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フィンランド1990 エホバの証人の年鑑
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走路を変えたランナー
1919年にフィンランドのオットー・マーケラーという若者は,3,000㍍競走で国内新記録を樹立しました。その後同じ年に,彼は郷里でビリョ・タービツァイネンという巡礼者が行なった話を聞きました。小柄とはいえ強健なこのランナーは,真理に非常に大きな魅力を感じました。オットーは自分の走路を変える決意をしたのです。そしてバプテスマを受けた後,1921年3月に巡礼奉仕を開始しました。彼はその後幾十年にもわたって巡回監督として奉仕し,1985年に地上の歩みを終える直前まで優れた教え手として知られました。a
オットー・マーケラーの経験を本に著すとすれば,何冊もの分量に及ぶでしょう。彼と一緒に,イーサルミから100㌔ほど離れたケルセメキに出かけてみましょう。「私は公開講演を行なう午後7時までに目的地に到着できるよう,朝の7時に出発しました。ひたすら旅を続けましたが,目的地にようやく着いたのは午後9時でした。道中,数軒の宿がありましたが,どの御者も次の宿までしか運んでくれませんでした。私が次の場所まで大急ぎで運んでほしいと頼むと,御者たちは森の中でのんびりと馬を捕まえていました。ようやく捕まえたと思うと,今度は馬に餌と水をやり,御者も自分の腹を満たす必要がありました。私は身分の非常に高い人物にも重要な旅人にも見えなかったので,御者たちは急ぐ必要を感じませんでした」。
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フィンランド1990 エホバの証人の年鑑
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a オットー・マーケラーの経験談については,「ものみの塔」誌,1968年1月1日号,22-26ページをご覧ください。
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フィンランド1990 エホバの証人の年鑑
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[157ページの図版]
旅行する奉仕と支部事務所での奉仕を何十年も行なったオットー・マーケラー
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