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畏敬の念を起こさせる秘義が解かれる啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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34章
畏敬の念を起こさせる秘義が解かれる
1 (イ)大娼婦と彼女が獣に乗っている恐るべき様子を見ると,ヨハネはどのように反応しますか。それはなぜですか。(ロ)預言的な幻を成就する種々の出来事が現われるにつれて,ヨハネ級の人たちは今日,どのように反応しますか。
大娼婦と彼女が獣に乗っている恐るべき様子を見たヨハネは,どんな反応を示しますか。ヨハネ自身こう答えています。「さて,彼女を目にした時,わたしは非常に不思議に思った」。(啓示 17:6[後半])単なる人間の想像力だけでは,このような光景はとても思い浮かぶものではありません。ところが,それが見えるのです。しかも,遠い荒野の中で,身を持ちくずした娼婦が身の毛のよだつような緋色の野獣の上に乗っかっています!(啓示 17:3)預言的な幻を成就する種々の出来事が現われるにつれて,ヨハネ級の人たちも今日,非常に不思議に思っています。もしも,世の人々がそれを見ることができたなら,“信じられないことだ!”と叫ぶでしょうし,世の支配者たちなら同様に,“考えられないことだ!”と言うでしょう。しかし,その幻は現代の驚くべき事実となっているのです。神の民はその幻の成就にすでに著しい仕方であずかってきました。これは,預言がまさしくその驚嘆すべき最高潮に向かって進んで行くことを神の民に保証しています。
2 (イ)驚嘆するヨハネにこたえ応じて,み使いは彼に何を告げますか。(ロ)ヨハネ級の人たちはその級に対して何を明らかにしてきましたか。このことはどのように行なわれてきましたか。
2 み使いはヨハネが驚嘆していることに気づきます。それで,ヨハネはさらにこう続けます。「すると,み使いがわたしに言った,『なぜ不思議に思ったのか。わたしは,女と,その女を運んでいる,七つの頭と十本の角を持つ野獣の秘義をあなたに告げよう』」。(啓示 17:7)ああ,み使いは今や,その秘義を解明します! み使いは,目を大きく見開いたヨハネに,その幻の様々な面と今や起ころうとしている劇的な出来事を説明します。同様に,注意深いヨハネ級の人たちは今日,み使いの指導のもとに奉仕して,その級に対して預言に関する理解を明らかにしてきました。「解き明かしは神によるのではありませんか」。忠実なヨセフ同様,わたしたちも,その通りだと思います。(創世記 40:8。ダニエル 2:29,30と比較してください。)エホバが幻の意味とその幻が神の民の生活に及ぼす影響について彼らに解き明かしてくださる時,神の民はあたかも舞台の中央に置かれているかのようになります。(詩編 25:14)神はまさしく時をたがえず,女と野獣に関する秘義を解いて,ご自分の民に理解させてくださいました。―詩編 32:8。
3,4 (イ)1942年にN・H・ノアはどんな公開講演を行ないましたか。その講演の中で,緋色の野獣の実体はどのように明らかにされましたか。(ロ)N・H・ノアは,み使いがヨハネに語ったどんな言葉について論じましたか。
3 第二次世界大戦がたけなわだった,1942年9月18日から20日まで,米国のエホバの証人は「新しい世神権大会」を開きました。主要な大会開催都市となったオハイオ州クリーブランド市は,50余りの他の都市と電話回線で結ばれ,出席者最高数は12万9,699人に達しました。世界の各地で戦時下でも事情の許すところでは,同じプログラムの大会が行なわれました。当時,エホバの民の多くは,その戦争が神のハルマゲドンの戦争に発展するものと考えていました。ですから,「平和 ― それは永続するか」と題する公開講演は,かなりの好奇心を呼び起こしました。平和とは正反対の情勢が諸国民を待ち受けているように思えた当時,ものみの塔協会のN・H・ノア新会長は,どうして平和について大胆に語ることができたのでしょうか。a それは,ヨハネ級の人たちが神の預言的なみ言葉に「普通以上の注意」を払っていたからです。―ヘブライ 2:1。ペテロ第二 1:19。
4 「平和 ― それは永続するか」と題する講演により,預言にどんな光が当てられましたか。N・H・ノアは啓示 17章3節の緋色の野獣の実体が国際連盟であることをはっきりと述べてから,ヨハネに対するみ使いの次のような言葉に基づいて,連盟の波乱に富んだ経過についてさらに論じました。こう記されています。「あなたの見た野獣はかつていたが,今はいない。しかし底知れぬ深みからまさに上ろうとしており,そして去って滅びに至ることになっている」― 啓示 17:8(前半)。
5 (イ)「野獣はかつていた」のに,どうして「今はいない」と言えましたか。(ロ)N・H・ノアは,「連盟はその坑の中にとどまるでしょうか」という問いに,どう答えましたか。
5 「野獣はかつていた」。そうです,それは国際連盟として1920年1月10日以降存在し,63か国がそれぞれの時期に連盟に加わっていました。しかし,日本,ドイツ,およびイタリアが順に脱退し,旧ソ連は連盟から除名されました。1939年9月にはドイツのナチ独裁者が第二次世界大戦を引き起こしました。b 国際連盟は世界の平和を保つことに失敗したため,事実上,無活動の底知れぬ深みに陥り,1942年には過去のものとなっていました。この年以前でも,それ以後のある年でもなく ― まさしく危機的なその時期に ― エホバは確かにご自分の民に幻の深い意味を十分解き明かされました! その「新しい世神権大会」で,N・H・ノアは預言と調和して,「野獣は……今はいない」と言明することができました。次いで,「連盟はその坑の中にとどまるでしょうか」と問い,啓示 17章8節を引用して,「世の諸国家のその共同体は再び起き上がります」と答えました。確かにその通りになり,エホバの預言的なみ言葉の正しさは立証されました!
