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聖書の13番目の書 ― 歴代誌第一『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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9 歴代誌の書かれた時代をもっと後代とする見方を支持すべき理由がないのはなぜですか。
9 系図(1:1-9:44)。これらの章は,アダムからゼルバベルの家系に至るまでの系図を掲げています。(1:1; 3:19-24)多くの翻訳の訳し方によれば,ゼルバベルの家系が10代ほど後代まで記されています。彼が西暦前537年にエルサレムに戻ってから,エズラが書き終えたと考えられる西暦前460年までの期間は,それほど多くの世代の人々が生まれるには十分ではなかったでしょう。しかし,この箇所のヘブライ語本文は不完全ですから,記載されている人々の大半がゼルバベルとどのように親族関係にあったかを断定することはできません。したがって,一部の人々がしているように,歴代誌の書かれた時代をもっと後代とする見方を支持すべき理由はありません。
10 (イ)まず,どの世代のことが挙げられていますか。(ロ)2章の初めからどんな系図を筋道の通った仕方でたどれますか。(ハ)ほかにどんな一覧表が掲げられ,それはどんな事柄で終わっていますか。
10 まず,アダムからノアまでの10世代,次いでアブラハムに至るまでの10世代が挙げられています。アブラハムの子らと彼らの子孫,エサウおよびセイルの山地に住んだセイルの後裔,そしてエドムの初期の王たちが列挙されています。しかし,2章以降,記録はイスラエルつまりヤコブの子孫のことを扱っており,そのイスラエルの子孫のうち,まずユダから始まって,ダビデに至るまでの10世代の系図をたどれます。(2:1-14)また,ほかの部族に関しても一覧表が掲げられていますが,レビの部族と大祭司たちのことが特に言及されています。この一覧表はベニヤミン人の王サウルを紹介するものとして,最後にベニヤミンの部族の家系を記しています。それから,厳密な意味での歴史的物語がこのサウル王をもって始まります。時には,エズラの系図と聖書のほかの節との間に矛盾する箇所があるように思えるかもしれません。しかし,ある人々はほかの名前でも知られていることや言語は変化すること,また時間の経過と共に,ある名前はつづり方が変化する場合があるということも覚えておかなければなりません。注意深く研究すれば,問題点のほとんどは取り除かれます。
11 系図の記録の中に入れられているほかの有用な情報の例を挙げなさい。
11 エズラはその系図の中の随所に,問題点を解明したり,重要な示唆を与えたりするのに役立つ,歴史的・地理的情報を少しずつ含めています。例えば,ルベンの子孫を列挙する際,エズラは次のような一つの重要な情報を加えています。「そして,イスラエルの長子ルベンの子ら ― 彼は長子であったが,その父の長いすを汚したことにより,長子としての彼の権利はイスラエルの子ヨセフの子らに与えられたので,彼は長子の権利の点では系図に記録されてはならなかったのである。ユダは,その兄弟たちの中で勝った者となり,指導者となる者が彼から出るのであるが,長子としての権利はヨセフのものであったからである」。(5:1,2)このわずかな言葉で多くのことが説明されています。さらに,ヨアブ,アマサ,およびアビシャイが皆,ダビデのおいであるということは,ただ歴代誌だけが教えており,これは彼らを取り巻く様々の出来事を正しく評価するのに役立ちます。―2:16,17。
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聖書の13番目の書 ― 歴代誌第一『聖書全体は神の霊感を受けたもので,有益です』
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ただ正式に認可された人だけが祭司職に就いて奉仕できるようにしたり,部族の相続権を確認して,祭司職に対する支持が得られるようにしたりするには,正確な系図が必要でした。王国に関するエホバの預言から考えても,やはりユダおよびダビデの家系の明確で信頼できる記録を持つのは肝要なことでした。
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