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神の新しい契約は間もなく目的を達成する「平和の君」のもとで得られる世界的な安全
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4 (イ)永遠の王国のためのダビデとの神の契約は,他のどんな契約と結びつけられていますか。(ロ)イエス・キリストはその契約について,どんな状況のもとで,何と言われましたか。
4 ダビデの家系の永遠の王国のための神の契約は,「新しい契約」という,もう一つの契約と結びつけられています。イエスは古い契約に取って代わることになっていたその契約に言及されました。それは,イエスが西暦33年ニサン14日の夜,忠実な弟子たちと共にユダヤ人の過ぎ越しを祝った後のことでした。イエスは「主の晩さん」と呼ばれるようになった行事を設けられました。イエスは,その同じ過ぎ越しの日にご自分の血を犠牲として流すことをご存じでした。そのために,赤いぶどう酒の入った杯を取って,ご自分の忠実な使徒たちに回す前に,「この杯は,わたしの血による新しい契約を表わしています」と言われました。―ルカ 22:20。コリント第一 11:20,23-26。
5 新しい契約に関する神の約束は,だれに対してなされましたか。イスラエル共和国は新しい契約に入っていると主張していますか。
5 古い契約と同様,新しい契約もある国民と結ばれますが,キリスト教世界のどんな国民とも結ばれることはありません。新しい契約に関する約束は2,500年以上も前に預言者エレミヤによってイスラエル国民に対してなされましたが,今日のイスラエル共和国は新しい契約に入っているとは主張していません。実際,イスラエル共和国は国連の一成員国になりました。
6 エレミヤ 31章によれば,神はどうして新しい契約を結ぶ必要があることを認められましたか。それはどんな結果になりますか。
6 神はどうして新しい契約を望まれたのでしょうか。エレミヤ 31章31節から34節はこう説明しています。「『見よ,日がやって来る』と,エホバはお告げになる,『わたしはイスラエルの家およびユダの家と新しい契約を結ぶ。それは,わたしが彼らの父祖たちの手を取ってエジプトから連れ出した日に彼らと結んだ契約のようなものではない。「わたしが彼らの夫としての所有権を持っていたにもかかわらず,彼らはわたしのその契約を破った」と,エホバはお告げになる』。『これこそ,わたしがそれらの日の後にイスラエルの家と結ぶ契約だからである』と,エホバはお告げになる。『わたしは彼らの内にわたしの律法を置き,彼らの心の中にそれを書き記す。そして,わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となるであろう』。『そして,彼らはもはや各々その友を,各々その兄弟を教えて,「エホバを知れ!」とは言わない。彼らはその最も小なる者からその最も大なる者に至るまで,皆わたしを知るからである』と,エホバはお告げになる。『わたしは彼らのとがを許し,彼らの罪をもはや思い出さないからである』」。
勝った仲介者を伴う,勝った契約
7 新しい契約は,イスラエル人が破った契約を書き換えたものですか。それはどうして律法契約よりも勝っていますか。
7 新しい契約は,イスラエル人が破った以前の契約を単に書き換えたものではありません。決してそうではありません! というのは,使徒パウロはローマのクリスチャンに,「[あなた方は]律法のもとにではなく過分のご親切のもとにある」と書き送っているからです。(ローマ 6:14)それは本当に新しい契約ですから,勝ったものになることが期待されていました。なぜなら,全能の神エホバは,新しい契約に入るのを認められる人々に関して物事を改善することがおできになるからです。一例を挙げると,新しい契約を確立するために,勝った仲介者,つまり仲立ちをお立てになりました。その仲介者は,預言者モーセのように罪に侵された,不完全な人間ではありませんでした。
8 (イ)新しい契約は何を伴っているために律法契約よりも勝っていますか。(ロ)勝った新しい契約の仲介者はだれですか。(ハ)ヘブライ 8章6,13節は,新しい契約とその仲介者が優れていることとに関して何と言っていますか。以前の契約はどんな影響を受けましたか。