底知れぬ深みから上る
6 (イ)緋色の野獣はいつ底知れぬ深みからはい上がって来ましたか。どんな名称が付けられていますか。(ロ)国際連合は実際,生き返った緋色の野獣と言えますが,それはどうしてですか。
6 緋色の野獣は確かに底知れぬ深みからはい上がって来ました。1945年6月26日,米国のサンフランシスコ市で騒々しいファンファーレの響く中,50か国が国際連合機構の憲章を受け入れる賛成投票を行ないました。この機構は「国際の平和及び安全を維持する」はずでした。連盟と国連との間には多くの類似点がありました。ワールドブック百科事典(英文)はこう述べています。「国連は幾つかの点で,第一次世界大戦後に組織された国際連盟と類似している。……国連の設立に加わった国々の多くは,やはり連盟の設立にも加わっていた。連盟と同様,国連は諸国家間の平和維持を助けるために樹立された。国連の主要機関は連盟のそれと大体同様である」。ですから,国連は実際,生き返った緋色の野獣にほかなりません。190か国ほどで成る国連の加盟国数は,63か国を有した連盟のそれをはるかにしのいでいます。国連はまた,その前身よりも一層広範な分野で責任を担ってきました。
7 (イ)地に住む人々は,生き返った緋色の野獣を見て,どのように驚いて感心しましたか。(ロ)国連はどんな目標を達成しかねていますか。国連の事務総長はこのことについて何と言いましたか。
7 当初,国連に対して大きな希望が表明されました。それはみ使いの次のような言葉を成就するものでした。「こうして,その野獣がかつてはいたが,今はおらず,後に現われるようになるのを見る時,地に住む者たちは驚いて感心するであろう。しかし彼らの名は世の基が置かれて以来命の巻き物に書かれていない」。(啓示 17:8[後半])地に住む人々は,ニューヨーク市のイースト川の河畔にある堂々たる本部により運営される,この新しい巨像に感心しました。しかし,国連は真の平和と安全をもたらしかねています。20世紀のかなりの期間,世界の平和は,“MAD<マッド>”と略して書かれる“相互確実破壊”(英語,“mutual assured destruction”)の脅威によって維持されたにすぎず,軍備競争は激化の一途をたどり,その支出は天文学的な数字に達しています。ほとんど40年間にわたって国際連合による努力が払われた後,当時のペレス・デクエヤル国連事務総長は1985年に,「我々は別の狂信的な時代に生活しているのに,この時代に関して何をすべきかが分からない」と言って嘆きました。
8,9 (イ)国連はどうして世界の諸問題に対する打開策を持っていませんか。神の布告によれば,国連は間もなくどうなりますか。(ロ)国連の設立者たちや国連に感心する者たちの名は,どうして神の「命の巻き物」に記されませんか。(ハ)エホバの王国は何を首尾よく成し遂げますか。
8 国連もその答えを持っていません。それはなぜでしょうか。なぜなら,全人類の命の授与者は,国連に命を与えた者ではないからです。国連は短命です。というのは,神の布告によれば,国連は「去って滅びに至ることになっている」からです。国連の設立者たちや国連に感心する者たちの名は,神の命の巻き物に記されることはありません。エホバ神が,人間の方法ではなく,ご自分のキリストの王国を通して間もなく成し遂げようとしていると言明された事柄を,一体どうして罪深い死すべき人間がやり遂げられるでしょうか。しかも,そのような人間の多くは神のみ名を侮っているのです。―ダニエル 7:27。啓示 11:15。
9 国連は実際,神の平和の君であるイエス・キリストによるメシアの王国の不敬な偽物です。このキリストの君としての支配こそ,終わりのないものなのです。(イザヤ 9:6,7)たとえ国連がある程度の一時的な平和を間に合わせに作ろうとも,やがて再び戦争が勃発するでしょう。それは罪深い人間の性質上避けられません。「彼らの名は世の基が置かれて以来命の巻き物に書かれて(いません)」。キリストによるエホバの王国は,地上にとこしえの平和を確立するだけでなく,イエスの贖いの犠牲に基づいて,死者を,つまり神の記憶にとどめられている義者と不義者をよみがえらせます。(ヨハネ 5:28,29。使徒 24:15)その中には,サタンとその胤からの攻撃にもかかわらず,確固とした立場を保った人々すべてと,これから従順であることを示すべき他の人たちが含まれます。だれであれ,大いなるバビロンの頑固な信奉者や,野獣を崇拝しつづけている者の名は明らかに,神の命の巻き物には決して記されません。―出エジプト記 32:33。詩編 86:8-10。ヨハネ 17:3。啓示 16:2; 17:5。
平和と安全 ― むなしい希望
10,11 (イ)1986年に国連は何を宣言しましたか。どんな反応がありましたか。(ロ)平和を祈り求めるため,幾つの“宗教上の家族”がイタリアのアッシジに集まりましたか。神はそのような祈りにお答えになりますか。説明してください。
