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ガラテア人への手紙聖書に対する洞察,第1巻
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正典性 この書の正典性に関する初期の証拠は,ムラトーリ断片や,イレナエウス,アレクサンドリアのクレメンス,テルトゥリアヌス,オリゲネスなどの著作に見いだされます。これらの人はクリスチャン・ギリシャ語聖書の他の26冊の書のほとんど,もしくはそのすべてと共に,書名を挙げてこの書に言及しています。この書はマルキオンの短い正典の中でも書名をもって指摘されており,キリスト教の敵であったケルススさえもこの書のことをほのめかしています。霊感を受けて記された聖書の正典の各書を載せた優れた目録で,少なくとも西暦397年のカルタゴ第三公会議の時代までのものにはすべて,ガラテア人への手紙が含まれていました。今日でもこの書は霊感を受けて記されたパウロの他の8通の手紙と共に,西暦200年ごろの写本とされているチェスター・ビーティー・パピルス2号(P46)の中に保存されています。このことは初期クリスチャンがガラテア人への手紙をパウロの手紙の一つとして受け入れていたことを証明しています。ほかに,シナイ写本,アレクサンドリア写本,バチカン写本1209号,エフラエム重記写本,クレルモン・コーデックス,それにシリア語ペシタ訳のような古代写本にも同様に,ガラテア人への手紙が含まれています。同時に,この書はパウロの他の手紙やこの書にしばしば引用されている聖書の残りの部分とも完全に調和しています。
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ガラテア人への手紙聖書に対する洞察,第1巻
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パウロの他の手紙は普通,秘書が筆記しましたが,パウロによれば,この手紙はパウロが「自分の手」で書きました。(ガラ 6:11)パウロは他の著作の中で,ほとんど例外なく,自分自身のあいさつと自分と共にいる人たちからのあいさつを送っていますが,この手紙ではそうしていません。ガラテア人への手紙の筆者が詐称者だったとしたら,多分,秘書の名を挙げたり,パウロがいつもしていたように,あいさつの言葉を幾つか書き送ったことでしょう。したがって,筆者のあて名の書き方や飾り気のない単刀直入な文体は,この手紙の信ぴょう性を保証するものとなっています。そのような形で偽造されたと考えるのは,筋の通ったこととは言えないでしょう。
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