうするのに最適なのはだれですか。赤ちゃんは親からどんなことをしてもらう必要がありますか。どうすればその必要が最もうまく満たされるでしょうか。続く記事では,これらの点を取り上げます。

  • 赤ちゃんが必要とし,望むこと
    目ざめよ! 2003 | 12月22日
    • 赤ちゃんが必要とし,望むこと

      新生児は生まれ出たその時から,愛撫やスキンシップなど,優しい世話を必要とします。ある医師たちは,誕生直後の12時間が肝心だと考えており,出産直後の母子が最も必要とし,最も望むのは,「睡眠でも食物でもなく,優しい愛撫,抱き締めること,見つめ合い,互いに耳を傾けることである」としています。a

      親は本能的に赤ちゃんに手を差し伸べ,引き寄せて愛撫し,抱き締めます。そのとき赤ちゃんのほうは安心して親に体を寄せ,その慈しみに応えます。このきずなはたいへん強く,親は労を惜しむことなくたゆまず幼子の世話をします。

      一方,親との愛のきずながないと,赤ちゃんはただそれだけで弱ったり死んだりすることさえあります。ですからある医師たちは,出産直後に赤ちゃんを母親に渡すことが大事であると考え,そのようにして母子が早い段階で少なくとも30分から60分,一緒にいられるようにすることを提案しています。

      そのような触れ合いを重視する人々がいる一方で,出産直後に母子が一緒にいることが難しい,あるいは不可能な病院もあります。普通,新生児が母親から離されるのは病気の感染を防ぐためです。しかし,新生児が母親といると,深刻な感染の起きる率がむしろ下がることを示す証拠もあります。そのため,母親が出産直後に新生児と共にいられる時間を長くする病院は増えています。

      親子のきずなについての不安

      中には,自分の赤ちゃんを初めて見たときに愛着を感じない母親もいます。そのような母親は,『自分はきずなをうまく結べないのではないか』と心配します。確かに,すべての母親が赤ちゃんに一目ぼれするわけではありません。でも,心配は要りません。

      赤ちゃんに対する愛情がすぐにわかないとしても,愛情はいずれ十分に深まります。「出産時の状況によって子どもとの関係が左右されることなどありません」と,何度も出産したことのある母親は述べています。それでも,出産を控えて不安を感じる場合は,前もって産婦人科医と話し合っておくとよいでしょう。新生児との触れ合いをいつ,またどれほどの時間望んでいるかを明確にしておきましょう。

      「ねえ,お話ししてよ」

      赤ちゃんには,ある特定の刺激に対してとても敏感に反応する時期があるようです。そうした時期はしばらくすると終わります。例えば,子どもの脳は言語を簡単に習得します。一つどころか複数でも大丈夫です。しかし,言語を最も習得しやすい時期は5歳ごろに終止期に入るようです。

      12歳から14歳になると,言語の習得はかなり難しくなりがちです。小児神経科医ピーター・ハッテンロヘルによると,その時期に,「脳の言語をつかさどる領域のシナプスの密度と数が減少」します。誕生後の数年が言語能力を得るのに非常に大切な時期であることは明らかです。

      その後の十分な認知発達のために,話す能力はたいへん重要ですが,赤ちゃんはそれを身に着けるという偉業をどのようにして成し遂げるのでしょうか。おもに親との言葉のやりとりによります。赤ちゃんは人間から受ける刺激に特に反応します。「赤ちゃんは……母親の声をまねる」とマサチューセッツ工科大学のバリー・アロンスは述べています。しかし,興味深いことに,赤ちゃんはすべての音をまねるわけではありません。アロンスが述べるように,赤ちゃんは「母親の話し声と同時に聞こえる揺りかごのきしむ音まではまねない」のです。

      どんな文化的背景を持っている場合でも,親は“赤ちゃん言葉”とも呼ばれる,リズムのよく似た話し方で赤ちゃんに話しかけます。親が愛情のこもった仕方で話すと,赤ちゃんの心拍数は上がります。このような話し方は,単語とそれが指す事物を結びつけるのに役立つと考えられています。赤ちゃんは一言も話さなくても,「ねえ,お話ししてよ」と訴えているのです。