10 国際連合は人類の希望を強化する努力の一環として,「平和と人類の将来を守る」という主題のもとに1986年を「国際平和年」と宣言し,交戦中の国々に少なくとも1年間武器を捨てるよう要請しました。それらの国々はどのようにこたえ応じましたか。国際平和研究協会の一報告によれば,1986年だけで何と500万人もの人々が戦争で殺されました。同年中,特別の硬貨や記念切手が発行されたものの,大抵の国は平和の理想を追求する点でほとんど何もしませんでした。それにしても,国連と親密な関係を持つことにいつも腐心している世界の諸宗教は,その年について様々な方法で宣伝することに取りかかりました。1986年1月1日,法王ヨハネ・パウロ2世は国連の働きをたたえ,元日を平和のためにささげました。そして,10月27日,同法王は平和を求める祈りをささげるため,世界の多くの宗教の指導者たちをイタリアのアッシジに召集しました。
11 神は平和を求めるそのような祈りにお答えになりますか。では,それら宗教指導者たちはどの神に祈ったのでしょうか。もし彼らに尋ねるとしたら,それぞれのグループが違った答えを述べたことでしょう。多くの異なった仕方で行なわれる請願を聞いて,答えられる何百万もの神々のいる万神殿でもあるのでしょうか。参加者の多くはキリスト教世界の三位一体の神を崇拝しました。c 仏教徒,ヒンズー教徒,その他の人々は無数の神々に向かって祈りを唱えました。英国国教会のカンタベリー大主教,仏教のダライラマ,ロシア正教会の府主教,東京の神道神社協会の会長,アフリカの精霊崇拝者たち,および羽毛を付けた頭飾りで着飾った二人のアメリカ・インディアンなどの著名人で代表される,全部で12の“宗教上の家族”が集まりました。それは,少なくとも,見事なテレビ報道をするのには多彩なグループでした。あるグループは一度に12時間も休まずに祈り続けました。(ルカ 20:45-47と比較してください。)しかし,そのような祈りのどれかが,その集まりの場所の上空にかかった雨雲のさらに上方に達したでしょうか。いいえ,達しませんでした。その理由は次の通りです。
12 神はどんな理由で,世界の宗教指導者たちの,平和を求める祈りにお答えになりませんでしたか。
12 「エホバの名によって歩む」人たちとは対照的に,それらの宗教家はだれ一人,生ける神エホバに祈っていませんでした。この方のみ名は聖書の元の本文に7,000回ほど出ています。(ミカ 4:5。イザヤ 42:8,12)d 彼らは集団としてはイエスの名によって神に近づきませんでしたし,その大多数はイエス・キリストをさえ信じていませんでした。(ヨハネ 14:13; 15:16)彼らはだれ一人として現代に対する神のご意志を行なっていません。そのご意志とは,国連ではなく,来たるべき神の王国を人類のための真の希望として全世界でふれ告げることです。(マタイ 7:21-23; 24:14。マルコ 13:10)彼らの宗教組織は大抵,20世紀の二度の世界大戦を含め,歴史上の数々の血生臭い戦争に関係してきました。神はそのような宗教組織に対して,こう言われます。「たとえあなた方が多くの祈りをしようとも,わたしは聴いてはいない。あなた方のその手は流血で満ちている」― イザヤ 1:15; 59:1-3。
13 (イ)世界の宗教指導者たちが国連と提携して平和を叫び求めるのは,なぜ重大な事柄ですか。(ロ)平和を求める叫びはついに,神により予告されたどんな最高潮に達しますか。
13 その上,この時期に世界の宗教指導者たちが国際連合と提携して平和を叫び求めるのは,極めて重大な事柄です。宗教指導者たちは自分たちの益のために国連に影響を及ぼしたいと考えているようですが,彼らの教区民が余りにも多く宗教を放棄している現代では特にそうです。古代イスラエルの不忠実な指導者たちと同様,彼らは「平和がないのに,『平和だ! 平和だ!』」と叫びます。(エレミヤ 6:14)平和を求める彼らの叫び声は続き,使徒パウロが次のように預言した最高潮を支えるものとして高まってゆきます。「エホバの日がまさに夜の盗人のように来ることを,あなた方自身がよく知っているからです。人々が,『平和だ,安全だ』と言っているその時,突然の滅びが,ちょうど妊娠している女に苦しみの劇痛が臨むように,彼らに突如として臨みます。彼らは決して逃れられません」― テサロニケ第一 5:2,3。
14 「平和だ,安全だ」という叫び声は,どんな形を取るかもしれませんか。どうすれば,その叫び声に惑わされずにすみますか。
14 近年,政治家たちは人間の様々な企てを描写するのに,『平和と安全』という表現を用いています。世界の指導者たちによるそうした努力が,テサロニケ第一 5章3節の成就の始まりとなるのでしょうか。それともパウロが言及していたのは,世界の注目を集めるほど劇的な特定の出来事だけでしょうか。聖書の預言は多くの場合,成就してからか,成就の途上でなければ完全には理解できないので,わたしたちは事態の進展を見守らなければなりません。またクリスチャンは,諸国家がいかなる平和や安全を達成したように見えるとしても基本的には何も変わらない,ということを知っています。利己心,憎しみ,犯罪,家族の崩壊,不道徳,病気,悲しみ,および死は依然として存続します。ですからあなたは,世界の出来事の意味に目覚め,神のみ言葉の預言的な警告に留意しているなら,「平和だ,安全だ」というどんな叫びにも惑わされることはないでしょう。―マルコ 13:32-37。ルカ 21:34-36。