8 預言者モーセの仲介で立てられた律法契約自体は良いものでした。しかし,その契約の規定による動物の犠牲の血は,人間の罪を決して洗い清めることができませんでした。ですから,エホバ神が勝った契約を設けるためには,勝った犠牲を伴う,勝った仲介者がいなければなりませんでした。その必要不可欠な仲介者はイエス・キリストでした。聖書は,預言者モーセと比べて,その仲介者が優れていることを指摘し,次のように説明しています。「しかし今,イエスはさらに優れた公の奉仕の職務を得たゆえに,それだけ勝った契約の仲介者でもあられるのです。その契約は勝った約束に基づいて法的に確立されたものです。『新しい契約』と言うことによって,神は以前のものを廃れたものとされました」― ヘブライ 8:6,13。
「廃れた」古い契約は取って代わられる
9 (イ)古い契約はどんな日に消滅しましたか。(ロ)その日の朝,何が起きましたか。それは何を確証しましたか。
9 「廃れた」,もしくは時代遅れになったその契約は,新しい契約の仲介者が復活させられてから50日後に消滅しました。それはペンテコステの日に起きました。その日の朝,対型的なユダヤ人の取り入れの祝いが行なわれ始めました。どのようにしてでしたか。そうです,新しい契約のあの仲介者の120人の忠実な弟子たちが,エルサレムの,とある二階の部屋に集まっていた時,ヨエル 2章28節から32節の預言の成就として約束の聖霊を受けたのです。それは,見守っていた人たちすべてに見聞きできる証拠をもたらして,新しい契約が発効したことを確証しました。
10 イエスの弟子たちが聖霊で油そそがれたことは,あのペンテコステの日にどのように明らかにされましたか。
10 イエスがバプテスマを受けて水から上がられ,聖霊がイエスに注がれた時,それはイエスの頭上で舞う1羽のはとの像を取って奇跡的に表わされました。しかし,ペンテコステの日のヘブライ人の120人の弟子たちの場合,彼らが聖霊で油そそがれたことは,どのように明らかにされましたか。それは,あたかも火のような舌が弟子たちの頭上に現われ,一度も学んだことのない外国語で神のみ言葉をふれ告げる能力を与えられることによって明らかにされました。―マタイ 3:16。使徒 2:1-36。
11 (イ)ユダヤ人にとって何が明らかなはずですか。それはなぜですか。(ロ)ユダヤ人が「エホバを知れ!」と互いに言っていないことは,どうして分かりますか。彼らはどんな喜びにあずかっていませんか。
11 モーセの律法がもはや実施されていないことは,ユダヤ人やラビたちにとって明らかなはずです。エルサレムが西暦70年にローマ軍団によって滅ぼされて以来,彼らは神殿を持っていません。その時,彼らの系図上の記録は失われるか,消失するかしました。ですから,今日,だれがレビの部族に属しているか,まただれがアロンの子孫で,ユダヤ国民のために大祭司として仕えられるのか,彼らには分かりません。彼らは「エホバを知れ!」と互いに言うどころか,神のみ名を発音することを神聖を冒涜することとみなしています。それで彼らは,「廃れた」古い契約が新しい契約に取って代わられたということに対するエホバの証人の喜びにあずかっていません。
「永遠の契約」
12 (イ)エホバの証人はどんな祈りに心から和することができますか。(ロ)イエスは何を持って死人の中から復活させられましたか。
12 今日のユダヤ人の事情とは著しく対照的に,エホバの証人には,天の神の右で活発に職務を執行する大祭司がいます。その方は新しい契約の仲介者で,モーセよりもはるかに偉大な仲介者です。エホバのそれら証人たちは,ヘブライ 13章20,21節の筆者の次のような祈りに心から和することができます。「では,平和の神が,すなわち,永遠の契約の血をもって羊の偉大な牧者であるわたしたちの主イエスを死人の中から引き上げられた方が,あなた方にあらゆる良いものを備えてそのご意志を行なわせ[てくださいますように]」。その「偉大な牧者」は人間としてのご自分の命を「羊」のために捨ててくださったので,神はこの方を血のない不滅の霊の体で,しかも忠実に守られて永遠に効力を保つ,新しい契約の血の価値を持つ方として,死人の中から復活させることができました。
13 (イ)エホバの証人はどのようにして,新しい契約の仲介者の死を思い起こしますか。(ロ)その表象物は何を象徴していますか。
13 エホバの証人は毎年,「主の晩さん」の記念日に新しい契約の仲介者イエス・キリストの犠牲の死を思い起こします。その「晩さん」の際,新しい契約に入っている人たちがあずかる,パン種の入っていないパンは,その仲介者の完全な体を象徴しており,ぶどう酒は,聖書によれば,その仲介者ご自身の命の価値を含む,汚れのない純粋の血を象徴しています。―コリント第一 11:20-26。レビ記 17:11。
14 新しい契約に入っている人たちは,記念式の表象物にあずかる時,象徴的に言って何を行なっていますか。
14 新しい契約に入っている人たちは,「主の晩さん」で記念のぶどう酒の杯にあずかる時,新しい契約の仲介者の血を単に象徴的な仕方で飲んでいるにすぎません。また,パン種の入っていない記念のパンにあずかる時にも,その仲介者の肉を象徴的な仕方で食べるにすぎません。そうすることにより,それらの人々は象徴的に言って,全人類を受け戻した方である,神のみ子の贖いの犠牲に対する自分たちの信仰を表明するのです。
15 (イ)新しい契約はすでにどれほどの期間存続してきましたか。それはどうして勝った契約であることを示してきましたか。(ロ)新しい契約はどうして「永遠の契約」と呼ばれていますか。
15 今や,1950年以上たった新しい契約は,間もなくその目的を達成しようとしています。その新しい契約はすでにモーセの律法契約より何世紀も長く存続してきました。それは勝った約束と,勝った仲介者を伴う勝った犠牲とに基づいているゆえに,確かに勝った契約であることを示してきました。効を奏したこの契約は,新しい勝った契約によって不用なものにされたり,あるいは取って代わられたりする必要がないので,「永遠の契約」と呼ばれています。―ヘブライ 13:20。
16 わたしたちは何に関してエホバ神に感謝すべきでしょうか。
16 全能の神エホバがモーセよりも勝った仲介者を起こしてくださったのは,何と感謝すべきことでしょう。エホバはその方によってモーセの律法契約を苦しみの杭にくぎ付けにして法的に排除し,永遠の新しい契約の血を備えることができたのです。
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「平和の君」は新しい契約に入っていない人たちに注意を向ける「平和の君」のもとで得られる世界的な安全
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13章
「平和の君」は新しい契約に入っていない人たちに注意を向ける
1 今日のユダヤ人も,その父祖たちと結ばれたモーセの契約が終わりを迎えようとしていたことをどうして否定できませんか。
族長アブラハムの肉の子孫である,今日の生来のユダヤ人も,古いモーセの律法契約が新しい勝った契約によって不用なものにされようとしていたことは否定できません。エレミヤ 31章31節で,「『見よ,日がやって来る』と,エホバはお告げになる,『わたしはイスラエルの家およびユダの家と新しい契約を結ぶ』」と記されている神の言葉をヘブライ語聖書の自分たちの写本から削除することはできません。
2 新しい契約の仲介者はだれかという問題は,ついにどのようにして解かれましたか。
2 エレミヤは,その新しい契約の仲介者がだれかということについては予告しませんでした。しかし,西暦33年ニサン14日の夜,イエス・キリストは過ぎ越しのぶどう酒の入った杯を弟子たちに渡した時,ご自分がその仲介者になろうとしていたことを示されました。(ルカ 22:20)ヘブライ 7章22節は,イエス・キリストがそのような新しい「勝った契約」の「保証」,つまり保証人であると述べています。
3 イエス・キリストは神に仕える他のどんな職務を保持しておられますか。それは血筋によりましたか。
3 イエスは新しい契約のための犠牲となることにより,エホバの大祭司となられました。イスラエルの最初の大祭司アロンの生来の血筋のゆえに,そうなられたのではありません。イエスは,人を祭司にする方であられる至高の神エホバの誓いによって,大祭司の職に就任させられたのです。「エホバは誓いをお立てになりました。(そして悔やまれません。)『あなたは定めのない時に至るまで,メルキゼデクのさまにしたがう祭司である!』」と記されている詩編 110編4節は,イエスに当てはまります。―ヘブライ 7:20,21。
4 (イ)エホバは約束された新しい契約をどのような「イスラエル」と結ばれましたか。それはどうしてですか。(ロ)新しい契約に入れられた人たちは,どんな二親の子たちとなりましたか。
4 生来のイスラエル国民は少数の残りの者を除いて,新しい契約の仲介者としてのイエス・キリストを退けました。ですから,神は予告された新しい契約を「イスラエルの家」と結ばれましたが,それは霊的なイスラエル,つまり「神のイスラエル」でした。(ガラテア 6:16)その霊的なイスラエルは西暦33年のペンテコステの日に生まれました。それは霊的なイスラエルでしたから,信仰のある非ユダヤ人,つまり異邦人をその市民として受け入れることができました。(使徒 15:14)ペテロはその霊的なイスラエルを「選ばれた種族,王なる祭司,聖なる国民,特別な所有物となる民」と呼びました。(ペテロ第一 2:9)この「聖なる国民」は,アブラハム契約を結び,またそれを成就なさる方で,大いなるアブラハムであられるエホバの霊的な子たちで構成されています。ですから,それと同時に,それらの人々はアブラハムの妻サラによって予示されていた,エホバの妻のような天の組織の『子たち』です。それで,大いなるアブラハムの新しい契約に関しては,イサクによって予示された約束の「胤」の母である,あの天の組織のことをどうしても考慮に入れなければなりません。
一つの群れに含められる「ほかの羊」
5 新しい契約はこの地上で何を必要としていますか。
5 その新しい契約は活発な奉仕者をこの地上で必要としており,油そそがれた残りの者の成員は古いモーセの律法契約に取って代わった「新しい契約」の十分に資格のある「奉仕者」として仕えてきました。(コリント第二 3:6)それらの奉仕者は,現代の大いなるバビロンの顕著な部分であるキリスト教世界の幾百もの宗派に属する僧職者ではありません。それら奉仕者は啓示 18章4節の命令に留意し,偽りの宗教のあの世界帝国から出て来ました。
6 (イ)新しい契約の奉仕者の人数は何人に限定されていますか。(ロ)りっぱな羊飼いが新しい契約に入っていない人たちに注意を向けられることは,どうして分かりますか。
6 その新しい契約の奉仕者の人数は,14万4,000人に限定されることになっていました。(啓示 7:1-8; 14:1-5)それで,りっぱな羊飼いが新しい契約の奉仕者以外のところに注意を向ける時が到来するのは必至でした。エホバの主要な奉仕者はこのことを予見し,ヨハネ 10章16節で,14万4,000人の「小さな群れ」の者ではない「ほかの羊」を持っていると言われた時,このことに言及されました。―ルカ 12:32。
7 (イ)「ほかの羊」級の成員はどうして新しい契約の奉仕者ではありませんか。(ロ)新しい契約に入っている人たちの残りの者は,どうして地の家族や国民にとってすでに祝福となっていますか。
7 「ほかの羊」は「小さな群れ」の者ではありませんが,やはり神の奉仕者となります。しかし,新しい契約の奉仕者とはなりません。また,それら「ほかの羊」が「新しい契約の奉仕者」の残りの者と共に「一つの群れ」になるということは,あるすばらしい事柄を示唆しています。何を示唆していますか。それはすなわち,残りの者は天の王国で栄光を受ける前に,地上で個人的に「ほかの羊」と交わるようになるということです。このようにして,アブラハムの霊的な胤の残りの者は,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」が行なわれる前に,また千年統治が始まる前に,すべての家族や国民にとって祝福となるのです。―ガラテア 3:29。啓示 16:14,16。
8 りっぱな羊飼いは,新しい契約に入っていない人たちに,いつ注意を向けられましたか。それら「ほかの羊」はどんな予備的な処置を取ってきましたか。
8 これは特に1935年以来,実際その通りになってきました。その時以来,何百万ものそれら「ほかの羊」は,世界中のエホバの証人の何万もの会衆と交わり,最高の牧者であられるエホバ神に献身してきました。それらの人々はこうして,りっぱな羊飼いであられるイエス・キリストの「一つの群れ」に入れられてきました。
9 新しい契約の仲介者の注意力が広げられたことは,新しい契約の奉仕の務めが地上で終わったことを意味しましたか。
9 その時以来,新しい契約の仲介者が注意力を広げて「ほかの羊」をも含めてきたことは,新しい契約の奉仕の務めが1935年に終わったことを意味しますか。いいえ,そうではありません。というのは,新しい契約の奉仕者の残りの者がなお地上におり,これからその奉仕の務めを終えなければならないからです。
10 クリスチャン・ギリシャ語聖書の8人の筆者の行なった新しい契約のための奉仕の務めの恩恵を今日,だれが受けていますか。
10 今日,「小さな群れ」の残りの者と,りっぱな羊飼いの「ほかの羊」の増大する「大群衆」は共に,使徒パウロのような,自分たちよりも前の他の人々の奉仕の務めの恩恵を受けています。パウロは,西暦70年にエルサレムが滅ぼされる少し前,ローマで死ぬまで忠実に奉仕の務めを遂行しながら,クリスチャン・ギリシャ語聖書の27冊の書のうち14の書を霊感を受けて書き記しました。油そそがれた残りの者と「ほかの羊」の「大群衆」は,使徒パウロやクリスチャン・ギリシャ語聖書の他の7人の筆者のような1世紀の忠実な人たちが,新しい契約の奉仕の務めを自分たちの地上の生涯の終わりまで遂行したことを,何と感謝できるのでしょう。そして現代では,「ほかの羊」の何百万もの人々が,仲介者であられるイエス・キリストのもとで油そそがれた残りの者の行なってきた新しい契約の奉仕の務めの恩恵をすでに受けています。「平和の君」は今や,急速に増大するそれら愛する「ほかの羊」に注意を向けておられます。
11 (イ)新しい契約はどれほどの期間,効力を保ってきましたか。それは何を示唆していますか。(ロ)新しい契約の奉仕者の残りの者は今日,どんな資格で仕えていますか。
11 しかし,時は今や尽きようとしているに違いありません! 新しい契約はすでに,これに取って代わられたモーセの律法契約よりも407年も長い1,953年間も効力を保ってきましたが,新しい契約の奉仕者の成員が死んで地上の舞台を去るにつれ,その人数は減少しています。しかし,それらの奉仕者の今日の残りの者は,主人イエス・キリストがご自分の「すべての持ち物」をつかさどるよう任じた「忠実で思慮深い奴隷」として仕え続けています。―マタイ 24:45-47。
「来なさい!」という招待を差し伸べる
12 啓示 22章17節によれば,「花嫁」級はどんな招待を,だれに差し伸べていますか。
12 新しい契約のそれら奉仕者の行なう奉仕は,何と愛のあるものでしょう。例えば,啓示 22章17節にはこう記されています。「霊と花嫁は,『来なさい!』と言いつづける。そして,だれでも聞く者は,『来なさい!』と言いなさい。そして,だれでも渇いている者は来なさい。だれでも望む者は命の水を価なくして受けなさい」。「花嫁」級は,エホバの活動力,つまり霊と共に,新しい契約に入っていない人たちにその招待を差し伸べています。その招待は,いま墓の中で死んでいて死人の中から復活させられ,祝福されようとしている人たちに差し伸べられるのではなく,いま生きていてハルマゲドンでの滅びの危険にさらされながらも,聞く耳のある人たちに差し伸べられているのです。
13 (イ)「花嫁」級が招待を差し伸べてきたのは,むなしいことでしたか。説明してください。(ロ)その招待をすでに受け入れた人たちは,啓示 22章17節に従順に従って何をしていますか。(ハ)招待を差し伸べるのに残されている時間は,どうなっているに違いありませんか。
13 この招待が,特に1935年以来,全世界で差し伸べられてきたのは,むなしいことではありませんでした。300万人以上の人々が,来て飲みなさいという優しい招待に,すでにこたえ応じてきました。感謝の気持ちを抱いて聞いた人たちは,パラダイスとなる地上での終わりのない命を渇望している他のさらに多くの何百万もの人々に,「来なさい!」と従順に告げています。しかし,この優しい招待を「ほかの羊」に差し伸べる時間は限られています。その招待が半世紀余り差し伸べられてきた後,ハルマゲドンにおける神の戦いが人類の「この世代」に不気味に迫っている今,そのために残されている時は非常に短いに違いありません。―マタイ 24:34。
14 わたしたちは何に関してエホバに感謝と賛美をささげるべきでしょうか。
14 ですから今,エホバがご自分のみ名のために成員14万4,000人の民を生み出すという新しい契約の目的を首尾よく達成しておられる有能な仲介者を備えてくださったことに対して,エホバに感謝がささげられますように! 同時に,りっぱな羊飼いとしてのその仲介者が,増大する「ほかの羊」の何百万もの人々を「一つの群れ」にすでに導き入れておられるのですから,エホバがたたえられますように! それらの人々はその群れの中で,新しい契約が早くも人類にもたらしている恩恵にすでにあずかっているのです。
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新しい契約の終了後 ― 千年王国「平和の君」のもとで得られる世界的な安全
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14章
新しい契約の終了後 ― 千年王国
1,2 (イ)今日,実施されている新しい契約の恩恵を受けている何百万もの人々を,だれになぞらえることができるでしょうか。(ロ)新しい契約の条項には何と述べられていますか。
世界中の何百万もの人々は,新しい契約に入っていませんが,施行されているその契約のすばらしい恩恵をすでに受けています。それらの人々は,モーセの律法契約が実施されていた時代にイスラエルで生活していた,イスラエル人以外の住民に似ています。(出エジプト記 20:10)現代の霊的なイスラエル人の残りの者と交わって恩恵を受けている,増大する,それら何百万もの人々は,どのようにしてそうなりましたか。
2 新しい契約の条項を定めた方は,エレミヤ 31章31節から34節の預言の中でこう言われました。「わたしは彼らの内にわたしの律法を置き,彼らの心の中にそれを書き記す。そして,わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となるであろう」。
3 (イ)古いモーセの契約の律法はどんな形態でイスラエルに与えられましたか。(ロ)クリスチャン・ギリシャ語聖書が書き始められる以前に,神は新しい契約の律法をどこに書き記されましたか。
3 律法契約の場合,エホバ神は仲介者であるモーセを介して,『数々の定めから成っていた手書きの文書』を生来のイスラエルにお与えになりました。(コロサイ 2:14)では,新しい契約の律法についてはどうですか。その仲介者はその律法を石の上に刻んだり,写本に書いたりしようとはされませんでした。その仲介者はご自分の書いたものを何も残されませんでした。新しい契約の律法がどのようなものかは,霊感を受けて記されたクリスチャン・ギリシャ語聖書から確かめられます。(テモテ第二 3:16)しかし,クリスチャン・ギリシャ語聖書が西暦41年ごろに書き始められる以前でさえ,エホバ神は新しい契約の律法を書き始められました。それはいつでしたか。西暦33年のペンテコステの日のことでした。どこに書き始められましたか。それは,ずっと以前に,「わたしは,わたしの律法を彼らの思いの中に置き,それを彼らの心の中に書き記す」と約束された,まさにそのとおりの所に書き始められました。―ヘブライ 8:10。
4 神はその律法をご自分の僕たちの心に書き,その思いの中に置かれるので,どんな良い影響がもたらされるようになりましたか。
4 それらの律法は心に刻まれたのですから,それに従う人たちから愛されなくなるようなことは,まず考えられなかったでしょう。それらの律法が「彼らの思いの中に」置かれたのなら,それを忘れるようなことはまずなかったでしょう。ですから,それらの律法を守る人たちは,詩編 119編97節の言葉のとおり,「わたしはどんなにあなたの律法を愛していることでしょう。それは一日じゅうわたしの思いとなっています」と語ります。そのような人々は,エホバの仲介者イエス・キリストを通して与えられたその律法に,自分自身の最も深いところから発する愛情を注ぎます。ですから,正しい動機を抱いて,それらの貴重な律法を守ることを決意しています。このことは,新しい契約に入っている「小さな群れ」と,新しい契約に入ってはいませんが,そのもとにある「ほかの羊」の「大群衆」の双方に当てはまります。―ヨハネ第一 5:3; ヨハネ 14:15と比較してください。
王国にかかわる論争が前面に出される!
5 新しい契約の仲介者は,マタイ 24章12-14節で何を予告されましたか。
5 新しい契約の律法を守る人々は,その仲介者イエス・キリストが,「事物の体制の終結のしるし」の一部として,「不法が増すために,大半の者の愛が冷えるでしょう」と述べて予告された事柄に,あえて屈することはありません。その言葉はさらにこう続いています。「しかし,終わりまで耐え忍んだ人が救われる者です。そして,王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう」― マタイ 24:3,12-14。
6 (イ)マタイ 24章14節は単なる預言にすぎませんでしたか。(ロ)それを預言以上のものとみなしているのはだれですか。彼らの忍耐については何と言えますか。
6 王国についての世界的な証しに関するこの最後の言葉は,単なる予告の言葉ではありませんでした。それは,「事物の体制の終結」の時期に生活するキリストの弟子たちに対する命令でした。それは,単に神の律法に対する不敬な態度が見られるだけでなく,広く不法のはびこっている,愛のない事物の体制が完全に終わる時まで,正しい行動を取るための指針でした。今日,イエス・キリストのこれらの言葉を自分たちに対する命令とみなしている真のクリスチャンはだれでしょうか。1919年以来,増し加わってきた歴史上の諸事実は確かに,「それはエホバの証人です」と答えます! 王国に関する証人たちの聖書教育運動は古今未曾有の大規模なものですし,証人たちは過去67年間,忍耐強くその運動を推し進めてきました。その運動は今や,規模と力強さの点で年ごとに増大しています。
7,8 (イ)第一次世界大戦中,サタンは,新しい契約に入っている人たちに対して何をしようとしましたか。(ロ)大戦後の時期に,王国にかかわる論争はどのように前面に躍り出ましたか。
7 悪魔サタンは第一次世界大戦中,霊的なイスラエル人の少数の残りの者を一掃させて,この驚異的な聖書教育運動を阻もうとしました。サタンは失敗しました! 彼らは1919年の夏に,その死のような状態から復興した後,直ちに同年9月に米国オハイオ州シーダー・ポイントで戦後最初の大会を開催しました。1922年9月の第二回シーダー・ポイント大会では,王国にかかわる論争が前面に躍り出ました。その大会の「重大な時代」という主題の設けられた四日目に,ものみの塔協会の会長は声を大にして次のように話し,その感動的な講演をすばらしい最高潮に持ってゆきました。
8 「では,至高の神の子の皆さん,野外に戻りなさい! 自分の武具を身に着けなさい! 冷静にし,油断なく警戒し,活発に働き,勇敢でありなさい。主の忠実な真の証人でありなさい。バビロンが跡形もなく荒廃するまで戦いで前進しなさい。音信を遠く広く告げ知らせなさい。世界は,エホバが神であり,イエス・キリストが王の王,主の主であることを知らねばなりません。今はあらゆる時代のうちで最も重大な時代です。ご覧なさい,王は統治しておられます! あなた方は王のことを広く伝える代理者です。それゆえに,王とその王国を宣伝し,宣伝し,宣伝しなさい」。
エホバのことを一層はっきりと知るようになる
9 (イ)その義の政府に関する証拠が増大しているので,人々はどんな立場を取らなければなりませんか。(ロ)それを推奨する立場を取る人たちには,どんな知識が与えられていますか。
9 キリストが1914年に王国の支配権を得て即位されてから,今や70年以上たちました。その時以来,神の義の政府に関する証拠は大いに増大しました。人類の世の人々は王国にかかわる論争に関して,王国を支持するか,これに反対するかのいずれかの立場を取らなければなりません。そして,神のその政府を支持している人たちには,新しい契約に関する次のような重要な言葉が成就しています。「彼らはもはや各々その友を,各々その兄弟を教えて,『エホバを知れ!』とは言わない。彼らはその最も小なる者からその最も大なる者に至るまで,皆わたしを知るからである」― エレミヤ 31:34。
10 (イ)それで,霊的なイスラエル人の残りの者はどんな名称のもとに,「ほかの羊」を喜んで迎え入れるようになりましたか。(ロ)「ほかの羊」はどんな知識を得ましたか。
10 霊的なイスラエル人の残りの者は1935年に,りっぱな羊飼いの「ほかの羊」をイエス・キリストのもとにある「一つの群れ」に喜んで迎え入れて自分たちと活発に交われるようにしました。そのすべてはエホバの証人なのです。それ以来,人数が何らあらかじめ定められていない「大群衆」を構成するようになる,それら「ほかの羊」は,霊によって生み出された残りの者と共に,「神のおきてを守り行ない」,「イエスについての証しの業」を行なうようになりました。(啓示 7:9-17; 12:17)こうして,1935年以降,それら「ほかの羊」もまた,「その最も小なる者からその最も大なる者に至るまで」エホバのことを知るようになりました。
11 エホバに関するクリスチャンの知識は,律法契約のもとにあったユダヤ人の知識とどのように異なっており,またそれよりもどのように勝っていますか。
11 しかし,エホバに関するクリスチャンの知識は,古いモーセの律法契約のもとでユダヤ人が持っていた知識とはどんな点で異なっており,またどんな点で勝っていますか。新しい契約の天的な作成者はさらに,「わたしは彼らのとがを許し,彼らの罪をもはや思い出さないからである」と告げておられます。(エレミヤ 31:34。ヘブライ 8:12)それは,新しい契約が勝った仲介者による勝った犠牲に基づいているからです。(ヘブライ 8:6; 9:11,12,22,23)勝った仲介者の勝った犠牲は,古いモーセの律法契約のもとで守られていた年ごとの贖罪の日の場合のように,繰り返しささげられる必要はありません。(ヘブライ 10:15-18)このすべてを考えれば,新しい契約に入っている人たちや,そのもとにある人たちの持っている知識は,ユダヤ人が律法契約のもとで持っていた,神に関する知識よりも確かに勝っており,人をさらに富ませ,さらに識別力を深めさせる,さらに完ぺきなものです。
12 とりわけ,エホバは,新しい契約に入れられた人たちとそのもとに置かれた人たちに対してどんな立場を保持しておられますか。
12 とりわけ,契約作成者エホバ神は,ご自分が新しい契約にお入れになる人たちと,そのもとに置いてくださる人たちを治める王です。(マタイ 5:34,35。エレミヤ 10:7)使徒パウロは,イエスが1914年に天で王として即位されるよりも1,850年も前に,新しい契約の律法に従う人たちを治めるエホバの王権を指摘し,「では,朽ちることがなく,人が見ることのできないとこしえの王,唯一の神に,誉れと栄光が限りなく永久にありますように。アーメン」と述べました。―テモテ第一 1:17。
「大患難」後の千年王国
13 (イ)「大群衆」は,新しい契約から注がれる祝福に,いつ,またどんな状況の中で,あふれるほど豊かに浸るようになりますか。(ロ)新しい契約のどんなすばらしい目的が達成されることになりますか。
13 新しい契約に入っていないものの,そのもとにある「ほかの羊」の「大群衆」は,「大患難」を生きて切り抜けることを待ち望んでいます。滅びに定められた現在のこの事物の体制が滅亡した後,それらの人々は清められた地を治めるイエス・キリストとその共同の相続者たちによる統治を千年間享受します。(啓示 7:9-14)その時には,新しい契約の目的,つまり神の天の王国の相続者になる「特別な所有物となる民」を生み出す目的は達成されていることでしょう。(ペテロ第一 2:9。使徒 15:14)生き残る「ほかの羊」の「大群衆」には,神の王国により,祝福があふれるほど豊かに注がれるでしょう。悪魔サタンと目に見えないその悪霊の組織は底知れぬ所に入れられてしまい,物事を妨げることはできなくなってしまいます。―啓示 21:1-4; 20:1-3。
14 生き残る「大群衆」は,どんな良い備えができているでしょうか。
14 「ほかの羊」の生き残る「大群衆」は,新しい事物の体制のもとで生活を始める良い備えができているでしょう。それらの人々は霊的なイスラエル人の残りの者と同様,「その最も小なる者からその最も大なる者に至るまで」神について知っていることでしょう。(エレミヤ 31:34)いま統治しておられる王は,かつて神への祈りの中でこう言われました。「彼らが,唯一まことの神であるあなたと,あなたがお遣わしになったイエス・キリストについての知識を取り入れること,これが永遠の命を意味しています」。(ヨハネ 17:3)ですから,エホバ神に関するその総括的な知識は,永遠の救いをもたらすものとなります。これは,生きて「大患難」から救われる「肉なる者」だけでなく,王の声を聞いて,記念の墓から出て来る何十億人もの死者にとってもその通りになるでしょう。エホバに関する必要な知識はすべて,それら復活させられる人々に授けられるようになります。―マタイ 24:21,22。ヨハネ 5:28,29。啓示 20:11-15。
15 新しい契約が果たされる時,「ほかの羊」の「大群衆」は,どうして何の損失も被らないのでしょうか。
15 神の新しい契約がたいへん首尾よく果たされる時,滅びに定められたこの事物の体制の滅亡を生き残る,羊のような人々の「大群衆」は,幸いにも損失を被ることはありません。それどころか,清められたこの地上で,さらにすばらしい祝福にあずかる道が開かれ,それらの人々はその地を自分たちのものとして受け継ぎ,それを世界的なパラダイスに変える業に最初にあずかります。(マタイ 25:34。ルカ 23:43)今や間もなく,地を損なっている者たちはいなくなり,「エホバを待ち望む者たちは,地を所有する者とな(り)……柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだす」ようになります。(詩編 37:9-11)新しい契約が果たされた後の「平和の君」によるエホバ神の千年王国を,すべての人が歓呼して迎えますように!
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