      「ねえ,こっちを見て」

      生後1年ほどの間に,赤ちゃんは自分の世話をしてくれる大人 ― 普通は母親 ― に愛着を抱くようになることが証明されています。親とのこのきずなに安心感を持てる赤ちゃんは,そうでない場合よりも上手にだれとでも接することができます。母親とのそうしたきずなは,子どもが3歳になるまでに築かれる必要があると考えられています。

      知能が外からの影響に非常に敏感なこの大切な時期に,なおざりにされる赤ちゃんはどうなるでしょうか。267組の母子を20年間にわたって調べたマーサ・ファレル・エリクソンは次の意見を述べています。「なおざりにされる子どもは,ゆっくりと確実に元気を失ってゆき,ついには他の人と接触したり世界を探検したりする意欲がほとんどなくなってしまう」。

      テキサス子ども病院のブルース・ペリー医師は,感情面でなおざりにされることから生じる深刻な結果についての自説を次のように例えています。「生後6か月の赤ちゃんについて,その体の骨を全部折るか,2か月間感情面でなおざりにするかのどちらかを選べと言われたら,その赤ちゃんにとっては骨を全部折られるほうがむしろましだろう」。なぜでしょうか。ペリー医師によると,「骨は治癒するが,赤ちゃんが2か月間にわたって不可欠な脳の刺激を得られないと,脳はいつまでたっても秩序を欠いたままになる」からです。そうした損傷は再生不能ということに,すべての人が同意しているわけではありません。それでも,種々の科学的研究は確かに,感情的に充実した環境が幼い知性に不可欠であることを示しています。

      「簡単に言えば,[赤ちゃん]は愛し愛されるようにできている」と,「幼児」(英語)という本は述べています。赤ちゃんが泣く時は,「ねえ,こっちを見て」と親に訴えている場合が少なくありません。親がそれに優しく応えるのは大切です。そうしたやりとりを通して,赤ちゃんは自分の必要を他の人に知ってもらえるということに気づきます。他の人との社会的関係を築くことを学んでいるのです。

      『甘やかしてしまわないだろうか』

      『泣くたびにあやしていたら,赤ちゃんを甘やかしてしまわないだろうか』と思われるかもしれません。その可能性はあります。この問題に対する意見は様々です。どの子どもも他とは異なるので,一般に,どんな接し方が最善かは親が決めなければなりません。しかし,最近の幾つかの調査によると,新生児が空腹,不快,あるいは不機嫌になると,ストレス反応系統はストレスホルモンを出します。赤ちゃんは泣くことによって不快感を表現します。親がそれに応じて赤ちゃんの求めに応える時,赤ちゃんの脳には気持ちを静めることを学ぶよう助ける神経細胞のネットワークが造られてゆきます。また,メガン・グンナー博士によると,すぐに世話をしてもらえる赤ちゃんの場合,ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量はそれほど多くありません。それで不機嫌になった時でも,ストレス反応が比較的早く収まります。

      「実際,特に生後6か月から8か月の間いつもすぐに相手をしてもらえた赤ちゃんは,泣くままにされてきた赤ちゃんほどには泣かない」と,エリクソンは言います。対応の仕方に変化を付けることも大切です。毎回食べ物を与えたりだっこしたりして,同じ仕方で対応するなら,確かに赤ちゃんを甘やかしてしまうかもしれません。時には,声をかけて泣き声に応えるだけで十分なこともあるでしょう。あるいは,赤ちゃんに近づき,その耳元で優しく話しかけるのも効果的でしょう。また,赤ちゃんの背中やおなかをさするのもよいでしょう。

      「赤ん坊は泣くのが仕事」と,東洋では言われます。赤ちゃんにとっては,泣くことが自分の要求を伝える主な手段です。もしあなたが何か頼み事をするたびに無視されるなら,どんな気持ちがするでしょうか。では,世話してくれる人がいなければ何もできない赤ちゃんは,注意を引こうとするたびに無視されるならどう感じるでしょうか。とはいえ,だれがその泣き声に応じるべきですか。