[脚注]
a J・F・ラザフォードは1942年1月8日に亡くなり,N・H・ノアがその跡を継いでものみの塔協会の会長になりました。
b 1940年11月20日,ドイツ,イタリア,日本,およびハンガリーは“新国際連盟”設立のための文書に署名し,その4日後,バチカン当局はミサを行ない,そのミサと,宗教的な平和と物事の新しい秩序を求める祈りとを放送しました。その“新連盟”はついに実現しませんでした。
c 三位一体の概念は,太陽神シャマシュ,月の神シン,星の神イシュタルが三つ組の神として崇拝されていた古代バビロンに源を発しています。エジプトも同じ型に倣い,オシリス,イシス,およびホルスを崇拝しました。アッシリアの主神アッシュールは三つの頭のある神として描かれています。同じ型に従うものとして,カトリック教会には神を三つの頭のある者として表わした像があります。
d 1993年版,ウェブスター新国際辞典第三版は,エホバ神のことを「エホバの証人により認められ,崇拝されている唯一最高の神」と定義しています。
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大いなるバビロンを処刑する啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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35章
大いなるバビロンを処刑する
1 み使いは緋色の野獣をどのように描写しますか。啓示の書の象徴的な言葉を理解するには,どんな知恵が必要ですか。
み使いは啓示 17章3節の緋色の野獣についてさらに描写し,ヨハネにこう告げます。「ここが知恵の伴うそう明さの関係してくるところである。七つの頭は七つの山を表わしており,その上にこの女が座っている。そして七人の王がいる。五人はすでに倒れ,一人は今おり,他の一人はまだ到来していない。しかし到来したなら,少しの間とどまらなければならない」。(啓示 17:9,10)み使いはここで上からの知恵,つまり啓示の書の象徴的な言葉に関する理解を与え得る唯一の知恵を伝えます。(ヤコブ 3:17)その知恵が,わたしたちの生きているこの時代の重大さについてヨハネ級の人たちとその仲間を啓発します。それは,今やまさに執行されようとしているエホバの裁きに対する認識を専心の念の厚い心の内に築き,エホバに対する健全な恐れを教え込みます。箴言 9章10節が,「エホバへの恐れは知恵の始めであり,最も聖なる方についての知識が理解なのである」と述べている通りです。神からの知恵は野獣に関するどんなことをわたしたちに明らかにしますか。
2 緋色の野獣の七つの頭は何を意味していますか。どうして,「五人はすでに倒れ,一人は今おり」と言えますか。
2 あのどう猛な獣の七つの頭は七つの「山」,つまり七人の「王」を表わしています。聖書では,これらの言葉はいずれも政治権力を指して使われています。(エレミヤ 51:24,25。ダニエル 2:34,35,44,45)聖書は神の民の事柄に影響を及ぼす次のような六つの世界強国に言及しています。それはエジプト,アッシリア,バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャ,およびローマです。そのうち,ヨハネが啓示の書の内容を与えられた時までに,五つはすでに来て,去って行きましたが,ローマがなお世界強国として栄えていました。この状況は,「五人はすでに倒れ,一人は今おり」という言葉とよく合致します。しかし,到来することになっている「他の一人」についてはどうですか。
3 (イ)ローマ帝国はどのように分裂しましたか。(ロ)西ローマ帝国ではどんな出来事が起きましたか。(ハ)神聖ローマ帝国はどのようにみなされるべきですか。
3 ローマ帝国はヨハネの時代以後,何百年間も持ちこたえ,拡張さえしました。西暦330年,コンスタンティヌス皇帝は首都をローマからビザンティウムに移し,その名称をコンスタンティノープルと改めました。西暦395年,ローマ帝国は東ローマ帝国と西ローマ帝国に分裂しました。西暦410年,ローマそれ自体は西ゴート族(アリウス派の“キリスト教”に改宗していたゲルマンの一族)の王アラリックの手に落ちました。(これまた“クリスチャン”であった)ゲルマン民族は,スペインや北アフリカのローマ領の大半を征服しました。ヨーロッパでは何世紀にもわたって動乱や不穏な状態や再調整が続きました。西ローマ帝国では,9世紀に教皇レオ3世と同盟を結んだシャルルマーニュや13世紀に君臨したフリードリヒ2世などの著名な皇帝が現われました。しかし,彼らの領土は神聖ローマ帝国と呼ばれたものの,以前の最盛期当時のローマ帝国の領土よりもずっと小さなものでした。それは新しい帝国というよりも,その昔の強国を復興した,もしくは存続させたものでした。
