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ベニン1997 エホバの証人の年鑑
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コトヌーで集会を開く計画が立てられました。しかし,集会を組織した兄弟たちは,この集まりの理由を前もって知らせることはしませんでした。地元の証人たちは,コトヌーの中心部にある公共の会館に集まるよう招かれたのはなぜだろうといぶかりました。そして到着してみると,エホバの証人を歓迎する大きな横断幕が見えたので,驚いてしまいました。『どうしてこのようなことができたのだろう。私たちは禁令下にあるのに』と,多くの兄弟たちは考えました。『これはわなだろうか』と考えた人もいました。
集会は午前10時に始まる予定でしたが,午前9時にはすべての座席が埋まっていました。会館の中には大きな横断幕が二つありました。一つには啓示 4章11節の,『エホバ,わたしたちの神よ,あなたは栄光と誉れを受けるにふさわしい方です』という言葉が書いてありました。もう一つには詩編 144編15節の,「エホバをその神とする民は幸いだ!」という言葉が書いてありました。
集会が始まった時,司会者は手に持っていた書類にしたがって,「政府は私たちの活動に対する禁令を解除しました!」と発表しました。ナイジェリアの支部委員で,その場にいたオリー兄弟は,こう語ります。「この発表と同時に拍手喝采がわき起こりました。割れるような大喝采はいよいよ大きくなり,もし建物がきちんと建てられていなければ,なだれのような大喝采で建物が崩れてしまうのではないかと思えるほどでした。それから,話される事柄を記憶したいと出席者が思っているかのように,拍手が一斉にやみました。そしてまた拍手が始まり,それが数分間鳴り止みませんでした。司会者は詩編 126編に言及しましたが,拍手のために読むことができませんでした。司会者をはじめ,かなりの人が目に涙を浮かべていました。まるで復活の光景を目の当たりにしているかのようで,兄弟たちは互いに顔を見合わせ,感謝とうれしさのあまり手を取り合っていました」。
続く話の中で,14年間の禁令を忍耐したことに対して兄弟たちに褒め言葉が述べられました。今や悲痛な涙を流すべき時ではなく,建てるべき時でした。状況が許すなら開拓奉仕を行なうことにより,新たに見いだした自由を賢明に用いるべき時であり,会衆内での他の奉仕の特権をとらえようと努めるべき時でした。大切なのは,ついにご自分の民に勝利をもたらしてくださったエホバに引き続き依り頼んでゆくことでした。集会は休憩もなく4時間続きましたが,出席した人たちには数分のように感じられました。
最後の話し手は,ほんの数日前までは通りで兄弟たちに会っても,互いに相手が兄弟であることが分かってしまうようなことをしないよう,注意深くなければならなかったことに触れました。しかし今回,兄弟たちは自由にあいさつすることにより,失われた時間の埋め合わせを始めることができると告げられました。結びの祈りが心からささげられてから2時間ほど後も,建物の前にはまだ証人たちが大勢残っていて,互いに抱き合ったりキスし合ったりして旧交を温めていました。信教の自由には喜ばしい雰囲気がありました。しかし,兄弟たちは今やこの自由をどのように用いるでしょうか。
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ベニン1997 エホバの証人の年鑑
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[116ページの図版]
禁令の解除が発表された集会
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