      だれが赤ちゃんの世話をするか

      米国で最近行なわれた調査により,新生児から小学3年生までの54%が,いつも何らかの形で親以外の人の世話を受けていることが明らかになりました。家計のためにやむなく共働きをする親は少なくありません。そして,できる場合に出産休暇を取って数週間から数か月間,生まれた赤ちゃんの世話をする母親も多くいます。では,その後はだれが赤ちゃんの世話をすることになりますか。

      もちろん,そうした決定を左右する厳格な規則はありません。しかし,人生で非常に重要なこの時期にも子どもは害を受けやすいことを覚えておくべきです。親たち二人はこの問題を真剣に考慮する必要があります。どうするかを決める時は,選べる手段を慎重に考慮しなければなりません。

      「最高の保育プログラムをもって子どもを育てても,子どもが母親や父親と過ごすべき時間の代わりにはならないことがますますはっきりしてきた」と,アメリカ小児科学会のジョーゼフ・ザンガ博士は述べています。保育施設に預けられる子どもは世話をしてくれる人との触れ合いを必要なだけ得られないという懸念を表明してきた専門家もいます。

      仕事を持つ母親の中には,子どもの切実な必要に気づいて,子どもの感情面での養育を他の人に任せるよりはむしろ自分が家にいることにした人もいます。ある女性は,「どんな仕事からも得られないような満足感を得ています」と述べました。もちろん,経済的な事情のために,すべての母親がそうできるわけではありません。保育施設を利用せざるを得ないので,子どもと一緒にいられる時間に関心を払い,愛情を注ぐよう余分の努力を払っている親も少なくありません。また,働きながら子どもを育てるひとり親で,この点では選択の余地がほとんどなくても,子育てに懸命な努力を払って良い結果を得ている人も多くいます。

      子育ては喜びの多い仕事であり,感動に満ちています。とはいえ,それは試みとなる難しい仕事でもあります。どうすれば成功できるでしょうか。

      [脚注]

      a 「目ざめよ!」誌はこの一連の記事で,子育ての権威として高い評価を受けている様々な人の見解を紹介します。この種の調査結果が親にとって有益で参考になるからです。とはいえ,「目ざめよ!」誌が全面的に受け入れている聖書の規準とは異なり,そうした見解はしばしば変更され,時とともに修正されてゆくことが少なくない,ということを認めておく必要があります。

      [6ページの囲み記事/図版]

      サイレントベビー

      日本のある医師たちによると,泣いたり笑ったりしない赤ちゃんが増えています。小児科の柳沢 慧医師は,こうした赤ちゃんをサイレントベビーと名付けました。赤ちゃんはなぜ感情を表に出さなくなるのでしょうか。親との触れ合いやスキンシップが得られないからではないかと考えられています。これは強いられたあきらめの状態と言えます。一説には,意思を通わせようとするたびに無視されたり誤解されたりすると,赤ちゃんは次第にそうしようとしなくなると言われています。

      適切な時期に適度の刺激を与えられないと,赤ちゃんの脳の感情移入をつかさどる部分は発達しなくなるかもしれないと,テキサス子ども病院の精神科主任ブルース・ペリー医師は述べています。感情面で極端な仕方でなおざりにされると,感情移入をする能力が取り返しのつかないほど損なわれるようです。ペリー医師によれば,薬物乱用や青少年の暴力行為には,そうした幼少期の経験が関係している場合もあります。

      [7ページの図版]

      親子のきずなはコミュニケーションによって強まる

  • 子どもに必要なものを与える
    目ざめよ! 2003 | 12月22日
    • 子どもに必要なものを与える

      幼い子どもに多くの配慮が必要なことは明らかですが,必要なものを与えられていない場合の多いことも明らかです。今日の青少年の状態もそのことを裏書きしています。「若者たちはかつてないほど家族生活というものから引き離され,本来得ているべき経験や知恵を得られずにいる」と嘆く研究者の言葉が,カナダのトロントのグローブ・アンド・メール紙(英語)に載せられました。

