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花粉 ― 厄介なもの? それともすばらしいもの?目ざめよ! 2003 | 7月22日
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ウェスタン・オーストラリア州に生育するハンマーオーキッドがそうです。ハンマーオーキッドの下側の花びらのうち一枚は,人間が見ても,羽のないふっくらとした雌のコツチバチにそっくりです。そのうえこの花は,本物の雌バチの性フェロモン(性誘引物質)に似た化学物質まで放ちます。その魅力的なおとりのすぐ上の柄の端には,花粉のいっぱい詰まった粘着性の袋が幾つもあります。
疑似フェロモンのにおいに誘われた雄のコツチバチは,偽物の“雌”を抱えて飛び去ろうとします。しかし,飛び立とうとする時,その勢いで“彼女”と一緒にひっくり返り,ねばねばした花粉の袋にぶつかります。勘違いに気づいた雄バチは,おとりの花びらを離して飛び去ります。うまいことに,その花びらはちょうつがいがついていて,元の位置に戻ります。a その後,雄バチは別のハンマーオーキッドにもだまされ,先ほどの出会いで体に付いた花粉でその花を受粉させます。
雌のコツチバチが活動していると,雄は必ず本物を選び,偽物にはひっかかりません。しかし,そこはうまくできたもので,ハンマーオーキッドの花は雌が地中のさなぎから出てくるより数週間前に咲くので,しばらくのあいだ雄を利用できます。
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花粉 ― 厄介なもの? それともすばらしいもの?目ざめよ! 2003 | 7月22日
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a この花がハンマーオーキッドと呼ばれているのは,おとり(唇弁)がちょうつがいによって上下にハンマーのような動きをするからです。
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花粉 ― 厄介なもの? それともすばらしいもの?目ざめよ! 2003 | 7月22日
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[26ページの図版]
ハンマーオーキッドの花の一部は,雌のコツチバチのよう
[クレジット]
Hammer orchid images: © BERT & BABS WELLS/OSF
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