4 東ローマ帝国はどんな成功を収めましたか。しかし,北アフリカ,スペイン,およびシリアにあった古代ローマの以前の領土の大半はどうなりましたか。
4 コンスタンティノープルを中心にした東ローマ帝国は,西ローマ帝国と多少不穏な関係にありましたが,持ちこたえました。6世紀には,東の皇帝ユスティニアヌス1世が再び北アフリカの大半を征服することができ,またスペインやイタリアにも干渉しました。7世紀には,ユスティニアヌス2世が,スラブ民族によって征服されていたマケドニア地方を東ローマ帝国のために取り戻しました。しかし,8世紀までには,北アフリカ,スペイン,およびシリアにあった古代ローマの以前の領土の大半は,新しいイスラム教帝国の勢力下に入り,コンスタンティノープルとローマの両方の支配下から離れました。
5 ローマの都は西暦410年に陥落しましたが,世界の舞台から政治上のローマ帝国のこん跡がすべて過ぎ去るまでには,どうしてさらに何世紀もかかりましたか。
5 コンスタンティノープルの都そのものは幾らか長く持ちこたえ,ペルシャ人,アラブ人,ブルガリア人,およびロシア人からしばしば攻撃されたにもかかわらず生き残りましたが,ついに1203年にイスラム教徒ではなく,西方からの十字軍の手に落ちました。しかし1453年には,イスラム教徒オスマントルコ族の支配者メフメト2世の支配下に入り,間もなくオスマン,もしくはトルコ帝国の首都となりました。こうして,ローマの都は西暦410年に陥落しましたが,世界の舞台から政治上のローマ帝国のこん跡がすべて過ぎ去るまでには,さらに何世紀もかかりました。しかも,そうなってからでさえ,同帝国の影響は,ローマの教皇制度や東方正教会に基づく宗教帝国の中になおも認められました。
6 どんな真新しい帝国が現われましたか。最大の成功を収めたのはどの帝国でしたか。
6 しかし15世紀までには,幾つかの国々が真新しい帝国を築いていました。それら新たな帝国の幾つかはローマのかつての植民地の領土にありましたが,それらの帝国は単にローマ帝国を存続させたものではありませんでした。ポルトガル,スペイン,フランス,およびオランダなどは皆,広範囲にわたる領土の中心地になりました。しかし,最大の成功を収めた英国は,“太陽の没することのない”巨大な帝国を支配するようになりました。この帝国は様々な時期に,南太平洋の広大な地域はもとより,北アメリカ,アフリカ,インド,および東南アジアの大半に勢力を広げました。
7 どのようにして一種の二重世界強国が存在するようになりましたか。ヨハネは,第七の「頭」,つまり第七世界強国がどれほどの期間存続すると言いましたか。
7 19世紀までには,北アメリカの幾つかの植民地がすでに英国から分離して,独立したアメリカ合衆国が創設されました。政治的には,この新しい国とかつての母国との間に多少の不和が生じました。とはいえ,第一次世界大戦が始まると,両国は共通の権益を認めざるを得なくなり,特別の関係で固く結ばれるようになりました。こうして,今や世界で最も裕福な国家であるアメリカ合衆国と世界最大の帝国の中心地である英国とで成る,一種の二重世界強国が存在するようになりました。ですから,第七の「頭」,つまり第七世界強国が現に存在しています。この世界強国は終わりの時に入ってなお存続しており,現代のエホバの証人はこの世界強国の中で最初に地歩を固めました。第六の頭の長い統治期間に比べれば,第七の頭は,神の王国が実在する国家すべてを滅ぼす時まで,ほんの「少しの間」とどまるにすぎません。
八人目の王と呼ばれたのはなぜか
8,9 み使いは象徴的な緋色の野獣のことを何と呼んでいますか。それはどのようにして,その七つから出ますか。
8 み使いはヨハネにさらにこう説明します。「そして,かつていたが今はいない野獣,それ自身は八人目の王でもあるが,その七つから出,去って滅びに至る」。(啓示 17:11)象徴的な緋色の野獣は七つの頭「から出」ます。すなわち,最初の『海から上った野獣』のそれらの頭から生まれます。もしくは,その助けで存在するようになります。緋色の野獣はその『海から上った野獣』の像なのです。では,どのようにして生まれますか。1919年当時,英米世界強国が優勢な頭でした。以前の六つの頭はすでに倒れており,最も有力な世界強国の地位はこの二重の頭に移り,今やその頭が中心的な世界強国の地位を占めました。一連の世界強国の現在の代表であるこの第七の頭は,国際連盟を樹立する際の主動勢力でしたし,今なお国際連合の主要な推進者ならびに財政上の支持者です。ですから,象徴的に言って,その緋色の野獣 ― 八人目の王 ― は最初の七つの頭「から出」ます。このように考えると,それがその七つから出たという表現は,子羊のような二本の角のある野獣(あの最初の野獣の第七の頭である英米世界強国)が像を作るように勧め,それに命を与えたことを述べる,以前に啓示された事柄とよく調和しています。―啓示 13:1,11,14,15。