      どこがいけないのでしょうか。少なくともある部分,幼い子どもへの細かな配慮の大切さを認識していなかったということがあるでしょうか。「わたしたちは皆,親としての役割を学ぶ必要があります」。こう説明するのは,低所得世帯の母親たちに赤ちゃんの世話の仕方を教える精神分析医です。「いま子どもと過ごす時間はいずれ非常に多くの報いとなって戻ってくる,ということを理解する必要もあります」。

      赤ちゃんであっても定期的に教え諭す必要があります。時たま数分だけというのではなく,いつも,そうです,一日じゅう教えてゆく必要があります。赤ちゃんの時から親が一緒に時間を過ごすことは,子どもの健全な発育に欠かせません。

      準備が必要

      重い責任を果たすため,親は赤ちゃんを迎える準備をする必要があります。事前の計画の重要性についてイエス・キリストが示した原則から学べるでしょう。イエスはこう言われました。「あなた方のうちのだれが,塔を建てようと思う場合,まず座って費用を計算し……ないでしょうか」。(ルカ 14:28)子育ては,しばしば20年計画とも呼ばれ,塔を建てるよりもはるかに複雑な仕事です。ですから,子育てで成功するには,いわばその仕事の青写真が必要です。

      まずは,親となることに伴う数々の責任を担うため,精神的また霊的な準備をすることが大切です。ドイツで妊婦2,000人を対象になされた調査で,母親が心待ちにしていた子どもは,母親から望まれていなかった子どもよりも,情緒面でも身体面でもずっと健康であることが分かりました。一方,ある研究者の概算によると,摩擦の絶えない結婚生活にある女性は,円満な関係にある女性に比べて,情緒的あるいは身体的に障害を持つ赤ちゃんを出産する率が237%も高くなっています。

      ですから,父親も子どもの健やかな発育に大切な役割を担っていることは明らかです。トーマス・バーニー博士はこう述べています。「父親が妊娠している妻を虐待あるいはなおざりにすることほど,情緒面,身体面で子どもを危険にさらすものはない」。子どもへの最高の贈り物はその子の母を愛する父親だ,と言われるのももっともです。

      不安やストレスと関係のあるホルモンは,母親の血流中に分泌され,胎児に影響を与えます。とはいえ,時おり生じる消極的な感情やストレスの多い出来事よりは,母親が持つ強い,あるいは長期の不安のほうが有害だと考えられています。最も問題になるのは,母親になろうとしている女性が生まれてくる赤ちゃんについてどう感じているかであるようです。a

      あなたが妊娠していて夫が協力的でない場合,あるいはあなた自身が母親になることをうれしく思っていない場合はどうでしょうか。様々な状況から,妊娠を知って元気をなくす女性がいるのも珍しいことではありません。それでも,生まれてくる子どもには何のとがもないということをいつも忘れないでください。では,どうすれば望ましくない状況下でも冷静さを保つことができるでしょうか。

      神の言葉である聖書に述べられている賢明な指針は,数え切れないほど多くの人の役に立ってきました。こう述べられています。「事ごとに祈りと祈願をし,感謝をささげつつあなた方の請願を神に知っていただくようにしなさい。そうすれば,一切の考えに勝る神の平和が,あなた方の心と知力を,キリスト・イエスによって守ってくださるのです」。この言葉を当てはめて生活するなら,「何事も思い煩ってはなりません」という助言が本当に従いやすいものであることが分かるでしょう。(フィリピ 4:6,7)顧みてくださる創造者の優しい助けを感じることができるのです。―ペテロ第一 5:7。

      珍しいことではない

      若いお母さんの中には,出産直後の数週間に説明のつかない悲しみや無気力を経験する人がいます。赤ちゃんが生まれることを喜んでいた女性でさえ,憂うつな気持ちになることがあります。そのように気分が大きく揺れるのは珍しいことではありません。これは,出産後に女性のホルモン量が大きく変化することから生じます。また,お母さんになりたての人が母親としての務めに悲鳴を上げるのもよくあることです。時間の観念を持たない赤ちゃんにお乳をあげ,おむつを取り替え,あやさなければならないからです。

