カトリック教会は，出産を妨げる目的でなされるいかなる行為も「それ自体として悪いもの」であると教えています。カトリックの教義は，夫婦の性交は常に妊娠に対して開かれていなければならない，という考えを提唱しています。カトリック教会の観点からすると，避妊は「倫理的に容認できない」ものなのです。

では，どうしてカトリック教会は避妊を非としているのでしょうか。

人間の知恵 対 神の知恵

カトリックの文献によると，西暦2世紀に自称クリスチャンたちが，夫婦の性交は出産を目的とする場合にのみ妥当であるとするストア派の規範を取り入れました。ですから，この見解の背後にある考えは聖書的ではなく，哲学的なものでした。神の知恵ではなく人間の知恵に基づいていたのです。そして，この哲学的見解は幾世紀も根強く残り，様々なカトリック神学者たちによって練り上げられました。a その論理的な帰結として生まれたのが，性的な楽しみそのものを目的とするのは罪深いことであり，出産の可能性を排除した性関係は倫理に反する，という考えです。これは，聖書の教えではありません。