9 その上,国際連盟の最初の加盟国には,英国と共に,以前の幾つかの頭,すなわちギリシャ,イラン(ペルシャ),イタリア(ローマ)が存在していた場所で支配した諸政府が含まれていました。以前の六つの世界強国が支配した領土で統治する諸政府は,やがて野獣の像を支持する加盟国となりました。このような意味でも,この緋色の野獣はやはり七つの世界強国から出たと言うことができました。
10 (イ)その緋色の野獣はどうして,「それ自身は八人目の王でもある」と言えますか。(ロ)旧ソ連の一指導者は国連を支持する態度をどのように表明しましたか。
10 緋色の野獣が「それ自身は八人目の王でもある」と言われていることに注目してください。したがって,今日,国際連合は一つの世界政府として目に映るようにもくろまれています。また,朝鮮半島,シナイ半島,アフリカの幾つかの国,およびレバノンの場合のように,国際紛争を解決するため,時々軍隊を戦場に派遣して,一つの世界政府のように行動することさえしてきました。しかし,それは一人の王の単なる像にすぎません。それを存在させた者たちや,それを崇拝する者たちにより付与されているものを別にすれば,それは宗教的な像のように,現実の影響力あるいは力を何も持っていません。この象徴的な野獣は時々弱そうに見えますが,国際連盟をよろめかせて底知れぬ深みに陥れた,独裁者を重視する加盟国により一斉に見捨てられるような経験はまだ一度もしていません。(啓示 17:8)他の分野では根本的に違った意見を持っている,旧ソ連の著名な一指導者は,1987年に国連を支持する態度を表明して,ローマの法王たちと行動を共にしました。また,国連を土台にした「国際的な安全のための総合的な制度」が必要であるとさえ唱えました。ヨハネが間もなく理解するように,国連が相当の権威を持って行動するようになる時が来ます。それから,今度は,国連が『去って滅んで』しまいます。
一時のあいだ支配する十人の王
11 エホバのみ使いは象徴的な緋色の野獣の十本の角についてどんなことを告げますか。
11 啓示の書の以前の章では,第六と第七のみ使いがそれぞれ神の怒りの鉢の中身を注ぎ出しました。こうして,地の王たちがハルマゲドンでの神の戦いに集められ,『大いなるバビロンが神のみ前で思い出されようとしている』ことをわたしたちは知らされました。(啓示 16:1,14,19)今度は,それらの者たちに対する神の裁きがどのように執行されるかを大変詳しく学べます。ヨハネに次のように語るエホバのみ使いの言葉をお聴きください。「また,あなたが見た十本の角は十人の王を表わしている。彼らはまだ王国を受けていないが,一時のあいだ野獣と共に王としての権威を受けるのである。これらの者は一つの考えを抱き,それゆえに自分たちの力と権威を野獣に与える。これらの者は子羊と戦うであろう。しかし子羊は,主の主,王の王であるので,彼らを征服する。また,召され,選ばれた忠実な者たちも彼と共に征服する」― 啓示 17:12-14。
12 (イ)十本の角は何を表わしていますか。(ロ)象徴的な十本の角は,どうして『まだ王国を受けていませんでした』か。(ハ)象徴的な十本の角は,どうして今,「王国」を持っていると言えますか。それはどれほどの期間ですか。
12 十本の角は,現在,世界の舞台で力を握り,野獣の像を支持している政治強国すべてを表わしています。現存する国々で,ヨハネの時代に知られていた国はごく少数でした。また,エジプトやペルシャ(イラン)などの名称で知られていた国々は,今日,全く異なった政治機構を持っています。したがって,1世紀当時,『十本の角はまだ王国を受けていませんでした』。しかし,主の日の今,「王国」,つまり政治上の権威を持っています。大植民地帝国が崩壊すると共に,とりわけ第二次世界大戦以後,多くの新しい国家が誕生しました。長年にわたって確立された強国はもとより,それらの新しい国々は,野獣と共に短期間,つまりエホバがハルマゲドンでこの世の政治権威すべてを終わらせる前のほんの「一時」のあいだ支配しなければなりません。
13 十本の角はどのような仕方で「一つの考え」を抱いていますか。そのために,子羊に対して確かにどんな態度を取るようになりますか。
13 今日,これらの十本の角を動かしている最も強い力の一つは国家主義です。彼らは神の王国を受け入れるどころか,自分たちの国家主権を保持したいと願う点で「一つの考え」を抱いています。これこそ彼らが国際連盟や国際連合機構に賛同する第一の目的です。つまり,世界平和を維持し,自分自身を保護して存続させることです。それらの角はこのような態度を取っていますから,「主の主,王の王」なる子羊に確かに反対するようになります。なぜなら,エホバはイエス・キリストの治める王国が間もなくそれらすべての王国に取って代わることを意図しておられるからです。―ダニエル 7:13,14。マタイ 24:30; 25:31-33,46。
14 世の支配者たちはどうして子羊と戦うことができるのでしょうか。その結果,どうなりますか。