      ある母親は,子どもが母親を苦しめるために泣いているように感じました。日本の子育ての専門家が,「育児ストレスは誰もが感じるもの」と述べたのも意外ではありません。この専門家によると,「母親にとって一番大事なのは,絶対に孤立しないこと」です。

      ときどき落ち込む場合でも,母親は自分の気分の揺れが子どもに影響を及ぼさないようにすることができます。タイム誌はこう伝えています。「気持ちが落ち込んでも,赤ちゃんに惜しみなく注意を払い,一緒に遊んだりして,憂うつな気持ちを何とか乗り越えた母親の場合,子どもの脳の活動はかなり快活な傾向にあった」。b

      父親にできること

      多くの場合,赤ちゃんの父親は必要な助けと支えを最もよく与えることのできる立場にいます。夜中に赤ちゃんが泣いた時は,父親が赤ちゃんの面倒を見て,母親が睡眠を取るようにできる場合も少なくありません。聖書はこう述べています。「夫たちよ,同じように,知識にしたがって妻と共に住み,弱い器である女性としてこれに誉れを配しなさい」。―ペテロ第一 3:7。

      イエス・キリストは夫が従うべき完全な手本を残されました。追随者たちのために自分の命を与えることまでされました。(エフェソス 5:28-30。ペテロ第一 2:21-24)ですから,夫が自らの安楽を犠牲にしてでも率先して子育てを行なうなら,キリストに倣っていることになります。子育ては共同事業,つまり父親と母親が力を合わせて行なう必要のある仕事です。

      力を合わせて行なう仕事

      「夫また妻として,娘をどのように育てるかを細かいところまで話し合ってきました」と,2歳の娘の父親である洋一郎さんは言います。「問題が起きるたびに,どのように事を進めるべきかをよく話し合います」。洋一郎さんは,妻に休息の必要なことを認め,小さな用事で出かけるときにはよく娘を連れて行きます。

      以前,一般に家族が大きく,結びつきも強かったころ,親は年上の子どもたちや親族に子どもの世話を手伝ってもらうことができました。ですから,川崎市にある子育て支援センターのスタッフが,「たいていのことは,他人に話すと気が楽になる。ほんの少しお手伝いするだけで立ち直るお母さんは多いですよ」と述べているのも意外ではありません。

      ペアレンツ誌も述べていますが,親には「不安な気持ちを打ち明けられる人たちのネットワークが必要」です。そうしたネットワークはどこに見いだせるでしょうか。お母さんやお父さんになりたての人にとって,すなおな気持ちで双方の親たちの話を聞くことはたいへんためになります。もちろん,最終的な判断は若い夫婦にあることを祖父母は認めるべきです。c

      ほかにも,若い親たちがしばしば頼ることのできる人々としては,信仰を共にする人たちがいます。エホバの証人の地元の会衆には,子育てに長年の経験を持っている人やあなたの問題に喜んで耳を傾けてくれる人がいるでしょう。それらの人からも役立つヒントを得られます。普通は,聖書で言う「年取った婦人」,つまりクリスチャンとして多くの経験を持つ女性たちの助けを求めるとよいでしょう。―テトス 2:3-5。

      もちろん親は,他の人の意見を聞くときには慎重であるべきです。「周囲の人たちは突如として幼児教育の専門家になりました」と洋一郎さんは言い,妻の孝子さんもこう言います。「最初は人から何か提案されると,いい気持ちがしませんでした。親として経験不足だと批判されているような気がしたからです」。それでも,他の人から学ぶことによって,多くの夫婦は子どもが必要としているものを与える点で平衡の取れた見方をするよう助けられてきました。

      利用できる最高の助け

      助けてくれる人がだれもいないように思える場合でも,頼りになる力の源があります。それはエホバ神,わたしたちを創造した方であり,その目は地上に生まれる人を「胎児のとき」にさえご覧になることができます。(詩編 139:16)エホバがかつて古代のご自分の民に言われた事柄が,み言葉 聖書にこう記録されています。「妻が自分の乳飲み子を忘れて,自分の腹の子を哀れまないことがあろうか。こうした女たちでさえ,忘れることもあり得る。しかし,わたしがあなたを忘れることはない」。―イザヤ 49:15。詩編 27:10。

