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ナチスによる大虐殺<ホロコースト> ― 犠牲者それとも殉教者?目ざめよ! 1989 | 4月8日
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1939年,ザクセンハウゼンに拘留されていたおよそ600人のエホバの証人の中に,ディンスラーケン出身の23歳の青年アウグスト・ディックマンがいました。a 9月に戦争が始まった時,収容所長官バラノウスキーは,証人たちの決意をくじくいい機会になると考えました。アウグストが入隊を拒否したので,バラノウスキーはヒムラーに青年ディックマンを収容所の囚人全員の前で処刑する許可を求めました。実際に処刑を目撃すれば,多くの証人たちは信仰を放棄するだろう,と考えていたのです。ディックマンは3人の親衛隊員によって後ろから狙撃され,そのあと一人の親衛隊将校が遺体の頭をピストルで撃ち,とどめを刺しました。
目撃証人のグスターフ・アウシュナーは後日こう報告しました。「彼らはディックマンを射殺し,私たちに,もし信仰を放棄するという声明書に署名しないなら全員銃殺されると言いました。一度に30人ないし40人が砂掘り場に連れて行かれ,全員が射殺されることになります。翌日,親衛隊員が私たち一人一人に,署名するための用紙を持って来ました。署名しなければ銃殺ということです。しかし,署名する者は一人もおらず,立ち去る彼らのいかにも憂うつそうな顔をご覧にいれたく思いました。彼らはその公開処刑によって私たちを脅かせると考えていたのです。しかし,私たちは彼らの銃弾よりもエホバの不興を買うことを恐れていました。それ以後私たちのうちのだれも公に銃殺されることはありませんでした」。
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ナチスによる大虐殺<ホロコースト> ― 犠牲者それとも殉教者?目ざめよ! 1989 | 4月8日
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a アウグスト・ディックマンの殉教について詳しく知りたい方は,ニューヨーク法人 ものみの塔聖書冊子協会発行の「エホバの証人の1975年の年鑑」,167-171ページをご覧ください。
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