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死の“キス”と闘う目ざめよ! 2000 | 9月8日
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しんと静まり返った夜中,あなたがぐっすり眠り込んでいるときに,それはじりじりと近づきます。あなたは目を覚ましません。覚ますどころか,それが毒のある“キス”をしていても,あなたは身じろぎ一つしないのです。
この夜の侵入者は,南アメリカに多い,“口づけカメムシ”とも呼ばれるオオサシガメです。ゆっくりと血を吸うので,この昆虫の“キス”は延々15分も続くことがあります。“キス”そのものは無害です。しかし,肌の上に残るふんの中に,トリパノソーマクルージ,または短くTクルージと呼ばれる微生物がいるかもしれません。この寄生虫が,目や口や傷口から体内に入ると,シャガス病としてよく知られているアメリカトリパノソーマ症を引き起こすのです。
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死の“キス”と闘う目ざめよ! 2000 | 9月8日
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シャガス病感染者は推定1,800万人とされており,毎年5万人もの人がこの病気で亡くなっています。患者すべてがこの虫に直接かまれたというわけではありません。例えば,母乳で育てられる子どもが,この病気を持つ母親から感染するという例もあります。妊娠中の女性にこの病気があれば,それが胎児にうつるということさえありますし,出産時に子どもに感染することもあります。その他の感染経路としては,輸血とか,Tクルージの混じった生ものを食べることなどがあります。b
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