14 もちろん,この世の支配者たちがイエスご自身に対して行なえるようなことは何もありません。イエスは彼らの手の全然届かない天におられます。しかし,女の胤の残っている者たちである,イエスの兄弟たちはなお地上におり,攻撃を受けやすいように見えます。(啓示 12:17)それらの角の多くはすでに彼らに対して激しい敵意を表わしており,こうして子羊と戦ってきました。(マタイ 25:40,45)しかし,間もなく,神の王国が『これらのすべての王国を打ち砕いて終わらせる』時が来ます。(ダニエル 2:44)わたしたちは間もなく見るのですが,その時,地の王たちは子羊と最後まで戦うことになります。(啓示 19:11-21)しかし,わたしたちはここで,諸国家が成功を収めるのではないことを十分理解するように学べます。それら諸国家や国連の緋色の野獣は「一つの考え」を抱きますが,彼らは偉大な「主の主,王の王」なる方を打ち負かすことはできませんし,なお地上にいる,キリストの油そそがれた追随者たちを含め,『彼と共にいる,召され,選ばれた忠実な者たち』を打ち負かすこともできません。それら忠実な人たちもまた,サタンの卑劣な告発にこたえて忠誠を保つことにより征服してゆきます。―ローマ 8:37-39。啓示 12:10,11。
娼婦を荒れ廃れさせる
15 み使いは娼婦について,また十本の角と野獣が彼女に対して取る態度や行動について何と述べますか。
15 神の民だけが十本の角の敵意の対象となるのではありません。み使いは今や,ヨハネの注意を再び娼婦に向けさせます。「また彼はわたしに言う,『あなたの見た水,娼婦が座っているところは,もろもろの民と群衆と国民と国語を表わしている。そして,あなたの見た十本の角,また野獣,これらは娼婦を憎み,荒れ廃れさせて裸にし,その肉を食いつくし,彼女を火で焼き尽くすであろう』」― 啓示 17:15,16。
16 政治上の諸政府が大いなるバビロンを激しく攻撃する時,彼女は保護と支えを与えるその水に,どうして頼ることができなくなりますか。
16 古代バビロンが水を利用した防御手段に頼ったのと同様,大いなるバビロンは今日,「もろもろの民と群衆と国民と国語」で成る,膨大な人数の会員に頼っています。み使いは,この地の政治上の諸政府が大いなるバビロンを激しく攻撃する衝撃的な出来事について告げる前に,適切にもそれらの人々にわたしたちの注意を引いています。それらの「もろもろの民と群衆と国民と国語」すべてはその時,何をするのでしょうか。神の民はすでに,ユーフラテス川の水がかれることを大いなるバビロンに警告しています。(啓示 16:12)その水はついには完全に引いてしまいます。それは,最悪の危急の時に,嫌悪すべき年取った娼婦に何ら有効な支えを与えることができないでしょう。―イザヤ 44:27。エレミヤ 50:38; 51:36,37。
17 (イ)大いなるバビロンの富はどうして彼女を救うものとはなりませんか。(ロ)大いなるバビロンの終わりはどうして品位のあるものとはとても言えませんか。(ハ)十本の角,つまり個々の国家のほかに,何がこの凶暴な行為に加わりますか。
17 大いなるバビロンの物質上の膨大な富も確かに彼女を救うものとはなりません。それは彼女の滅びを早めさえするでしょう。というのは,幻は,野獣と十本の角が彼女に憎しみをぶちまける時,その王衣や宝石類をすべて奪い取ることを示しているからです。彼女の富を略奪するのです。彼らは彼女を「裸にし」,恥ずべきことに,その実際の性格を暴露します。何という荒廃でしょう。彼女の終わりもまた,品位のあるものとはとても言えません。彼らは彼女を滅ぼし,「その肉を食いつくし」,命のない骸骨にして,最後に『彼女を火で焼き尽くし』ます。彼女は疫病の保菌者のように,まともに埋葬されることもなく焼き尽くされます! この大娼婦を滅ぼすのは,十本の角で表わされている諸国家だけではありません。国連そのものを意味する「野獣」もそれらの国家と共にこの凶暴な行為に加わります。国連は偽りの宗教を滅ぼすことを認めるようになります。国連内の190余りの国々の多くはすでにその投票の傾向で,宗教,特にキリスト教世界の宗教に対する敵意を表わしてきました。
18 (イ)わたしたちは諸国家がバビロン的な宗教に敵対する可能性を示すどんな事柄を見てきましたか。(ロ)大娼婦に対して全面的な攻撃が行なわれる根本的な理由は何ですか。
18 諸国家はどうしてそのようなひどい仕方でかつての情婦を扱うのでしょうか。バビロン的な宗教にそのように敵対する可能性を示す事柄を,わたしたちは近年の歴史の中で見てきました。旧ソ連や中国のような国では,政府による公の反対のために宗教の影響力は驚くほど減少しました。ヨーロッパのプロテスタントの世界では無関心や懐疑の念がはびこって,多くの教会が空っぽになったため,宗教は事実上死んでいます。広大なカトリック帝国は,指導者たちが静められない反抗や不和のために分裂しています。とはいえ,大いなるバビロンに対するこの最後の全面的な攻撃は,大娼婦に対する神の変更できない裁きの表明としてもたらされるということを見失わないようにすべきです。
神の考えを遂行する
19 (イ)西暦前607年に背教したエルサレムに執行された裁きは,エホバが大娼婦に執行される裁きをどのように例証するものとなりますか。(ロ)西暦前607年以後,エルサレムが陥った,荒廃した,人の住まない状態は,今日のどんな事柄を予示しましたか。
19 エホバはこの裁きをどのように執行されますか。エホバが昔,背教したご自分の民に対して取られた処置は,そのことを例証していると言えるでしょう。その民についてこう言われました。「エルサレムの預言者たちの中にわたしは恐るべきことを見た。姦淫をすることと偽りによって歩むこととを。彼らは悪を行なう者たちの手を強め,その者たちがそれぞれ自分の悪から引き返すことのないようにした。わたしにとって,彼らは皆ソドムのようになり,その住民はゴモラのようになった」。(エレミヤ 23:14)西暦前607年にエホバは,霊的な姦淫を犯した,その都市の『衣をはぎ取り,美しい品々を取り去り,裸にし,何も身に着けないままにさせて捨て』させるため,ネブカドネザルをお用いになりました。(エゼキエル 23:4,26,29)当時のエルサレムは今日のキリスト教世界のひな型でしたから,ヨハネが以前の幻で見た通り,エホバはキリスト教世界と他の偽りの宗教に対して同様の処罰を加えられます。西暦前607年以後,エルサレムが陥った,荒廃した,人の住まない状態は,キリスト教世界がその富を奪われ,恥ずべきことに真相が暴露された後,どのように見えるかを示しています。また,大いなるバビロンの残りの部分も同様のひどい目に遭います。
20 (イ)ヨハネは,エホバが裁きを執行する際,もう一度人間の支配者たちをお用いになることをどのように示していますか。(ロ)神の「考え」とは何ですか。(ハ)諸国家はどのように自分たちの「一つの考え」を遂行しようとしますか。しかし,実際にはだれの考えが遂行されますか。
20 エホバは裁きを執行する際,再び人間の支配者たちをお用いになります。こう記されています。「神は,ご自分の考えを遂行することを彼らの心の中に入れたからである。すなわち,彼らの王国を野獣に与えて彼らの一つの考えを遂行し,神の言葉の成し遂げられるに至ることである」。(啓示 17:17)神の「考え」とは何ですか。大いなるバビロンを完全に滅ぼすため,その刑執行者たちを団結するように取り計らうことです。もちろん,彼女を攻撃する支配者たちの動機は,自分たちの「一つの考え」を遂行することです。大娼婦に敵対することは自分たちの国家主義的な益になると思うようになるのです。そして,自分たちの境界内に引き続き存在する組織化された宗教は,自分たちの主権にとって脅威だと考えるようになるかもしれません。しかし,実際にはエホバが物事を動かしておられるので,彼らは姦淫を犯した長年の敵を一撃のもとに滅ぼすことにより,エホバの考えを遂行します!―エレミヤ 7:8-11,34と比較してください。
21 大いなるバビロンを滅ぼすのに緋色の野獣が用いられるのですから,諸国家は明らかに国際連合に関して何をするようになりますか。
21 そうです,諸国家は緋色の野獣,つまり国際連合を用いて,大いなるバビロンを滅ぼしますが,全く自発的に行動する訳ではありません。というのは,エホバが『彼らの王国を野獣に与えて彼らの一つの考えを遂行する』企てを彼らの心に入れられるからです。時が来ると,諸国家は明らかに国際連合を強化する必要を認めるようになります。いわば歯を与えて,つまり何であれ,自分たちの持っている権威や力を国連に貸して,国連が偽りの宗教に敵対して首尾よく戦えるようにし,ついに『神の言葉が成し遂げられる』ようになるのです。こうして,古来の娼婦は完全に終わりを告げます。これでいい厄介払いができます!
22 (イ)啓示 17章18節で,み使いがその証言を結んでいる仕方は何を示していますか。(ロ)エホバの証人は秘義の解明にどのようにこたえ応じますか。
22 み使いは,あたかも偽りの宗教の世界帝国に対するエホバの裁きの執行が確実であることを強調するかのように,自分の証言を次のように結んでいます。「そして,あなたの見た女は,地の王たちの上に王国を持つ大いなる都市を表わしている」。(啓示 17:18)ベルシャザルの時代のバビロンのように,大いなるバビロンは,「天びんで量られて,不足のあることが知られ」ました。(ダニエル 5:27)彼女は速やかに,また最終的に処刑されます。それで,エホバの証人は大娼婦の秘義と緋色の野獣の秘義の解明にどのようにこたえ応じますか。エホバの裁きの日をふれ告げる業で熱意を示し,誠実な真理探究者には「慈しみのある」仕方で答えることによって,こたえ応じます。(コロサイ 4:5,6。啓示 17:3,7)次の章が示すように,大娼婦が処刑される際に生き残りたいと願う人々はすべて,行動しなければ,しかも素早く行動しなければなりません!
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