      そうです,エホバは親である人たちのことも忘れません。聖書の中で,子育てに関する優れた指針を与えておられます。例えば,約3,500年前に,神の預言者モーセはこう書きました。「あなたは,心をつくし,魂をつくし,活力をつくしてあなたの神エホバを愛さねばならない」。そして,こう述べています。「わたしが今日命じているこれらの言葉[エホバを愛し,エホバに仕えるようにとの勧めも含む]をあなたの心に置かねばならない。あなたはそれを自分の子に教え込み,家で座るときも,道を歩くときも,寝るときも,起きるときもそれについて話さねばならない」。―申命記 6:5-7。

      神の言葉にあるこの指示は何を言おうとしていると思われますか。子どもを教えることは毎日の定期的で継続的な仕事であるということではないでしょうか。実際,子どものためにいわゆるクオリティー・タイムを時たま計画するだけでは不十分です。コミュニケーションを図るのによいタイミングは多くの場合,予定せずに生じるものですから,日ごろからいつでも子どもの話を聞ける態勢にしておく必要があります。そうすれば,聖書の次の命令を果たすことができるでしょう。「少年をその行くべき道にしたがって育て上げよ。彼は年老いても,それから離れないであろう」。―箴言 22:6。

      子どもに適切な訓練を施すことには,本を読んで聞かせることも含まれます。聖書によると,1世紀の弟子テモテは「幼い時から聖なる書物に親しんで」いました。ですから,母親のユニケと祖母のロイスはテモテがまだ赤ちゃんだった時に本を読み聞かせていたようです。(テモテ第二 1:5; 3:14,15)子どもに話しかけるようになったらすぐにそれを始めるのはよいことです。しかし,何を読むとよいでしょうか。またどうすれば幼子をさえ上手に教えることができるでしょうか。

      お子さんに聖書を読み聞かせてください。テモテが読んでもらったのも聖書だったと思われます。子どもが聖書に親しめるよう,カラフルな挿絵を使っている本もあります。それらは聖書の教えている事柄を子どもが実際に思い浮かべるのに役立ちます。例えば,「わたしの聖書物語の本」や「これまでに生存した最も偉大な人」などがあります。こうした本によって,聖書の教えを思いと心に刻みつけてきた子どもたちは数知れません。

      聖書が述べているように,「子らはエホバからの相続物であり,腹の実は報い」です。(詩編 127:3)あなたの創造者は,あなたに「相続物」,すなわち愛らしい赤ちゃんを託されました。赤ちゃんは誇りと喜びの源となります。子育て,とりわけ子どもが創造者を賛美する人となるよう育てることは,確かに報いの多い仕事です。

      [脚注]

      a ストレスホルモンだけでなく,ニコチン,アルコール,その他の薬物も胎児に有害な影響を及ぼす可能性があります。妊婦が危険な物質を使わないようにするのは賢明なことです。薬を使用する場合には,それが胎児に及ぼす影響について医師に尋ねるのは重要です。

      b 深い悲しみや絶望,また赤ちゃんや世の中への無関心を感じる母親は,産後うつ病にかかっている可能性があります。その場合は,産婦人科医に診てもらう必要があります。「目ざめよ!」誌,2002年7月22日号,19-23ページおよび2003年6月8日号,21-23ページをご覧ください。

      c 「目ざめよ!」誌,1999年3月22日号,「祖父母 ― その喜びと課題」という記事をご覧ください。

      [8ページの図版]

      母親がおなかの赤ちゃんをどう思っているかはとても重要

      [9ページの図版]

      初めて母親になった人は出産後に気分の揺れを経験することがあるが,赤ちゃんが愛情を感じ安心感を得るようにするために,できることはたくさんある

      [10ページの図版]

      父親も子育てに協力すべき

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする