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エホバ聖書に対する洞察,第1巻
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もしアダムが創造に関する記述を知っていたとすれば,彼はまた,エホバが神聖な規準をお持ちであることをも知っていたはずです。というのは,その記述によれば,エホバはご自分の創造の業をご覧になって,「それは非常に良かった」と言われたからです。したがって,それはご自分の完全な規準にかなっていたのです。―創 1:3,4,12,25,31。申 32:3,4と比較。
規準がなければ,善悪を決めたり判断したりする,あるいは正確さや優秀さの程度を評価したり識別したりする方法はあり得ないでしょう。この点で,ブリタニカ百科事典(1959年,第21巻,306,307ページ)が次のように述べた言葉は啓発的です。
「自然界の種々の基準と比較すれば,[種々の基準を確立する点での]人間の業績は……取るに足りないものになってしまう。星座,惑星の軌道,自然界の物質の伝導性,延性,弾性,硬度,浸透性,屈折性,強度,あるいは粘性などの不変の標準的特性……あるいは細胞の構造などは,自然界の驚くべき標準化を示す,少数の実例にすぎない」。
同事典は物質界の創造物の中のそのような標準化の重要性を示して,こう述べています。「自然界に標準化が見られるからこそ……植物,魚,鳥,あるいは動物の多くの種類を見分けたり,分類したりすることができるのである。それらの種類の内部では,それぞれの個体は各々の種類の独特の構造,機能,および習性の微細な点で互いに類似している。[創 1:11,12,21,24,25と比較。] もし人体がそのように標準化されていなかったとすれば,各人が特定の臓器を持っているかどうか,それを調べるためにどこを見ればよいか,医師は分からないであろう。……実際,自然界に基準がなければ,組織化された社会も教育も医師もあり得ないであろう。それは各々,比較できる基本的な類似性に依存しているのである」。
アダムはエホバの創造の業には大いに安定性があるのを見ました。つまり,昼と夜の規則正しい反復,重力にしたがって絶えず下流へ向かって流れるエデンの川の水その他,地球の創造者が混乱ではなく秩序の神であられることの証拠となる,数えきれないほど多くの事象を見ました。(創 1:16-18; 2:10; 伝 1:5-7; エレ 31:35,36; コリ一 14:33)人は割り当てられた仕事や活動(創 1:28; 2:15)を遂行するのに,そのような安定性が助けになることを確かに知り,不確実さゆえに心配することなく,確信を抱いて計画を立てて働くことができました。
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エホバ聖書に対する洞察,第1巻
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前述の百科事典は規準に関する項で,物質界の創造物についてこう述べています。「しかし,種々の基準が定められていることを示すこのような圧倒的な証拠を前にしても,自然は単調だと言って非難する人は一人もいない。色の基礎となるスペクトルの波長の幅は狭いものであるが,それによって得られ,観察者の目を喜ばせる,色の変化や組み合わせには,事実上際限がない。同様に,芸術性に富む音楽もすべて,やはり様々な振動数の音の小さな集まりを通して耳に達するのである」。(第21巻,307ページ)
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